“家中”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うちじゅう34.1%
かちゅう33.5%
うちぢゆう8.2%
うちぢう6.6%
いえじゅう4.4%
かちう2.7%
いへぢう2.2%
いへぢゆう1.6%
かちゆう1.6%
うちじゆう1.1%
やうち1.1%
うち0.5%
うちじう0.5%
うちゞう0.5%
うちヾう0.5%
なか0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家中うちじゅう無事か、)といったそうでございますよ。見ると、真暗まっくらな破風のあいから、ぼやけた鼻がのぞいていましょうではございませんか。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されば、まだことの虚実きょじつは明確に申しあげられませぬが、東海道——ことに徳川家とくがわけ家中かちゅうにおいてはもっぱら評判ひょうばんいたしております。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小指は家中うちぢゆう祕藏兒ひざうつこ、泣蟲の小僧だが、始終母親の腰巾著になつて引摺られてゐるから、まるで啖人鬼女ひとくひをんなの口にぶらさが稚兒ちごのやうだ。
五本の指 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
父が二階を下りて行ったのち、慎太郎は大きな眼を明いたまま、家中いえじゅうの物音にでも聞き入るように、じっと体をこわばらせていた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かれちゝは十七のとき、家中かちう一人ひとりを斬り殺して、それがめ切腹をする覚悟をしたと自分で常に人にかたつてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
亭主は家中いへぢうに有りけのお金でお神さんの望み通りの馬車をこしらへて遣りました。お神さんは喜んでそれに乗つて方々をかけまはりました。
金剛石 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
世間をはゞかるやうにまだ日の暮れぬさきから雨戸あまどめた戸外おもてには、夜と共に突然とつぜん強い風が吹き出したと見えて、家中いへぢゆう雨戸あまどががた/\鳴り出した。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
舊くはあるがゆかしい家中かちゆう屋敷で、庭に咲く百日紅さるすべり、花はないまでも桔梗、芍藥なぞ、この地方の夏はそこにも深いものがあつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
家中うちじゆうをとぼして何かまだ笑ひさゞめいてゐる店もあつた。その家々の屋根の上には、雪が降つたかと思ふやうに月のひかりが白く照り渡つてゐた。
叔母一行が来て家中やうちが賑つてる所へ、夕方から村の有志家が三四人、門前寺のやなに落ちたといふ川鱒をつて来て酒が始つたので、病床のお柳までが鉢巻をして起きるといふ混雑
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お母様が家中うちに置いておくと教育上悪いからというので、私に預けておかれたものですが、最早もう明日あしたからは貴方が一軒の御家庭の主人公になられるとうけたまわりましたから、御返却おかえしに参りました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まあ何と思ふておいでなさるとこんな事を問ひかけるに、おつしやるまでもなく、どんなに家中うちじうが淋しく成りましよう、東京ここにお出あそばしてさへ、一ト月も下宿に出て入らつしやる頃は日曜が待どほで
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帳塲ちやうば女主あるじもかけして唯今たゞいまありがたうと同音どうおん御禮おれいたのんでいたくるましとて此處こゝからしてせば、家中うちゞうおもておくしておいでまちまするの愛想あいさう御祝儀ごしうぎ餘光ひかりとしられて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幾十年と無く毎朝まいあさめた五種香しゆかうにほひがむつと顔を撲つ。阿母さんが折々一時間も此処こヽに閉ぢこもつて出て来ぬ事がある丈に、家中うちヾうこの内陣計りはあたヽかいやうななつかしい様な処だ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
老臣おとなは、しぶりながらも、家中なかへはいって行った。闇太郎は、あたりを眺めまわすように
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)