“酷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひど58.4%
むご21.0%
きび5.3%
こく3.5%
はなは1.3%
よく1.2%
ぴど1.2%
1.2%
ひで1.0%
いじ0.7%
つら0.5%
0.5%
はなはだ0.5%
むごた0.5%
えら0.5%
きつ0.5%
0.5%
0.3%
むげ0.3%
いぢ0.2%
きびし0.2%
0.2%
はげ0.2%
ひどく0.2%
むごたら0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
足りなければ何回でもおわびします。しかしあんなことのために全然愛想づかしをして、前々からの手紙まで取り返すというのはひどい。
ふみたば (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
うれし泣きに嗚咽おえつするお珠の顔を、むごいような力でいきなり抱きしめると、安太郎は、彼女の唇に情熱のほとばしるままに甘い窒息ちっそくを与えた。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
暑氣は日一日ときびしくなつて來た。殊にも今年は雨が少なくて、田といふ田には水が十分でない。日中は家の中でさへ九十度に上る。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そう云っちゃあこくかもしれねえが、のぶ公のことは忘れてくれ、おめえ一人にむりを云うんじゃあねえ、おれも女のことは忘れるから
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また獅と呼ぶのは同じく東半球に住まぬピューマなるなど猫属の諸獣の性質はなはだ相似たる点から名称の混雑はすくなくない。
ヴェネチアでも竜(ドラコネ)と呼ぶほど馬にも竜にもよく似る(一六〇四年フランクフルト版ゲスネル『動物全誌ヒストリア・アニマリウム』四巻、四一四頁)
実をいふと、お高婆さんもその皮肉家の一にんで、伊達太夫などは稽古のたんびに随分こつぴどおろされるばかりか、うかすると
「左は僕の知つてる人にく似てる。」などゝ言つて笑ふものも有つた。禮服、勞働の姿でれて居た。K君は二枚分けて貰つた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
亭「意趣返しが……はア今に帰るべえに、わし此処こゝにいたら、又ひでえ目に逢わねえとも云われやせん、まアお気をお付けなせえまし」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お丹はまた語を続けぬ、「しかし死のうとなさったまでには、大抵のおいじめようではございますまい、よっぽど御骨折でございましたろうねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この物のもとに、シピオネとポムペオとは年若うして凱旋したり、また汝の郷土にのぞみてそびゆる山にはこの物つらしと見えたりき 五二—五四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
君の妹さんに何か購ってあげたいと言った私を、一ごんのもとに断った萩原は佐藤にはあよしよしと妹さんをよめにやったことは、何と言っても私へのあつかいは、あまりにどすぎていた。
お牧の指が茶碗の縁に觸ると、もう私は食へませんでした。子供の潔癖は、特に私にははなはだしかつたのです。お牧ばかりでは有りません。
成る程、屍体の後頭部には鉄の棒で殴り付けた様な穴が、破壊された骨片こっぺんをむき出してむごたらしくぶちぬかれている。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
又「酔うたのだよ、酔うて居るからゆるせと云うに……困ったね、突然いきなりつとはえらい、きずが出来たらどうも成らん、みともないわ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お父つあんはあないきついこと言ははるし、お母はんかて、なア……。ほんまに、わての身になつてくれる者いうたら、一人もあらへんのどツせ、可哀相なもんどツせ。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
そのために私は、金のある人々にき使われ、いじめられ、さいなまれ抑えつけられ、自由を奪われ、搾取さくしゅされ、支配されてきた。
それが此通り消え細る迄にやお上の仕打ちも随分と思ひ切つてごいには酷ごかつたが、片つ方も、亦つこいとも執つこいもんぢやつた。
そのうえ、丹下の殿様も、むげえことをしたもので、あの伊賀の暴れん坊といっしょに、渋江の寮の焼け跡で穴埋めにされてしまった。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いぢめるやうにして可愛がるといふのが、かれ等の性慾ですよ。だから小さければ小さいほど好いんです、……
一室 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この頃の貞之進の挙止ようすが尋常でないので、かつて貞之進をせびり続けた悪太原あくたばらの如きに至っては、一層きびしく嘲けりこそすれ白銅一箇ひとつ快くは貸して呉ぬので、貞之進はたゞ怒り易い一方にのみ傾いて
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ローラはく熱心な眼を輝かせて、さつきから二人の会話を非常に注意深く聞いてゐるのだが、さつぱり意味が解らない
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
神経の鋭いものだけに、主人を懐しむことも恐れることもはげしいものと見え、すこし主人に残酷な様子が顕れると、もう腰骨こしぼねたかくして前へ進みかねる。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
註文が出るに従って、材料の仕込にひどく工面くめんをして追着おっつかないような手づまりが、時々顧客とくいを逃したりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
依志子 (なだむるごとく寄り縋り)気を鎮めて下さいまし妙念様。(手を取りて)こんなむごたらしい血を流して、まあ青すじまでが、みみずのように。
道成寺(一幕劇) (新字新仮名) / 郡虎彦(著)