“おとなし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
温順18.5%
音無18.5%
温和18.5%
柔和9.3%
大人9.3%
柔順5.6%
温柔3.7%
温良3.7%
順1.9%
穏和1.9%
優容1.9%
從順1.9%
沈静1.9%
温厚1.9%
穏1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
到底(どうせ)貰(もら)う事なら親類某(なにがし)の次女お何(なに)どのは内端(うちば)で温順(おとなし)く器量も十人并(なみ)で私には至極機(き)に入ッたが、この娘(こ)を迎えて妻(さい)としては
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
音無(おとなし)の酒倉を襲つてやれ、太十の金庫を覆へしてやらう、奴等の財宝は悉く俺達のものも同様なのだ——私達は海よりも広い安心の夢に抜手を翻して
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
売物と毛遂(もうすい)が嚢(ふくろ)の錐(きり)ずっと突っ込んでこなし廻るをわれから悪党と名告(なの)る悪党もあるまいと俊雄がどこか俤(おもかげ)に残る温和(おとなし)振りへ目をつけてうかと口車へ腰を
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
弁天ぼりに水およぎの折も我が組に成る人は多かるまじ、力を言はば我が方がつよけれど、田中屋が柔和(おとなし)ぶりにごまかされて、一つは学問が出来おるを恐れ、我が横町組の太郎吉(たろきち)、三五郎など
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで代助は、あの大人しさは、羞耻(はにか)む性質の大人(おとなし)さだから、ミスの教育とは独立に、日本の男女(なんにょ)の社交的関係から来たものだろうと説明した。父はそれもそうだと云った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
吹かし居たる柔順(おとなし)やかなる爺(おやじ)「年増(としま)しに世の中がヒドくなるよ、俺の隣に砲兵工廠へ通ふ男があつたが、——なんでも相当に給料も取つてるらしかつたが、其れが出しぬけにお払函(はらひばこ)サ、外国から新発明の機械が来て、女でる間に合ふからだと云ふことだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
今まで友達と思っていた鼻が、生前の温柔(おとなし)さにも似ず余りに無法な方言をするのに驚かされて、巻き添いを喰いはしまいかという極度の恐怖から、かように正気を失ったものと察せられました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「でも、温良(おとなし)いわ。妾(あたし)、此(この)犬が大好(だいすき)よ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
冠(かぶ)つて煖炉(ストオブ)の前に膝を並べた時分の姿が目に附いて、嗚呼(ああ)、順(おとなし)い間を、と力抜(ちからぬけ)がして了ふ。貴様これが人情だぞ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「私(わたくし)還りません! 貴方がさう酷く有仰(おつしや)れば、以上還りません。いつまでも居られる躯(からだ)ではないのでございますから、順(おとなし)く還るやうにして還して下さいまし」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其新聞には野口雨情君も行くのだと小国君が言ふ。「甚麽(どんな)人だい。」と訊(き)くと、「一二度逢つたが、至極穏和(おとなし)い丁寧な人だ。」
気障(きざ)も厭味(いやみ)もない、言語(ことば)から挙動(ものごし)から、穏和(おとなし)いづくめ、丁寧づくめ、謙遜づくめ。デスと言はずにゴアンスと言つて、其度些(ちよい)と頭を下げるといつた風(ふう)。風采は余り揚つてゐなかつた。
而已(のみ)ならず、乙姫様が囲われたか、玄人(くろうと)でなし、堅気(かたぎ)でなし、粋で自堕落(じだらく)の風のない、品がいいのに、媚(なまめ)かしく、澄ましたようで優容(おとなし)やか、お侠(きゃん)に見えて懐かしい。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然しあまりに私が素知らぬ振をしてゐるので、さすがに斷念(あきら)めたものか、昨年あたりからはその事も失くなつてゐた。そしてそれ以後は私の前では打つて變つて愼しやかに從順(おとなし)くなつてゐた。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
馬鹿野郎め、と親方に大喝されて其儘にぐづりと坐り沈静(おとなし)く居るかと思へば、散かりし還原海苔(もどしのり)の上に額おしつけ既鼾声(いびき)なり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『アノ人は面白い人でして、得意な論題でも見つかると、屹度先づ給仕を酒買にやるんです。冷酒を呷(あふ)りながら論文を書くなんか、アノ温厚(おとなし)い人格に比して怎やら奇蹟の感があるですな。』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
民弥、猿若、もう駄目だ! 穏(おとなし)く従いて来るがいい。アッハッハハ飛んでもない奴等だ、そんな小供や小娘に、裏掻かれるような俺達なら、とうの昔に縛られている……さあさあ帰れ従いて来い。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)