“さっき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
先刻87.1%
前刻5.4%
数奇1.9%
最前1.9%
殺気1.3%
先程0.8%
0.6%
以前0.4%
先方0.2%
0.2%
(他:1)0.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
先刻さっき郵便を出してから、神田を散歩して、電車を降りて家へ帰るまで、宗助の頭には小六の小の字もひらめかなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
青年は、何か答えようとして、口を動かした。が、言葉の代りに出たものは、先刻さっきの吐血の名残りらしい少量の血であった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
……御堂の外格子――あの、前刻さっききざはしから差覗さしのぞいた処はただ、黒髪の暗いすだれだったんですがな。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とそこで一つ腰をかがめて、立直った束髪は、前刻さっきから風説うわさのあった、河野の母親と云う女性にょしょう
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女はあきらかな驚きを全姿に見せた。――その恒性の数奇さっきな身の上は、後醍醐に次いでは、彼女ほど詳しく知っている者はない。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お前は、なんていう数奇さっきな因果を、ひとりであつめた人間だえ? ……」と他人になって、その影を、しみじみといたわり慰めてやりたかった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは大変と吃驚びっくりして袋を調べて見ると、最前さっき美留女姫が鋏で切り破った穴が、袋の底に三角にいている。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
甲給仕 足下おぬしをば、大廣間おほびろまで、最前さっきから呼ばってぢゃ、さがしてぢゃ、尋〓たづねまはしてぢゃ。
棒頭は殺気さっきだった。誰かが向うでなぐられた。ボクン! 直接じかに肉が打たれる音がした。
人を殺す犬 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
が、夫人の顔は、やゝ殺気さっきを帯びているものゝ、その整った顔の筋肉一つさえ動かさなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
見れば先程さっきの奴が自分の形装みなりで居りますから、八右衞門は突然いきなり此の野郎と云いながら、一生懸命に這上がって
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「卓一さんが死んだって、ど、どうしたんでしょうか。先程さっき信造さんから知らせがあったんですけれども、うちが出ているもンでどうしようもないんですよ」
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
何が故であるか、そのおそい時刻はさっきのかの女をおそうた幻影の内にもう一度かの女を引き摺り込むのであった。
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
こう云って光子はにや/\笑って居る。成る程そう云われて見れば、さっきは確かに動いて居たあの蛇が、今はじっととぐろを巻いて少しも姿勢を崩さない。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「もう少し以前さっき
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
中にも藍丸王の十人の組は、以前さっきの樫の森から東側へかけて、夕方まで探していたが、最早もはや日が暮れかかってもそれらしい影は愚か、小雀ことり一羽眼に這入らぬから、皆落胆がっかりして疲れ切ってしまって、約束の通り最前さっきの樫の樹の森へ帰ろうとした。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
門野に聞いたら、へえそうです、先方さっきから待って御出ですという答であった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
咽喉の奥ではむせぶような気がするのをじっこらえながら、表面うわべは陽気に面白可笑く、二人のいる前で、さっき言った
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
千種十次郎の顔は次第に真剣になります、早刻さっき早坂勇から聴いた、岡崎の言うのが本当か、それとも鳥子の方が本当か、もう一度スタートを踏み直して考える必要があります。
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)