“おとつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
阿父42.3%
御父15.4%
11.5%
父親7.7%
阿爺7.7%
父上3.8%
教父3.8%
親父3.8%
養父3.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
阿父おとつさんとは打つて変つた酒飲みで、酒さへあれば、天国などは質に入れてもいといふたちで毎日浴びる程酒を飲んでは太平楽を言つてゐた。
飲酒家 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
御母おつかさん、それぢや御父おとつさんにまないぢやありませんかと云ひさうな所で、急にアポロ抔を引合にして、呑気につて仕舞ふ。それでゐて顔付かほつき親子おやことも泣きしさうである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おとつさんはかへらないけれどね、いつものね、うなぎるんだよ。」
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『して見ると——今御家にいらつしやるのは、父親おとつさんに、貴方に、それから省吾さんと、斯う三人なんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其耳があてに成らないサ。君の父上おとつさんは西乃入にしのいりの牧場に居るんだらう。あの烏帽子ゑぼしだけ谷間たにあひに居るんだらう。それ、見給へ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
実に我輩も意外だつた、君の父上おとつさんがくならうとは。何卒どうか、まあ、彼方あちらの御用も済み、忌服きぶくでも明けることになつたら、また学校の為に十分御尽力を願ひませう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「これあ教父おとつつあんでねえだか!」と、じろじろと相手を見詰めながら教父が喚いた。
本氣ほんきだよ親父おとつさん! ラクダルさんのやうにわたし怠惰屋なまけやになるのだ。』
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それからといふものは、まあ娘に言はせると、奈何どうしても養父おとつさんの態度しむけとは思はれないと言ふ。かりそめにも仏の御弟子ではないか。袈裟けさつけて教を説く身分ではないか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)