“あと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アト
語句割合
47.5%
23.0%
10.4%
3.7%
3.2%
痕跡1.1%
1.0%
0.9%
0.7%
0.6%
(他:124)7.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
盆踊りのあと淫猥いんわいの実行が行われるから困ると非難する者もあるが、その実行は盆踊りの後に限ったことではない。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
それで「東京へ」とだけ付け加えましたら、叔父がすぐあとを引き取って、「よろしい決して心配しないがいい」と答えました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一幅ごとに残っている開閉あけたて手摺てずれあとと、引手ひきての取れた部分の白い型を、父は自分に指し示した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四角なかに、円い蟹、「生きて居る間のおの/\のなり」を果敢はかなく浪の来ぬ間のすなあとつけたまでだ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
先に這入つた年上の僧が目食めくはせをすると、あとから這入つた若い僧が五郎兵衛を押しけて戸締とじまりをした。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
下女が更紗さらさの座布団をとこの前へ直して、どうぞこれへと引き下がった、あとで、鈴木君は一応室内を見廻わす。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先生の俳句を年代順に見て行くと、先生の心持といったようなものの推移して行ったあとが最もよく追跡されるような気がする。
夏目先生の俳句と漢詩 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
たとい一分間でもこの従妹いとこを、注意の中心として、みんなの前に引き出そうとする努力のあとさえありありと見えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、次には、足なみを早めた騎歩兵五、六千にものぼる汗の顔が、一隊また一隊とつづき、みるみる法成寺あとの森へかくれた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは俗称藪之郷やぶのごうさがまつ、一乗寺あとの田舎道と山道の追分で、辻は三つまたにわかれている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
念のために机掛けをまくって、机の表面まで一々検めて行ったが、これも直ぐに拭いたと見えて何の痕跡あとも発見されなかった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そうだ、これから出かけて行き、広場の様子を見てやろう! 格闘したものなら痕跡あとがあろう。殺されたものなら血痕があろう」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから蛸と同類で、現世界には化石となってのみあとを留むるアンモナイツは、漢名石蛇というほどいた蛇によく似いる。
しかもその成し遂げたあとを見るに、そこには人文の中心に向ってかなでられる微妙な諧和が絶えず鳴り響いている。
次ぎに山形県では最上もがみの山寺のふもとに、一つの景政堂があってそこの鳥海とりのうみの柵のあとだといいました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
西風にしかぜかわかしてはさらさらといててもにはなほいくらかなみあとがついてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此詩は茶山と波響との交を知る好資料であつて、たゞに甲子舟遊の発端を見るべきのみでなく、寛政より文政に至る間の二三聞人の聚散のあとがこれに由つて明められる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
天衣無縫と言おうか、鳥道あとなしと言おうか、まるで引っかかりがありません。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かれの任務は、時節のくるまで、世相を不安と頽廃たいはいとに、あとうかぎり、ただらせてしまうことにある。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある種の嗜慾しよく以外は、貪りあとう飽和点を味い締められるが故にかえって恬淡てんたんになれた。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
殺された嫁さんの亭主は泊りがけで、遠い海岸の方に出かけたきり、三四日帰宅しないというし、あとは全くの他人である。
惨事のあと (新字新仮名) / 素木しづ(著)
三人の土人が地にたおれた。あわてふためいたあとの土人は仆れた土人を抱きかかえ忽ち丘から見えなくなった。
永「もっとも幼少の時分からと云う訳じゃアないが、七八年あとから少々因縁有って御出家にならっしゃッたじゃ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三年あと沼田の下新田へ道連れの小平という胡麻灰ごまのはいを連れ、強談ゆすりに来たおかくばゝあで有りますからびっくり致し
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大丈夫でございますよ。後方あとが長浜、あれが弁天島。――自動車は後眺望あとながめがよく利きませんな、むこうに山が一ツ浮いていましょう。淡島です。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
後方あとへ歸りませう、如何樣どんなに嶮しくても、今迄の途なら知つてゐますから」たゞそれだけ、眼を閉ぢて動かない、冷たい風が下の方から吹いて來る。
(旧字旧仮名) / 吉江喬松吉江孤雁(著)
そは土器表面し付け模樣もようの中に撚りを掛けたるひもあと有るを以て推察すゐさつせらる。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
で、母が来いと云うから、あといて怕々こわごわ奥へ行って見ると、父は未だ居る医者と何か話をしていたが、私のかおを見るより、何処へ行って居た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『ハ。然うでごあんす。何れ後刻あとでお話しようと思つて、受け取つた譯でアごあせん、一寸お預りして置いただけでごあんす。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『はあ。』と省吾は笑つて、『わし後刻あとで蓮華寺へ行きやすよ、姉さんが来てもいゝと言ひやしたから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
金兵衛きんべゑさんにこれだけ残余あとはお長家ながやしゆうへツて、施与ほどこしでもするのか
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
瞬くうちに船一パイになったら、残余あとはソレキリ打っちゃらかしだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
石之助いしのすけとて山村の総領息子、母の違ふに父親てておやの愛も薄く、これを養子にいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
様子を聞くと、岩吉は故人になり、職人が家督あとを相続して仕事を受取って居りますことゆえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼はそこまで行くと、園内のにぎやかさを背後あとにして、塗りつぶしたような常緑樹じょうりょくじゅの繁みに対して腰を下した。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『ドツコイシヨ。』と許り、元吉は俥を曳出ひきだす。二人はその背後あとを見送つて呆然ぼんやり立つてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そうして昔の母屋を取払った遺跡あとが広い麦打場になっている下の段の肥料小舎ごやの前まで来ると、三人が向い合って立停って、小声で打合せを始めた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
アトでその爆発の遺跡あとをコッソリと見に行った時には文字通り「人間万事夢だ」と思ったね。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また、妊娠中に夫人が、北斗星を呑んだ夢を見たというので、幼名を「阿斗あと」とつけ、すなわち劉禅りゅうぜん阿斗あとと称した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は、強くかぶりを振った。そして阿斗あとの体を、趙雲の手へあずけると、急に、張りつめていた気もゆるんだか、がくとうつぶして、
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鬼は、手拭てぬぐいで堅く両眼りょうがんを閉められて、その石の間に立たされた。してあとのものは、足音を立てずに何処どこへか隠れてしまった。
過ぎた春の記憶 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三人ともきら/\する長いのを政七の鼻の先へ突き附け、しきりとおどし文句を並べ掛合って居りまするが、其の内に深く顔を包んで上座に居る奴がかしらで、あとは手下と見えまするから
「見えるわ。見えるわ。瓜、一面の瓜だ。」見覺えのあるやうな所と思つたら其處はいにしへの昆吾氏のあとで、成程到る所累々たる瓜ばかりである。
盈虚 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
「見えるわ。見えるわ。瓜、一面の瓜だ。」見覚えのあるような所と思ったら其処はいにしえ昆吾氏こんごしあとで、成程到る処累々たる瓜ばかりである。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そのあとから児供こどもを抱いて大きなおなかの野枝さんと新聞の写真でお馴染なじみの魔子ちゃんがついて来た。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
時に由ると、嬉しくて堪らぬようにあとから泥足どろあしのまま座敷まで追掛けて来てジャレ付いた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
されどこの輪の周圍まはりのいと高きところの殘しゝあとを人かへりみず、良酒よきさけのありしところにかび生ず 一一二―一一四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あとをこそふといへ、
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
『市ちやん、此方は今度「日報」へお出になつた橘さんといふ方だ、お年は若し、情は深し、トまでは知らないが、豪い方だからお近付になつて置け。他日あとになつて惡い事は無いぞ。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『市ちやん、このかたは今度「日報」へお出になつた橘さんといふ方だ、お年は若し、なさけは深し、トまでは知らないが、豪い方だからお近付になつて置け。他日あとになつて悪い事は無いぞ。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのほか大卓子テーブルの上には、茶を飲んだ形跡あともなければ、物を喰べた痕跡なごりもない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
翌朝になると早速さっそく裏木戸や所々ところどころと人の入った様な形跡あとを尋ねてみたが、いずれも皆固くとざされていたのでその迹方あとかたもない、彼自ら実は少し薄気味悪くなり出したが、女子供に云うべき事でもないので家人へは一言いちごんも云わずにいた。
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
十二の年に母は果てます、父はひどく力を落としまして後妻あともとらなかったのですから、子供ながら私がいろいろ家事をやってましたね。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
近頃ちかごろそれになんぢやねえけえ、あらほどしがつたのに後妻あともらあべえたあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
市「へえ、後日あとで分りますが、さアと云う訳になって、アヽうかてえば貴方あんたも泣かねえばなんねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
両親や祖母が困ったと言っていたのは、後日あとできいた思出でしょうが、そのふるいの音もいやだったに違いありませんが、その家全体が子供心にきらいだったのではないかと思われます。
「すりや、あとの七人は誰々たれ/″\でござりまするな。」
われわれの近づくのに気がついたか、くだんの男はこちらをふり向いた,見覚えの貌だ,よく見れば山奉行やまぶぎょうの森という人で、あとの二人は山方中間やまかたちゅうげんであッた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
『二十人来るにしても、三十八名に二十……残部あと十四名の不就学児童があるぢやありませんか?』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
然うでなければ、と考へて渠は四年前の竹山について、それかこれかと思出して見たが、一度下宿料を半金だけ入れて、残部あとは二三日と云つたのが、遂々たうたう十日も延びたので、下宿のアノ主婦が少し心配して居つた外、これぞと云ふ事も思出せなかつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
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