“阿爺”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おやじ37.2%
おとっ14.0%
おやぢ11.6%
おとっさん4.7%
おとつ4.7%
おとうさん4.7%
おとう4.7%
ちち2.3%
ちゃん2.3%
おとうさま2.3%
あや2.3%
おと2.3%
おとつさん2.3%
おとッつぁん2.3%
とうさん2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
娘も阿爺おやじに対するときは、険相けんそうな顔がいとど険相になるように見える。どうしても普通の親子ではない。——自分はこう考えて寝た。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「大方そんなことだろうッて、阿爺おとっさんもうわさしていましたッけ——阿爺さんが貴方のことを、『父さんも余程兄弟孝行だ』なんて——」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
風間敬之進けいのしんは、時世の為に置去にされた、老朽な小学教員の一人。丑松や銀之助などの若手に比べると、阿爺おやぢにしてもよい程の年頃である。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「断ったんだとも。この間行った時に、宗近の阿爺おとっさんに逢って、よく理由わけは話して来たのさ。——帰ってから御前にも話した通り」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お志保、確乎しつかりして居てお呉れよ、阿爺おとつさんだつても物の解らない人では無し、お前と私の心地こゝろもちが屈いたら
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼は平生一滴も飲まぬが、今日はせめてもの事に阿爺おとうさん阿母おかあさんと盃の取りやりをしるしばかりした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
阿爺おとうさん後生ですから元々通り箪笥に蔵ひ込んで置いて下さい。万一もしか私が沙翁セキスピヤ物でもる事があつたら、その折着させて戴きます。何しろ結構な仕立で、何卒どうか樟脳をどつさり入れてね……」
あの、何だかよくは存じませんが、阿爺ちちがね、大臣をしていましたころも、いろいろな頼み事をしていろいろ物を持って来ますの。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
今年は豆類其他で千円も収入みいりがあろうと云うことであった。細君の阿爺ちゃん遙々はるばる讃岐さぬきから遊びに来て居る。宮崎君の案内で畑を見る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そう阿爺おとうさまの悪口をおっしゃらなくってもいいわ。兄さんだって、もう書生じゃないから西洋菓子を食べたって大丈夫ですよ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
家慈輿中よちゅうヨリコレヲうかがツテ欷歔ききょス。小弟ふところニアリ呱呱ここ乳ヲもとム。余モマタ家慈ニ向ツテしきり阿爺あやまみユルコトいずれノ日ニアルヤヲ問フ。シカモソノ幽囚ニアルヲ知ラザル也。至レバすなわチ老屋一宇。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この阿爺おとさんとも言いたいような、親しげな人の顔を眺めて、三吉は意見を聞いてみようとした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
えゝ、気の毒なのは私の阿爺おとつさん、名はリツプ、フアン、ヰンクルと云ひました。鳥銃を肩に掛けて、家を出て往つてから、最う二十年立ちましたが、それつ切り音沙汰なしです。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
阿爺おとッつぁんおらこのしまやァだ」と、毎々阿娘おむすの苦情が出る。其等の車が陸続として帰って来る。東京場末の飯屋めしやに寄る者もあるが、多くは車を街道に片寄せて置いて、木蔭こかげで麦やひえの弁当をつかう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
国に居た頃でも、私が外から帰って来る、母やかないは無愛想でしても、女児やつ阿爺とうさん、阿爺と歓迎して、帽子ぼうしをしまったり、れはよくするのです。私もまったく女児を亡くしてがっかりしてしまいました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)