“うち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウチ
語句割合
33.7%
24.9%
9.7%
7.6%
4.9%
自宅1.9%
1.7%
1.7%
1.7%
自家1.6%
(他:398)10.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
現に僕のうちの女中などは逆まに舟の映ったのを見、「この間の新聞に出ていた写真とそっくりですよ。」などと感心していた。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
内弟子に参って惣領そうりょう新五郎しんごろうと云う者をうちへ呼寄せて、病人の撫擦なでさすりをさせたり
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その時の彼の心のうちには、さっき射損じた一頭の牡鹿おじかが、まだ折々は未練がましく、あざやかな姿を浮べていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのうちにクリストは、埃と汗とにまみれながら、折から通りかかった彼の戸口に足をとどめて、暫く息を休めようとした。
さまよえる猶太人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
艦隊の戦士たちは、言葉もなく、潮風しおかぜにヒラヒラとひらめく信号旗の文句を、心のうちに幾度となく、繰返し読んだ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……何、いい夢なら、あえて覚めるには及ばんのじゃ……しかし萩原、夢のうちにも忘れまいが、東京の君の内では親御はじめ、
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どう遊ばしたんだろうね?」と障子をあけてうちに入りながら「なんなら帳場したへそう言って、お迎人むかいをね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
わしひろつて、婦人をんなかはいて、それから障子しやうじうちそと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うちへ着いて遺骨を仏壇の前に置いた時、すぐ寄って来た小供が、ふたを開けて見せてくれというのを彼女は断然拒絶した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「でもどのくらいあったら先生のようにしていられるか、うちへ帰って一つ父に談判する時の参考にしますから聞かして下さい」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「わたくしも、せめてこの一月なり自宅うちに戻って楽々としていたら、このような病い、じきになおろうと思いますが――」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
自宅うちから心配して迎えに来た忠義な手代に会いは会うても、大阪という処が、どこかに在りましたかなあという顔をしていた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
嘔吐もどしたら、また食べる迄の事さ。食べては吐き、食べては吐きしてるうちに船も仏蘭西の港へ着かうといふものだ。」
「いかゞでございませう、このお品では。それからお洗濯せんだくなさいますうち別のがお入用いりようだと存じますが。」
三年回でしたから、私たちからのお供えとして、丸帯の立派なのをこわして仏壇の「うちしき」をこしらえてもって行きました。
長「贅沢と云やア雉子きじうちたてだの、山鳩やひよどりは江戸じゃア喰えねえ、此間こねえだのア旨かったろう」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
熱い葛湯くずゆでも飲んで、発汗したい希望をもっていた健三は、やむをえずそのまま冷たい夜具のうちもぐり込んだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だからこの夢に見るほど感心した頭が自分の監督組の生徒であると聞いて、思わずそうかと心のうちで手をったのである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二度目には自家うちで拵えた紙入れなどをお庄へ土産みやげに持って来てくれて、二階で二、三時間ばかり遊んで帰って行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
自家うちは正月元日でも、四囲あたりが十二月一日なので、一向正月らしい気もちがせぬ。年賀に往く所もなく、来る者も無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さうして従来通これまでどほりに内で世話をして、どんなにもあの人の目的を達しさして、立派に吾家うちの跡を取して下さい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「勝重さん、君の前ですが、この節吾家うちのものは皆で寄ってたかって、わたしに年を取らせるくふうばかりしていますよ。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それらの人たちに、家内うちおんなたちや、子供たちも交えて、三十数名のものが、土間に蓆をしいてずらりと二列に並ぶ。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
余程眠りこけて居たのか、昼寐から俺が覚めた時にはもう誰一人家内うちには居なかつた、昼間の活動でも見に行つたものと見える。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その金銭だけは持って行ってやらなければと考へて、その月の俸給を貰った晩、彼はそっと一人で、その女の居るうちに行った。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
四、五人の禿新造に取り巻かれて、奥のとあるうちから今しがた出て来た兜町らしい男を見ると、伝二郎は素早く逃げ出そうとした。
なう、悪く取つてくれては困るよ、あれを嫁に遣るから、それで我家うちとお前との縁を切つて了ふと云ふのではない、可いかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「悴は嫁をもらってるのに、やっぱり年よりに世話をかける、他家よそでは、嫁が姑に仕えるが、我家うちでは、姑が嫁に仕えるのだから」
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「まあ、そんな事があったのですか。なにかの心得になるかも知れませんから、良人うちにも一と通り話して置いて下さいよ。」
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「姉さん、これこれの都合ゆえ、どうか、こちらは人少なで広いから、良人うちの保養のために一室借して下さいな」
しかして新しき視力わがうちに燃え、いかなる光にてもわが目の防ぎえざるほどあざやかなるはなきにいたれり 五八―六〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
クレーチの名折なをれしゐたり、彼我等を見て己が身を噛みぬ、そのさまうちより怒りにとらはれし者に似たりき ―一五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わざと私が病んどる様に云うてなはるんやから。三度のものを一度にしても、実家うちほどええとこあらへんと、しみじみ思いまっせ。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「――じゃお嬢さん、私が口添えいたしますから、とにかくお吉と一緒に、川長の実家うちへお戻りなさいましな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを見ていた岡田弥市は何と思ったか、太刀を振りかぶってちょうど島田虎之助の背後うしろへ廻り、やッとおがうち
それに連れて二人の助太刀も、同じ門下の兄弟子二人と知れましたが、それにしてもその返りうちにした片相手は何人なにびとであろう。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かくて彼足を左にむけたり、我等は城壁をあとにし、一の溪に入りたる路をとり、内部うちにむかひてすゝめり 一三三―一三五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こゝには憂へ憂ひをとゞめ、なやみは目の上の障礙しやうげにさへられ、苦しみをまさんとて内部うちにかへれり 九四―九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
のらくらものの隙稼ひまかせぎに鑑札だけは受けているのが、いよいよ獲ものにこうずると、極めて内証に、森の白鷺を盗みうちする。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
――遊撃隊は三十五ノットの快速力で走りながら、腕におぼえの砲術で、胸がすくようなねらいうちをやった。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
と、それからは主人の着物を家庭うちで縫ふ代りに、女房かないや娘の物をそつくり仕立屋に廻す事にめたらしいといふ事だ。
それで、客も来ず、出懸ける訳にもいかず、二日目三日目となつては吉野も大分だいぶ退屈をしたが、お蔭で小川の家庭うちの様子などが解つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「もうえ加減に、鎧みたいなもん着るのん止めときなはれ。うち拝むさかい、あんな暑くるしいもん着んといて。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「要らねえよ。――うちこんなもの。……旦那さん。――旅行たびさきで無駄な銭を遣わねえがいいだ。そして……」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし自分は前に云う通り相当の身分のある親を持って朝夕に事を欠かぬ身分であるから生家うちにいては自滅しようがない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「このまま自分の生家うちへも、姉の家へも寄りついて行きたくはない」お島は独りでそれを考えていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして「主人うちがこまめにやってくれまっさかいな」と言い、これは柳吉のことをめたつもりだった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「親分さん、変なことがあるんですよ。――主人うちのへ言ったって、取り合ってくれませんから、明神様へお詣りをすると言って、出て来たんですが」
今迄黄ばんだ洋燈ランプの光の内に居て、急にうちの外へ飛出して見ると、何となく勝手の違つたやうな心地がする。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その時、吹き立てる喇叭や、打込む大太鼓の音がうちの外に轟渡とどろきわたりました。幾千人の群は一時に声を揚げて、
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「いえ、うちに訊いて下さい。私は御飯が濟むと自分の部屋へ引籠つて、それつきり朝まで一と足も出ません」
「新さん、短氣を起しちやいけないよ、又そのうちに良い話があるかも知れない。――私ぢや大した力にもならないが、うちの罪亡ぼしもあることだから、出來るだけの事はして上げ度い」
「養生には逗子ずしがいいですよ。実家さとでは子供もいますし、実家さとで養生さすくらいなら此家うちの方がよっぽどましですからね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
道子はすがれるあねたもとを引き動かしつつ「あたしうれしいわ、姉さまはもうこれからいつまでも此家うちにいるのね。お道具もすっかり来てよ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
秋「此処こゝかの、……ばゞア在宅うちか、此処かの、婆はいないか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ことによれば里見恭助という兄も在宅うちかもしれない。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
故里くにのほうに都合がついたら、趙君に面倒を見てもらって、帰りに、ハルビンまで家族うちのやつらを伴れて来てもらうつもりだ。
「そりやさうと、おまへ家族うちきまりをつけるつもりだつていふんだが、まあどうするつもりなんだね」としづかいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
主人は一息ついてから目を皿のようにして天井を指しながら宿うちの四階に居た乙女のように柔和なセルヴィヤ人が其のFであった。
二人のセルヴィヤ人 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
するとその翌朝になって帳場のそばの溜まりで、ガルソンから、けさ一人の支那人が宿うちから程遠からぬ所を流れている黄浦江おうほこうの河岸に惨殺されていた、と云う話を聞かされたのです。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)