“故”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ゆえ35.3%
ゆゑ12.3%
せい12.0%
ことさ7.9%
わざ7.8%
もと7.0%
せゐ4.5%
2.8%
わけ2.1%
ふる1.6%
(他:44)6.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
預想した悲劇を、なすがままの発展に任せて、隻手せきしゅをだに下さぬは、ごう深き人の所為に対して、隻手の無能なるを知るがゆえである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼らのひどい剛直さは、身体と魂との不治の頓馬とんまさ加減に由来することが多いけれども、世間ではそれを傲慢ごうまんゆえだとしている。
粗末なおでんすら、出来たてゆえに私たちの味覚をよろこばすのであるから、お座敷おでんといえる「なべ料理」は、相当の満足を与えるに相違ない。
鍋料理の話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
惡酒わるざけなるがゆゑのみならず元來ぐわんらい以上いじやうねつある病人びやうにん甘味うまからうはずがない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
少年労働者の中でも彼は頑強で気が荒いので幅をきかせでゐた、それゆゑ他の少年等も彼の云ふことには一々もつともだと云つてそれに味方した。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
これにはかならず同行どうぎやうのものあるゆゑ、そのかどにいたりてかねをならせば同行も家にありてかねをうちあいさつとしていできたる。
電車道の、鋪石ペーヴメントが悪くなっているせいか、車台はしきりに動揺した。信一郎の心も、それに連れて、軽い動揺を続けている。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
青木さんが、自殺の決心をしたとしても、それは私のせいではありません、あの方の弱い性格のせいだと、その婦人は云っているのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
こころからおどろることのみおおかったせいか、そのわたくしはいつに疲労つかれおぼ
主治医の加治老博士は、事態容易ならずと察してゐるが、ことさら落ちついた調子で、下枝子の滅し去らうとする感覚を呼びさますことに努めてゐる。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
鬼頭令門は、ふと机の上の「日誌」に眼をおとし、それと、千種の顔とを見比べて、なにか自分を責めたいやうな気持になつたが、ことさら快活に、
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ことさらにゑさせて、みぎよそほひでスリツパで芝生しばふんで、秋空あきぞらたか睫毛まつげすまして
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その弊所をごく分りやすく一口に御話すれば生きたものをわざと四角四面のかんの中へ入れてことさらに融通がかないようにするからである。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
髷も女優卷でなく、わざとつい通りの束髮で、薄化粧の淡洒あつさりした意氣造。形容しなに合はせて、煙草入も、好みで持つた氣組の婀娜あだ
まげ女優巻じょゆうまきでなく、わざとつい通りの束髪そくはつで、薄化粧うすげしょう淡洒あっさりした意気造いきづくり
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
従って何程なにほど古手の思想を積んで見ても、木地の吾は矢張やっぱりもとのふやけた、秩序だらしのない、陋劣ろうれつな吾であった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
暫く立って、F君は第一高等学校に聘せられたが、矢張同じ下宿にいて、そこから程近い学校に通うので、君と安国寺さんとの関係はもとのままであった。
二人の友 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「鳥あり、鳥あり、丁令威。家を去る千年、今始めて帰る。城廓もとの如くにして、人民非なり。なんぞ仙を学ばざるか、塚纍々るいるいたり」
昨夜はチッとも氣がつかなかつたのですが、無論讀んだには讀んだ筈なんで、多分「父が死んだ」といふ、たゞそれ丈けで頭が一杯だつたせゐでせう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
青木さんが、自殺の決心をしたとしても、それはわたくしせゐではありません、あの方の弱い性格のせゐだと、その婦人は云つてゐるのです。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
社長が珍重してるだけに恐ろしく筆の立つ男で、野村もそれを認めぬではないが、年が上なせゐどうしても心から竹山に服する気にはなれぬ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……柳川春葉やながはしゆんえふと、わたしとが編輯へんしふたづさはつてた、春陽堂しゆんやうだう新小説しんせうせつ
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
表画ひやうぐわ穂庵翁すゐあんおうの筆で文昌星ぶんしやうせいでした、これさき廃刊はいかんした号を追つて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
僕達のイギリス文学科の先生は、ロオレンス先生なり、先生は一日いちじつ僕を路上にとらへ、娓々びび数千言を述べられてやまず。
その頃の赤門生活 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
陳は自分がそこへ来たわけを知らして、そのうえ飢えていることを話した。馭卒は裏糧べんとうを解いて食物を分けてくれて、そして注意した。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「もともとお目みえしたことがないから、拝謁しておりませんのに、どうした間違いかお迎えを受けましたが、私にはそのわけが解りかねます」
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
唐は庚娘に正夫人に対する礼を以て接した。庚娘は驚いて訊いた。金は始めてそのわけを話した。庚娘は唐の手を執っていった。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
且亀田鵬斎ぼうさいの如く、篁墩とともに金峨の門に出で、蘭軒と親善に、又蘭軒の師友たる茶山と傾蓋ふるきが如くであつた人もある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
上品な美しいお声で、恋愛の扱われたふるい詩を口ずさんで通ってお行きになることで、煩わしい気持ちを姫君は覚えていた。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いにしへのひとにわれあれや楽浪ささなみふるみやこればかなしき 〔巻一・三二〕 高市古人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此方こなたは愈大得意にて、ことさらしずかに歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
彼の眼は子供のように、純粋な感情をたたえていた、若者は彼と眼を合わすと、あわててその視線を避けながら、ことさらに馬の足掻あがくのを叱って、
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私の同僚の一人はことさらに大きな声を出して、新聞に出ている姦通かんつう事件を、私の前で喋々ちょうちょうして聞かせました。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ハルトマンは藝術を模倣の低級に蹴落すに忍びず。かれ藝術の上に個物の實の模造を立てずして個想を立て、物力の實の模作を立てずして小天地想を立つ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
かれあめ御中主みなかぬしの神より以下しも日子波限建鵜草葺不合ひこなぎさたけうがやふきあへずみことよりさきを上つ卷とし
こたえて曰く吾先だちてみちひらき行かむ云々、因りて曰く我を発顕あらわしつるは汝なり、かれ汝我を送りて到りませ、と
訴訟用で諸国から出府する者のための公事くじ宿と、普通の商人宿を兼ねていて、間口も広く、格式も相当高く、まず界隈での老舗しにせだったが三年前に亭主がくなって今は女主人お美野、これは
あたしは、それから夕方までを、き夫の隠匿いんとくしている財産探しについやした。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「抜地獄」と称するこの寮の秘密を、お露はき父から聞いて知っていたのである。
そうかと思うと悪戯好いたずらずきの社友は、余が辞退したのを承知の上で、ことさらに余を厭がらせるために、夏目文学博士殿と上書うわがきをした手紙を寄こした。
互を軽蔑した文字をてんとして六号活字に並べ立てたりなどして、ことさらに自分らが社会から軽蔑されるような地盤を固めつつ澄まし返っている有様ありさまである。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
公然力をもってするはもとよりかなわざる所なれども、心の底には他の無識無謀を冷笑すると共に、ことさらにつとめてその言わざる所を言い、その好まざる所を行い
もっともこれは私共の若い時代じぶんの事で、今は若い者が学校に行きますお蔭で皆、賢明りこうになりましたけに、そげな馬鹿はアトカタもうなりました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
口の中に真黒い血が一とかたまり泌み出いておる処を見ると、これは尋常事ただごとじゃないと気が付いたけに
そう思うておりますけに、あれから毎晩、腰から下
駕「左様そうでげすか、オヤ/\/\成程居ない、気のせえおもてえと思ったと見える、成程何方どなたも入らっしゃいません、左様さようなら」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また此の重三郎の親父は梨子売を致す重助と申す者で、川崎在の羽根田村に身貧に暮して居りまするが、去年の暮から年のせえか致して寒気さむさあたる、疝気せんきが起ったと見えまして寝て居ります。
なんゆへに、婬賣いんばい女につみおこな資本しほんりながら、香水料こうすいりよう慈惠じけいせしや
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
なんゆへ少娘むすめ困厄こんやくせしめし惡漢あくかんをうちひしぐなどの正義せいぎありて
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
かねゆへぢをおきなされては金庫きんこばんをいたす我等われらが申わけなく候
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
故國御魂カレクニミタマと云なり、カレ此名は此神に限らず、倭大國魂ヤマトオホクニミタマノ神、高市郡吉野大國栖御魂神社
卑弥呼考 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
カレ其大刀弓を持て、其八十神を追い避くる時に、坂の御尾毎に追伏せ、河の瀬毎に追撥いて、国作り始め給いき。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
カレメデて共婚供住の間に、幾時もあらねば、其美人妊身ぬ。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
朝から、姫の白い額の、ユヱもなくひよめいた長い日の、ノチである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「何やらの書にも——ソノ味ハ醇厚ジユンコウ、久シキヲテモ損セズ、ユヱイニシヘヨリ大宋タイソウ南蛮ナンバンニ往来スル倭船ワセンモ、必ズココニテ酒壺シユコ吉備酒キビザケヲ満タシ、長キ船中ノ用ニツ——とか。……和上わじょう、そのような美酒うまざけをわれらへひとつ馳走して給わるまいか」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし何故に事実をありのままに語らないでいたずらに譬喩の言を以て不合理な物語としたのであるか。
神代史の研究法 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
……是に於て其妹伊邪奈美命いざなみのみことを相見まくおもほして、黄泉国よもつのくににいでましき。すなわ殿騰戸あみおかのくみとより出で迎えます時、伊邪奈岐命いざなぎのみこと語りたまはく、愛しき我那邇妹命わがなにものみことわれなんじと作れりし国未だ作りおわらず、れ還りたまふべしと。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この鸚鵡は最前さっきの紅木という総理大臣の息子で、平生ふだん王の御遊び相手として毎日宮中に来ている紅矢べにやというが、今日は少し加減が悪くて御機嫌伺いに参りかねますから
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
かるがゆえに君子は庖厨ほうちゅうを遠ざく……こりゃ分るまいが、大尽だいじんは茶屋のかまえおおきからんことを望むのだとね。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かるがゆゑに冬の雪中はかんじきすかり穿はきみちゆく
四囲あたりがシンとしておりますけに……そうするとお八代さんは、チョット考えておるようで御座いましたが「まあだナカナカ腐るもんじゃない。それよりも最早もう夜が明けとるけん、御飯をば喰べに降りて来なさい」と云いますと
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すると、それで気がついたものと見えまして、明日あすからは母親のお八代さんが、濡れ手を拭き拭き私を物蔭に呼びまして「二十歳はたちにもなっとるけん間違いはなかろうが、まだ帰らぬ模様ごとあるけん、そこいらまで見に行ってくれまいか」という頼みで御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あんな人だから死後の事など何も一切いっせつかまわぬ事でしょう、また葬式一切いっさいの費用に関しても、最早もはや自分の衣類道具も片なくなっているさいでもあるし
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
孝陵の山川さんせんは、其のふるきに因りて改むるなかれ、天下の臣民は、哭臨こくりんする三日にして、皆服をき、嫁娶かしゅを妨ぐるなかれ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
拙者せつしやふるくから此石とは馴染なじみなので、この石の事なら詳細くはししつて居るのじや
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
むかしの園を捨てて行かまし
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
喬生は何ごころなくその旅棺をみると、その上に白い紙が貼ってあって「もとの奉化州判符女、麗卿之ひつぎ」としるし、その柩の前には見おぼえのある双頭の牡丹燈をかけ、またその燈下には人形の侍女こしもとが立っていて、人形の背中には金蓮の二字が書いてあった。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)