“おとな”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オトナ
語句割合
大人38.5%
温和19.0%
訪10.0%
温順7.9%
温柔4.2%
成人4.0%
穏3.3%
柔順2.6%
柔和1.5%
穩0.9%
音無0.9%
温0.7%
優0.7%
従順0.7%
穏和0.6%
温厚0.6%
音訪0.5%
温良0.4%
順0.4%
長老0.2%
乙名0.2%
老僕0.2%
優柔0.2%
家長老0.2%
男子0.1%
老臣0.1%
和0.1%
善人0.1%
家人0.1%
宿老0.1%
從順0.1%
柔0.1%
穏順0.1%
紳士0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「あの木(き)を切(き)るのは、かわいそうだ。」といって、大人(おとな)たちに向(む)かって、同意(どうい)を求(もと)め、この木(き)を切(き)ることに反対(はんたい)したでありましょう。
町はずれの空き地 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども一体どうしたのかあの温和(おとな)しい穂吉の形が見えませんでした。風が少し出て来ましたので松の梢(こずゑ)はみなしづかにゆすれました。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
翌晩、坊舎の窓を叩き、訪(おとな)う声がした。雨戸を開けると、昨夜の狸が手に栂(つが)の小枝をたずさえ、それを室内へ投げ入れて、逃げ去った。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
そうすると、内輪に歩くということ、人形のように温順(おとな)しくしているということなどが「女らしさ」の一つの条件であることは確かです。
「女らしさ」とは何か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
……ええかね君……温柔(おとな)しく従(つ)いて来たまえ。悪くは計(はか)らわんから。ええかね。君はあの女優が殺された空屋の近くに住んでいるだろう。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さう云ふ時のさびしい、たよりのない心もちは、成人(おとな)になるにつれて、忘れてしまふ。或は思ひ出さうとしても、容易に思ひ出し悪(にく)い。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
呍咐(いひつか)つた通り云ふと、穏(おとな)しく帰つたのよ。それからお主婦さんと私と二人で散々揄揶(からか)つてやつたら、マア野村さん酷い事云つたの。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『鳥渡(ちよつと)人好きはよくないかも知らんが極く無口な柔順(おとな)しい男で、長く居るだけ米国の事情に通じて居るから、事務上には必要の人才(じんさい)だ。』
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「サア、新さんが柔和(おとな)しいからね。」と嫂も曖昧(あいまい)なことを言った。そうして溜息を吐(つ)いた。その顔を見ると、何だか望みが少なそうに見える。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蛇苺(へびいちご)、芍藥(しやくやく)、雪(ゆき)の下(した)、もつと穩(おとな)しい隱立(かくしだて)よりも、おまへたちの方(はう)がわたしは好(すき)だ。滅(ほろ)んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
其時間が画家の意識にさへ上(のぼ)らない程音無(おとな)しく経(た)つに従つて、第二の美禰子が漸やく追(お)ひ付(つ)いて来(く)る。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
動物が巣にいる幼い子供を可愛がるように、家畜を可愛がっていたあの温(おとな)しい眼は、今は、白く、何かを睨みつけるように見開(みひらか)れて動かなかった。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
猫(ねこ)は愛(あい)ちやんを見(み)て、唯(たゞ)その齒並(はなみ)を見(み)せたばかりでした。優(おとな)しさうだと愛(あい)ちやんは思(おも)ひました、矢張(やつぱり)其(そ)れが大層(たいそう)長(なが)い爪(つめ)と澤山(たくさん)の齒(は)とを持(も)つてゐたので、鄭重(ていちやう)にしなければならないとも考(かんが)へました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「不足なう教育も受けてゐながら、人並にしてゐれば幸福に暮せるものをどうして従順(おとな)しくしてゐる事が出来ないのだらう」
日記より (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
「醜なかないじゃないの。あたしあんたが好きよ。穏和(おとな)しいんだもん。義公みたいになまっ白(ちろ)い、それでいて威張っている奴なんか大嫌さ」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「どうして達雄さんのような温厚(おとな)しい人に、あんな思い切ったことが言えたものかしらん」こう森彦が言出した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と音訪(おとな)う者あり。聞覚えのある声はそれ、とお録内より戸を開けば、外(おもて)よりずっと入るは下男を連れたる紳士なりけり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが彼は、温良(おとな)しい上に、ただ一つの潔癖がある。それは、自分が愛し得ない女には、指一つ触れることさえ出来ない性情だった。愛の潔癖性、それが彼を青春時代の危機から、救ってくれた。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
前髮(まへがみ)を切(き)り下(さげ)て可愛(かはゆ)く之(これ)も人形(じんぎやう)のやうに順(おとな)しくして居(ゐ)る廣庭(ひろには)では六十以上(いじやう)の而(しか)も何(いづ)れも達者(たつしや)らしい婆(ばあ)さんが三人立(にんたつ)て居(ゐ)て其(その)一人(ひとり)の赤兒(あかんぼ)を脊負(おぶつ)て腰(こし)を曲(ま)げ居(を)るのが何事(なにごと)か婆(ばあ)さん聲(ごゑ)を
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
今から、横佩墻内(よこはきかきつ)へ馳(か)けつけて、彩色を持って還(かえ)れ、と命ぜられたのは、女の中に、唯一人残って居た長老(おとな)である。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
譜第(ふだい)の乙名(おとな)島徳右衛門が供をする。添島、野村は当時百石のものである。裏門の指揮役は知行五百石の側者頭高見権右衛門重政(しげまさ)で、これも鉄砲組三十挺の頭である。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
付村の探訪(めあかし)薩摩傳助(さつまでんすけ)赤貝(あかがひ)六藏の二人を連(つれ)咽(のど)の乾(かわ)きし體にて此寺へ這入り水を乞(こひ)て飮(のま)んとし乍(なが)ら樣子を窺(うかゞ)ひ居たるにお芳は味噌(みそ)が足(たら)ぬとて臺所へ來り老僕(おとな)に味噌を出させるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
サの字が無ければ、今夜も優柔(おとな)しく、と言えば体裁が可(よ)い、指を銜(くわ)えて引込もうと、屹(きっ)と思って熟(じっ)と視ると、波打つ胸の切符に寄せる、夕日に赤い渚(なぎさ)を切って、千鳥が飛ぶように、サの字が見えた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
理分に非分にも、これまで、南家の権勢でつき通してきた家長老(おとな)等にも、寺方の扱いと言うものの、世間どおりにはいかぬ事が訣(わか)って居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
菊枝 その揚句には親達も、男子(おとな)、女子(をなご)も見さかい無う切り付くるのぢや……
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
あれ向ひから男子(おとな)が大勢来るわい。そんならほんの暫(しばし)がほどぢや。(去)
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
老臣(おとな)は、しぶりながらも、家中(なか)へはいって行った。闇太郎は、あたりを眺めまわすように
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
じっと、見て老臣(おとな)が——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
威嚇的に物をいわれたこと不快でもあれば業腹(ごうはら)でもあったが、例の理由のない圧迫に押されて、そういう本心を出すことができず、つい和(おとな)しく慇懃(いんぎん)にそんなように口から出したのであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
といいますと根が善人(おとな)しい人ですから「それもそうです」というて済(す)んでしまったものの余程懸念(けねん)して居られました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼女は、自分をこんなに困らせる家人(おとな)を、自分も困らしてやろうとばかり考えた。暗い陽(ひ)の遠い味噌蔵に這(はい)っている、青大将も怖(こわ)くなければ、いたずらに出てくる鼠(ねずみ)にも馴(な)れた。
少焉(しばし)ありて猶太(ユダヤ)宗徒の宿老(おとな)の一行進み來て、頭を露(あらは)して議官の前に跪きぬ。その眞中なるを見れば、美しき娘持てりといふ彼ハノホにぞありける。式の辭をばハノホ陳べたり。
「結構でございましたよ。從順(おとな)しくて調法で。」(ではこの人が自然からと同じく富にも惠まれてゐると思はれるあの後つぎの娘オリヴァ孃か!)
若い妓は柔(おとな)しかった。むっともしそうな頬はなお細って見えて
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道理で先刻(さつき)から穏順(おとな)しいと思つた。すこし母さんが見て居ないと、直に斯様(こん)な真似を為る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私ノ中学ノ幾多ノ先輩ガ窮屈極マル——ソレハ日露戦争時代ノ軍事教育ヲ旨トシテヰル老曹長ナル学生監(チユウタア)ノ圧迫ガ酷イノデアルタメ——学窓ヲ放タレルト同時ニ急ニ不思議ナ紳士(おとな)ニナツテ数々ノすきやんだるヲ遺シテヰルノヲ見テモ実ニ寒心ニ堪ヘン次第デアリマス。
熱海線私語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)