“焦慮”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あせ33.8%
しょうりょ29.9%
じら3.9%
あせっ3.9%
じれ3.9%
じれった2.6%
あせり2.6%
いらつ2.6%
じれっ2.6%
せうりよ2.6%
やきもき2.6%
1.3%
いら1.3%
いらだ1.3%
いらだたしさ1.3%
いらっ1.3%
ぢれつた1.3%
もが1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
訪問おとづれて往くと先づ籐椅子に腰を降して、對向つた永井と語るのは、世間へ出ようとお互に焦慮あせつて居る文學青年の文學談であつた。
永井荷風といふ男 (旧字旧仮名) / 生田葵山(著)
断えず込み上げて来る好色心が、それからそれへとうずを巻いて、まだ高々と照り渡っている日の色に、焦慮しょうりょをさえ感じ始めたのであった。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「悪い事をした。私はあなたに真実まことを話している気でいた。ところが実際は、あなたを焦慮じらしていたのだ。私は悪い事をした」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私がいくらあなたに利益を与えようと焦慮あせっても、私の射る矢はことごとく空矢あだやになってしまうだけです。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二三日で熱が退かないと云って焦慮じれるような軽い病症ではあるまい。知らせれば心配する。云わねば気で通す。その上かんを起す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
辞表を出せというなら公平に両方へ出せと云うがいい。なんで田舎いなかの学校はそう理窟りくつが分らないんだろう。焦慮じれったいな
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
焦慮あせり気味の慎九郎は、老僕の押えた袖を、かん強く振り払った、袖はほころびてビリッと泣いた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
おれが戸をあけて中に居る奴を引つ捕らまへてやらうと、焦慮いらつてると、又東のはづれで鬨の声と足拍子が始まつた。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この二人の問答を前に控えて、甲野さんは阿爺おやじの額を抱いたまま立っている。別段退屈した気色けしきも見えない。焦慮じれったそうな様子もない。困ったと云う風情ふぜいもない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
又た四月の大会の為め、九州炭山坑夫の為め、経費募集のことの為めに苦心焦慮せうりよして居らるゝことは、諸君も御承知のはずでは無いか——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
マダム・セレスティンは泣きの涙、ただ焦慮やきもきするだけで、事件が霊界と密接な関係があるだけに、こればかりは何うにも人気の収拾がつかない。
ロウモン街の自殺ホテル (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あゝも思ひかくも思つてみるけれど、立寄つた先や、用事の見当がつかなければつかないほど、私の心は焦慮れて来て、無暗に何かに当り散らしたくなる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
カンテラは一つになった。気はますます焦慮いらって来た。けれどもなかなか出ない。ただ道はどこまでもある。右にも左にもある。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一禅、二禅、三禅の境地が、中空の月のようにしずしずと心の中に冴え渡って行った。だがそれから先へはどうしても進めない。心に仕切りがあるようにどうしても進めない。わたしは焦慮いらだった。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そして、全身を冷たい爪で、掻き上げられるような焦慮いらだたしさを、その時はどうすることも出来ないのであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
おれが戸を開けて中に居る奴を引っらまえてやろうと、焦慮いらってると、また東のはずれで鬨の声と足拍子が始まった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
平家の人達は以前は今よりも遥かに焦慮もがいていた。夜、漕ぎ行く船のほとりに立ち顕れ、それを沈めようとし、また水泳する人をたえず待ち受けていては、それを引きずり込もうとするのである。
耳無芳一の話 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)