“祖父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じい44.1%
ぢい9.6%
おじい7.8%
そふ7.4%
じじい5.2%
じじ4.4%
おぢい4.1%
おほぢ1.9%
1.5%
おじいさん1.5%
オホヂ1.1%
ぢぢ1.1%
ぢぢい1.1%
おおじ0.7%
おぢいさん0.7%
じいさん0.7%
ぢゝ0.7%
ぢゞい0.7%
じっ0.4%
ぢゞ0.4%
おじじ0.4%
0.4%
おじ0.4%
おほちち0.4%
おんぢい0.4%
おゝじ0.4%
じゞ0.4%
じゞい0.4%
ぢいさん0.4%
ぢゝい0.4%
オシユマイ0.4%
オシユメイ0.4%
ヂヾ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夕飯ゆうはんのあとは、お祖父じいさん、お祖母ばあさん、少年しょうねんの三にんが、いろりのはたでえだ松葉まつばをたき、毎晩まいばんのようにたのしくおはなしをしました。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「つまりほら、家のお祖父ぢいさんはあんなに若かつたのだとか家のお祖母ばあさんはあんなに美しかつたのだと話される時が来ると云ふんだ。」
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
女は可愛い自分の祖父おじいさんでも抱くように七十歳の、だぶだぶした麻の詰襟服を着たアレキサンドル・ミハイロヴィッチの肩にさわった。
赤い貨車 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しかし祖父そふきたいと思ってるのは、そんなものではなかった。祖父そふは口をつぐんで、もうクリストフに取りあわないふうをした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
でも大人おとなしくて、なんにも悪い事はあるんじゃありませんけれども、私の祖父じじいは、「口を利くから、怖くって怖くって、仕方がなかった。」
「ああしんど」 (新字新仮名) / 池田蕉園(著)
……兄が台治荘たいじそう滕県城とうけんじょうで戦死してから、祖父じじ祖母ばばがあまり淋しがるので、こちらへ帰って来ましたの……もう二年になりますわ。
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
仕方がないやつぱり私も丸木橋をば渡らずはなるまい、ととさんも踏かへして落ておしまいなされ、祖父おぢいさんも同じ事であつたといふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
翁が祖父おほぢの其の祖父すらもうまれぬはるかの往古いにしへの事よ。此のさと一五二真間まま手児女てごなといふいと美しき娘子をとめありけり。
なんとも覚えのない悲しさで「走りごくで一等とったさかい、お祖父やんも安心してお前を働きに出せる。人間はらくしよ思たらあかん」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
わたしはそう思うの。曾祖父ひいじいさん祖父おじいさんはきっと十四両秤をつかったんですよ。普通の秤に掛ければ、せいぜい九斤か八斤くらいのものです
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その耳面刀自と申すは、淡海公の妹君、郎女の祖父オホヂ南家ナンケ太政ダイジヤウ大臣には、叔母君にお當りになつてゞおざりまする。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
祖父ぢぢはわたくしの申したことが聞こえた顔もせず、筆を筆立へ納めて、大欠伸おほあくびをし、母に命じていた書物かきものを待たせて置いた小僧にやらせました。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
そこでわしたち子供一同は一塊りに寄りたかつて、老いこんでもう五年の余も煖炉ペチカから下りて来ない祖父ぢぢいの話に聴き入つたものぢや。
祖父おおじ伯叔父おじおじ、一統いずれも故人だが、揃って能楽師だった母方のその血をうけて、能が好きだから、間を見ては舞台をのぞく。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二十代や三十代の、だ血の気の生々なま/\した頃は、人に隠れて何程どれほど泣いたか知れないよ、お前の祖父おぢいさん昔気質むかしかたぎので、仮令たとひ祝言しうげんさかづきはしなくとも、一旦いつたん約束した上は
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
わしは何でもお前の言うことを聞いてやるはずだったのだ、この老いぼれたばかな祖父じいさんをお前は思うとおりにすることができたのだ。
祖父ぢゝが死んだといふ悲むべき報知を聞いても、更に涙一つこぼさうでもなく
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ちひさいとき祖父ぢゞいからいたはなしに、あるさむらひうまつて何處どこかへ途中とちゆうで、きふこの早打肩はやうちかたをかされたので、すぐうまからんでりて、たちま小柄こづかくやいなや、肩先かたさきつてしたため
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勉が寝不足で蒼く乾いた顔を洗う間、祖父じっちゃんは草箒で格子の前あたりをちっと掃き、掃除のすんだ部屋へ上って坐った。アヤがチャブ台を出す。
小祝の一家 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
祖父ぢゞが若い時分、撃剣の同門の何とかといふ男が、あまり技芸に達してゐた所から、ひと嫉妬ねたみを受けて、ある夜縄手みちを城下へ帰る途中で、だれかに斬り殺された。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そうか、それはよくしてくれた。お前が祖父おじじ祖母おばばの側にいてくれるなら、おれも安心して冥土へ帰ることができる」
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
今の主人の祖父いさんのカルロの遣つた事を聞いて見ると好い。お前もどうせ女房を持つのだから、あれを聞いて置いたら、ためになるだらう。
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
一月号の「けい」では私上野の祖父おじを思い出して一生懸命に拝見いたしました。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
棚畑の煙草の花の夏霞祖父おほちちのみ墓今ぞ飛び越ゆ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なにも、家伝かでん秘法ひはふふて、勿体もつたいけるでねえがね……祖父おんぢいだいからことを、やう見真似みまねるでがすよ。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
世に珍しい美女にお生れになりながら、りに選って祖父おゝじ曾祖父ひいおゝじのような夫をお持ちなされたのでは、さぞ御不満なことがおありであろう。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
湯屋の裏口から駈出して小日向に参りましたのは、祖父じゞ祖母ばゞの葬ってある寺は小日向台町だいまち清巌寺せいがんじで有りますから参詣を致し、それから又廻り道をして両国へ掛って深川霊岸れいがん寺中じちゅう永久寺えいきゅうじへ参り
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
く毀してくれた、あゝかたじけない、真実な者じゃ、なアる程左様……これは先祖が斯様な事を書遺かきのこしておいたので、わし祖父じゞいより親父も守り、幾代となく守りきたっていて
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひとりでそれを心配して、孫や孫やとしきりに重右衛門ばかりを力にして、何うか貴様は、親父おやぢのやうに意気地なしには為つて呉れるな、祖父ぢいさんの代の田地でんちを何うか元のやうに恢復くわいふくして呉れと
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ロミオ (從者にむかひ)おれには炬火たいまつれ。かる陽氣やうき手合てあひは、舞踏靴をどりぐつかゝと澤山たんと無感覺むかんかく燈心草とうしんぐさこそぐったがよい。おれは、祖父ぢゝい訓言通をしへどほり、蝋燭持らうそくもちをして高見たかみ見物けんぶつ
男の祖先と女の祖先(此を祖父オシユマイ祖母アツパアといふ)とが眷属を連れて招かれた家々に行つて、楽器を奏し芸尽しなどをするが、大人前オシユマイが時々立つて、色々な教訓を家人に与へ
此は考位ヲトコカタの祖先の代表と謂ふ祖父オシユメイと、妣位ヲンナカタの代表と伝へる祖母アツパアと言ふのが、其主になつて居る。大人前オシユメイは、家人に色々な教訓を与へ、従来の過ち・手落ちなどを咎めたりする。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかも、とんぼう髷を頂に据ゑた祖父ヂヾ曾祖父ヒヂヾの代まで、萌えては朽ち、絶えてはひこばえして、思へば、長い年月を、民族の心の波のウネりに連れて、起伏して来た感情ではある。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)