“もと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:モト
語句割合
許16.2%
下14.5%
固8.7%
本7.1%
旧6.6%
素6.2%
因4.7%
元4.4%
以前3.5%
求3.3%
基2.9%
原2.2%
需2.2%
悖2.1%
原因2.0%
索2.0%
故1.8%
覓1.1%
資本1.1%
舊1.0%
源0.7%
戻0.6%
元来0.3%
要0.3%
購0.3%
元金0.3%
最0.2%
討0.2%
前0.1%
捜0.1%
覔0.1%
資0.1%
旧来0.1%
干0.1%
旧時0.1%
乖0.1%
源因0.1%
酵母0.1%
根0.1%
基因0.1%
旧態0.1%
元手0.1%
先0.1%
動機0.1%
忤0.1%
所0.1%
根元0.1%
根本0.1%
素因0.1%
起因0.1%
元來0.0%
本源0.0%
莖0.0%
買0.0%
酛0.0%
上0.0%
元料0.0%
前身0.0%
原料0.0%
原状0.0%
古0.0%
因由0.0%
固已0.0%
基本0.0%
基礎0.0%
尋0.0%
平常0.0%
往時0.0%
很0.0%
従前0.0%
復0.0%
徴0.0%
惇0.0%
探0.0%
旧処0.0%
昔0.0%
本來0.0%
本来0.0%
本質0.0%
材料0.0%
林0.0%
根源0.0%
業0.0%
深因0.0%
牾0.0%
生国0.0%
産地0.0%
由來0.0%
礎0.0%
茂登0.0%
葡萄汁0.0%
袂0.0%
要求0.0%
資金0.0%
起原0.0%
達0.0%
頭0.0%
齦0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
紀州のお国許(もと)の方からも多勢お里の方がお見えになっていらっしゃったが、もうその頃には女中さんの病気もだいぶ悪かったらしく
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
しかしこの数字は、カドミウム元素から或る発光条件の下(もと)に出る或る光の波長を基準として、それとの比較値を示しているのである。
地球の円い話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
しかし固(もと)よりこの区別は絶対的でないのであるから、自己の運動であっても少しく複雑なる者は予期的表象に直に従うことはできぬ
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
おなじく桂川のほとり、虎溪橋(こけいけう)の袂。川邊には柳幾本(もと)たちて、芒(すゝき)と蘆とみだれ生ひたり。橋を隔てゝ修禪寺の山門みゆ。同じ日の宵。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
家に、防ぐ筈の石城が失せたからだと、天下中の人が騒いだ。其でまた、とり壊した家も、ぼつぼつ旧(もと)に戻したりしたことであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
彼(か)の(四三)三晉(しん)の兵(へい)は、素(もと)(四四)悍勇(かんゆう)にして齊(せい)を輕(かろ)んじ、齊(せい)を號(がう)して怯(けふ)と爲(な)す。善(よ)く戰(たたか)ふ者(もの)は(四五)其勢(そのいきほひ)に因(よ)つて之(これ)を利導(りだう)す。
リューマチ性の熱が因(もと)で六週間もポルダー邸を混乱させ、ポルダーの仕事を中止させ、ポルダーの寝室でほとんど死ぬほどに苦しんだ。
「お前(まえ)が狐(きつね)であろうと何(なん)であろうと、子供(こども)のためにも、せめてこの子が十になるまででも、元(もと)のようにいっしょにいてくれないか。」
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
悲しい事実も、盛時(さかり)の彼女には悲話は深刻なだけ、より彼女が特異の境遇におかれるので、彼女は以前(もと)から隠そうとはしなかった。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
通常(つうじょう)の人間(にんげん)は、いいことも、悪(わる)いことも皆(みな)身外(しんがい)から求(もと)めます。即(すなわ)ち馬車(ばしゃ)だとか、書斎(しょさい)だとかと、しかし思想家(しそうか)は自身(じしん)に求(もと)めるのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此君(このきみ)にして此臣(このしん)あり、十萬石(じふまんごく)の政治(せいぢ)を掌(たなそこ)に握(にぎ)りて富國強兵(ふこくきやうへい)の基(もと)を開(ひら)きし、恩田杢(おんだもく)は、幸豐公(ゆきとよぎみ)の活眼(くわつがん)にて、擢出(ぬきんで)られし人(ひと)にぞありける。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
芳賀博士はこの話を『今昔物語』十巻三十八語の原(もと)と見定められた、その話は昔震旦(しんたん)の猟師海辺に山指し出た所に隠れて鹿を待つと
而シテ君今亡シ。嗣子紳六郎男、其伝ヲ携ヘ来リテ之ニ序セムコトヲ需(もと)ム。余之ヲ読ミテ其感ニ堪ヘス。即数言ヲ記シテ以テ之ヲ返ス。
西周伝:05 序 (新字旧仮名) / 津田真道(著)
それは中世紀の坊主が地動説は神に對する冒涜であると批難し、近世の宗教家が進化論は聖書に悖(もと)ると批難したのと同斷である。
唯物史観と文学 (旧字旧仮名) / 平林初之輔(著)
これがいつまでわが目の樂なりしやといふ事、大いなる憤(いきどほり)の眞(まこと)の原因(もと)、またわが用ゐわが作れる言葉の事即ち是なり 一一二—一一四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
水鬼は命(めい)を索(もと)めるという諺があって、水に死んだ者のたましいは、その身代りを求めない以上は、いつまでも成仏(じょうぶつ)できないのである。
「鳥あり、鳥あり、丁令威。家を去る千年、今始めて帰る。城廓故(もと)の如くにして、人民非なり。なんぞ仙を学ばざるか、塚纍々(るいるい)たり」
覓(もと)むる物あって得ざるの様子であった。かくてこの裁判は、証拠不充分放免という宣告に終り、被告は直ちに自由の身となった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
屑屋の資本(もと)の縞(しま)の財布を、首からはずして、紐(ひも)ぐるみ、クルクルと巻いたかと思うと、万吉は、それをポーンとほうってやって
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
視力舊(もと)に復(かへ)りて小(ちひ)さき輝(かゞやき)に堪ふるに及び(わがこれを小さしといへるはしひてわが目を離すにいたれる大いなる輝に比ぶればなり)
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
默つて困苦に堪へてゐる農民をして困苦に堪へしめてゐる力の源(もと)に、この驚きと喜びとがあることは思ひのほかなのではないかと思つた。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
一般の安全を謀(はか)りて保護の世話をなし、人民は政府の命令に従いて指図の世話に戻(もと)ることあらざれば、公私の間円(まる)く治まるべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
桂家の屋敷は元来(もと)、町にあったのを、家運の傾むくとともにこれを小松山の下に運んで建てなおしたので、その時も僕の父などはこういっていた
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
汝なほ食卓(つくゑ)に向ひてしばらく坐すべし、汝のくらへる硬(かた)き食物(くひもの)はその消化(こな)るゝ爲になほ助けを要(もと)むればなり 三七—三九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
何枚かのレコードを購(もと)めて出ようとすると、雨であつた。狐の嫁入りだから直ぐやむだらうと暫らく待つてゐたが、なかなかやみさうになく、本降りになつた。
木の都 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
いつ知らず「俺の方が元金(もと)がかゝつてゐるのに……」といふ不平を抱いてゐるのである。
心理的と個性的 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
されば最(もと)も晴やかなる汝達(なんたち)取り巻きまつり
又わたくしは事実を討(もと)むるに急なるがために、翫味するに堪へたる抒情の語をも、惜しげなく刪(けづ)り去つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
『前(もと)の高雄艦長(たかをかんちやう)、今(いま)は軍艦(ぐんかん)「日(ひ)の出(で)」の艦長(かんちやう)、松島海軍大佐閣下(かいぐんたいさかくか)の部下(ぶか)の信號兵(しんがうへい)だよ。』と、水兵(すいへい)は膝(ひざ)を進(すゝ)ませ
隅田川なる風景によってその抒情詩的本能を外発さすべき象徴を捜(もと)めた理想的内面の芸術ともいい得よう。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
仏教の干渉(かんしょう)介助(かいじょ)が始まってこの作法のやや弛(ゆる)んだ頃に、すなわちかの多くの水の神が妻を覔(もと)める話は起ったのであろう。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「では、冀州(きしゅう)(河北省(かほくしょう)・中南部)の太守韓馥(かんふく)に、事情を告げて、兵糧の資(もと)を借りにやろう」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何をして居た、旧来(もと)は。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
此時僧侶の間で最も忌むべき顕栄を干(もと)める念が始めてステパンの心の中(うち)に萌(きざ)した。間もなくステパンは矢張都に近い或る僧院に栄転して一段高い役を勤めることを命ぜられた。
あの幇間が旧時(もと)あの侍の処に奉公した仲間(ちゅうげん)で、それが何か持逃げをしてプイと居無くなってたのが、幇間に成って居るから、捨置かれん、何故(なぜ)己の事を蔭で悪くいうと怒(おこ)ってるので
人誰か父母の国を思ハざらんや。然ニ忍で之を顧ざるハ、情の為に道に乖(もと)り宿志の蹉躓(さち)を恐るゝなり。志願果して不レ就(ならずん)バ、復何為(なんのため)にか君顔を拝せん。
かかる際(ひま)にお花と源造に漢書の素読(そどく)、数学英語の初歩などを授けたが源因(もと)となり、ともかく、遊んでばかりいてはかえってよくない、少年(こども)を集めて私塾(しじゅく)のようなものでも開いたら
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「これだつか、喜劇の酵母(もと)だつせ。」
それが根(もと)となって病いは重るばかりで、みんなと一緒に信州まではともかくも乗り込んだものの、とても舞台の人にはなれそうもないので、旅さきから一座の人々に引き別れて
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私といふものある前で、主人(やど)までが品評め。お前なんぞはそちらの隅にと、いはぬばかりの誉め方を、致した事もござんすが。誉れは、結句譏りの基因(もと)。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
……死ぬ程、愛し合っている親子同志や恋人同志が、先生方の手で無理やりに引離されて、地獄よりも、非道(ひど)い責苦を見せられているのを、先生方はどうして旧態(もと)に返して下さるのです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あッ。あああ……これで、ようよう元手(もと)取った」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
先(もと)の郵便局員(ゆうびんきょくいん)は、さも狡猾(ずる)そうに眼(め)を細(ほそ)めて云(い)う。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
またはどういう身分の女がなにが動機(もと)でこうも浅間しく気が狂ったのか、それらのことはいっさいわからなかった。
「寛懐(かんかい)俗情に忤(もと)らざるは和(わ)なり、立脚(りっきゃく)俗情に墜(お)ちざるは介(かい)なり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
起きよ、我儕(われら)往くべし。我を売(わた)すもの近づきたり、此如(かく)いへるとき十二の一人(ひとり)たるユダ剣(つるぎ)と棒とを持ちたる多くの人人と偕(とも)に祭司の長(をさ)と民の長老(としより)の所(もと)より来る。
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
それが、根元(もと)と申しますのは、地体この地震の風説(うわさ)は、師走以来(こちら)の陽気から起ったのでござりましょう。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどもその面白い出来事の根本(もと)になるその妃の素性がはっきりわからないではつまらないではないか。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作、杉山萠円(著)
我が行為のお糸を遠ざからせ、重兵衛を怒らせたる素因(もと)を忘れて、二人をのみ怨み罵りぬ。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
なに自分が太い癖に何卒(どうか)してお隅を手に入れ様と思ううち、ふと思い出して胸へ浮んだのは、噂に聞けば去年の秋大生郷の天神前で、安田一角と花車重吉の喧嘩の起因(もと)はお隅から
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
イワン、デミトリチ、グロモフは三十三歳(さい)で、彼(かれ)は此室(このしつ)での身分(みぶん)の可(い)いもの、元來(もと)は裁判所(さいばんしよ)の警吏(けいり)、又(また)縣廳(けんちやう)の書記(しよき)をも務(つと)めたので。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
六號室(がうしつ)の第(だい)五番目(ばんめ)は、元來(もと)郵便局(いうびんきよく)とやらに勤(つと)めた男(をとこ)で、氣(き)の善(い)いやうな、少(すこ)し狡猾(ずる)いやうな、脊(せ)の低(ひく)い、瘠(や)せたブロンヂンの、利發(りかう)らしい瞭然(はつきり)とした愉快(ゆくわい)な眼付(めつき)、些(ちよつ)と見(み)ると恰(まる)で正氣(しやうき)のやうである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
八二老衲(らうなふ)もしこの鬼を八三教化(けうげ)して本源(もと)の心にかへらしめなば、こよひの饗(あるじ)の報(むく)ひともなりなんかしと、たふときこころざしを発(おこ)し給ふ。
夜(よひ)々里に出でて人を害(わざはひ)するゆゑに、ちかき里人は安き心なし。我これを聞きて一二七捨つるに忍びず。特(わざわざ)来りて教化(けうげ)し、本源(もと)の心にかへらしめんとなるを、汝我がをしへを聞くや否(いな)や。
そねが莖(もと) そね芽(め)繋(つな)ぎ二五て
粟生(あはふ)には 臭韮(かみら)一莖(もと)二四
むゝ、あの貧人(ひんじん)から是非(ぜひ)毒(どく)を買(もと)めうわい。……何(なん)でも此(こ)の邊(へん)であった。祭日(さいじつ)ゆゑ貧乏店(びんばふみせ)が閉(しま)ってある。……いや、なう/\! 藥種屋(やくしゅや)はおりゃるか?
食物(たべもの)を買(もと)めて些(ち)と肉(にく)を附(つ)けたがよい。……(行きかけて藥瓶を見て)毒(どく)ではない興奮劑(きつけぐすり)よ、さア一しょに、ヂュリエットの墓(はか)へ來(こ)い、あそこで汝(そち)を使(つか)はにゃならぬ。
夜が來て酒倉の暗い中から酛(もと)すり歌の櫂(かい)の音がしんみりと調子(てうし)をそろへて靜かな空の闇に消えてゆく時分(じぶん)になれば赤い三日月の差し入る幼兒(をさなご)の寢部屋の窓に青い眼をした生膽取(いきぎもとり)の「時」がくる。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
酛(もと)すり唄のこころは
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
寐(いね)ても寐(ね)つかれずや、コホンコホンと咳(しはぶ)く声の、骨身に徹(こた)へてセツナそうなるにぞ、そのつど少女は、慌てて父が枕上(もと)なる洗ひ洒しの布片(きれ)を取りて父に与へ、赤きものの交りたる啖を拭はせて
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
まず材をよく磨きてのち、鉛丹(たん)に膠水(にかわ)、または尋常(よのつね)の荏油(えのゆ)仮漆(かしつ)を和(あわ)せたる、黄赤にしてたいまい色をなすところの元料(もと)を塗る。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ところでその今の母親と言うのは前身(もと)は芸妓(げいしゃ)上りと言う事で、まだ色も香も相当残っとる年増盛りじゃが、そのような女にも似合わず
「アアなるほど、あの灰汁水(あくみず)を作る原料(もと)ですな」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
併し藤沢は、抑えている間は縮んでいる発条(ばね)のように、手を放すとすぐに原状(もと)に戻って、まもなくその時の恐怖感を忘れてしまうのだった。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「いったん、泥と血とがこね返って、新しい世が立てなおる、王政は古(もと)にかえる」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われはおそる/\その不興の因由(もと)を問ひしに、主人頭を掉(ふ)りて、否、益(やく)なき訴訟の事ありて、些(ちと)の不安を感ずるに過ぎず、ポツジヨは久しくおとづれず、おん身さへ健康すぐれ給はざる如し
否(しから)ザレバ鳥啼(ちょうてい)虫吟(ちゅうぎん)沾沾(ちょうちょう)トシテ自(みずか)ラ喜ビ佳処(かしょ)アリトイヘドモ辺幅(へんぷく)固已(もと)ヨリ狭シ。人ニ郷党自好(じこう)ノ士アリ。詩ニモマタ郷党自好ノ詩アリ。桓寛(かんかん)ガ『塩鉄論(えんてつろん)』ニ曰ク鄙儒(ひじゅ)ハ都士(とし)ニ如(し)カズト。信ズベシ矣。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
法術と云うてもその基本(もと)は精神(こころ)の工夫の鍛錬じゃ。精神(こころ)が一ヵ所に集まって自我を一切忘却し、他物に自身を移した時、そこに法術が現われる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「自己が基礎(もと)ではないか。いかなる業(わざ)も自己の発顕(ほつげん)じゃ。自己すら考えぬなどという人間が、他のために何ができる」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先づ赤穴丹治が宅(いへ)にいきて、一二三姓名をもていひ入るるに、丹治迎へ請(しやう)じて、一二四翼(つばさ)ある物の告ぐるにあらで、いかでしらせ給ふべき謂(いはれ)なしと、しきりに問尋(もと)む。左門いふ。
政雄はその日から痴(ばか)のようになって雑貨店の二階に寝ていたが、十日位してやっと精神が平常(もと)に復(ふく)して来た。精神が平常(もと)に復して来ると安閑(あんかん)としてはいられなかった。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこは、往時(もと)女髪結で直樹の家へ出入して、直樹の母親の髪を結ったという老婆(ばあさん)が見つけてくれた家であった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
故に山羊は天(あま)の邪鬼(じゃく)だというと、これは足の構造に基づくはもちろんながら、山羊、綿羊共に決して一汎(いっぱん)にいわるるほど柔順でなく卞彬(べんぴん)は羊性淫にして很(もと)るといった。
五合、三合、従前(もと)の通りになって、去(さ)らば烟草の方は喫(の)まぬむかしの通りにしようとしても是(こ)れも出来ず、馬鹿々々しいとも何とも訳(わ)けが分(わか)らない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
又復(もと)の位置にパチリと収(おさ)めた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
瘠我慢(やせがまん)の説(せつ)は、福沢先生が明治二十四年の冬頃に執筆せられ、これを勝安芳(かつやすよし)、榎本武揚(えのもとたけあき)の二氏に寄せてその意見を徴(もと)められしものなり。
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
その点をもう少し世間に、或いは世界に施して惇(もと)らぬように示す義務があるだろう。
雪之丞は、そう心に呟きながら、懐剣に懐紙で拭(ぬぐ)いをかけて、鞘(さや)に収めると、供男の姿をあたりに探(もと)めたが
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
今だって些(ちっ)ともこうしていたくはないけれど、こう草臥(くたびれ)ては退(の)くにも退(の)かれぬ。少し休息したらまた旧処(もと)へ戻ろう。幸いと風を後(うしろ)にしているから、臭気は前方(むこう)へ持って行こうというもの。
美代子(みよこ)さんは、ちょうど十二でした。このごろは、体(からだ)が悪(わる)いので学校(がっこう)を休(やす)んで、医者(いしゃ)にかかっていました。けれどなかなか昔(もと)のように元気(げんき)よく、快(よ)くなおりませんでした。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
花ともなさむ本來(もと)の性。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
けれど、何度それを本来(もと)の場所へ当てがってみても、依然として、その躍起の努力も水泡に帰した。
鼻 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
またかぎりない変転の本質(もと)を知った。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
正月を当てこんでうんと材料(もと)を仕入れるのだとて、種吉が仕入れの金を無心に来ると
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
月は出でしかど、三四茂(しげ)きが林(もと)は影をもらさねば、三五あやなき闇(やみ)にうらぶれて、眠(ねぶ)るともなきに、まさしく三六円位(ゑんゐ)々々とよぶ声す。
君(きみ)も御存(ごぞん)じの如(ごと)く、海底戰鬪艇(かいていせんとうてい)の總(すべ)ての機關(きくわん)は、秘密(ひみつ)なる十二種(しゆ)の化學藥液(くわがくやくえき)の作用(さよう)で活動(くわつどう)するのでせう、其(その)活動(くわつどう)の根源(もと)となる可(べ)き藥液(やくえき)は、盡(ことごと)く十二の樽(たる)に密封(みつぷう)されて
飮ながら偖々(さて/\)御亭主店先を騷(さわ)がせ氣の毒(どく)千萬某(それ)がしは業(もと)より生れ付て容體(なりふり)に一向(かう)構(かま)はぬゆゑ是までも兎角(とかく)人に見下られ殊に見らるゝ如く大いなる木太刀(きだち)を二本さして歩行(あるき)けれども夫(それ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
実は、私も、彼様いふ目に逢はせられたもんですから、其が深因(もと)で今度の事業(しごと)を思立つたやうな訳なんです。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
普通人其儘の生活を持つことが理想に牾(もと)るものではない。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
私(わし)ア気も違いません、素(もと)より貴方(あんた)さまに斬られて死ぬ覚悟で、承知して大事(でえじ)のお皿を悉皆(みんな)打毀(ぶちこわ)しました、もし旦那さま、私ア生国(もと)は忍(おし)の行田(ぎょうだ)の在で生れた者でありやすが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……酒は灘(なだ)の都菊(みやこぎく)、産地(もと)仕入れでございますから量はたっぷりいたします。なにとぞ嚮後(きょうこう)ごひいきに、へい
不幸(ふかう)の由來(もと)に悟(さと)り初(そ)めて、父(ちヽ)戀(こひ)し母(はヽ)戀(こひ)しの夜半(よは)の夢(ゆめ)にも、咲(さ)かぬ櫻(さくら)に風(かぜ)は恨(うら)まぬ獨(ひと)りずみの願(ねが)ひ固(かた)くなり、包(つヽ)むに洩(もれ)ぬ身(み)の素性(すじやう)、人(ひと)しらねばこそ樣々(さま/″\)の傳手(つて)を求(もと)めて、香山(かやま)の令孃(ひめ)と立(た)つ名(な)くるしく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天(あめ)の扉(と)の真白き礎(もと)ゆ湧く水の
詩 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ことに由利江の生母が亡くなった当時、それは彼女が十二歳になった初夏のことであるが、金之助の母の茂登(もと)女は由利江をあわれむ余り家へつれて来て、百日ばかりそばに置いて世話をした。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
『これらを澄ませる事が出來さへしたら、まつたく素的な酒になつてゐたんだがなあ。この中にや確かに、パンポルの小賣店屋の窖の中の奴なんかよりや、餘程澤山の葡萄汁(もと)がはいつてゐますぜ』
その頃筋違見附、今の万世橋(まんせいばした)の袂(もと)は、丸ノ内、日本橋から、上野へ、甲州街道への要路で、警戒の厳重なところであり、人出の多いところでもありました。
愛は完全を要求(もと)める点で、ほぼ芸術と同じであった。占有出来ないということは、愛する人の身にとって、堪え難いほどの苦痛であった。で、家斉はどうがなして、お杉の秘密を知ろうとした。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それでその少しばかり、運動の資金(もと)が要るんじゃが、どうだろう、え? と云われると、嘉吉はいつものように人の好い顔を崩して、そりゃ良さそうですな。
忠僕 (新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
殘るみじかき五官の覺醒(めざめ)に人なき世界をしらしめよ、汝等起原(もと)をおもはずや
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
寧(いつ)そこりや貴方(あなた)に御願ひ申して、手短く書いて頂きたいと思ひまして——どうして女の手紙といふものは斯う用が達(もと)らないのでせう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まくら頭(もと)に供えた茶碗の水に線香の香りがほのかに這ってくの字を続けたように揺らいでいる——。
ゴーンと云うのが上野の午刻(こゝのつ)だから今の十二時で何う云う訳か楊枝が四本あります、一本へ歯磨を附けまして歯の齦(もと)と表を磨き、一本の楊枝で下歯の表を磨き、又一本の楊枝で歯の裏を磨き
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)