吾寺うち)” の例文
『へえ、吾寺うちの前まで? 酔つて居ても娘のことは忘れないんでせうねえ——まあ、それが親子の情ですから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あゝ吾寺うちの和尚さんも彼年齢あのとしに成つて、だ今度のやうなことが有るといふは、全く病気なんですよ。病気ででも無くて、奈何して其様な心地こゝろもちに成るもんですか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
猫を飼つて鼠を捕らせるよりか、自然に任せて養つてやるのが慈悲だ。なあに、食物くひものさへ宛行あてがつてれば、其様そんな悪戯いたづらする動物ぢや無い。吾寺うちの鼠は温順おとなしいから御覧なさいツて。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)