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蒲 松齢
蒲 松齢
1640.06.05 〜 1715.02.25
阿英(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
甘玉は幼な名を璧人といっていた。廬陵の人であった。両親が早く亡くなったので、五歳になる弟の珏、幼な名を双璧というのを養うことになったが、生れつき友愛の情に厚いので、自分の子供のよう …
阿霞(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
文登の景星は少年の時から名があって人に重んぜられていた。陳生と隣りあわせに住んでいたが、そこと自分の書斎とは僅かに袖垣一つを隔てているにすぎなかった。 ある日の夕暮、陳は荒れはてた …
阿繊(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
奚山は高密の人であった。旅に出てあきないをするのが家業で、時どき蒙陰県と沂水県の間を旅行した。ある日その途中で雨にさまたげられて、定宿へゆきつかないうちに、夜が更けてしまった。宿を …
嬰寧(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
王子服は莒の羅店の人であった。早くから父親を失っていたが、はなはだ聡明で十四で学校に入った。母親がひどく可愛がって、ふだんには郊外へ遊びにゆくようなこともさせなかった。蕭という姓の …
汪士秀(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
汪士秀は盧州の人であった。豪傑で力が強く、石舂を持ちあげることができた。親子で蹴鞠がうまかったが、父親は四十あまりの時銭塘江を渡っていて、舟が沈んで溺れてしまった。 それから八、九 …
王成(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
王成は平原の世家の生れであったが、いたって懶け者であったから、日に日に零落して家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり、細君と乱麻を編んで作った牛衣の中に寝るというようなみすぼらし …
庚娘(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
金大用は中州の旧家の子であった。尤太守の女で幼な名を庚娘というのを夫人に迎えたが、綺麗なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家 …
考城隍(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
予(聊斎志異の著者、蒲松齢)の姉の夫の祖父に宋公、諱を燾といった者があった。それは村の給費生であったが、ある日病気で寝ていると、役人が牒を持ち、額に白毛のある馬を牽いて来て、 「ど …
五通(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
南方に五通というみだらにして不思議な神のあるのは、なお北方に狐のあるようなものである。そして、北方の狐の祟りは、なおいろいろのことをして追いだすことができるが、江蘇浙江地方の五通に …
珊瑚(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
安大成は重慶の人であった。父は孝廉の科に及第した人であったが早く没くなり、弟の二成はまだ幼かった。大成は陳姓の家から幼な名を珊瑚という女を娶ったが、大成の母の沈というのは、感情のね …
小翠(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
王太常は越人であった。少年の時、昼、榻の上で寝ていると、空が不意に曇って暗くなり、人きな雷がにわかに鳴りだした。一疋の猫のようで猫よりはすこし大きな獣が入って来て、榻の下に隠れるよ …
織成(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
洞庭湖の中には時とすると水神があらわれて、舟を借りて遊ぶことがあった。それは空船でもあると纜がみるみるうちにひとりでに解けて、飄然として遊びにゆくのであった。その時には空中に音楽の …
成仙(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
文登の周生は成生と少い時から学問を共にしたので、ちょうど後漢の公沙穆と呉祐とが米を搗く所で知己になって、後世から杵臼の交といわれたような親しい仲であったが、成は貧乏であったから、し …
促織(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
明の宣宗の宣徳年間には、宮中で促織あわせの遊戯を盛んにやったので、毎年民間から献上さしたが、この促繊は故は西の方の国にはいないものであった。 華陰の令をしている者があって、それが上 …
偸桃(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
少年の時郡へいったが、ちょうど立春の節であった。昔からの習慣によるとその立春の前日には、同種類の商買をしている者が山車をこしらえ、笛をふき鼓をならして、郡の役所へいった。それを演春 …
田七郎(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
武承休は遼陽の人であった。交際が好きでともに交際をしている者は皆知名の士であった。ある夜、夢に人が来ていった。 「おまえは交游天下に遍しというありさまだが、皆濫交だ。ただ一人患難を …
翩翩(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
羅子浮は汾の人であった。両親が早く亡くなったので、八、九歳のころから叔父の大業の許へ身を寄せていた。大業は国子左廂の官にいたが、金があって子がなかったので、羅をほんとうの子供のよう …
封三娘(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
范十一娘は※城の祭酒の女であった。小さな時からきれいで、雅致のある姿をしていた。両親はそれをひどく可愛がって、結婚を申しこんで来る者があると、自分で選択さしたが、いつも可いというも …
蓮花公主(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
膠州の竇旭は幼な名を暁暉といっていた。ある日昼寝をしていると、一人の褐色の衣を着た男が榻の前に来たが、おずおずしてこっちを見たり後を見たりして、何かいいたいことでもあるようであった …
連城(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
喬は晋寧の人で、少年の時から才子だといわれていた。年が二十あまりのころ、心の底を見せてあっていた友人があった。それは顧という友人であったが、その顧が没くなった時、妻子の面倒を見てや …