“温順”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おとな64.0%
すなほ12.0%
おとなし10.0%
すなお3.0%
をとな3.0%
やさしげ1.0%
をんじゆん1.0%
おと1.0%
おとなしき1.0%
おんじゆん1.0%
すなを1.0%
とな1.0%
やさし1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「これ、温順おとなしく寝てるものを、そうッとして置くが可い」とお種は壁に寄せて寝かしてある一番幼少ちいさい銀造の顔をのぞきに行った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何様しても彼様しても温順すなほ此方こちの身を退くより他に思案も何もない歟、嗚呼無い歟、といふて今更残念な、なまじ此様な事おもひたゝずに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「ああ、妾が必然きっと連れて来て見せるから、温順おとなしくして待っておいで。え、それでもいやかえ。ねえ、お葉さん、確乎しっかり返事をおよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どうしてもこうしても温順すなお此方こちの身を退くよりほかに思案も何もないか、ああないか、というて今さら残念な、なまじこのようなことおもいたたずに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
気分すぐれて良き時は三歳児みつごのやうに父母のひざねぶるか、白紙を切つて姉様の製造おつくりに余念なく、物を問へばにこにこと打笑うちゑみて唯はいはいと意味もなき返事をする温順をとなしさも
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そんでも怨みもしねえで母様かゝさま大事でいじにする、あんな温順やさしげな人はねえと噂をして居りやんすよ、どうかマア軽躁かるはずみの心を出さなければいと心配しんぺいして居りやんすから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ためし見るに應答うけこたへの言葉遣ひ温順をんじゆんにて自然其中に勇氣をふくみ又父兄を大切になす孝悌かうていそなはり殊に力量早業は目前に見し事ゆゑ心の中に思ふやうすべ藝道げいだうを習ひておぼゆるを人と云習はずして其業に妙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お友達を訪ねて行くなどということは、余りなかったけれども、決して温順おとなしい、陰気な子供ではなかった。したがって、じっと書斎に閉じ籠って、書いてばかりいたのだとは思えない。
昔の思い出 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
送りけるに惡きは惡きよきはまたよきとて之をにするは是また親のつねなれば長左衞門夫婦の者は長三郎の温順おとなしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
周三はさひはいに、頑冥ぐわんめいな空氣を吸つて、温順おんじゆん壓制君主あつせいくんしゆ干渉かんしよう服從ふくじうしてゐたら、兵粮の心配は微塵みじんもない。雖然彼の城は其の根底がぐらついてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
猶飽きたらでや温順すなをなる母迄追出し、京より怪しげの女を家につれこみて、のめ、くらへと、明日あすをも知らぬ氣狂ひ三昧。
山家ものがたり (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今日は朝から大不機嫌で、お嬢様に当り散し、聞くに堪えない悪口を浴びせかけたので、お温順となしいお嬢様も我慢がお出来にならなかったと見え、遂いに大口論となりました。
深夜の客 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「ほんたうに小米さんの様な温順やさしい人はありませんでしたよ」と、花吉は、吐息といきらしぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)