“客間”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
サロン47.1%
きやくま17.6%
きゃくま11.8%
サルーン5.9%
パーラー5.9%
ザラ2.9%
きゃくのま2.9%
へや2.9%
パアラア2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日曜の午後二時、男爵邸の小客間サロンに集った青年達は、男爵を中心に、無駄話の花を咲かせて、長閑のどかな春の日の午後を過して居ります。
判官三郎の正体 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あにいへの門を這入ると、客間きやくまでピアノのおとがした。代助は一寸ちよつと砂利のうへに立ちどまつたが、すぐ左へ切れて勝手ぐちの方へ廻つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふしんに思ったが、倉皇そうこう客間きゃくまへとおした。そこで、ってみた一学という人は、なるほど、温雅おんが京風きょうふうなよそおいをした、りっぱな人物であった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、淫書の扉がひらくと、濛々もうもうとした紫煙のなかの客間サルーンから、現実の微細デリケートな享楽地帯が眼前にパノラマのようにあらわれた。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
われわれの客間パーラーの言葉そのものがすべてのその活力をうしなってまったくお愛想パーレーヴァーに堕落してしまうのではないかと思われ、われわれの生活はその象徴シムボルからそんなに遠方を通り去り
客間ザラの壁には先祖の肖像画が、何枚も壁に並んでゐる、——その肖像画の一つの下に、トルストイはテエブルへ向ひながら、郵便物に眼を通してゐた。
山鴫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
主人は私を出したあとにてぐに客間きゃくのまへ忍び入り源次郎と槍試合をして、源次郎の手に掛り、最後をすると認めてありました書置の通りに、ついに主人は其の晩果敢はかなくおなりなされました
客間へやの装飾は、日本、支那、西洋と、とりあつめて、しかも破綻はたんのない、好みであった、室のすみには、時代の紫檀したんの四尺もあろうかと思われる高脚たかあしだいに、木蓮もくれん木瓜ぼけ椿つばき
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
帳場わきの客間パアラアの椅子に、重い腰を下ろして、朝から晩まで、黒い細長い葉巻を吹かしている。安葡萄酒の壜を引きつけて、魚が水を飲むように、あおり続けている。
ロウモン街の自殺ホテル (新字新仮名) / 牧逸馬(著)