“と”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
6.4%
6.3%
6.2%
4.7%
4.6%
4.4%
3.4%
3.4%
3.0%
2.2%
2.1%
2.1%
2.0%
1.9%
1.8%
1.8%
1.8%
1.7%
1.7%
1.7%
1.6%
1.6%
1.4%
1.4%
1.4%
1.4%
1.3%
1.3%
1.3%
1.2%
1.2%
1.0%
0.9%
0.9%
0.7%
0.7%
0.7%
0.7%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.5%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
宿0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
收穫0.0%
0.0%
0.0%
一一除0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
保存0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
徴集0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
摂取0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
撮影0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
海門0.0%
0.0%
溶解0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
退0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
除去0.0%
0.0%
0.0%
駿0.0%
0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其時分にもらないでたけれども、母様二人ぐらしは、この橋銭つてつたので、一人前幾于宛つてしました。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
妙子にしてみないことには、彼女がどう云う考でそんなことを云っているのか諒解に苦しむ点が多いのであったが、それは
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
されるのは、たしかにやせたひばりの子供です。ホモイはいきなり水の中にんで、前あしでしっかりそれをつかまえました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
僧は上りに腰かけて、何の恥らう様子も無く、悪びれた態度もなく、大声をあげて食前の誦文を唱え、それから悠々とった。
とと屋禅譚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかしながらおそらく、アメリカ発見の結果生じた所の、金属の価値に対するあらゆる影響は、うに終ってしまっているであろう。
小鳥は、まず屋根まりました。そして、これからどっちへかってげていったらいいかと、しばし思案にふけったのです。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つくこをいでつて日向けてついてた。お勘次一寸なくつたのでしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
古田は証拠を消す為に、先生からった原稿を焼こうとしている所でしたから、もう一足遅いと先生の研究は永久に葬られた訳です。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
其処けては我等ぢや。案山子いてらうとするなら、ぴち/\ねる、見事ぐぞ。老爺広言くではねえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同じ祝詞の中には、また次のような語も見えます。曰く、「国中に荒振神等を、はしに問はしたまひひに掃ひたまひて云々」
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
風雨に古びたまま、幾百年も手入れもしていない建物に、月の白い光が、の朽ちた四方の破れから刃のように中へさしこんでいた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其説に拠ると小十郎は何等の言をも発せずに終ったので、政宗は其夜かに小十郎の家をうた。小十郎は主人の成りをび迎えた。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
背筋の虫に螫された、その痒さをめる役目なので、蚊帳の中に入っても直ぐと後へ廻った為、顔を見られずに済んだのであった。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
そしてその物置へは多少の手入を加えて、つまり肺結核の大学生を置いてやることにしたという。或る日この大学生は縊死げた。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
またぎすました短い刀が落ちている。尊氏に投げつけられたものであろう。隅には小さくなって、うずくまっている人影があった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……刃物はきょう、犀角散を、ることになって居りましたので、がしましたばかり。決して、血を落としたんじゃございません
小六さん、座敷てて、洋燈けて頂戴せないだから」と依頼んだ。小六簡單
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
慈悲深い男は、家外の寒さを思い遣り乍ら室内のストーヴの火に暖をり、椅子にふかふかと身を埋めて静に読書して居りました。
慈悲 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
んで、ぐいとった。そので、さにでた八五は、もう一って、藤吉枝折戸きずりんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ところが私は熱いんです、そして火は氷をかしてしまひますわ。あの火はあなたの外套の雪をすつかり溶かしたぢやありませんか。
第二十四条 日本国民は男女を問はず、国の独立自尊を維持するが為めには、生命財産をして敵国と戦ふの義務あるを忘る可らず。
修身要領 (新字旧仮名) / 福沢諭吉慶應義塾(著)
『たわ言も、よい程にせいっ。その明後日までに金が調う位なら、こうして、髀肉の嘆をらしながら、じ籠って居りはしない』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもこの際読者の網目と前句作者の網目と付け句作者の網目とこの三つのものが最もよく必然的に重なり合いけ合う場合において
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
平次はそんな事は氣にも留めない樣子で、膝行り寄ると死體に掛けた木綿をり、丁寧に拜んで、暫らくその顏を見詰めて居ります。
「だって、いかにもあたしが意気地がないから柿をられたんだって云うような口ぶりなんですもの。あの梵妻さんも随分だわ。」
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
まったく放心状態にあるように見えた母親ががばと高くび上がり、両腕を大きく拡げ、手の指をみんな開いて、叫んだのだった。
変身 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
もちろん校長からこんこんとかれたこともあった。和尚さんからもそれとなく忠告された。けれどもそのためばかりではなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「あはははっ……。口で唱える念仏の声は禁じても、心のうちで唱える念仏をめられようか。ばかなッ!」と、人も無げにって
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも彼は姉や兄たちの孝行を一人で引き受けたかのように、肩揚げのおりないうちからよく働いて、年をった母を大切にした。
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「新さん、マア大変なことが出来ちゃったんです。」女は菓子折の包みをそこに置くと、ショールをって、コートの前をした。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼等の祖先と同じ形の食器から同じ黄色い食物をり、野に同じ種を播き、身に同じ衣をまとひ、頭に同じ髷同じ冠を伝へてゐる。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
それから写真を二枚って貰った。一枚は机の前に坐っている平生の姿、一枚は寒い庭前の上に立っている普通の態度であった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくはがよかったよ。こん夜はめてもらいたいね。ひさしぶりにゆっくりりたいんだ。ベッドをでよごしてすまなかったね。
宮城県遠田郡涌谷村字黄金迫の黄金神社附近から、黄金をって朝廷に献じたのが、日本で黄金の発見された最初のようであります。
と、越前守はふと手を伸ばして、目安の机から一じの書類を取って、膝の上でひらいた。与力の一名が、燭台をかれの横へ寄せた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千年あまりも前に、我々の祖先の口馴れた「ある」と言ふがある。「産る」の敬語だと其意味をき棄てたのは、古学者の不念であつた。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
春はまだ浅き菜畠、白き日向あさるを、水ぐるままはるかたへの、窻障子さみしくあけて、ひとり見やれり、の青き菜を。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其家は大正道路からある路地に入り、汚れたの立っている伏見稲荷の前を過ぎ、溝に沿うて、奥深く入り込んだ処に在るので
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
れるのは旧の三月から十月頃までであるが、そのころはもうまずくなるので、喰って味のよいのは、ちょうど今だと愛嬌をいう。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「へい、申しわけございません。といったって、こちも、足を棒にして、そこらじゅうを、クルクルぎ歩いちゃいるんですが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(七九)閭巷てんとするは、(八〇)青雲くにずんば、んぞく(名ヲ)後世かん
あれなりとらずんば此降りに客の足とまるまじとお力かけ出して袂にすがり、何うでも遣りませぬと駄々をこねれば、容貌よき身の一徳
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その雨の音を聞きながら、半七は居眠りでもしたように目をじていたが、やがて手拭いと傘を持って町内の銭湯へ出て行った。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
桃太郎は意気揚々と鬼が島征伐のった。すると大きい野良犬が一匹、えた眼を光らせながら、こう桃太郎へ声をかけた。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
赤い光りは、その大邸宅の右の端にタッタ一つ建っている、屋根のんがった、奇妙な恰好の二階の窓から洩れて来るのであった。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこで私はとうとう、二言、三言と話し合っているうちに、その青年を、くから知り合っている友達かなんかのように思い出してきた。
義太郎 (不満な顔色にて)おう、どうしたから降すんや。今ちょうど俺を迎えに五色の雲が舞い下るところであったんやのに。
屋上の狂人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
まれに、きわめてまれに、天のを取って来てこの境界のガラス板をすっかりかしてしまう人がある。(大正九年五月、渋柿)
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
此一行がセルギウス等を見て馬をめた。フランス人らしい男に les pèlerins(巡礼)を見せようと云ふのである。
しかし本來耐震性木造建築に、特別周到精巧なる工作したのであるから、自然耐震的能率すのは當然である。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
それでも塩水をかけたので恰度あったから本田の一町一分には充分だろう。とにかくは今日半日で大丈夫五十円の仕事はしただ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
薙刀のき刃のように、たとえば片鎌の月のように、銀光を帯び、水紅して、あまる鳥の翼を見よ。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かつて聞いたことのない、美しいを朗かな声で歌うのに、その音調が好く整っていて、しろうとは思われぬ程である。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
、養家はそれから好い事ばかりが続いた。ちょいちょい町の人達へ金を貸つけたりして、夫婦は財産の殖えるのを楽んだ。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
知らずや、貫一は再度の封をだに切らざりしを——三度五度七度重ね重ねて百通に及ばんとも、貫一は断じてこの愚なる悔悟を聴かじとを決せるを。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
きを如何いふいたら、自分のやうにざしてくことが出來るかと、それのみにられていた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「グリイリイ君、君にはお気の毒だが僕は今日限り君とこの新聞をめたよ。どうも社説の議論が気に喰はないもんだから。」
沖で引っかかったなら鯖、小鯛なら小鯛をば、穫れたられただけ船に積んでエッサアエッサアと市場の下へ漕ぎ付けます。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この間ソ同盟の飛行機が北極を通過して一気に一万六百キロんでカリフォルニアのサンジャシント飛行場へ着陸し、六十二時間九分で
文芸時評 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
何んだか生温い湯にでも入ツてゐるやうな心地……、から幻へと幻がはてしなく續いて、種々な影が眼前を過ぎる、……ると、自分は
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
のとどともすれば松蔭でてぞつるし君かと 〔巻十一・二六五三〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
これは三艸子といって、大野定子と並んで歌よみといわれていた人でした。人あたりのよい方で、福羽氏ともお知合だったと見えます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
これはその山體つてゐる岩石玄武岩)の性質るものであつて、そのけてゐる比較的流動いからである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
一天のは、寒く、こころをつて、歎きのを強ひる。——わたしはその群る虫に、その虫の歌に、汎としてき流れるサモス派の船である。…
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
ばかりでなく、爺があまり馬鹿馬鹿しい苦労などをする時には、むしろ、りに近い言葉でめることがあった。
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「芝生にあった大鹿の角も、貴方がったのですか」と恐る恐るきくと「あれはこの冬のだ。昨年の冬は二頭猟ったが」という。
アラスカ通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
めゆきて死所と定めむ天竜のちかき村清水湧くところ(原君、飯田市より二三里を距てたる山本村の清水に疎開し来れと誘はるるにより、かかる夢あり)
枕上浮雲 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
之乎路から直越え来れば羽咋の海朝なぎしたり船楫もがも」(巻十七・四〇二五)、「に行かず巨勢路から石瀬踏みめぞ吾が来し恋ひてなみ」(巻十三・三三二〇)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
成善が江戸でもまだ少かった蝙蝠傘を差して出ると、るものがの如くであった。成善は蝙蝠傘と、懐中時計とを持っていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
くなければならない筈だが、今はまったく、一節切の音色にしんから聞きれていて、心は時雨堂の、あの虚無僧のまぼろしへれている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやたとえ一晩でも宿めて貰って、腹の中とは云え悪くいうは気がめる、もうつまらん事は考えぬ事と戸を締めた。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ただ一つ永久のおれに、わたくしがあのとき呼び得なかった心からのお願いを今、呼ばして頂きうございます。それでは呼ばせて頂きます。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ったんだよ。ヒュルスマイエルは、昔から村に住んでいる、ちゃんとした人だし、ユダヤ人はみんなわるい奴ばかりだからね。
不愍な者じゃ。亡き右府様になり代って、秀吉が改めて、媒酌してとらせる、生れかわった者として、山より迎えるがよい」
しかし下町の目抜と山の手のとは地価のが違う。新太郎君の家も、二百坪足らずだが、日本一の銀座の地主さんだ。悲観することはない。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
イワンは併し、娘の姿に見れているうちに、だんだんせつなくなりました。
イワンとイワンの兄 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
暗色の髪は短く刈りこんで、顳顬のところだけちょっと前へき出してあった。彼は軍隊式に活発な大またで歩いて来た。
曰く、『天にしては天なり、地に潜しては地なり。天地は神明にして測られざるものなり。ないし人の心はそれ神なるか、るときはすなわち存し、捨つるときはすなわちなし、云云
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
近時とても那翁三世がを馴らして将士の心をったり、米国南北戦争の際ウィスコンシンの第八聯隊が鷲を伴れ往きて奮闘し、勝利事果てその鷲をその州賓として養い
寛一君はその晩返事をめにかゝったが、もすると自分の苦情が先立つのに気がついた。彼方此方で叱られて、考えて見ると馬鹿々々しくなる。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
仇敵に仕える汝ら二人、首打ち落とすが本来なれど上使と名乗る名に免じて一命だけは助けてくれよう。やあやあ主馬之介く参って此奴らのを切り払え!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
るに伯夷叔齊ぢ、(三四)はず、首陽山れ、つてふ。ゑてせんとするにんでる。
「豪勢なピクニックだ、それにじつに何とも言えん晩だ」とほろ酔い機嫌のラエーフスキイが言う、「だが僕は、それにもかかわらず敢てよき冬をるね。 ...
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かくて一生懸命に走って今一足で嶺に達するという刹那蛙が野猪の頸からポイとんで絶頂へ着いたので野猪我は蛙にしてられたと往生を唱うた
クヲテン怒て奸夫を殺さん逐ひ廻るを見て、クヲテンの母パールデン、荊棘に鈎られて留まれと詛ふと、果して棘に留められた所をクヲテンが殺した。
詛言に就て (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
「身内の欲虫、人の和合する時男虫は白精、涙の如くにして出で、女虫は赤精、の如くにして出づ、骨髄の流れて此の二虫をして吐涙の如くに出でしむ」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
蹈海蹉跌は、ち徳川政府のう所となり、江戸伝馬町の獄に繋がれ、延いて佐久間象山に及び
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
子供は、早速考えついて、後方に居並んでいたベンチを一つ引摺って来て黒板の下に置いて、それを足場としてその上に立って、白墨をって用意した。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
に記して曰く、らかに其の進修の功をうに、日々になるありて、月々に同じからず、に四春秋を越ゆるのみにして而して英発光著の如し、四春秋ならしめば
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
主人細君説明によると、織屋んでゐる燒石ばかりで、れないから、ゑてふんださうであるが、餘程しいえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それより門をじて、天井より糸でをつるし、それを突くこと三年間、ついに天下無敵の突きの一手を発明してしまった。
甲野さんは返事を見合せて口をじた。会話はまた途切れる。汽車は例によってと走る。二人の世界はしばらくの中に揺られながら消えて行く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もししからばすなわち張公が言非なるか、因って挙似して以てその所以う、僧いう晨を司る鶏は必ず童を以てす。
「あの邸をへ寄附して、博物館にでもしてもらうわけにはいかないのでしょうか」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
らにさんと、きりこみし人々、皆其刀をがせし中に、一瀬が刀の二個処いちじるしくこぼれたるが、臼井が短刀のはのこぼれに吻合したるよりわれにき。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
力の日本がかかる和合をらし得ない事を私は知っている。しかし情の日本はそれを成しげ得ないであろうか。力強い威圧ではない。涙もろい人情のみがこの世に平和を齎らすのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
宗近君は椅子横平な腰を据えてさっきから隣りのを聴いている。御室御所春寒に、をたまわる琵琶の風流は知るはずがない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
祖父は歿くなる、親は追出す、もう誰一人その我儘めるものが無くなつたので、初めの中は自分の家の財産を抵当に、彼方此方から金を工面して、その放蕩を続けて居た。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
森「分らねえっさんだ、旦那が声が小せいから尚お分らねえのだ、と大きな声でお話なせえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
降りて来る蟻達はゆつくりとした様子で小さな足どりで来ます。そして自分から足をめて休んだり、上つて来る蟻に忠告をしてやつたりします。
母鳥の云ひけるやう。汝達は諸鳥の王なるぞ。目はく、拳は強し。いでや飛べ。飛びて母の側を去れ。我目は汝を送り、我情は彼の死に臨める大鵝簧舌の如く汝が上を歌ふべし。
日本太古原始的家屋はともかくも、に三支那交通して、建築輸入されるにつて、日本人ゆゑににおいて賞用せられた構造けて
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
そのうちに子供がだんだん大きくなったので、とうとう花城の家の子供と許嫁をした。羅はいつも叔父が年をって困っているだろうと思って気にしていた。翩翩はいった。
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
嶋田の髷のなつかしさに振かへり見る人たちをば我れを蔑む眼つきとられて、正太さん私は自宅へ歸るよと言ふに、何故今日は遊ばないのだらう、お前何か小言を言はれたのか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
(十四) 子曰く、君子は食かんことを求むるなく、安からんことを求むるなく、くしてを慎み、有道にいて正す。学を好むというべきなり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
だれかまだ手に力のある者がゐるならば、はやくその花をるがよからう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
景色いが變化しいからめてのなら自分幾度此海棧道れてるからめたくもない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
少しは頭脳がはっきりし、悲しみもれて行ったが、請地ではもう早起きの父が起きている時分だなぞと考えてみたりした。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
突止も取らはんと富右衞門は其入牢申渡されける是より大岡殿組下の同心へ申付られ在方の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
治外の法権れしはやや心安きに似たれど、今もかの水色眼鏡の顔見るごとに、髣髴墓中の人ので来たりてわれと良人を争い、主婦の権力を争い
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
何か探そうとして机の抽斗を開け、れてあッた年頃五十の上をゆく白髪たる老婦の写真にフト眼をめて、我にもなく熟々め入ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
天子直參の上卿用たる衷甸兩牡の車に乘る。罪二つ。君の前にして裘を脱ぎ、劍をかずして食ふ。罪三つ。
盈虚 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
坊様れてつこちさつさるな。おら此処眼張つてるに、)と横様にのさり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しからずんば、いたずらに筆をりて賛美の語をべ、もって責めをぐ。輓近の文士往々にしてしかり。これ直諛なるのみ。余のはなはだ取らざるところなり。
自分はこの時始めて、何をられたかを明瞭に知った。くなったものは十点、ことごとく帯である。昨夜這入ったのは帯泥棒であった。御正月を眼前にえた妻はな顔をしている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世の中に知られぬ宿も菜の花の香をめてこそ蝶の飛ぶらめ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
〔譯〕凡そ生物は皆る。天生じて地之をふ。人は則ち地の氣の精英なり。吾れ靜坐して以て氣を養ひ、動行して以て體を養ひ、氣と體と相つて以て此の生を養はんと欲す。
と腰のなどらせて帰したということが——この春にはあった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
押し強くも帝釈宮の門まで往ったが堅くざされてヤモリが一疋番しおり、この金剛石門は秘密の呪言で閉じられいるから入る事はわぬと語る。
立出て音羽の町へ至りつゝ路地へは入しが何處で聞んと其所等迂路々々爲しゝ見れば大藤がの家にて老婆一に向ひ夜食と云へど未だ暮ぬ長日の頃の飯急ぎ和吉は見やりて打點頭會釋
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鳥も飛んで来なくなった。河からはも出なくなった。これでは私も生きている力がない。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
だが、幸にして、彼女のつた多量の夕食は、催眠の効をあらはした。私が着物をいでしまはないうちに、もう彼女は、をかいてゐた。蝋燭は、まだ一ばかし殘つてゐた。
其傍では船頭のさんが、釜に米を入れたのを出して、川から水を汲んで、せつせとそれをいで居たが、やがて其処から細い紫のが絵のやうに川にいた。夕照が赤く水を染めて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ほつほつともれゆくのなやみの
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頭脳が三方四方へられているようで、この一月ばかりの新吉の胸の悩ましさというものは、口にもにも出せぬほどであった。その苦しい思いが、何でお作に解ろう。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「は、私は。——兄さん召上るなら麦酒つて参りませう。」
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
「いつか、夜も更けたようだ。そろそろ床をらせようか?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
漢書』には「蘭ハ香シキヲ以テ自ラ焼クナリ」と書き、『西京雑記』には「漢ノ時池苑ニ蘭ヲ種ヱテ以テ神ヲ降シ或ハ粉ニ雑ヘテ衣書ニ蔵メヲ辟ク」
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
口上は狼狽して走り寄りぬ。見物はその為損じをどっとしぬ。太夫は受けめたる扇を手にしたるまま、そのをなお外の方に凝らしつつ、つかつかと土間に下りたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途中は長い廊下、真闇で何やら摺違つたやうな物の気息がする、と同時に何とは無しにへ引戻されるやうな心地がした。けれども、別に意にもめず、用をして寝床へ帰つた。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
林檎でも桃でもそれに似た物は皮をいてって四つ位に切って直ぐ水の中へ放します。これはアクを抜くので色の赤くならないためです。アク出しをしないと煮てから色が赤くなります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
この壁土が唾液けて、口いっぱいに広がった時の心持は云うに云われなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
られて泣くや、わかうど。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
一體若旦那は、河下三里ばかりのに、んだ別業があるのを、元來める男子婦人張氏美而なりとふので、浮氣をする隱場處にして、別業
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とある書窓の奥にはまた、あわれ今後の半生をかけて、一大哲理の研究に身を投じ尽さんものと、世故の煩をって塵塚のただ中へ投げ捨てたる人あり。その人は誰なるらん。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
水をいっぺえ恵んでおくんなせえまし——ああありがてえ、畜生めッ、これでくたばりゃ七たび生れ代っても野郎四人をり殺してやるぞッ——だからね、どうぞして観音像の正体を見届け
しかしそれにも劣らなかったのは、斃れた土人が手に持っていた人骨製の短槍を、岩の蔭から手を伸ばし、素早くったホーキン氏の動作で、槍を握るとその槍で二番手の土人の胸を突いた。
そうして、日をり初めて、ちょうど、今日と言う日。彼岸中日、春分の空が、朝から晴れて、雲雀は天にり過ぎて、帰ることの出来ぬほど、青雲が深々とたなびいて居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
無礼ものめとをつきたるゆゑ脊負ていかでたまるべき、雪の中へよこさまにれしに、武士も又人にられしれければ、田中の者はも見ずしていそぎゆきけり。
峠はしく、口を開くのも臆劫で、話も途切れた。驢馬はすべりがちで、許生員はぎ喘ぎ幾度も脚をめなければならなかった。そこを越える毎に、はっきりとが感じられた。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)
背は低いが肩幅の広い身体に作り附けたように大きなら顔が載っていて、ちょっと奈良の一刀彫のようです。老けて見える割に歳はってないらしく、太い眉と頭の髪は気味の悪いほど真っ黒です。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
けれども多くの人のごとくに判然した目的はっていなかった。そのうち店にいた。電車も灯火もした。宗助はある牛肉店に上がって酒をみ出した。一本は夢中に呑んだ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
悠々然と衣服垢穢もあり、道具捜しにまごつく小童、しきりに木をく日傭取り、人さまざまの骨折り気遣い、汗かき息張るその中に、総棟梁ののっそり十兵衛
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お負けに年をると顔へ汚点が出来たりソバカスが出来たりする。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
手足いた膏藥所爲で——
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は、喉に唾液をみながら、御手洗邸の玄関へ駆け込んだのである。このたびの羮も、往年の味に少しの変わりもない。美漿融然として舌端にけ、胃に降ってゆく感覚は、これを何に例えよう。
すっぽん (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
「ええ。ばず鳴かずです」と、純一は鴉を見ながら答えた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
奈何だらうな、重兵衛さん。三国屋に居ると何の彼ので日に十五銭宛られるがな。そすると月に積つて四円五十銭で、は五十銭しか小遣が残らなくなるでな。し困るのぢや。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「今夜は少しゆっくりしてもいいように、同宿の者へも頼んできた。くなったら、ここで泊ってもいいのだ。これでひとつお酒をってきてくれ」と、小平太は懐中から小粒を一つ出して渡した。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
變りし世は隨意ならで、せる都には得も行き給はず、心にもあらぬ落髮をげてだに、相見んとれ給ふ妻子の恩愛は如何に深かるべきぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
それは婢が女をれにいっているところであった。婢は女をし入れるようにして伴れて来た。女は口に袖を当ててその笑いをめようとしていたが遏まらなかった。老婆はちょとんで
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それには仔細があって、今当分は、わざとおとなされた方が、のちのちのためによいとおもわれての事かも知れない——あのお方には世間がある、芸がある——それを、一途に、女気で
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
混雑する旅人の群にれて、先方の二人も亦た時々盗むやうに是方の様子を注意するらしい——まあ、思做かして、すくなくとも丑松には左様れたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
是はの功かと存じます、此の功によってお引立を願いとう存じます、只出世を致したいばかりではないが、拙者に津山にて親父は二百四十石りました、松蔭大之進の家に生れた侍の
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
天平勝宝二年三月一日、大伴家持が、「を見て」作った歌である。一首の意は、春になって何となく憂愁をおぼえるのに、この夜更に羽ばたきをしながら鴫が一羽鳴いて行った。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そのお春どんいう仲居さんに帯上げ借って、「お客さん階下の部屋い通して待っててもろて」いうて、その間に私が手ッうて身ごしらいしてましたら、またお春どん上って来て
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうか、光子さん腹ぽてになったんか」いうて、夫はすっかり真アに受けて、さすがに気の毒そうな顔しますのんで、「そいでもあんた、そんな悪いことたらいかんいうたやろ。 ...
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
当局のみならず、市民の有志も協力して、この街上の女の殺者、暗黒をう夜獣を捕獲しようと狂奔し、ありとあらゆる方策が案出され実行された。徹夜の自警団も組織された。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
はたしてニカラガの犯人がロンドンの殺者ジャックであったかどうか——それは、ニカラガでも犯人は捕まっていないのだから、肯定するも否定するも、ようするに純粋の想像を一歩も出ない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ここに言擧して詔りたまひしく、「この白猪になれるは、その神の使者にあらむ。今らずとも、還らむ時にりて還りなむ」
曾婆訶里答へて白さく「命のまにま」と白しき。ここにその隼人に物に賜ひてのりたまはく、「然らば汝の王をりまつれ」とのりたまひき。
西の簇々とした人家を崖の上に仰いで、船を着けた、満島からこゝまで九里の間を、三時間半。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
深谷の怖ろしい姿が見られるのであるから、その距離だけを、別に船を仕立て、西のから鹿島までは、毎日客船が出るさうであるから、それに乗り換へることにしたのである。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
それも急性胃加答児られたのだと云うから、事に寄ると祖母が可愛がりごかしに口を慎ませなかったかも知れぬ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
俊坊というのは私の兄で、私も虚弱だったが、矢張虚弱で、六ツの時られたのだそうだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
たとえばある特定の地方である「水の」の年に偶然水害があった場合に、それから十一年後の「水の」の年に同じような水害の起こる確率が相当多いという事もあるかもしれない。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
去年が「甲戌」すなわち「の年」であったからことしは「乙亥」で「の年」になる勘定である。こういう昔ふうな年の数え方は今ではてんで相手にしない人が多い。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ここにすなはちその海邊の波限に、鵜の羽を葺草にして、産殿を造りき。ここにその産殿、いまだ葺き合へねば、御腹のきにへざりければ、産殿に入りましき。
「今くこの水門に往きて、水もちて汝が身を洗ひて、すなはちその水門のを取りて、敷き散して、その上にびなば、汝が身本ののごと、かならずえなむ」
「我は宝剣と玉をった。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「鏡をりに。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「どうしたつけ、昨日はそんでもたんと收穫れた割合だつけが」おつたがのやうにいつても勘次にはき/\といはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うむ、くなくつちや收穫んねえものよそら、らあにや此間のやうにあもんだたあねえのがんだから、現在ぢやはあ、悉皆利口んなつてつかららがにやんねえが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
姉は織物をしたり糸をったりしてはございませんが、少しが有れば大滝村の不動様へ親父生死行方が知れますようにと信心して、姉弟二人中ようして暮して居ります。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
傳「ないので、伯父さんの厄介になってを織ったり糸をったり、のくらい稼ぐ者は有りませんが、しくって人柄がい、いやに世辞を云うのではないから、あれがうございます」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
稽古襦袢立ちとった一同、みには入りかね、手に手に抜刀をひっさげて、敷居のそとに立ちすくんでいる。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
悄然たる丹波の言葉も、誰の耳にもはいらないらしく、一同、刀をさげ、をたれて、黙々とその無残きわまる同志の死体を、見おろすばかり、みには声も出ません。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
うっかりしているとすぐにしく繁殖する、果樹につく天狗虫、赤虫、綿虫や、それから薔薇や他の草花やの茎にとかくつきたがる油虫やのを見つけ次第に一一除り去ってやった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
『罪罰』に感激すると同時にステップニャツクを想い起し、かつ二葉亭をも憶い浮べた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その顔にはという合図の表情も見えなかった。彼女は仕方なしにお秀を送って階子段を降りた。二人は玄関先で尋常の挨拶せて別れた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
生来の倹約家だが、実際、僅の手間では、食って行くのが、関の山で、に活動か寄席へ出かけるより外、娯楽れ無い。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
予備門に入学して一年ぎての事であるが、山田の第二中学にる時分から早く那様了見が有つたらしいのです、一年其志いただ小説のつて見なかつたのであるが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
でがすから、わしがに相違ありあんせん、彼等がなんなに出來つこねえんですから、それ證據にや屹度自分のがなでもつちやねえからさつせ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「いわずと知れた、親のうちへよ——公方さまのおぎをしたという人を、こんなあばら家から、とむれえも出せねえじゃあねえか——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
……されば、逐々戻り来しか。来る年も来る年も待ちったが、冥土の便宜覚束ないか、いっこう、すがたをお見されぬ。今もいま、刀自愚痴いうていた。……ああ、ようまあ戻り来しぞ。
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これは林檎の皮からゼラチンと同様な膠質が出るからで上等の林檎など良く出来ます。このままっておけば林檎のシロップで何時でも温めて溶かせば用いられます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
の事で玉子を割りますとそのをそっくり保存っておきます。殻の中へいくらかずつ白みが残っていますから空気に触れないようにしておくと固まりません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
絵図にっているにちがいなかった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アトは丸山にて貴様の狃除をば喜ばしょうと思うに、要らん事に全快なったりして俺達をば非道い眼に合わせる。捕らぬ狸の皮算用。夜中三天のコッケコーコーたあ貴様が事タイ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「一番、最初に読んだは何じゃったろうかいね」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
西洋料理にしますと一つはシチューで先ず頭をって皮をいて長さ一寸五分位にブツブツ切ってバターでジリジリといためて一旦鰻を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「——騒ぐのはおよしなさい。わたしの側には手頃な小刀がありますからね、じたばたするとを窓板へ、の首をめるように、プツンと縫ってしまいますよ……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飲食店の硝子窓に飲食物の模型を並べ、之に価格をつけて置くようになったのも、むことを得ざる結果で、これまたを大阪にったものだという事である。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手の爪をりかけると思ふと、半途で戸外へ出たりなんどする。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『これからしてよりらないのかしら?』とつてちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は初めて人間の生血をる、恐ろしい野獣の所為をまのあたり見た。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
「親のすがたを見て、逃げ出すとはなんの芸じゃ。は、木の股から生れくさったか、わしが子ではなかったかよ。——こ、これッ、ここなぼけ者が」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋愛慕情のたてぬきにからまれて身うごきもとれぬとは! ッ! なんたるざまだッ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
商賈みな王の市にめんと欲し、行旅みな王のに出でんと欲し、たちまちにして太平洋中の一埠頭となり、東洋の大都となり、万国商業の問屋となり
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
三「死んだのじゃアねえ今じて来たのだが、アヽこれっ切りに成るかしら、あゝもうとても助かるまい」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あの裏山の土蔵はけてアトカタも御座いませんので、途方に暮れておりまするところへ、コチラ様の前を通りかかって、御厄介になりに来たのではないかと、こう思いますが……
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たちまち進み来たれる紳士は帽を脱して、ボタンの二所れたる茶羅紗のチョッキに、水晶の小印垂下げたるニッケルけて、柱にれたる役員の前にを下げぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あやしき調る神こそ知らめ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
『ナニ。生きとるかも知れん。馬鹿け。見てんやい。眼球ア白うなっとるし、睾丸も真黒う固まっとる。浅蜊貝の腐ったゴト口開けとるばドウするケエ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
男というのは当時某会社に出勤していたが、何しろこんなにまで望んでったのことでもあるから、若夫婦の一家は近所の者もやむほどじかった。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
私達は、先生の周囲を、円陣を作って、歌い踊りながら、戦争というものが、どんなにうといものか、人間と生れて戦争にゆかないものは、不具者に劣る者だと教え込まれた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
かのロダンの大理石塊を前にしてまさにわんとして息をめ目を凝らすがごとくに、ベルグソンは与えられたる「人性」を最高の傑作たらしめんがためにじっとライフを見つめているのである。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
と少しった気味で受合いましたから、大きにお竹も力に思って、床をってりました、和尚さまは枕にくと其の儘旅疲れと見え、ぐう/\と高鼾で正体なく寝てしまいました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
時劫のすすみ老いせぬ愛のかげ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
幸三郎さんといふのは、四条のお雪伯母の養子にしてあつた、大阪の新町の芸妓屋の息子で、その頃兵隊にられて伏見の聯隊に行つて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
ところが、明治七年の九月に突然今年は子歳のものを徴集るのだといって、扱所といったと思う、今日の区役所のようなものが町内々々にあって、其所からしが私の処へもあったのです。
少しツたるいやうな點はあツたけれども、調子に響があツて、好くほる、そしてしい聲であツた「で小鳥がツてゐるやうだ。」と思ツて、周三は、お房の饒舌ツてゐるのを聞いてゐると
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「ゆんべ遊びに出て褞袍なくしつちやたんだ。おすがら内の土藏んけ置いたの今朝盜まつたんだか何んだかねえんだ。それからおらうちへ歸れねえ」
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
捕卒は銀錠をって臨安府の堂上へ搬んできた。許宣はそこで盗賊の嫌疑は晴れたが、素性の判らない者からに金をもらったというかどで、蘇州へ配流せられることになった。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
貢さん、お前さんが心配をすればどうにかなるとでもいうような事を、継母が知ってて言うようにもれるがねえ。一体どうしたというんだろうね。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああ誰かわが産土神をかかる遠方へり去れるぞと嘆くを見かねて、一里半ばかりその女児を負い送り届けやりし人ありと聞く。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
あんたお嬢が莫大のお金をって逃げやはった、それ故何うもの思うには粂之助がお嬢を殺して金子を取って、其の死骸を池ン中へり込んだに違いないとう考えるのでおす
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この御世に、兔寸の西の方に、高樹あり。その樹の影、朝日に當れば、淡道島におよび、夕日に當れば、高安山を越えき。かれこの樹を切りて、船に作れるに、いとく行く船なりけり。
誰か、お前から俺があの栓を受取るのを見ていて、人込みを利用して、俺の衣嚢からったに違いない。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
邯鄲淳はこのとき年歯わずかに十三歳で、筆をってこの文を作し、一字も訂正しなかったと申します。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曰ふ、るは、氣盛なる者之を能くす、而かも眞勇に非ざるなり。孤城なきに守り、主を衆くにつ、律義者に非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者に出づと。
して来たぜよ。——何だと思う? 分るめえが、牛だよ、しかもすばらしい牝牛だ。畑にも使えるし、乳もれる
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出帆時間の事を考えると、愚図愚図しておられないので、すぐ附近のカフェへいって軽い朝食を摂取った。丁度六時半である。それからソーホー街へ出掛ければいい時間である。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
姦言り、近事り、時勢を窺伺し、便に投じ、冨貴を以て、志とす。利禄う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
の年の元日に佐竹は山内へ廻礼に来て、庭に立っていた五百の手をろうとすると、五百はその手を強く引いて放した。佐竹は庭の池にちた。山内では佐竹に栄次郎の衣服をせて帰した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
天皇既に吾を死ねと思ほせか、何ぞ、西の方のぶるどもをりに遣して、返りまゐ上り來し幾時もあらねば、軍衆をも賜はずて、今更に東の方の十二道の惡ぶる人どもをけに遣す。
その時八百五十倍の鏡の底に映ったものは、まるで図に撮影ったようにやかに見える着色の葡萄状の細菌であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弥平爺は、五銭白銅貨を二三枚お婆さんの枕元へり出した。
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
蒲生源左衛門は須田等をした。二人は証拠文書をって来たのだから、それに合せて逐一に述立てた。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女郎を買って銭が欲しい所から泥坊に成る者も有るからのう婆様、と云われるに胸が痛くてん出さないば宜かったと思ってなア
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
う方もないはぎ野だったのだ、経之は、あれほどの驚きを数刻の前に知った女が、執拗にしかもうに何もも打っちゃって男にあいに行くために
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
戦のきあ、夏と冬の入りまじった時があるかんない、夏になったとて、衣裳換え出来ねえ時はあるし。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「母さん、前髪をって頂戴な」
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
されば「都伝摸年増夷辺伐様」その広夷に飽き果て散播都天門呉弩ちて自害した。
だが、お民の母性的注意深さも、それには敗けて居ず、今日も京子の後からついて来た。京子はそれに反撥する弾条仕掛けのようなげしい早足で歩きながらお民を振り返った。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
はい、旦那さま、一年のうちに女房と、娘と、男の子を二人られました。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
仰向蒼空には、余残の色も何時しか消えせて、今は一面の青海原、星さえ所斑でてんと交睫をするような真似をしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
正面に駄菓子せる台があって、れた菓子箱のに、大きな皿がある。上に青い布巾がかかっている下から、丸い揚饅頭み出している。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
出て来ると楊枝箱真鍮の大きな金盥にお湯をって輪形の大きない茶碗、これも錦手か何かで微温の頃合の湯を取り、焼塩が少し入れてあります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
万葉集に『沖つ国知らさむ君が黄染めの棺神の海門渡る』
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
平次は足もめず、両国橋の夕陽の中を、明神下へ急ぐのです。その後から八五郎は、首を振ったりを撫でたり、に落ちない顔で、ついて行きます。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「一思いに殺さばこそ、一日々々体を腐らせ骨を溶解かして殺そうというのもお父様の怨みが晴らしたいからさ」
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
聞きながらこの曲の構想を得たのである手事の旋律は鶯のれる涙今やとくらんと云う深山の雪のけそめる春の始めから
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
実は自分は梅子いたいと兼ねて思っていたのであるから、井下伯に頼んで梅子だけめて置いてから交渉して貰う積りでいた
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
浴をらなかったものだが、今は立派な温泉宿が出来た、それにしても客の来るのは、夏から秋だけで、冬は雪が二尺もつもる、風がくて、山々谷々から吹きげ、吹き下すので
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
途端に頭の上の電燈が眩しく紫色にもった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
案を払ひ香をつては謹んで無量義経の其中に両眼の熱光を注ぎ、兀坐寂寞たる或夜は、灯火のかゝげ力も無くなりてまる光りを待つ我身と観じ、徐歩逍遥せる或時は
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
明るく燈火もってい、食べ散らし飲み散らした盃盤が、その燈火に照らされて乱雑に見え、二人ながらいい加減酔っているらしい。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「もうすぐ蕨の時候になるね。浪さん、早くよくなッて、また蕨りの競争しようじゃないか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
風の西に吹くを能く見るものを達識者と呼び、風の東に転ずるを看破するものあれば、卓見家となへんとす。勇者はその風に御して高く飛び、智者はその風を袋に蓄はへて後の用を為す。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
砂の中へ顔の滅込むようにして、上から與右衞門が乗掛って、砂で息をめて殺したと云うが本説だと申す事、また祐天和尚が其の頃脩行中の事でございますから、頼まれて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その者等が様子をくと見極めてもしも変化のものなら、なんの年こそとっていれ狐狸かされる気遣いはないと、御決心あそばしましたから
母親は手元の薄暗い流し元にしゃがみ込んで、ゴシゴシ米をいでいた。水をしたむ間、ぶすぶす愚痴をしている声が奥の方へも聞えた。お庄はまた母親のお株が始まったのだと思った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
柳「これは少いが、内儀さんを貰うにはもうと広いへ引越さなけりゃアいけないから、ってお置きなさい、内儀さんが決ったなら、又要るだけ上げますから」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
橋本では、先代からの例として、仏式でなく家の「御霊」を祭った。お種はに小泉の母の二年をも記念する積りであった。年をるにつれて、余計に彼女はこういうことを大切にするように成った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大たぶさにり上げ、ぐろい、酒やけのした顔で、長身の——清水狂太郎なのだ。
口笛を吹く武士 (新字新仮名) / 林不忘(著)
真夜中の二時頃……電車のまる頃になるとあのホテルの屋上庭園のマン中に在る旗竿の処へフロッキコートを着た日本人の幽霊が出るんです。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
局に臨み交〻争ひ、雌雄未だ決せずば、毫釐も以てふ可からず。局勢已にれなば、精を専にして生を求めよ。局勢已に弱くば、意を鋭くして侵しけよ。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一斉動揺いて、都大路を八方へれる時、揚出しの鍋は百人の湯気を立て、隣近な汁粉屋、その氷月の小座敷には、閨秀二人が、雪も消えて、衣紋も、も、春の色にややけたであろう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時がたちさえすれば、の入ったお今の心が、それなりに綺麗にじ合わされたりされたりして行くとしか思えなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
モールでった草色の制服は総督府の従兵と一ト目でわかる。施恩が出て用向きを聞いてみると
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うちばず。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
元祿九年因幡國朝鮮國之間竹嶋候嶋有之、此島兩國入合之如く相成居よろしからず候に付、朝鮮之人此邊え參候事を被禁候段從
他計甚麽(竹島)雑誌 (旧字旧仮名) / 松浦武四郎(著)
結局、いつもの通り、湖の岐入とS川との境の台地下へボートを引戻し、蘆洲の外の馴染の場所にめて、復一は湖の夕暮に孤独を楽しもうとした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
『風俗通』八に黄帝書を引いていわく、上古の時、と鬱てふ昆弟二人、能く鬼を執らう。
その男は炉のに自分のためにとてって置かれてあった御馳走の前に腰を下ろした。
「されど両親は其語れる事をらず」と云ふのも恐らくは事実に近かつたであらう。けれども我々を動かすのは「其母これらのの事を心にめぬ」
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つまりそれは、戀文にぞくする古反古を手許にっておくという奴ですな。
米穀に俵の虫あり糞尿に蛆あり獅子に身中の虫あり書にあり国に賊あり世に新聞記者あり芸界に楽屋鳶ありお客に油虫あり妓に毛虱あり皆除きがたし。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
(二) 子曰く、夏礼は吾かんとせるも、杞徴するに足らざるなり。殷礼も吾く之をかんとせるも、宋徴するに足らざるなり。文と献(賢)と足らざるが故なり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
さてかれらは七の五倍の母字子字となりて顯はれ、我はまた一部一部を、その言顯はしゝ次第に從ひて、心にめたり 八八—九〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
て傳吉は小娘に誘引ある家に入て見ればりてき屋根ていかにも貧家の有樣なれば傳吉は跡先見回し今更立ち出んも如何と見合ける中に小娘は温湯
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二度とふたたびお逢いできぬだろう心もとなさ、わば私のゴルゴタ、けば髑髏、ああ、この荒涼の心象風景への明確なる認定が言わせた老いの繰りごと。
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
けん時分の事で、此の宿では第一等の医者だというのを宿主人が頼んでくれましたが、まるで虚空蔵様化物見たようなお医者さまで、って薬と云っても、漢家の事だから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老「いやさ御姓名一寸めて置きたいから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
故に文学を評論するには、少くとも其本能本性に立ち入りて、然る後に功用、結果、目的等の陪審官にはざるべからず。
「いや、奥さんの敵は、もうすぐってあげますよ。犯人が屍体を湖水の中に投じたことは判明しました。この上は、犯人がどうして屍体を灰のように細かくしたかと云うことが判ればいいのです」
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
角膜の献納せむと乞ひて得し養母なり養母は優しさに
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
林「其の時使ったって置きたいと思って糠袋をあけて、ちゃんと天日にかけて、乾かして紙袋に入れて貯っておいて、炊立の飯の上へかけてうだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仕損じなば御二人の御命にもはるならんとつ氣をしもゴウゴウと耳元近く聞ゆるは東叡山寅刻コリヤ斯うして居られぬと物にりて立上り蹌踉
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あやまちを再びそこにあらせじと幣はもおくか駒の
長塚節歌集:1 上 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りし東路
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
竹「はい、私は大きに熱が退れましたかして少し落着きました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……そうと知ったら、仁義などをケッつけずに、サッサとばしてやるんだった。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかも、く來まさず。吾は黄泉戸喫一一しつ。然れども愛しき我が汝兄の命、入り來ませることし。かれ還りなむを。しまらく黄泉神はむ。
そしてあなたの箪笥を調べるのを手傳つて頂戴。直ぐにあなたの荷作りをしなくちやならないのよ。奧さんはもう一日か二日の中に送り出すつもりよ。あなたの持つて行きたい玩具つていゝわ。
大君、我が大君、、神ゆゑに、雲のの照る日の光 りてますかも。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
りなくうと、じきにさが骨肉にしみこんできました。しかし、は、一でいいかられたときのことを空想して、もうそんなさなどはじなかったのであります。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、より深く視覚をぐとき、自然は刻々に変容する。すでにそこでは事物存在は実存在の中に等値的関連をもって射影されされている。あるいは実存在が事物存在にされてもいる。
芸術の人間学的考察 (新字新仮名) / 中井正一(著)
めるわけにもゆかないが、油断ならぬぞという目顔で通すのである。そして必ずその後から早馬がすれちがって先へ駆けて行った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燭台の皿へ、丁字が立ったらしく、燈火が暗くなった。それを一人が、箸を返して除去った。明るくなった燈に照らされ、床の間に置いてある矢筒の矢羽根が、雪のように白く見えた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
宮部れて曰く、「君何ぞそれ商骨にむ、一にここに到る」と。彼れ艴然刀柄して曰く、「何ぞ我を侮辱するや」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
兵部尚書斉泰の白馬極めて駿し、靖難の役この馬人の目に立つとて墨を塗って遁げたが、馬の汗で墨がちて露顕し捕われたとある通り、白馬は至って人眼を惹く。
小さな私が一心をられてしまっている時にこの二人の閑人——老婆がどんな話をしていたのか、思出すことも出来ない。