ふみたば
創作家のランジェは、黙って、大きな卓机から一束の手紙を取りだした。その文束は真紅なリボンで結えてあった。 「あなたは、これが要るんですか。どうしても取りかえそうと云うんですか」 彼はおろおろ声でいった。が、マダム・ヴァンクールは何もいわずに …