“先刻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さっき63.4%
さつき23.1%
せんこく6.3%
さき2.8%
さきほど1.8%
さきがた0.6%
サツキ0.5%
さきに0.2%
さッき0.2%
いましがた0.2%
さいぜん0.2%
さきた0.2%
きつき0.1%
さツき0.1%
いま0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『それぢや困るぢやないか。たまにたのむんだもの、何んとかしてくれたつてよささうなもんだね、先刻さっきからあんなに頼んでるぢやないか?』
惑ひ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
あかとりおどろいて、くもをかすめて、ふたたび夕空ゆうぞら先刻さっききたほうへと、んでいってしまいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其の時突然玄關の戸を動かしたものがある。相島は一寸立つたが思ひついた樣に後がへりして先刻さつきの古い本を持つて出た。玄關の所で話聲がする。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
えゝ成程なるほどそれぢやア先刻さつきまへさんところへお赤飯せきはんげたれいなすつたのかね。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
先刻せんこくから、賛否さんぴいずれともいわなかった、年のころ二十五、六さい小柄こがらな紳士は、そのとき突然とつぜん立ちあがって、
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「決して旦那の後を跟けたわけぢや御座いません。先刻せんこく旦那の前へ行つた、あの綺麗な新造が、何處へ行くかと思つて、ちよいと、その——」
すると池の上で先刻さきがたの鶺鴒が一声いて向うの岸に飛んで行くのである。二郎は、その鶺鴒の下りた林の方に目を移して又考え込んでしまう。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おりからしとやかに戸を排して、静かにここに入り来たれるは、先刻さきに廊下にて行き逢いたりし三人の腰元の中に、ひときわ目立ちし婦人おんななり。
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御新造ごしんぞ先刻さきほど、三ぎでも御座ござりましたろか、お實家さとからのおむかひとて奇麗きれいくるまえましたに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「左門様が、あなた様のお父様の敵などとは夢にも知らず、先刻さきほどから、紙帳の中で、物語りいたしましたは真実ではござりまするが、何んの貞操みさおを!」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「今日は鰹が大分獲れる相な、先刻さきがたたんとあつたのでお父さん等、町へ船で持つて行つてござつたさうや。」とお桐が言つた。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
蝦蟇は先刻さきがたまで、物蔭で大学教授のやうに哲学を考へてゐたが、滅法腹が空いたので、のつそり明るみへ這ひ出して来たのだ。
先刻サツキから、聞えて居たのかも知れぬ。あまり寂けさに馴れた耳は、新な聲を聞きつけよう、としなかつたのであらう。だから、今珍しく響いて來た感じもないのだ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
「それはあんたには分るまい。お母さんは一人先刻サツキから考へることがあつたの。」
その頃の生活 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
むくろは中心を失ひて、真逆様まつさかさまになりけるにぞ、かゝとを天井に着けたりしが、血汐ちしほ先刻さきにはぎを伝ひて足の裏を染めたれば
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一人いちにんの男ありて正体も無く眠れるは、けだし此家このやの用人なるが、先刻さきに酒席に一座して、酔過ゑひすごしてねたるなれば、今お村が僵れ込みて
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貴方あなた、御飯が食べられて? あたし何ぼ何でも喰べられなかったわ、あんま先刻さッき詰込んだもんだから。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かぢ「先刻さッき豆腐屋の前でさむらえたれていて、可愛相だから連れて来て泊めたんだが、何だよお前」
その今日になった先刻いましがた、勘助があわただしくとび込んで来て、貝十郎と配下二人が、用ありそうに雑踏の城下をしのびやかに歩いて行ったと告げた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……それはとにかく今日先刻いましがた俺はこの方と逢いました。そうです向こうの林の中で岩太郎さんと逢ったのです。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と正直に答えますと、暫く私どもの顔を見上げておりました非人は、先刻さいぜん、呉れてやった味噌チリの面桶めんつうむしろの蔭から取出しました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……私はそれから裏口の梔子くちなしの蔭にむしろを敷きまして、煙管きせるくわえながら先刻さいぜん蒸籠せいろつくろい残りをつづくっておりましたが
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
先刻さきた、俺ア來る時、巡査ア彼家あすこへ行つたけどら。今日檢査の時ア裏の小屋さ隱れたつけア、誰か知らせたべえな。昨日から顏色つらいろア惡くてらけもの。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
先刻さきた、俺ア来るどき、巡査ア彼家あすこへ行つたけどら。今日検査の時ア裏の小屋さ隠れたつけア、誰か知らせたべえな。昨日きのなから顔色つらいろア悪くてらけもの。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
豊後が理由わけを訊くと、先刻きつき忠成は道の通りがかりに、腹が空いて困るから、湯漬ゆづけなりと振舞つて欲しいと言つて、座敷に上り込み、主人も家来も負けず劣らず大食おほぐひをして帰つたあとだと解つた。
末松夫人は先刻きつきから悪い者が通りかゝつたと思つて、身体からだ乾葡萄ほしぶだうのやうに平べつたくして、成るべく見つからないやうにしてゐたが、老人に呼びかけられて、強ひてぢ曲げるやうに笑顔を作つた。
先刻さツき小屋こやはいつて世話せわをしましたので、ぬら/\したうま鼻息はないき体中からだぢゆうへかゝつて気味きみわるうござんす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此処こゝ先刻さツきからすんでござつたのが、みぎ売薬ばいやくぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先刻いまの奴らがやって来て、また虐めないものでもない。遠慮をするな、送ってやろう」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)