“サロン”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
客間64.0%
客室12.0%
応接間8.0%
広間4.0%
腰巻4.0%
社交室4.0%
社交4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
従って、美奈子は母の客間サロンに、どんな男性が蒐まって来るのか、顔丈も知らなかった。無論紹介されたことなどは、一度もなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その瞬間に此の病み疲れた老婦人は、華麗な客室サロンに深く埋もれ多彩な思ひ出をあたり一面にぼかすところの、かかる老いたる貴婦人の一人の如く思ひ做された。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
お茶のなかへあれをすこし爪鑢つめやすりで削り落していただきますと、どんなにスチイムの利いてる応接間サロンで何時間他所行よそゆきの言葉を使っていても、決して小鼻の横に脂肪の浮くということはございません。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
法水は疲れたような眼をして、しばらく考えていたが、ふと何と思ったか、広間サロン煖炉棚マントルピースに並んでいる、忘れな壺ポッツ・オブ・メモリーを持参するように命じた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その時私は広間サロンを抜けて、廊下をこの室の方に歩いてまいりましたが、その私の後をけて、レヴェズ様も同様歩んでお出でになるのでした。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
日本にほん娼婦は浴衣ゆかたに細帯、又は半襦袢じゆばん一枚の下に馬来マレイ人のする印度更紗インドさらさの赤い腰巻サロンをして、同じ卓につて花牌はなふだもてあそんで居る者、編物をして居る者、大阪版の一休諸国物語を読んで居る者
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
馬来マレイ人やヒンヅ人が黒光くろびかりのするからだ黄巾赤帽くわうきんせきばういたゞき、赤味の勝つた腰巻サロンまとつて居る風采ふうさいは、極𤍠ごくねつの気候と、朱の色をした土と、常に新緑と嫩紅どんこうとを絶たない𤍠帯植物とに調和して中中なかなか悪くない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
社交室サロンの柱時計が九時を打つと、思い付いたように甲板の揺椅子を離れて独りで階下の船室へ駈け降りて行った。
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
実際、その時、社交室サロンの時計が九時を打っていた。このことは、例のドュッセルドルフの聯合通信員がデニュウ博士から取った談話にも博士は確かに九時打つのを聞いたとある。
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
フランスの社交サロン小説の大体は、こんにちのフランスには存在しえない、限界に立つものだった。アナトール・フランスの「赤い百合」でさえも、この作家の最良の収穫たらしめなかった。