祖父おぢい)” の例文
仕方がないやつぱり私も丸木橋をば渡らずはなるまい、ととさんも踏かへして落ておしまいなされ、祖父おぢいさんも同じ事であつたといふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『だがマア、お父さんやおつかさんの意見も聞いて見なくちやならないし、それに祖父おぢいさんだつて何か理屈を言ふだらうしね。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「はあ、お年寄としよりのリヴァズさまが此處に住んでゐらつしやいました。それから祖父おぢいさまも曾祖父ひいおぢいさまもその前にね。」
さうなつたら、私は祖父おぢいが買つて下すつたこの家で自害しますよ。故郷へ歸つて清から隱居を貰つて生きてゐたり、福岡三界へいて行つたりする氣には些ともなれないよ。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
……この匕首あひくちはなあ、阿母さんのお父さん……竹ちやんの祖父おぢいさんの記念かたみや、これをお前にあげるよつてなア、……阿母さんが死んだら、これを阿母さんやと思うて、大事にするんやで。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今の独逸皇帝の祖父おぢいさんがウイルレム一世である位の事は知らぬ人もあるまい。
仕方しかたがない矢張やつぱわたし丸木橋まるきばしをばわたらずはなるまい、とゝさんもふみかへしておちてお仕舞しまいなされ、祖父おぢいさんもおなことであつたといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くお天氣てんきには、とほ近江あふみくに伊吹山いぶきやままで、かすかにえることがあると、祖父おぢいさんがとうさんにはなしてれたこともありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
高田家の三代許り以前まへの人が、藩でも有名な目附役で、何とかの際に非常な功績てがらをしたと言ふ事と、私の祖父おぢいさんが鉄砲の名人であつたと言ふ事だけは記憶おぼえてゐる。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
祖母おばあさんがおよめにときふる長持ながもちから、お前達まへたち祖父おぢいさんのあつめた澤山たくさん本箱ほんばこまで、そのくらの二かいにしまつてりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私の物心ついた頃、既に高田家に老人としよりが無かつた。私の家にもなかつた。かすかに記憶えてゐる所によれば、私が四歳よつつの年に祖父おぢいさんが死んで、狭くもない家一杯に村の人達が来た。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
御存じでせう、其穢多は御出入と言つて、稲を一束づゝ持つて、皆さんの父親おとつさんや祖父おぢいさんのところへ一年に一度は必ず御機嫌伺ひに行きましたことを。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
旅館に滞在するお父さんが鈴木の家の様子などを聞きに来ると、お節は叔父さんのおつかさん(彼女の祖父おぢいさんの妹)に何処どこか似たやうな快活な調子で地方にある大きな家庭の光景ありさまを話して聞かせた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)