“くも”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クモ
語句割合
蜘蛛41.8%
32.6%
15.7%
6.5%
1.2%
1.0%
0.3%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
蜘妹0.1%
蜘珠0.1%
雲霧0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ついに、彼の目の睫毛と睫毛との間に小さな一ぴき蜘蛛くもをかけるに及んで、彼はようやく自信を得て、師の飛衛にこれを告げた。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
やがて大きなつめでひっかくようなおとがするとおもうと、はじめくろくもおもわれていたものがきゅうおそろしいけもののかたちになって
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さくらうらを、ぱつとらして、薄明うすあかるくかゝるか、とおもへば、さつすみのやうにくもつて、つきおもてさへぎるやいなや、むら/\とみだれてはしる……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかるに形躯けいく変幻へんげんし、そう依附いふし、てんくもり雨湿うるおうの、月落ちしん横たわるのあしたうつばりうそぶいて声あり。其のしつうかがえどもることなし。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それでも母様かあさま私は何処へか行くので御座りませう、あれ彼方あすこに迎ひの車が来てゐまする、とて指さすを見れば軒端のきばのもちの木に大いなるくもの巣のかかりて
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
時々は馬鹿にした小鳥が白い糞をしかける。いたずらなくもめが糸でくびをしめる。時々は家の主が汗臭い帽子を裏返しにかぶせて日にらす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
心なしか、こよいは、灯も鮮やかに、くもりなくともって、なんとなく胸も花やぐようなと、灯占ひうらをたてていたが——
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さては煙草の煙りのために朦朧とあかりのくもった中から音楽がはじまった。
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
水晶球のくもりのやう
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
婦人はとにもかくにも遣過やりすごせしが、又何とか思直おもひなほしけん、にはかに追行きて呼止めたり。かしら捻向ねぢむけたる酔客はくもれるまなこと見据ゑて、われひとかといぶかしさにことばいださず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くもなよらにぬかづきて
茴香 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
乳母おもよ。この絲は蝶鳥の翼よりも美しいが、蜘妹くもより弱く見えるがや——。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
恐ろしく長い足がニユツと延びたところは、何となく蜘珠くもを思はせる恰好です。
こうして全体を見渡したところ、あんまり雲霧くもが多く、大地がほとんど見えないので、何だか夢のような感じがするのであった。