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元
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もと
ふりがな文庫
“
元
(
もと
)” の例文
「女は
元
(
もと
)
鍼
(
はり
)
の名人の圍はれ者だと言つたが、人の身體の
鍼壺
(
はりつぼ
)
は六百五十七穴、そのうち命取りの禁斷の鍼が一ヶ所あるといふことだ」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お
前
(
まえ
)
が
狐
(
きつね
)
であろうと
何
(
なん
)
であろうと、
子供
(
こども
)
のためにも、せめてこの子が十になるまででも、
元
(
もと
)
のようにいっしょにいてくれないか。」
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
今
(
いま
)
まで
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で
頻
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いていた
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
が、
絶
(
た
)
えがちに
細
(
ほそ
)
ったのは、
雨戸
(
あまど
)
から
差
(
さ
)
す
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、おのずと
怯
(
おび
)
えてしまったに
相違
(
そうい
)
ない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
元
(
もと
)
は
直立
(
ちよくりつ
)
してゐたもので、
高
(
たか
)
さは
七八十尺
(
しちはちじつしやく
)
もあつたものですが、
二百年程前
(
にひやくねんほどまへ
)
に
雷
(
かみなり
)
が
落
(
お
)
ちたゝめに
折
(
を
)
れたのだといふことでありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ネンガラには
元
(
もと
)
はみな
鉤枝
(
かぎえだ
)
がついていたろうというのが、私の新しい意見であって、これにはまだ同意の人が少ないように思われた。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
宗助
(
そうすけ
)
は
御米
(
およね
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて、
始
(
はじ
)
めて
一窓庵
(
いつさうあん
)
の
空氣
(
くうき
)
を
風
(
かぜ
)
で
拂
(
はら
)
つた
樣
(
やう
)
な
心持
(
こゝろもち
)
がした。
一
(
ひと
)
たび
山
(
やま
)
を
出
(
で
)
て
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
れば
矢張
(
やは
)
り
元
(
もと
)
の
宗助
(
そうすけ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
金田氏は
元
(
もと
)
刀剣の
鞘師
(
さやし
)
でありましたが、後牙彫商になって浅草
向柳原
(
むこうやなぎわら
)
に店を持っている貿易商人で、
主
(
おも
)
に上等品を取り扱っているので
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
見て
密
(
ひそか
)
に
元
(
もと
)
の座へ立ち歸り彼は正しく此所の
主
(
あるじ
)
さては娘の父ならん然れば山賊の
隱
(
かく
)
れ
家
(
が
)
にも非ずと
安堵
(
あんど
)
して在る所へ彼娘の勝手より
膳
(
ぜん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
だから先生が教室へはいると同時に、期せずして笑を
堪
(
こら
)
える声が、そこここの隅から起ったのは、
元
(
もと
)
より不思議でも何でもない。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そう云い捨てて男は、ヒョックリヒョックリ
元
(
もと
)
の裏門の方へ急ぎ足で帰っていった。そして裏門がさっきのまま明いているのに気づいて
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
詳
(
くわ
)
しいことは
後
(
あと
)
で
追々
(
おいおい
)
話
(
はな
)
すとして、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
人間
(
にんげん
)
は
竜神
(
りゅうじん
)
の
子孫
(
しそん
)
、
汝
(
そち
)
とても
元
(
もと
)
へ
溯
(
さかのぼ
)
れば、
矢張
(
やは
)
りさる
尊
(
とうと
)
い
竜神様
(
りゅうじんさま
)
の
御末裔
(
みすえ
)
なのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
収穫はまた駄目だし、作物を売りに出れば、何度も税金を取立てられて
元
(
もと
)
は切れてしまい、といって売らないでは腐らしてしまうだけだし……
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
もみじのおかみさんは
元
(
もと
)
赤坂で芸者家をしていた人で、その頃二十四、五になっていたから、今は三十を越している筈だ。
羊羹
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「いゝえ。たゞ私のやうなもので間に合ひますか知らと思ひまして。——お勝手
元
(
もと
)
のことなぞでも本当に何にも出来ないのでございますから。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
たとひ
家屋
(
かおく
)
が
倒伏
(
とうふく
)
することがあつても、
小屋組
(
こやぐみ
)
だけは
元
(
もと
)
のまゝの
形
(
かたち
)
をして
地上
(
ちじよう
)
に
直接
(
ちよくせつ
)
の
屋根
(
やね
)
を
現
(
あらは
)
すことは、
大地震
(
だいぢしん
)
の
場合
(
ばあひ
)
普通
(
ふつう
)
に
見
(
み
)
る
現象
(
げんしよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
餘
(
あま
)
り
變
(
かは
)
るので
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
譯
(
わけ
)
が
解
(
わか
)
らなくなつて
了
(
しま
)
つたわ!一
分間
(
ぷんかん
)
と
同
(
おな
)
じで
居
(
ゐ
)
ないのですもの!けど、
最
(
も
)
う
今
(
いま
)
は
元
(
もと
)
の
大
(
おほ
)
きさよ
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
地気天に
上騰
(
のぼり
)
形
(
かたち
)
を
為
(
なし
)
て雨○雪○
霰
(
あられ
)
○
霙
(
みぞれ
)
○
雹
(
ひよう
)
となれども、
温気
(
あたゝかなるき
)
をうくれば水となる。水は地の
全体
(
ぜんたい
)
なれば
元
(
もと
)
の地に
皈
(
かへる
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼れは努めて
元
(
もと
)
の冷靜に
囘
(
かへ
)
らうとしてゐたが手の震へをとゞめる事が出來なかつた。夫れを人々に知られるのを
惡
(
にく
)
んだ。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
鳥
(
とり
)
が
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
ってしまうと、
杜松
(
ねず
)
の
木
(
き
)
は
又
(
また
)
元
(
もと
)
の
通
(
とお
)
りになりましたが、
手巾
(
はんけち
)
は
骨
(
ほね
)
と一しょに
何処
(
どこ
)
へか
消
(
き
)
えてしまいました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
昔の日本の学者は
芭蕉
(
ばしょう
)
の本物を知らなかったので、そこでこの
芭蕉
(
ばしょう
)
の字を
濫用
(
らんよう
)
し、それが
元
(
もと
)
でバショウの名がつけられ
今日
(
こんにち
)
に
及
(
およ
)
んでいるのである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
心
(
こゝろ
)
ざすは
何物
(
なにもの
)
ぞ
葛籠
(
つゞら
)
の
底
(
そこ
)
に
藏
(
をさ
)
めたりける
一二枚
(
いちにまい
)
の
衣
(
きぬ
)
を
打返
(
うちかへ
)
して
淺黄縮緬
(
あさぎちりめん
)
の
帶揚
(
おびあげ
)
のうちより、
五通
(
ごつう
)
六通
(
ろくつう
)
、
數
(
かぞ
)
ふれば
十二通
(
じふにつう
)
の
文
(
ふみ
)
を
出
(
いだ
)
して
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
へ
戻
(
もど
)
れば
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、幸運に依つて栄達した人々が、その
元
(
もと
)
を忘れるやうに、平氏の一門も、
殿上人
(
でんじやうびと
)
となつて、栄華に耽ると共に、武士たるの本領を忘れたのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ちらと輝いた曙光は一まず消えてヨブはまた
元
(
もと
)
の
哭
(
なげ
)
きに入ったのである。さわれ曙光はたしかに現われたのである。これ見逃すべからざる点である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
嘗
(
かつ
)
てボズさんと
辨當
(
べんたう
)
を
食
(
た
)
べた
事
(
こと
)
のある、
平
(
ひらた
)
い
岩
(
いは
)
まで
來
(
く
)
ると、
流石
(
さすが
)
に
僕
(
ぼく
)
も
疲
(
つか
)
れて
了
(
しま
)
つた。
元
(
もと
)
より
釣
(
つ
)
る
氣
(
き
)
は
少
(
すこ
)
しもない。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
枕詞
(
まくらことば
)
は、
元
(
もと
)
の
意味
(
いみ
)
のわかるのもあり、わからないのもありますが、わかるのは、
大體
(
だいたい
)
に、
新
(
あたら
)
しいものゝようです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
時に彼三十一歳、その臨終の
遺偈
(
いげ
)
は、まことにりっぱなものであります。「四大
元
(
もと
)
主なし。五
陰
(
おん
)
本来空。
首
(
こうべ
)
を
以
(
もっ
)
て白刃に臨めば、
猶
(
なお
)
し春風を
斬
(
き
)
るが如し」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
私
(
わたし
)
は裏道に
廻
(
まわ
)
つて見た。
此処
(
こゝ
)
はつい
此間
(
このあひだ
)
まで
元
(
もと
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
のあつた
処
(
ところ
)
で、柵などがまだ依然として残つて
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
やがて、その
商人
(
あきうど
)
は、やう/\のことで
元
(
もと
)
は
天竺
(
てんじく
)
にあつたのを
求
(
もと
)
めたといふ
手紙
(
てがみ
)
を
添
(
そ
)
へて、
皮衣
(
かはごろも
)
らしいものを
送
(
おく
)
り、
前
(
まへ
)
に
預
(
あづか
)
つた
代金
(
だいきん
)
の
不足
(
ふそく
)
を
請求
(
せいきゆう
)
して
來
(
き
)
ました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
氏
(
し
)
は
其
(
その
)
航路
(
かうろ
)
を
取
(
と
)
りて
支那海
(
シナかい
)
を
※
(
す
)
ぎ
印度洋
(
インドやう
)
の
方面
(
はうめん
)
に
進
(
すゝ
)
みしにあらずやとの
疑
(
うたがひ
)
あり、
元
(
もと
)
より
氏
(
し
)
が
今回
(
こんくわい
)
の
企圖
(
くわだて
)
は
秘中
(
ひちう
)
の
秘事
(
ひじ
)
にして、
到底
(
たうてい
)
測知
(
そくち
)
し
得
(
う
)
可
(
べ
)
きにあらざれども
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
元
(
もと
)
より
此度
(
このたび
)
の
御大喪
(
ごたいさう
)
は、
是迄
(
これまで
)
にない事でございますから、
何
(
ど
)
うかして
拝
(
はい
)
したいと
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
りました
処
(
ところ
)
へ、
円生
(
ゑんしやう
)
と
円遊
(
ゑんいう
)
に
頼
(
たの
)
まれました
事
(
こと
)
故
(
ゆゑ
)
、
腹
(
はら
)
の
中
(
うち
)
では
其実
(
そのじつ
)
僥倖
(
さいはひ
)
で
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
中には
越中次郎兵衞盛次
(
ゑつちゆうのじらうびやうゑもりつぐ
)
、上總五郎兵衞忠光、
惡七兵衞景清
(
あくしちびやうゑかげきよ
)
なんど、名だたる
剛者
(
がうのもの
)
なきにあらねど、言はば之れ
匹夫
(
ひつぷ
)
の
勇
(
ゆう
)
にして、
大勢
(
たいせい
)
に於て
元
(
もと
)
より
益
(
えき
)
する所なし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
それから方々へ参ったが銭はあるし、うまいものを食い通したから、
元
(
もと
)
の
木阿弥
(
もくあみ
)
になった。竜太夫を教えてくれた男は江戸神田黒門町の村田という紙屋の息子だ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外神田の加賀屋からも嫁のお
元
(
もと
)
と女中のお鉄、お霜の三人が深川の親類の
家
(
うち
)
へよばれて、朝から見物に出て行ったが、その
午
(
ひる
)
過ぎになって誰が云い出すともなしに
半七捕物帳:37 松茸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
芳賀博士の
所謂
(
いわゆる
)
「国語に対する自卑心」とは違うけれども「
元
(
もと
)
」を尊重しないという点は同じである。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
元
(
もと
)
、半俵位の事ならそうひどい事も云わず来年の分に廻しその補いに、野菜や麦を持って来させて居た自分等の心をあやしんでいるらしい様になって来たのである。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
わつと
云
(
い
)
つて、
一同
(
いちどう
)
逆雪頽
(
さかなだれ
)
に
飛出
(
とびだ
)
したと
思
(
おも
)
ふと、
元
(
もと
)
の
大廣間
(
おほひろま
)
で、
其
(
そ
)
の
畫
(
ゑ
)
、
儼然
(
げんぜん
)
として
壁
(
かべ
)
に
異彩
(
いさい
)
を
放
(
はな
)
つ。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
司馬氏は
元
(
もと
)
周
(
しゅう
)
の史官であった。後、
晋
(
しん
)
に入り、
秦
(
しん
)
に仕え、
漢
(
かん
)
の代となってから四代目の
司馬談
(
しばたん
)
が武帝に仕えて
建元
(
けんげん
)
年間に
太史令
(
たいしれい
)
をつとめた。この談が遷の父である。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
天の人を生ずるや男女同数にして、この人類は
元
(
もと
)
一対の夫婦より繁殖したるものなれば、
生々
(
せいせい
)
の起原に訴うるも、今の人口の割合に問うも、多妻多男は許すべからず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
将門は
常陸
(
ひたち
)
は
元
(
もと
)
から敵にした国ではあり、また維幾は貞盛の縁者ではあり、貞盛だつて今に維幾の
裾
(
すそ
)
の蔭か
袖
(
そで
)
の蔭に居るのであるから、うつかり常陸へは行かれない。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
汝をかこむ二十四本の
草木
(
くさき
)
の
元
(
もと
)
なる種のために、かの迷へる世と戰ふの
許
(
もと
)
なりしぞかし 九四—九六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その口
元
(
もと
)
にはもう、やさしい
笑
(
え
)
みをうかべています……。
僧正
(
そうじょう
)
の
祈
(
いの
)
りの声は高く低くつづきます。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
うかと致し候わば
元
(
もと
)
来た道へ戻るようなことなしとも極らずまことに何とも不安心の至りに候
師を失いたる吾々
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
元
(
もと
)
よりこの身は畜生の。人にはあらぬ悲しさの。添うに添われぬ夫婦の道よ。迷ぞ深き身の上の。思いの種とやなりやせん。いとど心はうば玉の夜の
寝伏
(
ねぶ
)
しの手枕や手枕や
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
※
(
ねえ
)
今
(
いま
)
一
枚
(
めえ
)
くんねえか」
與吉
(
よきち
)
は
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
に
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
るおつぎへ
極
(
きは
)
めて
小
(
ちひ
)
さな
聲
(
こゑ
)
で
請求
(
せいきう
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もう
暢気
(
のんき
)
な隠居ではない。
元
(
もと
)
の名与力郡上平八で、シャンと姿勢もきまって来れば、提灯の光をまともに浴びて、キラキラ輝く眼の中にも、燃えるような活気が充ちていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ミハイル、アウエリヤヌヰチは
元
(
もと
)
は
富
(
と
)
んでゐた
大地主
(
おほぢぬし
)
、
騎兵隊
(
きへいたい
)
に
屬
(
ぞく
)
してゐた
者
(
もの
)
、
然
(
しか
)
るに
漸々
(
だん/\
)
身代
(
しんだい
)
を
耗
(
す
)
つて
了
(
しま
)
つて、
貧乏
(
びんばふ
)
し、
老年
(
らうねん
)
に
成
(
な
)
つてから、
遂
(
つひ
)
に
此
(
こ
)
の
郵便局
(
いうびんきよく
)
に
入
(
はひ
)
つたので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
元
(
もと
)
のわらのあたりへいってみると、わらはそのままになっていることを
知
(
し
)
ったからです。
風と木 からすときつね
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一寸法師は先程からの狂乱にグッタリと疲れて、しかし同時にすっかり
堪能
(
たんのう
)
した恰好で群集の列にまぎれて
元
(
もと
)
来た道を引返した。いうまでもなく背広の男は尾行を続けて行った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いまごろ
気
(
き
)
がついたか。おれも
腹
(
はら
)
が
減
(
へ
)
つてきたので、
自分
(
じぶん
)
の
眼玉
(
めだま
)
を
片方
(
かたほう
)
抉
(
えぐ
)
りだして
喰
(
く
)
つてるのだ。それにしばらくすると、また
元
(
もと
)
どほりに
眼玉
(
めだま
)
がちやんと
出来
(
でき
)
てくるから
奇妙
(
きめう
)
なものさ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
行ってしまうと、にんじんのからだは、ややのんびりし、
元
(
もと
)
の楽な姿勢にかえる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
“元”の意味
《名詞》
(もと)物事の最初の部分、また、その底層にある本質的なもの。
(ゲン)ある集合を構成する個々の要素。
《固有名詞》
(ゲン)1271年から1368年まで中国とモンゴル高原を中心とした領域を支配し、その後は北へ逃れ、遊牧政権としては最終的には1635年まで存続したモンゴル人王朝。
(出典:Wiktionary)
元
常用漢字
小2
部首:⼉
4画
“元”を含む語句
元来
元結
元來
元治
元興寺
元明
文七元結
元気
根元
元金
元締
元亨釈書
心元
元朝
胸元
元暦
還元
莢隠元
大元
次元
...