父親おとつ)” の例文
『しかし、』とお志保はすゞしいひとみを輝した。『父親おとつさんや母親おつかさんの血統ちすぢ奈何どんなで御座ませうと、それは瀬川さんの知つたことぢや御座ますまい。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『して見ると——今御家にいらつしやるのは、父親おとつさんに、貴方に、それから省吾さんと、斯う三人なんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御存じでせう、其穢多は御出入と言つて、稲を一束づゝ持つて、皆さんの父親おとつさんや祖父おぢいさんのところへ一年に一度は必ず御機嫌伺ひに行きましたことを。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「君の父親おとつさんは其樣そんなに嚴格だつたかね。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)