“うち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウチ
語句割合
33.8%
25.2%
9.6%
8.2%
4.4%
1.8%
自宅1.8%
1.7%
自家1.6%
1.6%
吾家1.0%
家内0.8%
0.6%
良人0.5%
我家0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
実家0.4%
内部0.3%
家庭0.3%
0.3%
在宅0.2%
生家0.2%
0.2%
此家0.2%
主人0.1%
0.1%
家族0.1%
宿0.1%
0.1%
0.1%
私宅0.1%
当家0.1%
0.1%
住居0.1%
室内0.1%
家屋0.1%
0.1%
屋内0.1%
故家0.1%
此方0.1%
0.1%
0.1%
内裏0.0%
吾夫0.0%
宇智0.0%
待合0.0%
我夫0.0%
楼内0.0%
青楼0.0%
亭主0.0%
当寺0.0%
拙宅0.0%
故郷0.0%
本家0.0%
鴻池家0.0%
中村屋0.0%
吾寺0.0%
幕内0.0%
旗亭0.0%
主家0.0%
小舎0.0%
武男0.0%
私許0.0%
置屋0.0%
銀行0.0%
九女八0.0%
仲間中0.0%
住家0.0%
借家0.0%
内側0.0%
内外0.0%
内容0.0%
0.0%
0.0%
国内0.0%
在家0.0%
在宿0.0%
妾宅0.0%
婚家0.0%
宝塚0.0%
家中0.0%
家宅0.0%
家政0.0%
家眷0.0%
家裡0.0%
宿所0.0%
居宅0.0%
居酒屋0.0%
0.0%
当宅0.0%
我等宅0.0%
戸内0.0%
所天0.0%
打撃0.0%
0.0%
0.0%
故国0.0%
旅籠0.0%
旅館0.0%
旧家0.0%
有智0.0%
0.0%
本社0.0%
柳営0.0%
此船0.0%
浜中屋0.0%
漁屋0.0%
父親0.0%
0.0%
私家0.0%
笑の王国0.0%
自校0.0%
自楼0.0%
興行0.0%
0.0%
良人宅0.0%
芸妓屋0.0%
衷心0.0%
裏家0.0%
0.0%
0.0%
貸家0.0%
車内0.0%
轟家0.0%
道場0.0%
0.0%
院内0.0%
雨地0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すべ富豪かねもちといふものは、自分のうちに転がつてゐるちり一つでも他家よそには無いものだと思ふと、それで大抵の病気はなほるものなのだ。
青磁の皿 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
さればわが昨日きのふ遙かに御嶽おんたけの秀絶なる姿を群山挺立ていりつうちに認めて、雀躍して路人ろじんにあやしまるゝの狂態を演じたるもまたむべならずや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
むっとこもった待合のうちへ、コツコツと——やはり泥になった——わびしい靴のさきを刻んで入った時、ふとその目覚しい処を見たのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どのみち余計なことだけれど、お前さんを見かけたから、つい其処そこだし、彼処あそこうちの人だったら、ちょいと心づけてこうと思ってさ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そう自任していちゃ困る。実は君の御母さんが、家の婆さんに頼んで、君を僕のうちへ置いてくれまいかという相談があるんですよ」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と言うを耳にも掛けず、これでも言わねえか/\と二つ三つ続けうちたれて、多助は心の中で、情ないとは思いながらもしおらしく
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自宅うちにいると皮肉やで毒舌で、朝から晩まで女房に口小言をいっている藤木さんも、アンポンタンには馴染なじみ深い面白い大人だった。
念を押して、買って与えたが、半里はんみちと歩かないうちに、それもぼりぼり食べ終ってしまい、ややともすると、なにか物欲しそうな顔をする。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「昔自家うちにちよい/\来た時分には、俺はよく知らんが、何でもお前の部屋で騒いだりして、いやに活溌な奴らしかつたぢやないか」
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
主婦の黒い髪や黒い眼のうちには、幾年いくねんの昔に消えた春のにおいむなしき歴史があるのだろう。あなたは仏蘭西語を話しますかと聞いた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山ではなく吾家うちの食卓で、山の弁当を開くのは、ちよつと趣きがあるぜ——電灯を消さうか、そして、蝋燭をともさうか、そして
断唱 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
おらアまア家内うちの勝手も知んなくなったくれえだね、うかまアそんなことを云わずに、どうかおめえがいてくれねえば困りますから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百歳はその晩、警察で制服を和服に着換へて女のうちに行った。女達は暴風雨の来る前の不安で、何かしら慌だしい気分になって居た。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
「どうしてそんなに急に帰ることになったのです。実はそのことで、良人うちは今夜桐沢さんのところへ行っているのですが……。」
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なう、悪く取つてくれては困るよ、あれを嫁に遣るから、それで我家うちとお前との縁を切つて了ふと云ふのではない、可いかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
基督の信は、常にうちに神を見、神の声をけるより来たり、ポーロの信は、其のダマスコ途上驚絶の天光に接したるよりき出でたり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
幕府大筒役として千石をむ井上外記正継げきまさつぐは、同役稲富喜太夫直堅いなどめきだゆうなおかた(六百五十石)と、五貫目玉五十丁うちの事から争いを構え
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
むかし小野浅之丞あさのじようといふ少年があつた。隣家となりの猫が度々たび/\大事なひなを盗むので、ある日築山つきやまのかげで、吹矢で猫をねらうちにした。
Nは、いつか僕の実家うちに滞在するよりは反つて、キヤンプの方が自分にとつては便利だなどと云つたことがあるが、此処は、これでも靴を
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
また他の能力ちからをかへりみることなしとみゆ、知るべし、我等の内部うちに燃ゆる魂、一のみならじと思ふは即ち誤りなることを 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
女房ももち、養女も貰い、金のまわりが楽になると、露八はほとんど、家庭うちにはいなかった。道楽のうちでしないのは博奕ばくちだけであった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もうえ加減に、鎧みたいなもん着るのん止めときなはれ。うち拝むさかい、あんな暑くるしいもん着んといて。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「ありがとう、おねこさま」と、狼がこたえました、「おくさまぎつねは、お在宅うちじゃないの?」
日ぐれまぐれをねらって舟町の生家うちの背戸の方へ、まるでコソ泥のように、びくびくもので忍び寄ったわけさ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
真綿帽子を脱いでうちの内に入る地主の後に随いて、私も凍えた身体を暖めに行った。「六俵の二斗五升取りですか」
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此家うちでは賓客きやくかへつたあとと見えまして、主人あるじみせ片付かたづけさせて指図さしづいたしてりますところへ、おもてからこゑけますから、主
そして「主人うちがこまめにやってくれまっさかいな」と言い、これは柳吉のことをめたつもりだった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
うちは參會があつて淺草へ出掛けるし、私は定吉と明神樣へお詣りに行くから、その間に來て、よくお駒と話して見ては何う? お駒だつて、父親の言ふ事や
何でも、「今から森の中にいる家族うちの者に逢いに行く。」といって聞かないのだそうだ。「森の中に、あの子の家があるのか?」と聞くと、「あるもんですか。」とミタイエレが言う。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
するとその翌朝になって帳場のそばの溜まりで、ガルソンから、けさ一人の支那人が宿うちから程遠からぬ所を流れている黄浦江おうほこうの河岸に惨殺されていた、と云う話を聞かされたのです。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
うちの者がうちの食べものを知らないでは困るからというので食べさせたら、非常に喜んだけれども、もう九十人になると、宅へ来た時のように、いろいろ名乗るわけにもゆかないので
私の小売商道 (新字新仮名) / 相馬愛蔵(著)
「あ、因業いんごふ佐野喜の親爺か、この春の火事で、女を三人も燒き殺したうちだ。下手人が多過ぎて困るんだらう」
私宅うちだって金庫を備えつけて置くほどの酒屋じゃアなし、ハッハッハッハッハッハッ。取られる時になりゃ私のとこだって同じだ。大井さんは済んだとして、あとの二軒は誰が行くはずになっています
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そのな、焼蛤は、今も町はずれの葦簀張よしずばりなんぞでいたします。やっぱり松毬まつかさで焼きませぬと美味おいしうござりませんで、当家うちでは蒸したのを差上げます、味淋みりん入れて味美あじよう蒸します。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こゝにぬぐひ扶桑ふさう第一の富士をいだせり、そのさま雪の一握ひとにぎりをおくが如し。人々手をうち、奇なりとび妙なりと称讃しようさんす。千しようけい応接おうせふするにいとまあらず。
地味な気性でも若い芸妓である、雛妓こどものうちから顔馴染なじみの多い土地で住居うちをもったから、訪ねてくるものもある。
まへはまだないのかえ、と障子しようじそとからこゑをかけて、おくさまずつとたまへば、室内うちなるをとこ讀書どくしよつむりおどろかされて、おもひがけぬやうなあきがほをかしう、おくさまわらふてたまへり。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と考へ夫々それ/\趣向しゆこうをいたし、一々いち/\口分くちわけにして番号札ばんがうふだけ、ちやんとたなへ、何商法なにしやうはふでもお好次第このみしだい世辞せじがあるといふまでに準備が出来できた、これで開店するといふのだが、うも家屋うち構造かゝりむづかしい
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は、卑怯な第四号機の後から、機関砲をつるべうちにうちかけた。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
あるいは「東洋の紐育ニュウヨーク」もしくは「東洋の桑港サンフランシスコ」——こう呼ばれている上海シャンハイも、昔ながらの支那街としての県城城内へ足を入れれば、腐敗と臭気と汚穢おわいとが、道路そとにも屋内うちにも充ち満ちていて
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その間僕は下宿をしたり、故家うちにいたり、あちらこちらに宿をかえていた。僕が大学を出たのは明治二十六年だ。元来大学の文科出の連中にも時期によってだいぶ変わっている。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
植村さまも好いお方であつたものをとお倉の言へば、何があの色の黒い無骨らしきお方、学問はゑらからうともどうで此方うちのお嬢さまがついにはならぬ、根つから私は褒めませぬとお三の力めば
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
食事は美味うまかった。なんて他愛のないことだろう。その晩、私は気が晴々して、気分も好く、若やいでいた。そして、その晩を知事のうちで過ごした。私は機知に富む男だと讃められた。
狂人日記 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
ロミオ、父御てゝごうちへおぢゃれ。あそこでまうぞ。
「昼間、内裏うちなどに入らっしゃるようなお積りで、此処にだって入らっしゃれませんか?」と半ば常談のように言い足した。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「ところが、青山さん、吾夫うちの言い草がいいじゃありませんか。おそく夜道を帰って来るところが、おれの俳諧はいかいですとさ。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、以後の大和の宇智うち郡や南葛城地方には、しばしば、えたいの知れない郷軍の活躍が目だって来ている。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「じゃやっぱり彼家あすこにしよう。……僕もあんまり行かない待合うちだがお宮を初めて呼んだ待合だから」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
筋の違つた腹立をついむら/\としたのみなれば、妾はどう我夫うちのするばかりを見て居る訳には行かず、殊更少し訳あつて妾がどうとか為てやらねば此胸の済まぬ仕誼しぎもあり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その顔はかねて仲の悪い楼内うちの花子という花魁そのままで、可愛らしいような憎らしいような、どうしても憎らしい女で、平田が故郷くにへ帰ッたのはこの娘と婚礼するためであッたことも知れて来た。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
もうこの世界でも起きている青楼うちはないらしい。ばったりと絃歌げんかもやんでしまった。丑満うしみつの告げはさっき鳴ったように思う。一同が引揚げてからでもやや一とき余りは経つ……
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、もう沢山で御座います。十両の金は我々に取っては大変な物で御座いますよ。早速亭主うちの野郎に見せて腰を抜かさして遣ります」と嬶さんは急いで小判をしまい出した。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「そうしてなあ良助さん。そのお島どんがなあ……御存じかも知れんが、当寺うちの本堂の……ホラ……あすこの裏手に住んでおりまする非人の処へイツモ立寄って行きましたそうで……これは寺男の話で御座いまするが……」
御新造ごしんぞ様、わたくしは余計な事を申すようでございますが、岡野おかの太夫だゆう様なぞは、以前は殿様/\と申上げたお方だが、拙宅うちへお手紙で無心をなさるとは、どのくらいの御苦労か知れません
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「私は、今、漢江の神女となっていますから、故郷うちへ帰ることはすくないのですが、鴉の使いが二度も来て、あなたの御心切を知らしてくれましたから、お眼にかかりに来たのです」
竹青 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
じつ今度こんどると、ボズさんがない。昨年きよねん田之浦たのうら本家うちかへつてなくなつたとのことである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「あの皿はうちの物とそつくり同じやつた。同じ青磁の皿が世間に二つあるやうでは、鴻池家うちの顔に関はるよつてな。」
「そうですね。中村屋うちへ来て一年になりますが、喧嘩を、そういえば見たことがありませんね。」
私の小売商道 (新字新仮名) / 相馬愛蔵(著)
「お前、来てどうだい、中村屋うちと外でちがったところはお辞儀をしないだけか。」
私の小売商道 (新字新仮名) / 相馬愛蔵(著)
『へえ、吾寺うちの前まで? 酔つて居ても娘のことは忘れないんでせうねえ——まあ、それが親子の情ですから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あゝ吾寺うちの和尚さんも彼年齢あのとしに成つて、だ今度のやうなことが有るといふは、全く病気なんですよ。病気ででも無くて、奈何して其様な心地こゝろもちに成るもんですか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
急に幕内うちへ入って母に向いあのラマは私共が宿を貸さなかったのを怒って悪い兕法まじないを唱えて我らを殺すか病気にするような行いをして居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そのテントについてぜひここに泊めてくれと頼んだところが、この通り幕内うちには五人も居って入る所がないという始末しまつ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「先生、よほどここの旗亭うちがお気に召しましたね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一トぎして、水っぱた旗亭うちまで行こうや
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慣々なれなれしく私のそばへ来て、鍋のけてある水中みずのなかを覗いて見たり、土塀から垂下っていた柿の枝振えだぶりを眺めたり、その葉裏から秋の光を見上げたりして、何でもない主家うち周囲まわり
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「十一時半。主家うちじゃもう十時になれば寝るんだよ。さあ、さっさと御帰りよ」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「なアに何家どこかかあも同じことよ。彼女あれはここへ来ても、小舎うちにいても、せっせと仕事をしているだ」
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
わしは彼女あれの悪口などいいともねえがの、亭主っていうものは、年中かかあそばにばかりくっついていられるもんじゃねえだ。毎日野良へ出なけりゃなんねえし、また兵隊の召集で、一月も小舎うち
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
お千鶴さんとこの兄さんが外務大臣で、先方へ乗り込んで講和の談判をなさるでしょう、それから武男うちが艦隊の司令長官で、何十そうという軍艦を向こうの港にならべてね……
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
……武男うちにいろいろするのが、おかあさまのお気に入らないには困るわ! それで、いつでも此家ここではおかあさまが女皇陛下クイーンだからおれよりもたれよりもおかあさまを一番大事にするンだッて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ほかの同商売にはそんなことはえようだが、くるわ中のを、こうやって引受けてる、私許うちばかりだからいやじゃあねえか。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私許うちへ預って、取りに来てせたものが、鏡台の上にあるは、いかがでござい。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勝手口に近い隣の置屋うちでは多勢の売女おんなが年の瀬に押し迫った今宵こよい一夜を世をてばちに大声をあげて
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そういってお宮のいる置屋うちからつい近所の待合まちあいに入った。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
銀行うちにいるならいるでその方法を講じ度いと思うしね、他なら他で丁度婦人記者を探してるところがあるから、何ァに給料のことは心配せんでも、その点は私が保証してさしあげますよ。
罠を跳び越える女 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「そうだよ。つまり、その、あんたの腕が禍いしたんだな。銀行うちの人達ァあんたの料理じゃ気に喰わん、とこういうのだよ。他に伝染しないうちに、あんたを追放しようとするんだね。ハハハハ……」
罠を跳び越える女 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
ねえ、お前さん、この雨の工合は、九女八うちの芸のような——地震加藤とか光秀みつひでをやる時の——底光りがしてるじゃねえか。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
和女そもじ殿御とのごは、それ、其處そこ胸元むなもとにおにゃってぢゃ。パリスどのもぢゃ。さゝ、尼御達あまごたち仲間中うちへ、たのうで和女そもじれておかう。あれ、夜番よばんるわ、委細ゐさいことあとで/\。
「なアに、これから僕の住家うちまで行つて、明方まで飲むんだ。」
露路の友 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「ウム。いろんなことを執固しつこく聞いては、それを焼き焼きしたねえ。それでもあの年三月うちを持って、半歳はんとしばかりそうであった、が秋になって、蒲生がもうさんの借家うちに行った時分から止んだねえ」
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
見ると板戸は閉切たてきってあるものの内側うちから心張しんばりがかかっている様子がまんざら無人とは思われない。
川の空をちりちりと銀のはさみをつかうように、二声ほど千鳥が鳴いたあとは、三味線の声さえ聞えず戸外そと内外うちもしんとなった。
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
聞けよ。かりそめにも、過って、この書状の内容うち
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
写真機ばもつて行たツ、わしどんば、みんなうちいてくるツてツたい……。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「煩いよ、算術みたいなことを云ふな。何と云つたつて病はされ方が貴様とは違ふ。おまけに俺は貴様のやうな、あんな、柄の長いうち……」
鶴がゐた家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
……しかしそれとて条件があって、国内うちは四民に不満なく、国外そと外国いこく侵逼しんひつなく、五穀実り、天候静穏、礼楽ことごとく調うような、理想的政治を行なうなれば、預けまかせておいてもよかろう。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「今日は。竹兄哥あにい在家うちかえ」
「たっ、た、大変だ、大変だ! おっ、親分在宿うちかえ。」
従って町の雰囲気も違って来た——お麻さんが選んだ妾宅うちは、朝々年寄った小役員でも出てゆきそうな家だった。母親は台所のためによばれていったので藤木さんの不服は一方ならずであった。
「妾はお葬式とむらいにも行けなかったが。……それもこれも婚家うちの事情で。……旦那様のご病気のために。……それで菊弥や、妾の所へ来たのだねえ」
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「この人は文学少年時代なか/\宝塚うちのフアンでね」
大正東京錦絵 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
お母様が家中うちに置いておくと教育上悪いからというので、私に預けておかれたものですが、最早もう明日あしたからは貴方が一軒の御家庭の主人公になられるとうけたまわりましたから、御返却おかえしに参りました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ってというので、音助に言付け万事出立の用意が整いましたから立たせて遣り、ようやく五日目に羽生村へちゃく致しましたが、聞けば家宅うち空屋あきやに成ってしまい
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はげしいヒステレーで気が変になって東京在の田舎の実家さとへ引っ込んでいる隠居の添合つれあいが、家政うちを切り廻している時分には、まだ相模さがみの南の方から来て間もないほどの召使いであった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『省吾さん。』と丑松は少年の横顔を熟視まもり乍ら、『君はねえ、家眷うちの人の中で誰が一番好きなんですか——父さんですか、母さんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大層大きな荷物で重うござりましょうというような話でじきに家裡うちに通してくれたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それを十日も経たない内にもう使用つかッちまって、またくれろサ。宿所うちならこだわりを附けてやるんだけれども……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
最後に和尚は、早くあごの下へひげを生やして、地面を買って居宅うちを御建てなさいと勧めた。余は地面を買って居宅を建て得る身分なら何も君の所に厄介になっちゃいないと答えたかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう鎮守様の近くよ、彼処まで行くと、居酒屋うちの灯が見へるわよ。彼処まで行つて、若し三人が歩けなくなれば、彼処からならあたしがお父さん! と大きな声で呼びさへすれば、父さんが馬車を
歌へる日まで (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
男の居るうちへ行って頼めばよいのに女ばかり居る所へ来て押し付けに泊ろうとはもっての外だ。行かないか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あんまり見瘻みすぼらしい処へ通いますから、家柄にも拘わると思いまして、それほど気に入ったひとなら、当宅うちへ引取って召使ってはどうかと勧めましたけれども、安島は、そんな事はない。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ねエ、あなた、千々岩さんが我等宅うちに出入りするようなことはありますまいね
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
という声が戸内うちから聞こえる。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
所天うちに云うのもいやだから黙っております
藍微塵の衣服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わがために短かつたあの春は嵐のたけりに、暗い氷雨ひさめ打撃うち
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
このうたにて人々めでたし/\ときやうじ、手などうちていさみよろこび、ふたゝびさかづきをめぐらしけり。
是故に凡て我が此言を聴きて之を行う者はいわの上に家を建し智人かしこきひとに譬えられん、雨降り、大水出で、風吹きて其家をうちたれども倒れざりき、そは磐をその基礎いしずえと為したれば也
「めっぽう寒いじゃねエか。故国うちにいりや、葱鮪ねぎまで一ぺえてえとこだ。きち、てめえアまたいい物引っかけていやがるじゃねえか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「さてさて。とんだ旅籠うちへ泊りあわせたものだて」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼食ひる前に舟の用意をして、すぐ前の渚にそれを繋いだ。そして昼食を済した時温泉場から婢が来た。それは青年の滞在している旅館うちの女中で、二つの褞袍どてらの大きい包を届けたのであった。
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「あ、赤坂の旧家うちじゃない。」
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「まず、念仏を先に唱え候え。——自分の有智うち、無智、悪行、善行、職業、骨肉、すべての碍障げしょうはばめられず、ひたすら、仏光に向って、一念十念、称名しょうみょうあること浄土の一歩にて候ぞや」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うちから枯れる
極楽とんぼ (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
本社うちの戸田と三田村がきょうの警視庁詰でね。
一ツ橋、清水の三卿、保科、桑名の親藩輩が、結託してわしを陥穽かんせいしたが、冬次郎めも一味だな! ……柳営うち民間そとと呼応して、今日の計画にしおったのだな!
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何も船長おやじを悪く云うんじゃねえんでがす。此船うち船長おやじと来た日にゃ海の上の神様なんで、万に一つも間違いがあろうたあ思わねえんでがすが、しゃくさわるのはあの小僧でがす。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
上野の戦争の後、浜中屋うちのおっ母さんだの、芙雀ふじゃくだの、団十郎だのと、一緒くたに逃げて来て、ずるずるべったりに静岡で暮らしているんです
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樽野は鴎丸の漁屋うちで、雨の日には夫々天に向つて舌を鳴らしながら酒宴を催しに集つて来る老若の、七郎丸、大々だい/\丸、鱗丸、三郎兵衛丸、潮吹丸、づくにゆう丸、鯖子さばこ丸、般若丸、サイトウ丸
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
父親うちではあの通り休んでおりますから、神田の平次親分でも頼んで来ましょうか」
されば他国かのくにひじりの教も、ここの国土くにつちにふさはしからぬことすくなからず。かつ八三にもいはざるや。八四兄弟うちせめぐともよそあなどりふせげよと。
「私、お蕎麦そばは食べたくない。私家うちまでいらっしゃいよ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「新婚」のアチャラカ振りは益々甚しい、袖で見てた、生駒のとこの山原老人が「笑の王国うちでも近頃此んなのはござんせん」
「君が行きたくないということは、実に惜しいことだ。他にも候補者はいるけれど、自校うちでは四年から一高か三高へ大丈夫はいれるのは君ぐらいだからな」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「あたしのことだったら平気よ。ああきっとそうよ。自楼うちの犬が犬同士密告したんだわ。ほっほ。おもしろい! あたし、からかってやろう。」そして女はすそをけってたって行った。
お蔦 どこへ飛んで行くか知れない体だけれど、楽しみにして角力が興行うちにきたら番付に気をつけてみるよ。あ、取り的さんの名は、まだ聞かなかったっけねえ。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
その人のうちに泊り込んで、私は此寺ここに仮入学をしたいがどういう手続にすればよいかと尋ねますと、いろいろ教えてくれました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
まさしく良人宅うちに置きたるわが箪笥たんす! 長持ち! 鏡台!
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この裏家うちから高褄たかづまをとって、切火きりびをかけられて出てゆく芸妓姿はうけとれなかったが、毎日細二子ほそふたこ位な木綿ものを着て、以前もとの抱えられた芸妓屋うちへゆき
世のちまたに駆けめぐる人は目のみを鋭く働かしめて耳を用いざるものなり。衷心うち騒がしき時いかで外界そとの物音を聞き得ん。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この裏家うちから高褄たかづまをとって、切火きりびをかけられて出てゆく芸妓姿はうけとれなかったが、毎日細二子ほそふたこ位な木綿ものを着て、以前もとの抱えられた芸妓屋うちへゆき
それから裾を引きずる緋のうちかけを纒うた尼さんの衣をしたゝあざやかな眞紅に燃え立たせた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
若い未亡人達が博士のうちを訪ねて来る事もあれば、また博士の方から、出掛けてく事もあつた。
そうしながら心は種々いろいろに迷うた。何うせ他へ行かねばならぬのだから家を持とうかと思って探しにも行った。出歩きながら眼に着く貸家うちには入っても見た。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
あめ次第しだいつよくなつたので外面そと模樣もやう陰鬱いんうつになるばかり、車内うち退屈たいくつすばかり眞鶴まなづる巡査じゆんさがとう/\
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
轟家うちの財産だって、もうイクラも残ってやしないし……貴方も相当に貯め込んでいらっしゃるにしても遊びが烈しいからタカが知れてるわ
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこらに、ゴロゴロころがっている、河岸のまぐろの生きの悪いような先生方を、もう一度、息を吹っ返させてやったらどんなものだね——それでもみんな道場うちへかえりゃあ、先生だろうから。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「変だな。出物だと申したが、地金じがねが匂う。まだ金いろも生新しいのみか、うちは上手だが、片切かたきりのまずさ」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや。ジフテリ程度の注射なら耳鼻科医せんもんでなくとも院内うちっております」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
雨地うち月天げってん
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)