“陰”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かげ51.4%
くも20.7%
いん16.3%
ひそか2.4%
ほと2.0%
くもり1.0%
カゲ1.0%
みほと0.7%
かく0.7%
くら0.7%
くもる0.3%
かぎ0.3%
おん0.3%
がけ0.3%
きた0.3%
ぎた0.3%
ぐも0.3%
たわ0.3%
ヒソ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
茫然ぼんやりしてると、木精こだまさらふぜ、昼間ひるまだつて用捨ようしやはねえよ。)とあざけるがごとてたが、やがいはかげはいつてたかところくさかくれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
傘をさして散歩に出ると、到るところの桑畑は青い波のように雨に烟っている。妙義みょうぎの山も西に見えない、赤城あかぎ榛名はるなも東北にくもっている。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
是天地方円はうゑんあひだ生育そだつゆゑに、天地のかたちをはなれざる事子の親にるに相同じ。雪の六出りくしゆつする所以ゆゑんは、ものかず長数ちやうすういん半数はんすうやう也。
爾思しかおもへる後の彼は、ひそかにかの両個ふたりの先に疑ひし如き可忌いまはしき罪人ならで、潔く愛の為に奔る者たらんを、いのるばかりにこひねがへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かれ殺さえましし神の身にれる物は、頭に生り、二つの目に稻種いなだね生り、二つの耳に粟生り、鼻に小豆あづき生り、ほとに麥生り、尻に大豆まめ生りき。
十一日、くもり。ゆうべは蚊帳かやのなかで碁を囲んで夜ふかしをした為に、田島の奥さんに起されたのは午前十時、田島さんは予の寝ているうちに出社したという。
慈悲心鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ウシトラが受けた山陰ヤマカゲの海村には、稍おんもりとカゲりがさして来た。まだ暗くなる時間ではないがとノゾきこむ機関室のぼん/\時計は、五時に大分近よつたと言ふまでゞある。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かしらには大雷おおいかずち居り、腹には黒雷居り、みほとにはさき雷居り、左手には若雷居り、右手には土雷居り、左足には鳴雷居り、右足には伏雷居り、あわせて、八雷神成り居りき。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
近年まで農家に遺つてゐた行事に、節分の夜、なり物の木を「成るか成らぬか。成らぬと伐つてしまふぞ」と脅して廻ると、一人がかくれて居て「なります/\」と答へる。
万葉集の解題 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
月の光も山のくらくなれば、今はとて戸をてて入らんとするに、八五ただる、おぼろなる八六黒影かげろひの中に人ありて、八七風のまにまにるをあやしと見れば赤穴宗右衛門なり。
「十七日。雨巳刻より止。くもる。逗留。箱館表出兵被為蒙仰おほせをかうむらせらる。」是は榎本武揚等が北海道に向つた故である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それは日がかぎってくるような気持ちだ。今迄明るかったものが、急に陰欝になってくる。凡てが頼りなく淋しく思われてくる。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
時に彼三十一歳、その臨終の遺偈いげは、まことにりっぱなものであります。「四大もと主なし。五おん本来空。こうべもって白刃に臨めば、なおし春風をるが如し」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
長門ながとは山陽の西陬せいすう僻在へきざいす、しこうして萩城連山のきたおおい、渤海ぼっかいしょうに当る。その地海にそむき山に面す、卑湿ひしつ隠暗。城の東郊は則ち吾が松下村なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かの六〇八雲たつ国は六一ぎたはてにありて、ここには百里をへだつると聞けば、けふとも定めがたきに、其のしを見ても六二物すともおそからじ。左門云ふ。赤穴はまことある武士もののべなれば必ずちぎりあやまらじ。
この頃は朝夕が肌寒くなって、きょうも秋時雨あきしぐれと云いそうな薄ぐもりの日の八ツ半(午後三時)頃に、ふたりの男が富士裏の田圃路をさまよっていた。半七とその子分の亀吉である。
その肥長比売うれえて海原をてらして、船より追い来れば、ますます見畏みて、山のたわより御船を引き越して逃げ上りいでましつとあるを、この語の遠祖と言われたが
「當に新甞すべき時を見て、則ヒソかに新宮にクソマ放る」(神代紀)は、にひみや或はにひみむろとでも訓むべきで、強ひてにひなめやと言ふに當らないだらう。