江戸川乱歩
1894.10.21 〜 1965.07.28
“江戸川乱歩”に特徴的な語句
外
狙
豹
坐
揃
美貌
扉
駈
復讐
扉
体
隙
蔽
死骸
謎
呪
闇
白髪白髯
暗闇
限
廃墟
家
間
彼
彼奴
奴
弾丸
側
迚
已
覚
伝
開
辺
誘拐
紙片
終
抑々
裸体
蔭
双生児
彼奴
昨夜
焦慮
眺
茲
逢
艶
半
拳闘
著者としての作品一覧
赤いカブトムシ(新字新仮名)
読書目安時間:約47分
あるにちよう日のごご、丹下サト子ちゃんと、木村ミドリちゃんと、野崎サユリちゃんの三人が、友だちのところへあそびに行ったかえりに、世田谷区のさびしい町を、手をつないで歩いていました。 …
読書目安時間:約47分
あるにちよう日のごご、丹下サト子ちゃんと、木村ミドリちゃんと、野崎サユリちゃんの三人が、友だちのところへあそびに行ったかえりに、世田谷区のさびしい町を、手をつないで歩いていました。 …
赤い部屋(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
異常な興奮を求めて集った、七人のしかつめらしい男が(私もその中の一人だった)態々其為にしつらえた「赤い部屋」の、緋色の天鵞絨で張った深い肘掛椅子に凭れ込んで、今晩の話手が何事か怪異 …
読書目安時間:約37分
異常な興奮を求めて集った、七人のしかつめらしい男が(私もその中の一人だった)態々其為にしつらえた「赤い部屋」の、緋色の天鵞絨で張った深い肘掛椅子に凭れ込んで、今晩の話手が何事か怪異 …
悪魔の紋章(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間4分
法医学界の一権威宗像隆一郎博士が、丸の内のビルディングに宗像研究室を設け、犯罪事件の研究と探偵の事業を始めてからもう数年になる。 同研究室は、普通の民間探偵とは違い、其筋でも手古摺 …
読書目安時間:約5時間4分
法医学界の一権威宗像隆一郎博士が、丸の内のビルディングに宗像研究室を設け、犯罪事件の研究と探偵の事業を始めてからもう数年になる。 同研究室は、普通の民間探偵とは違い、其筋でも手古摺 …
悪霊(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間9分
二月ばかり前の事であるが、N某という中年の失業者が、手紙と電話と来訪との、執念深い攻撃の結果、とうとう私の書斎に上り込んで、二冊の部厚な記録を、私に売りつけてしまった。人嫌いな私が …
読書目安時間:約1時間9分
二月ばかり前の事であるが、N某という中年の失業者が、手紙と電話と来訪との、執念深い攻撃の結果、とうとう私の書斎に上り込んで、二冊の部厚な記録を、私に売りつけてしまった。人嫌いな私が …
悪霊物語(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
小説家大江蘭堂は、人形師の仕事部屋のことを書く必要に迫られた。ブリタニカや、アメリカナや、大百科辞典をひいて見たが、そういう具体的なことはわからなかった。 蘭堂は、いつも服をつくら …
読書目安時間:約17分
小説家大江蘭堂は、人形師の仕事部屋のことを書く必要に迫られた。ブリタニカや、アメリカナや、大百科辞典をひいて見たが、そういう具体的なことはわからなかった。 蘭堂は、いつも服をつくら …
「悪霊物語」自作解説(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
私のつけ句 連作とは連歌俳諧の如きものであろう。第一の発句は余り限定的でない方がよろしい。脇はこれをいかようにも受けとるであろう。第三はまたそれを別の方向に転化するであろう。そして …
読書目安時間:約2分
私のつけ句 連作とは連歌俳諧の如きものであろう。第一の発句は余り限定的でない方がよろしい。脇はこれをいかようにも受けとるであろう。第三はまたそれを別の方向に転化するであろう。そして …
暗黒星(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間9分
東京旧市内の、震災の大火にあわなかった地域には、その後発展した新しい大東京の場末などよりも、遥かに淋しい場所がいくつもある。東京のまん中に、荒れ果てた原っぱ、倒れた塀、明治時代の赤 …
読書目安時間:約3時間9分
東京旧市内の、震災の大火にあわなかった地域には、その後発展した新しい大東京の場末などよりも、遥かに淋しい場所がいくつもある。東京のまん中に、荒れ果てた原っぱ、倒れた塀、明治時代の赤 …
偉大なる夢(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間57分
夢を尊重せよ。われらの陸海軍は皇国三千年の夢を実現しつつあるではないか。偉大なる夢と月々火水木金々の努力、斯くして偉大なる現実は生れるのだ。夢無くして科学は無い。科学の進歩は天才の …
読書目安時間:約3時間57分
夢を尊重せよ。われらの陸海軍は皇国三千年の夢を実現しつつあるではないか。偉大なる夢と月々火水木金々の努力、斯くして偉大なる現実は生れるのだ。夢無くして科学は無い。科学の進歩は天才の …
一枚の切符(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
「イヤ、僕も多少は知っているさ。あれは先ず、近来の珍事だったからな。世間はあの噂で持切っている。が、多分君程詳敷くはないんだ。少し話さないか」 一人の青年紳士が、こういって、赤い血 …
読書目安時間:約28分
「イヤ、僕も多少は知っているさ。あれは先ず、近来の珍事だったからな。世間はあの噂で持切っている。が、多分君程詳敷くはないんだ。少し話さないか」 一人の青年紳士が、こういって、赤い血 …
一寸法師(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間14分
私は探偵小説を書くのですが、探偵小説といっても、現在では色々の傾向に分れていて、昔の探偵小説という感じからは非常に遠いものもあるのです。私が書きますものは、それは完結して見なければ …
読書目安時間:約3時間14分
私は探偵小説を書くのですが、探偵小説といっても、現在では色々の傾向に分れていて、昔の探偵小説という感じからは非常に遠いものもあるのです。私が書きますものは、それは完結して見なければ …
陰獣(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間15分
私は時々思うことがある。探偵小説家というものには二種類あって、一つの方は犯罪者型とでも云うか、犯罪ばかりに興味を持ち、仮令推理的な探偵小説を書くにしても、犯人の残虐な心理を思うさま …
読書目安時間:約2時間15分
私は時々思うことがある。探偵小説家というものには二種類あって、一つの方は犯罪者型とでも云うか、犯罪ばかりに興味を持ち、仮令推理的な探偵小説を書くにしても、犯人の残虐な心理を思うさま …
宇宙怪人(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間2分
空とぶ円盤は、アメリカからはじまって、世界じゅうの空にあらわれました。日本にもあらわれたことが、ずっとまえの新聞にのっていましたが、そのお話のはじまるころには、それが日本の空に、し …
読書目安時間:約3時間2分
空とぶ円盤は、アメリカからはじまって、世界じゅうの空にあらわれました。日本にもあらわれたことが、ずっとまえの新聞にのっていましたが、そのお話のはじまるころには、それが日本の空に、し …
江川蘭子(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
ビヘヴィアリズムの新心理学によれば、人間生涯の運命というものは、遺伝よりも教育よりも、生後数ヶ月の環境によって殆ど左右されるものだそうである。で、女妖江川蘭子の悪魔の生涯も、恐らく …
読書目安時間:約23分
ビヘヴィアリズムの新心理学によれば、人間生涯の運命というものは、遺伝よりも教育よりも、生後数ヶ月の環境によって殆ど左右されるものだそうである。で、女妖江川蘭子の悪魔の生涯も、恐らく …
黄金仮面(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間48分
作者——江戸川乱歩氏曰く 私は、最近、従来の「小探偵小説」を脱して、もっと舞台の広い「大探偵小説」へ進出したいと思っている。今回の『黄金仮面』は実にその第一歩である。 本篇活躍の主 …
読書目安時間:約4時間48分
作者——江戸川乱歩氏曰く 私は、最近、従来の「小探偵小説」を脱して、もっと舞台の広い「大探偵小説」へ進出したいと思っている。今回の『黄金仮面』は実にその第一歩である。 本篇活躍の主 …
黄金豹(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間35分
東京都内に、『まぼろしの豹』があらわれるという、うわさがひろがっていました。 ある月の美しい晩、ひとりの中学生が、お友だちのうちからの帰り道に、大きな西洋館の前にさしかかりました。 …
読書目安時間:約2時間35分
東京都内に、『まぼろしの豹』があらわれるという、うわさがひろがっていました。 ある月の美しい晩、ひとりの中学生が、お友だちのうちからの帰り道に、大きな西洋館の前にさしかかりました。 …
押絵と旅する男(新字新仮名)
読書目安時間:約35分
この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったならば、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに相違ない。だが、夢が時として、どこかこの世界と喰違った別の世界を、チラリと覗かせてくれ …
読書目安時間:約35分
この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったならば、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに相違ない。だが、夢が時として、どこかこの世界と喰違った別の世界を、チラリと覗かせてくれ …
お勢登場(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
肺病やみの格太郎は、今日も又細君においてけぼりを食って、ぼんやりと留守を守っていなければならなかった。最初の程は、如何なお人好しの彼も、激憤を感じ、それを種に離別を目論んだことさえ …
読書目安時間:約24分
肺病やみの格太郎は、今日も又細君においてけぼりを食って、ぼんやりと留守を守っていなければならなかった。最初の程は、如何なお人好しの彼も、激憤を感じ、それを種に離別を目論んだことさえ …
恐ろしき錯誤(新字新仮名)
読書目安時間:約47分
「勝ったぞ、勝ったぞ、勝ったぞ……」 北川氏の頭の中には、勝ったという意識だけが、風車の様に旋転していた。他のことは何も思わなかった。 彼は今、どこを歩いているのやら、どこへ行こう …
読書目安時間:約47分
「勝ったぞ、勝ったぞ、勝ったぞ……」 北川氏の頭の中には、勝ったという意識だけが、風車の様に旋転していた。他のことは何も思わなかった。 彼は今、どこを歩いているのやら、どこへ行こう …
踊る一寸法師(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
「オイ、緑さん、何をぼんやりしてるんだな。ここへ来て、お前も一杯御相伴にあずかんねえ」 肉襦袢の上に、紫繻子に金糸でふち取りをした猿股をはいた男が、鏡を抜いた酒樽の前に立ちはだかっ …
読書目安時間:約16分
「オイ、緑さん、何をぼんやりしてるんだな。ここへ来て、お前も一杯御相伴にあずかんねえ」 肉襦袢の上に、紫繻子に金糸でふち取りをした猿股をはいた男が、鏡を抜いた酒樽の前に立ちはだかっ …
鬼(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間1分
探偵小説家の殿村昌一は、その夏、郷里長野県のS村へ帰省していた。 S村は四方を山にとざされ、殆ど段畑ばかりで暮しを立てている様な、淋しい寒村であったが、その陰鬱な空気が、探偵小説家 …
読書目安時間:約1時間1分
探偵小説家の殿村昌一は、その夏、郷里長野県のS村へ帰省していた。 S村は四方を山にとざされ、殆ど段畑ばかりで暮しを立てている様な、淋しい寒村であったが、その陰鬱な空気が、探偵小説家 …
おれは二十面相だ(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間45分
五月のある日のこと、麹町の高級アパートにある明智探偵の事務所へ、ひとりの老紳士が、たずねてきました。 ふさふさとした白いかみを、オールバックにして、白い口ひげをはやした、やせがたで …
読書目安時間:約1時間45分
五月のある日のこと、麹町の高級アパートにある明智探偵の事務所へ、ひとりの老紳士が、たずねてきました。 ふさふさとした白いかみを、オールバックにして、白い口ひげをはやした、やせがたで …
怪奇四十面相(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間5分
「透明怪人」の事件で、名探偵、明智小五郎に、正体を見やぶられた怪人二十面相は、そのまま警視庁の留置場に入れられ、いちおう、とりしらべをうけたのち、未決囚として東京都内のI拘置所に、 …
読書目安時間:約3時間5分
「透明怪人」の事件で、名探偵、明智小五郎に、正体を見やぶられた怪人二十面相は、そのまま警視庁の留置場に入れられ、いちおう、とりしらべをうけたのち、未決囚として東京都内のI拘置所に、 …
怪人と少年探偵(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間14分
怪人二十面相はまほうつかいのようなふしぎなどろぼうです。二十のちがった顔を持つといわれる変そうの名人です。名探偵明智小五郎の助手小林少年と少年探偵団の団員たちは、この怪人をむこうに …
読書目安時間:約1時間14分
怪人二十面相はまほうつかいのようなふしぎなどろぼうです。二十のちがった顔を持つといわれる変そうの名人です。名探偵明智小五郎の助手小林少年と少年探偵団の団員たちは、この怪人をむこうに …
かいじん二十めんそう(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
ある日、しょうねんたんていだんのぽけっと小ぞうは、ひとりで、さびしいのはらをあるいていました。 ぽけっと小ぞうは、小がっこう四ねんせいですが、ようちえんのせいとみたいにからだが小さ …
読書目安時間:約26分
ある日、しょうねんたんていだんのぽけっと小ぞうは、ひとりで、さびしいのはらをあるいていました。 ぽけっと小ぞうは、小がっこう四ねんせいですが、ようちえんのせいとみたいにからだが小さ …
かいじん二十めんそう(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
あるおひるすぎのことです。 東京のまつなみ小学校のこうていで、みんながあそんでいました。 休み時間なので、一年生から六年生まで、かけまわったり、キャッチボールをしたり、きかいたいそ …
読書目安時間:約19分
あるおひるすぎのことです。 東京のまつなみ小学校のこうていで、みんながあそんでいました。 休み時間なので、一年生から六年生まで、かけまわったり、キャッチボールをしたり、きかいたいそ …
怪人二十面相(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間41分
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。 「二十面相」とい …
読書目安時間:約3時間41分
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。 「二十面相」とい …
海底の魔術師(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間36分
日東サルベージ会社の沈没船引きあげのしごとが、房総半島の東がわにある大戸村の沖あいでおこなわれていました。 その海の底に、東洋汽船会社の千五百トンの貨物船「あしびき丸」が沈没してい …
読書目安時間:約2時間36分
日東サルベージ会社の沈没船引きあげのしごとが、房総半島の東がわにある大戸村の沖あいでおこなわれていました。 その海の底に、東洋汽船会社の千五百トンの貨物船「あしびき丸」が沈没してい …
鏡地獄(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
「珍らしい話とおっしゃるのですか、それではこんな話はどうでしょう」 ある時、五、六人の者が、怖い話や、珍奇な話を、次々と語り合っていた時、友だちのKは最後にこんなふうにはじめた。ほ …
読書目安時間:約29分
「珍らしい話とおっしゃるのですか、それではこんな話はどうでしょう」 ある時、五、六人の者が、怖い話や、珍奇な話を、次々と語り合っていた時、友だちのKは最後にこんなふうにはじめた。ほ …
影男(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間10分
三十二、三歳に見えるやせ型の男が、張ホテルの玄関をはいって、カウンターのうしろの支配人室へ踏みこんでいった。 ずんぐりと背が低くて丸々と太ったちょびひげの支配人がデスクに向かって帳 …
読書目安時間:約5時間10分
三十二、三歳に見えるやせ型の男が、張ホテルの玄関をはいって、カウンターのうしろの支配人室へ踏みこんでいった。 ずんぐりと背が低くて丸々と太ったちょびひげの支配人がデスクに向かって帳 …
火星の運河(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
又あすこへ来たなという、寒い様な魅力が私を戦かせた。にぶ色の暗が私の全世界を覆いつくしていた。恐らくは音も匂も、触覚さえもが私の身体から蒸発して了って、煉羊羹の濃かに澱んだ色彩ばか …
読書目安時間:約10分
又あすこへ来たなという、寒い様な魅力が私を戦かせた。にぶ色の暗が私の全世界を覆いつくしていた。恐らくは音も匂も、触覚さえもが私の身体から蒸発して了って、煉羊羹の濃かに澱んだ色彩ばか …
仮面の恐怖王(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間32分
東京上野公園の不忍池のそばに、ふしぎな建物がたちました。両国のもとの国技館をぐっと小さくしたような、まるい建物で、外がわの壁も、まる屋根も、ぜんぶ、まっ白にぬってあるのです。そして …
読書目安時間:約2時間32分
東京上野公園の不忍池のそばに、ふしぎな建物がたちました。両国のもとの国技館をぐっと小さくしたような、まるい建物で、外がわの壁も、まる屋根も、ぜんぶ、まっ白にぬってあるのです。そして …
奇面城の秘密(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間31分
ある日、麹町高級アパートの明智探偵事務所へ、ひとりのりっぱな紳士がたずねてきました。それは東京の港区にすんでいる神山正夫という実業家で、たくさんの会社の重役をしている人でした。その …
読書目安時間:約2時間31分
ある日、麹町高級アパートの明智探偵事務所へ、ひとりのりっぱな紳士がたずねてきました。それは東京の港区にすんでいる神山正夫という実業家で、たくさんの会社の重役をしている人でした。その …
吸血鬼(新字新仮名)
読書目安時間:約6時間24分
この物語の主人公は、彼のバルカン地方の伝説『吸血鬼』にも比すべき、人界の悪魔である。 一度埋葬された死人が鬼と化して、夜な夜な墓場をさまよい出で、人家に忍び入って、睡眠中の人間の生 …
読書目安時間:約6時間24分
この物語の主人公は、彼のバルカン地方の伝説『吸血鬼』にも比すべき、人界の悪魔である。 一度埋葬された死人が鬼と化して、夜な夜な墓場をさまよい出で、人家に忍び入って、睡眠中の人間の生 …
恐怖王(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間13分
一台の金ピカ葬儀自動車が、どこへという当てもないらしく、東京市中を、グルグルと走り廻っていた。 車内には、よく見ると、確に白布で覆った寝棺がのせてある。棺の中に死人が入っているのか …
読書目安時間:約2時間13分
一台の金ピカ葬儀自動車が、どこへという当てもないらしく、東京市中を、グルグルと走り廻っていた。 車内には、よく見ると、確に白布で覆った寝棺がのせてある。棺の中に死人が入っているのか …
疑惑(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
「お父さんが、なくなられたと、いうじゃないか」 「ウン」 「矢張り本当なんだね。 だが、君は、今朝の○○新聞の記事を読んだかい。一体あれは、事実なのかいオイ、しっかりしろよ。心配し …
読書目安時間:約37分
「お父さんが、なくなられたと、いうじゃないか」 「ウン」 「矢張り本当なんだね。 だが、君は、今朝の○○新聞の記事を読んだかい。一体あれは、事実なのかいオイ、しっかりしろよ。心配し …
黒手組(新字新仮名)
読書目安時間:約37分
またしても明智小五郎の手柄話です。 それは、私が明智と知合になってから一年程たった時分の出来事なのですが、事件に一種劇的な色彩があって中々面白かったばかりでなく、それが私の身内のも …
読書目安時間:約37分
またしても明智小五郎の手柄話です。 それは、私が明智と知合になってから一年程たった時分の出来事なのですが、事件に一種劇的な色彩があって中々面白かったばかりでなく、それが私の身内のも …
黒蜥蜴(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間37分
この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。 帝都最大の殷賑地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩 …
読書目安時間:約3時間37分
この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。 帝都最大の殷賑地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩 …
五階の窓:01 合作の一(発端)(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
「社長、又脅迫状です」 ドアが開いて、庶務の北川が入って来た。株式会社西村電気商会主の西村陽吉は、灰皿の上に葉巻を置いて、クルリと廻転椅子を廻し笑顔を向けた。 「又かい。根気のいい …
読書目安時間:約21分
「社長、又脅迫状です」 ドアが開いて、庶務の北川が入って来た。株式会社西村電気商会主の西村陽吉は、灰皿の上に葉巻を置いて、クルリと廻転椅子を廻し笑顔を向けた。 「又かい。根気のいい …
孤島の鬼(新字新仮名)
読書目安時間:約6時間5分
私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白になっている。この様な不思議な人間が外にあろうか。嘗て白頭宰相と云われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさって …
読書目安時間:約6時間5分
私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白になっている。この様な不思議な人間が外にあろうか。嘗て白頭宰相と云われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさって …
湖畔亭事件(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間19分
読者諸君は、先年H山中のA湖のほとりに起った、世にも不思議な殺人事件を、御記憶ではないでしょうか。片山里の出来事ながら、それは、都の諸新聞にも報道せられた程、異様な事件でありました …
読書目安時間:約2時間19分
読者諸君は、先年H山中のA湖のほとりに起った、世にも不思議な殺人事件を、御記憶ではないでしょうか。片山里の出来事ながら、それは、都の諸新聞にも報道せられた程、異様な事件でありました …
サーカスの怪人(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間32分
ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎君とノロちゃんとが、世田谷区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが …
読書目安時間:約2時間32分
ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎君とノロちゃんとが、世田谷区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが …
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
「で犯行の手掛は?被害者の身許が分らないとすると、せめて、犯人の手口を示す、一寸した証拠でも残ってはいなかったかしら」 正岡警部が鎌倉署長の顔色を読むようにして尋ねた。というのは署 …
読書目安時間:約17分
「で犯行の手掛は?被害者の身許が分らないとすると、せめて、犯人の手口を示す、一寸した証拠でも残ってはいなかったかしら」 正岡警部が鎌倉署長の顔色を読むようにして尋ねた。というのは署 …
地獄風景(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間49分
M県の南部にY市という古風で陰気な、忘れ果てられた様な都会がある。商工業が盛んな訳ではなく、といって、交通の要路に当る訳でもなく、ただ、旧幕時代の城下町であった為に人口が多く、漸く …
読書目安時間:約1時間49分
M県の南部にY市という古風で陰気な、忘れ果てられた様な都会がある。商工業が盛んな訳ではなく、といって、交通の要路に当る訳でもなく、ただ、旧幕時代の城下町であった為に人口が多く、漸く …
自作解説:怪人二十面相と少年探偵団(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
表題の私の少年探偵小説について何か書くように勧められたが、私は三、四年来、病気でひきこもっていて、手足が不自由なため、筆が執れないので、手紙の返事などは、家族のものに代筆してもらっ …
読書目安時間:約8分
表題の私の少年探偵小説について何か書くように勧められたが、私は三、四年来、病気でひきこもっていて、手足が不自由なため、筆が執れないので、手紙の返事などは、家族のものに代筆してもらっ …
少年探偵団(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間26分
そいつは全身、墨を塗ったような、おそろしくまっ黒なやつだということでした。 「黒い魔物」のうわさは、もう、東京中にひろがっていましたけれど、ふしぎにも、はっきり、そいつの正体を見き …
読書目安時間:約3時間26分
そいつは全身、墨を塗ったような、おそろしくまっ黒なやつだということでした。 「黒い魔物」のうわさは、もう、東京中にひろがっていましたけれど、ふしぎにも、はっきり、そいつの正体を見き …
女妖:01 前篇(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
いつ、どこで、どうして、死ぬかということが、ただ一つ残っている問題だった。 青山浩一は、もと浜離宮であった公園の、海に面する芝生に腰をおろして、向うに停泊している汽船を、ボンヤリと …
読書目安時間:約20分
いつ、どこで、どうして、死ぬかということが、ただ一つ残っている問題だった。 青山浩一は、もと浜離宮であった公園の、海に面する芝生に腰をおろして、向うに停泊している汽船を、ボンヤリと …
新宝島(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間20分
この物語は、大東亜戦争勃発以前、昭和十五年度に執筆したものであるが、当時既に我々の南方諸島への関心は日に日に高まりつつあったので、その心持が、物語の舞台を南洋に選ばせたものであろう …
読書目安時間:約3時間20分
この物語は、大東亜戦争勃発以前、昭和十五年度に執筆したものであるが、当時既に我々の南方諸島への関心は日に日に高まりつつあったので、その心持が、物語の舞台を南洋に選ばせたものであろう …
心理試験(新字新仮名)
読書目安時間:約46分
蕗屋清一郎が、何故これから記す様な恐ろしい悪事を思立ったか、その動機については詳しいことは分らぬ。又仮令分ったとしてもこのお話には大して関係がないのだ。彼がなかば苦学見たいなことを …
読書目安時間:約46分
蕗屋清一郎が、何故これから記す様な恐ろしい悪事を思立ったか、その動機については詳しいことは分らぬ。又仮令分ったとしてもこのお話には大して関係がないのだ。彼がなかば苦学見たいなことを …
随筆銭形平次:19 探偵小説このごろ(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
江戸川乱歩ずいぶん書いたね。「捕物帖」は……何篇くらいになった? 野村胡堂ハッキリしたことはわからないが、三百篇は越しているだろう。もっともわたしの捕物帖は、「銭形平次」と「池田大 …
読書目安時間:約10分
江戸川乱歩ずいぶん書いたね。「捕物帖」は……何篇くらいになった? 野村胡堂ハッキリしたことはわからないが、三百篇は越しているだろう。もっともわたしの捕物帖は、「銭形平次」と「池田大 …
青銅の魔人(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間45分
冬の夜、月のさえた晩、銀座通りに近い橋のたもとの交番に、ひとりの警官が夜の見はりについていました。一時をとっくにすぎた真夜中です。 ひるまは電車やバスや自動車が、縦横にはせちがう大 …
読書目安時間:約2時間45分
冬の夜、月のさえた晩、銀座通りに近い橋のたもとの交番に、ひとりの警官が夜の見はりについていました。一時をとっくにすぎた真夜中です。 ひるまは電車やバスや自動車が、縦横にはせちがう大 …
接吻(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
近頃は有頂天の山名宗三であった。何とも云えぬ暖かい、柔かい、薔薇色の、そして薫のいい空気が、彼の身辺を包んでいた。それが、お役所のボロ机に向って、コツコツと仕事をしている時にでも、 …
読書目安時間:約13分
近頃は有頂天の山名宗三であった。何とも云えぬ暖かい、柔かい、薔薇色の、そして薫のいい空気が、彼の身辺を包んでいた。それが、お役所のボロ机に向って、コツコツと仕事をしている時にでも、 …
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
先生、今日こそは御話することに決心しました。私の死刑の日も段々近づいて来ます。早く心にあることを喋って了って、せめて死ぬ迄の数日を安らかに送り度いと思います。どうか、御迷惑でしょう …
読書目安時間:約25分
先生、今日こそは御話することに決心しました。私の死刑の日も段々近づいて来ます。早く心にあることを喋って了って、せめて死ぬ迄の数日を安らかに送り度いと思います。どうか、御迷惑でしょう …
算盤が恋を語る話(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
○○造船株式会社会計係のTは今日はどうしたものか、いつになく早くから事務所へやって来ました。そして、会計部の事務室へ入ると、外とうと帽子をかたえの壁にかけながら、如何にも落ちつかぬ …
読書目安時間:約17分
○○造船株式会社会計係のTは今日はどうしたものか、いつになく早くから事務所へやって来ました。そして、会計部の事務室へ入ると、外とうと帽子をかたえの壁にかけながら、如何にも落ちつかぬ …
大金塊(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間9分
小学校六年生の宮瀬不二夫君は、たったひとり、広いおうちにるす番をしていました。 宮瀬君のおうちは、東京の西北のはずれにあたる荻窪の、さびしい丘の上に立っていました。このおうちは不二 …
読書目安時間:約3時間9分
小学校六年生の宮瀬不二夫君は、たったひとり、広いおうちにるす番をしていました。 宮瀬君のおうちは、東京の西北のはずれにあたる荻窪の、さびしい丘の上に立っていました。このおうちは不二 …
断崖(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
春、K温泉から山路をのぼること一哩、はるか眼の下に渓流をのぞむ断崖の上、自然石のベンチに肩をならべて男女が語りあっていた。男は二十七八歳、女はそれより二つ三つ年上、二人とも温泉宿の …
読書目安時間:約27分
春、K温泉から山路をのぼること一哩、はるか眼の下に渓流をのぞむ断崖の上、自然石のベンチに肩をならべて男女が語りあっていた。男は二十七八歳、女はそれより二つ三つ年上、二人とも温泉宿の …
探偵小説の「謎」(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間53分
社会思想研究会出版部のすすめによって、私の随筆の中から、探偵小説のトリックを解説したものを集めてみた。トリックについては、私は別に「類別トリック集成」(早川書房版『続幻影城』に収む …
読書目安時間:約3時間53分
社会思想研究会出版部のすすめによって、私の随筆の中から、探偵小説のトリックを解説したものを集めてみた。トリックについては、私は別に「類別トリック集成」(早川書房版『続幻影城』に収む …
探偵少年(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間27分
ある夕方、千代田区の大きなやしきばかりのさびしい町を、ふたりの学生服の少年が、歩いていました。大きいほうの十四—五歳の少年は、名探偵明智小五郎の少年助手として、また、少年探偵団の団 …
読書目安時間:約1時間27分
ある夕方、千代田区の大きなやしきばかりのさびしい町を、ふたりの学生服の少年が、歩いていました。大きいほうの十四—五歳の少年は、名探偵明智小五郎の少年助手として、また、少年探偵団の団 …
智恵の一太郎(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間16分
明石一太郎君は、学校のお友だちや近所の人から、「智恵の一太郎」というあだなをつけられていました。それは、一太郎君がとても、うまい考を出して、みんなをびっくりさせたことが、いくどもあ …
読書目安時間:約2時間16分
明石一太郎君は、学校のお友だちや近所の人から、「智恵の一太郎」というあだなをつけられていました。それは、一太郎君がとても、うまい考を出して、みんなをびっくりさせたことが、いくどもあ …
超人ニコラ(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間43分
東京の銀座に大きな店をもち、宝石王といわれている玉村宝石店の主人、玉村銀之助さんのすまいは、渋谷区のしずかなやしき町にありました。 玉村さんの家庭には、奥さんと、ふたりの子どもがあ …
読書目安時間:約2時間43分
東京の銀座に大きな店をもち、宝石王といわれている玉村宝石店の主人、玉村銀之助さんのすまいは、渋谷区のしずかなやしき町にありました。 玉村さんの家庭には、奥さんと、ふたりの子どもがあ …
月と手袋(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間20分
*作中、ディクスン・カー著『皇帝のかぎ煙草入れ』のトリックに言及されています。未読の方はご注意ください。 シナリオ・ライター北村克彦は、股野重郎を訪ねるために、その門前に近づいてい …
読書目安時間:約1時間20分
*作中、ディクスン・カー著『皇帝のかぎ煙草入れ』のトリックに言及されています。未読の方はご注意ください。 シナリオ・ライター北村克彦は、股野重郎を訪ねるために、その門前に近づいてい …
妻に失恋した男(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
わたしはそのころ世田谷警察署の刑事でした。自殺したのは管内のS町に住む南田収一という三十八才の男です。妙な話ですが、この南田という男は自分の妻に失恋して自殺したのです。 「おれは死 …
読書目安時間:約12分
わたしはそのころ世田谷警察署の刑事でした。自殺したのは管内のS町に住む南田収一という三十八才の男です。妙な話ですが、この南田という男は自分の妻に失恋して自殺したのです。 「おれは死 …
妻のこと(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
この本を編集して、 妻は村山隆子といって、今は三重県鳥羽市に編入された坂手という島の米穀、酒、雑貨商(田舎によくある「よろず屋」である)の娘であった。当時は坂手村といい、漁師ばかり …
読書目安時間:約8分
この本を編集して、 妻は村山隆子といって、今は三重県鳥羽市に編入された坂手という島の米穀、酒、雑貨商(田舎によくある「よろず屋」である)の娘であった。当時は坂手村といい、漁師ばかり …
D坂の殺人事件(新字新仮名)
読書目安時間:約45分
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒という、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜っていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれとい …
読書目安時間:約45分
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒という、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜っていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれとい …
鉄人Q(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間34分
北見菊雄君は、小学校の四年生でした。おうちは東京の豊島区にあるのですが、近くに小さい公園があり、北見君は、友だちといっしょに、その公園で、よく野球などして遊ぶのでした。 公園には、 …
読書目安時間:約2時間34分
北見菊雄君は、小学校の四年生でした。おうちは東京の豊島区にあるのですが、近くに小さい公園があり、北見君は、友だちといっしょに、その公園で、よく野球などして遊ぶのでした。 公園には、 …
鉄塔の怪人(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間48分
明智探偵の少年助手、小林芳雄君は、ある夕方、先生のおつかいに出た帰り道、麹町の探偵事務所のちかくの、さびしい町を歩いていました。 麹町には、いまでも焼けあとの、ひろい原っぱがのこっ …
読書目安時間:約2時間48分
明智探偵の少年助手、小林芳雄君は、ある夕方、先生のおつかいに出た帰り道、麹町の探偵事務所のちかくの、さびしい町を歩いていました。 麹町には、いまでも焼けあとの、ひろい原っぱがのこっ …
天空の魔人(新字新仮名)
読書目安時間:約49分
少年探偵団の小林団長と、団員でいちばん力の強い井上一郎君と、すこしおくびょうだけれど、あいきょうものの野呂一平君の三人が、春の休みに、長野県のある温泉へ旅行しました。 その温泉を、 …
読書目安時間:約49分
少年探偵団の小林団長と、団員でいちばん力の強い井上一郎君と、すこしおくびょうだけれど、あいきょうものの野呂一平君の三人が、春の休みに、長野県のある温泉へ旅行しました。 その温泉を、 …
電人M(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間38分
少年探偵団員で、中学一年の中村君と、有田君と、長島君の三人は、大のなかよしでした。 ある午後のこと、有田君と長島君が、中村君の家に、遊びにきていました。 中村君の家は港区のやしき町 …
読書目安時間:約2時間38分
少年探偵団員で、中学一年の中村君と、有田君と、長島君の三人は、大のなかよしでした。 ある午後のこと、有田君と長島君が、中村君の家に、遊びにきていました。 中村君の家は港区のやしき町 …
塔上の奇術師(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間31分
ある夕がた、名探偵明智小五郎の少女助手、花崎マユミさんは、中学一年のかわいらしい少女ふたりと手をとりあって、さびしい原っぱを歩いていました。 畑があったり、林があったり、青い草でふ …
読書目安時間:約2時間31分
ある夕がた、名探偵明智小五郎の少女助手、花崎マユミさんは、中学一年のかわいらしい少女ふたりと手をとりあって、さびしい原っぱを歩いていました。 畑があったり、林があったり、青い草でふ …
盗難(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
面白い話しがあるのですよ。私の実験談ですがね。こいつを何とかしたら、あなたの探偵小説の材料にならないもんでもありませんよ。聞きますか。エ、是非話せって。それじゃ至って話し下手でお聞 …
読書目安時間:約25分
面白い話しがあるのですよ。私の実験談ですがね。こいつを何とかしたら、あなたの探偵小説の材料にならないもんでもありませんよ。聞きますか。エ、是非話せって。それじゃ至って話し下手でお聞 …
透明怪人(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間17分
そのふたりの少年は、あんなこわいめにあったのは、生まれてからはじめてでした。 春のはじめの、ある日曜日、小学校六年の島田君と木下君は、学校の先生のおうちへあそびにいって、いろいろお …
読書目安時間:約3時間17分
そのふたりの少年は、あんなこわいめにあったのは、生まれてからはじめてでした。 春のはじめの、ある日曜日、小学校六年の島田君と木下君は、学校の先生のおうちへあそびにいって、いろいろお …
毒草(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
よく晴れた秋の一日であった。仲のよい友達が訪ねて来て、一しきり話がはずんだあとで、「気持のいい天気じゃないか。どうだ、そこいらを少し歩こうか」ということになって、私とその友達とは、 …
読書目安時間:約10分
よく晴れた秋の一日であった。仲のよい友達が訪ねて来て、一しきり話がはずんだあとで、「気持のいい天気じゃないか。どうだ、そこいらを少し歩こうか」ということになって、私とその友達とは、 …
虎の牙(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間12分
このふしぎなお話は、まず小学校六年生の天野勇一君という少年の、まわりにおこった出来事からはじまります。 その出来事というのは、一つはたいへんゆかいな、おもしろくてたまらないようなこ …
読書目安時間:約3時間12分
このふしぎなお話は、まず小学校六年生の天野勇一君という少年の、まわりにおこった出来事からはじまります。 その出来事というのは、一つはたいへんゆかいな、おもしろくてたまらないようなこ …
何者(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間18分
作者の言葉 犯人は最初から読者の目の前にいながら最後までどれが犯人だか分らない。と云うのが所謂本格探偵小説の一つの条件みたいになっています。なるべくその条件に適わせることを心掛けま …
読書目安時間:約1時間18分
作者の言葉 犯人は最初から読者の目の前にいながら最後までどれが犯人だか分らない。と云うのが所謂本格探偵小説の一つの条件みたいになっています。なるべくその条件に適わせることを心掛けま …
二銭銅貨(新字新仮名)
読書目安時間:約35分
「あの泥坊が羨しい」二人の間にこんな言葉が交される程、其頃は窮迫していた。 場末の貧弱な下駄屋の二階の、ただ一間しかない六畳に、一閑張りの破れ机を二つ並べて、松村武とこの私とが、変 …
読書目安時間:約35分
「あの泥坊が羨しい」二人の間にこんな言葉が交される程、其頃は窮迫していた。 場末の貧弱な下駄屋の二階の、ただ一間しかない六畳に、一閑張りの破れ机を二つ並べて、松村武とこの私とが、変 …
日記帳(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
ちょうど初七日の夜のことでした。私は死んだ弟の書斎に入って、何かと彼の書き残したものなどを取出しては、ひとり物思いにふけっていました。 まだ、さして夜もふけていないのに、家中は涙に …
読書目安時間:約14分
ちょうど初七日の夜のことでした。私は死んだ弟の書斎に入って、何かと彼の書き残したものなどを取出しては、ひとり物思いにふけっていました。 まだ、さして夜もふけていないのに、家中は涙に …
二癈人(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
二人は湯から上って、一局囲んだ後を煙草にして、渋い煎茶を啜りながら、何時の様にボツリボツリと世間話を取交していた。穏かな冬の日光が障子一杯に拡って、八畳の座敷をほかほかと暖めていた …
読書目安時間:約23分
二人は湯から上って、一局囲んだ後を煙草にして、渋い煎茶を啜りながら、何時の様にボツリボツリと世間話を取交していた。穏かな冬の日光が障子一杯に拡って、八畳の座敷をほかほかと暖めていた …
人間椅子(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
佳子は、毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ籠るのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑 …
読書目安時間:約30分
佳子は、毎朝、夫の登庁を見送って了うと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、とじ籠るのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑 …
人間豹(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間14分
神谷芳雄はまだ大学を出たばかりの会社員であった。しかも父親が重役を勤めている商事会社の調査課員で、これというきまった仕事もない暢気な身の上であったから、飲み覚えた酒の味、その酒を運 …
読書目安時間:約5時間14分
神谷芳雄はまだ大学を出たばかりの会社員であった。しかも父親が重役を勤めている商事会社の調査課員で、これというきまった仕事もない暢気な身の上であったから、飲み覚えた酒の味、その酒を運 …
灰色の巨人(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間38分
東京のまん中にある有名なデパートで、宝石てんらん会がひらかれていました。そのデパートの美術部主任が大活動をして、日本じゅうの名のある宝石をかり集め、五階のてんらん会場に、きらびやか …
読書目安時間:約2時間38分
東京のまん中にある有名なデパートで、宝石てんらん会がひらかれていました。そのデパートの美術部主任が大活動をして、日本じゅうの名のある宝石をかり集め、五階のてんらん会場に、きらびやか …
灰神楽(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
アッと思う間に、相手は、まるで泥で拵えた人形がくずれでもする様に、グナリと、前の机の上に平たくなった。顔は、鼻柱がくだけはしないかと思われる程、ペッタリと真正面に、机におしつけられ …
読書目安時間:約27分
アッと思う間に、相手は、まるで泥で拵えた人形がくずれでもする様に、グナリと、前の机の上に平たくなった。顔は、鼻柱がくだけはしないかと思われる程、ペッタリと真正面に、机におしつけられ …
白昼夢(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
あれは、白昼の悪夢であったか、それとも現実の出来事であったか。 晩春の生暖い風が、オドロオドロと、火照った頬に感ぜられる、蒸し暑い日の午後であった。 用事があって通ったのか、散歩の …
読書目安時間:約8分
あれは、白昼の悪夢であったか、それとも現実の出来事であったか。 晩春の生暖い風が、オドロオドロと、火照った頬に感ぜられる、蒸し暑い日の午後であった。 用事があって通ったのか、散歩の …
白髪鬼(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間45分
(作者申す)この物語はマリイ・コレルリ女史の傑作『ヴェンデッタ』を、私流に改作したものです。『ヴェンデッタ』には已に黒岩涙香の名訳『白髪鬼』があるので、私は同書版権所有者の承諾を得 …
読書目安時間:約3時間45分
(作者申す)この物語はマリイ・コレルリ女史の傑作『ヴェンデッタ』を、私流に改作したものです。『ヴェンデッタ』には已に黒岩涙香の名訳『白髪鬼』があるので、私は同書版権所有者の承諾を得 …
パノラマ島綺譚(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間39分
同じM県に住んでいる人でも、多くは気づかないでいるかも知れません。I湾が太平洋へ出ようとする、S郡の南端に、外の島々から飛び離れて、丁度緑色の饅頭をふせた様な、直径二里足らずの小島 …
読書目安時間:約2時間39分
同じM県に住んでいる人でも、多くは気づかないでいるかも知れません。I湾が太平洋へ出ようとする、S郡の南端に、外の島々から飛び離れて、丁度緑色の饅頭をふせた様な、直径二里足らずの小島 …
薔薇夫人(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
青山浩一は、もと浜離宮であった公園の、海に面する芝生に腰をおろして、そこに停泊している幾つかの汽船を、ボンヤリと眺めていた。うしろに真赤な巨大な太陽があった。あたりは見る見る夕暮の …
読書目安時間:約19分
青山浩一は、もと浜離宮であった公園の、海に面する芝生に腰をおろして、そこに停泊している幾つかの汽船を、ボンヤリと眺めていた。うしろに真赤な巨大な太陽があった。あたりは見る見る夕暮の …
人でなしの恋(新字新仮名)
読書目安時間:約35分
門野、御存知でいらっしゃいましょう。十年以前になくなった先の夫なのでございます。こんなに月日がたちますと、門野と口に出していって見ましても、一向他人様の様で、あの出来事にしましても …
読書目安時間:約35分
門野、御存知でいらっしゃいましょう。十年以前になくなった先の夫なのでございます。こんなに月日がたちますと、門野と口に出していって見ましても、一向他人様の様で、あの出来事にしましても …
一人の芭蕉の問題(旧字旧仮名)
読書目安時間:約8分
木々高太郎君の「新泉録」に對し成可く無遠慮な感想を書けといつて雜誌ロックの山崎君が新泉録の原稿を見せてくれた。山崎君の内心は私達の間に活溌な論爭を期待してゐる模樣であつたが、木々君 …
読書目安時間:約8分
木々高太郎君の「新泉録」に對し成可く無遠慮な感想を書けといつて雜誌ロックの山崎君が新泉録の原稿を見せてくれた。山崎君の内心は私達の間に活溌な論爭を期待してゐる模樣であつたが、木々君 …
一人二役(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
人間、退屈すると、何を始めるか知れたものではないね。 僕の知人にTという男があった。型の如く無職の遊民だ。大して金がある訳ではないが、まず食うには困らない。ピアノと、蓄音器と、ダン …
読書目安時間:約14分
人間、退屈すると、何を始めるか知れたものではないね。 僕の知人にTという男があった。型の如く無職の遊民だ。大して金がある訳ではないが、まず食うには困らない。ピアノと、蓄音器と、ダン …
火縄銃(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
或年の冬休み、私は友人の林一郎から一通の招待状を受け取った。手紙は、弟の二郎と一緒に一週間ばかり前からこちらに来て、毎日狩猟に日を暮しているが、二人だけでは面白くないから、暇があれ …
読書目安時間:約19分
或年の冬休み、私は友人の林一郎から一通の招待状を受け取った。手紙は、弟の二郎と一緒に一週間ばかり前からこちらに来て、毎日狩猟に日を暮しているが、二人だけでは面白くないから、暇があれ …
百面相役者(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
僕の書生時代の話しだから、随分古いことだ。年代などもハッキリしないが、何でも、日露戦争のすぐあとだったと思う。 その頃、僕は中学校を出て、さて、上の学校へ入りたいのだけれど、当時ま …
読書目安時間:約20分
僕の書生時代の話しだから、随分古いことだ。年代などもハッキリしないが、何でも、日露戦争のすぐあとだったと思う。 その頃、僕は中学校を出て、さて、上の学校へ入りたいのだけれど、当時ま …
覆面の舞踏者(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
私がその不思議なクラブの存在を知ったのは、私の友人の井上次郎によってでありました。井上次郎という男は、世間にはそうした男が間々あるものですが、妙に、いろいろな暗黒面に通じていて、例 …
読書目安時間:約30分
私がその不思議なクラブの存在を知ったのは、私の友人の井上次郎によってでありました。井上次郎という男は、世間にはそうした男が間々あるものですが、妙に、いろいろな暗黒面に通じていて、例 …
ふしぎな人(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間29分
きむらたけしくんは、しょうがっこうの二ねん生で、とうきょうのひろいおうちにすんでいました。 おとうさんは、あるかいしゃのしゃちょうさんです。 きむらたけしくんのおうちのちかくに、ふ …
読書目安時間:約1時間29分
きむらたけしくんは、しょうがっこうの二ねん生で、とうきょうのひろいおうちにすんでいました。 おとうさんは、あるかいしゃのしゃちょうさんです。 きむらたけしくんのおうちのちかくに、ふ …
魔術師(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間40分
わが明智小五郎は、遂に彼の生涯での最大強敵に相対した。ここに『蜘蛛男』の理智を越えて変幻自在なる魔術がある。魔術師は看客の目の前で生きた女を胴切りにしたり、箱詰めの小女を剣の芋刺し …
読書目安時間:約4時間40分
わが明智小五郎は、遂に彼の生涯での最大強敵に相対した。ここに『蜘蛛男』の理智を越えて変幻自在なる魔術がある。魔術師は看客の目の前で生きた女を胴切りにしたり、箱詰めの小女を剣の芋刺し …
魔法人形(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間25分
小学校六年生の宮本ミドリちゃんと、五年生の甲野ルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附の近くの公園にはいっていきました。その公園は、学校とふたりの家とのまん中ほどにある …
読書目安時間:約2時間25分
小学校六年生の宮本ミドリちゃんと、五年生の甲野ルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附の近くの公園にはいっていきました。その公園は、学校とふたりの家とのまん中ほどにある …
魔法博士(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間36分
ある夕がた、渋谷区のやしき町を、ふたりの少年が歩いていました。もとボクサーのおとうさんをもつ井上一郎君と、すこしおくびょうだけれども、あいきょうものの野呂一平君です。ふたりとも、小 …
読書目安時間:約2時間36分
ある夕がた、渋谷区のやしき町を、ふたりの少年が歩いていました。もとボクサーのおとうさんをもつ井上一郎君と、すこしおくびょうだけれども、あいきょうものの野呂一平君です。ふたりとも、小 …
まほうやしき(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
しょうねんたんていだんのなかで、いちばんからだが大きくて力の強い井上一郎くんに、小学校三年生のルミちゃんという、かわいい妹がありました。そのルミちゃんが、ある夕がた、ちんどん屋のあ …
読書目安時間:約12分
しょうねんたんていだんのなかで、いちばんからだが大きくて力の強い井上一郎くんに、小学校三年生のルミちゃんという、かわいい妹がありました。そのルミちゃんが、ある夕がた、ちんどん屋のあ …
虫(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間28分
この話は、柾木愛造と木下芙蓉との、あの運命的な再会から出発すべきであるが、それについては、先ず男主人公である柾木愛造の、いとも風変りな性格について、一言して置かねばならぬ。 柾木愛 …
読書目安時間:約1時間28分
この話は、柾木愛造と木下芙蓉との、あの運命的な再会から出発すべきであるが、それについては、先ず男主人公である柾木愛造の、いとも風変りな性格について、一言して置かねばならぬ。 柾木愛 …
夢遊病者の死(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
彦太郎が勤め先の木綿問屋をしくじって、父親の所へ帰って来てからもう三ヶ月にもなった。旧藩主M伯爵邸の小使みたいなことを勤めてかつかつ其日を送っている、五十を越した父親の厄介になって …
読書目安時間:約23分
彦太郎が勤め先の木綿問屋をしくじって、父親の所へ帰って来てからもう三ヶ月にもなった。旧藩主M伯爵邸の小使みたいなことを勤めてかつかつ其日を送っている、五十を越した父親の厄介になって …
目羅博士の不思議な犯罪(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
私は探偵小説の筋を考える為に、方々をぶらつくことがあるが、東京を離れない場合は、大抵行先が極っている。浅草公園、花やしき、上野の博物館、同じく動物園、隅田川の乗合蒸汽、両国の国技館 …
読書目安時間:約32分
私は探偵小説の筋を考える為に、方々をぶらつくことがあるが、東京を離れない場合は、大抵行先が極っている。浅草公園、花やしき、上野の博物館、同じく動物園、隅田川の乗合蒸汽、両国の国技館 …
木馬は廻る(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
「ここはお国を何百里、離れて遠き満洲の……」 ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻転木馬は廻るのだ。 今年五十幾歳の格二郎は、好きからなったラッパ吹きで、昔はそれでも、郷里の …
読書目安時間:約20分
「ここはお国を何百里、離れて遠き満洲の……」 ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻転木馬は廻るのだ。 今年五十幾歳の格二郎は、好きからなったラッパ吹きで、昔はそれでも、郷里の …
モノグラム(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
私が、私の勤めていたある工場の老守衛(といっても、まだ五十歳には間のある男なのですが、何となく老人みたいな感じがするのです)栗原さんと心安くなって間もなく、恐らくこれは栗原さんの取 …
読書目安時間:約23分
私が、私の勤めていたある工場の老守衛(といっても、まだ五十歳には間のある男なのですが、何となく老人みたいな感じがするのです)栗原さんと心安くなって間もなく、恐らくこれは栗原さんの取 …
夜光人間(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間31分
名探偵明智小五郎の少年助手、小林芳雄君を団長とする少年探偵団は、小学校の五、六年生から中学の一、二年生までの少年二十人ほどで組織されていました。みんなが近くに住んでいるわけではなく …
読書目安時間:約2時間31分
名探偵明智小五郎の少年助手、小林芳雄君を団長とする少年探偵団は、小学校の五、六年生から中学の一、二年生までの少年二十人ほどで組織されていました。みんなが近くに住んでいるわけではなく …
屋根裏の散歩者(新字新仮名)
読書目安時間:約58分
多分それは一種の精神病ででもあったのでしょう。郷田三郎は、どんな遊びも、どんな職業も、何をやって見ても、一向この世が面白くないのでした。 学校を出てから——その学校とても一年に何日 …
読書目安時間:約58分
多分それは一種の精神病ででもあったのでしょう。郷田三郎は、どんな遊びも、どんな職業も、何をやって見ても、一向この世が面白くないのでした。 学校を出てから——その学校とても一年に何日 …
幽霊(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
「辻堂の奴、とうとう死にましたよ」 腹心のものが、多少手柄顔にこう報告した時、平田氏は少からず驚いたのである。尤も大分以前から、彼が病気で床についた切りだということは聞いていたのだ …
読書目安時間:約25分
「辻堂の奴、とうとう死にましたよ」 腹心のものが、多少手柄顔にこう報告した時、平田氏は少からず驚いたのである。尤も大分以前から、彼が病気で床についた切りだということは聞いていたのだ …
指(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
患者は手術の麻酔から醒めて私の顔を見た。 右手に厚ぼったく繃帯が巻いてあったが、手首を切断されていることは、少しも知らない。 彼は名のあるピアニストだから、右手首がなくなったことは …
読書目安時間:約3分
患者は手術の麻酔から醒めて私の顔を見た。 右手に厚ぼったく繃帯が巻いてあったが、手首を切断されていることは、少しも知らない。 彼は名のあるピアニストだから、右手首がなくなったことは …
指環(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
A失礼ですが、いつかも汽車で御一緒になった様ですね。 Bこれは御見それ申しました。そういえば、私も思い出しましたよ。やっぱりこの線でしたね。 Aあの時は飛んだ御災難でした。 Bいや …
読書目安時間:約5分
A失礼ですが、いつかも汽車で御一緒になった様ですね。 Bこれは御見それ申しました。そういえば、私も思い出しましたよ。やっぱりこの線でしたね。 Aあの時は飛んだ御災難でした。 Bいや …
妖怪博士(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間23分
空いちめん、白い雲におおわれた、どんよりとむしあつい、春の日曜日の夕方のことでした。十二、三歳のかわいらしい小学生が、麻布の六本木に近い、さびしい屋敷町を、ただひとり、口笛を吹きな …
読書目安時間:約4時間23分
空いちめん、白い雲におおわれた、どんよりとむしあつい、春の日曜日の夕方のことでした。十二、三歳のかわいらしい小学生が、麻布の六本木に近い、さびしい屋敷町を、ただひとり、口笛を吹きな …
妖人ゴング(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間33分
空には一点の雲もなく、さんさんとかがやく太陽に照らされて、ひろい原っぱからは、ゆらゆらと、かげろうがたちのぼっていました。 その原っぱのまんなかに、十二—三人の小学校五—六年生から …
読書目安時間:約2時間33分
空には一点の雲もなく、さんさんとかがやく太陽に照らされて、ひろい原っぱからは、ゆらゆらと、かげろうがたちのぼっていました。 その原っぱのまんなかに、十二—三人の小学校五—六年生から …
妖星人R(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間31分
はじめて、そのふしぎなすい星を発見したのは、イギリスの天文学者でした。そのすい星はいままでに知られている、どのすい星ともちがった、奇怪なすい星でした。 すい星といえば、天空のまい子 …
読書目安時間:約2時間31分
はじめて、そのふしぎなすい星を発見したのは、イギリスの天文学者でした。そのすい星はいままでに知られている、どのすい星ともちがった、奇怪なすい星でした。 すい星といえば、天空のまい子 …
妖虫(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間2分
熱帯地方に棲息する蠍という毒虫は、蜘蛛の一種であるけれど、伊勢海老を小さくした様な醜怪な姿をしていて、どんな大きな相手にも飛び掛って来る、凶悪無残の妖虫である。そいつが獲物を見つけ …
読書目安時間:約4時間2分
熱帯地方に棲息する蠍という毒虫は、蜘蛛の一種であるけれど、伊勢海老を小さくした様な醜怪な姿をしていて、どんな大きな相手にも飛び掛って来る、凶悪無残の妖虫である。そいつが獲物を見つけ …
猟奇の果(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間30分
彼は余りにも退屈屋で且つ猟奇者であり過ぎた。 ある探偵小説家は(彼も又退屈の余り、此世に残された唯一の刺戟物として、探偵小説を書き始めた男であったが)この様な血腥い犯罪から犯罪へと …
読書目安時間:約4時間30分
彼は余りにも退屈屋で且つ猟奇者であり過ぎた。 ある探偵小説家は(彼も又退屈の余り、此世に残された唯一の刺戟物として、探偵小説を書き始めた男であったが)この様な血腥い犯罪から犯罪へと …
“江戸川乱歩”について
江戸川 乱歩(えどがわ らんぽ、旧字体:江戶川 亂步、1894年〈明治27年〉10月21日 - 1965年〈昭和40年〉7月28日)は、日本の推理作家、怪奇・恐怖小説家、アンソロジスト。本名は平井 太郎(ひらい たろう)。日本推理作家協会初代理事長。位階は正五位。勲等は勲三等。ペンネームは小説家のエドガー・アラン・ポーのもじり。
大正から昭和期にかけて活躍し、主に推理小説を得意とした。また、第二次世界大戦後は推理小説分野を中心に評論家や研究家、編集者としても活躍した。乱歩の寄付で創設された江戸川乱歩賞が推理作家の登竜門となるなど、後世にも大きな影響を与えた。自らも実際に探偵として、岩井三郎探偵事務所(ミリオン資料サービス)に勤務していた経歴を持つ。
(出典:Wikipedia)
大正から昭和期にかけて活躍し、主に推理小説を得意とした。また、第二次世界大戦後は推理小説分野を中心に評論家や研究家、編集者としても活躍した。乱歩の寄付で創設された江戸川乱歩賞が推理作家の登竜門となるなど、後世にも大きな影響を与えた。自らも実際に探偵として、岩井三郎探偵事務所(ミリオン資料サービス)に勤務していた経歴を持つ。
(出典:Wikipedia)
“江戸川乱歩”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)