“風采”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふうさい79.4%
とりなり6.0%
なり3.2%
みなり2.8%
ふう2.2%
ふうつき1.9%
ようす1.6%
やうす1.3%
なりふり0.3%
ありさま0.3%
おしだし0.3%
すがた0.3%
ものごし0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
演説者は、青っぽいくすんだ色のセルに、黄色の角帯をキチンと締めた、風采のよい、見た所相当教養もありそうな四十男であった。
白昼夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
が、串戯ではありません、容色風采この人に向って、つい(巡礼結構)といった下に、思わず胸のせまることがあったのです。——
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
学生風でも、サラリーマン風でも、成るべくその家の人々が案内を知らぬ方面で、その令嬢が好きそうな風采をして接近する。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
勤め先からの帰りと覚しい人通りがかにくなって、その中にはちょっとした風采の紳士もある。馬に乗った軍人もある。人力車も通る。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
帽子も靴も艶々と光る、三十ばかりの、しかるべき会社か銀行で当時若手のけものといった風采
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いたか、げつそりとした風采。ひよろりとして飛脚にある椅子にぐたりとけた、が、身體をぶる/\とつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
髪は塵埃れてけ、面は日に焼けて品格なき風采のなおさら品格なきが、うろうろのそのそと感応寺の大門を入りにかかるを、門番り声で何者ぞと怪しみ誰何せば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
常には左のみに心も留まらざりし結城の風采の今宵は何となく尋常ならず思はれて、肩巾のありて脊のいかにも高き處より、落ついて物をいふ重やかなる口振り
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丑松は文平の瀟洒とした風采を見て、別に其を羨む気にもならなかつた。たゞ気懸りなのは、新教員が自分と同じ地方から来たといふことである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
美女風采は、格目に、した風情である。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
流石代議士の候補者と名乗る丈あつて、風采は堂々とした立派なもの。権勢と奢侈とでゑたやうな其姿の中には、何処となくう沈んだところもあつて、時々盗むやうに是方を振返つて見た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
当の安成三五兵衛その者は、どういう人かと見ると、これはまた、痩身にも耐えずという風采で、ざしは執着のねばりを示し、眉は神経質に細くひいて、顔いろだけが長い旅にけているが
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その下萌えの片笑靨のわずかに見えたる、情を含む眼のさりとも知らず動きたる、たおやかなる風采のさらに見過ごしがてなる、ああ、辰弥はしばし動き得ず。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)