くも)” の例文
黙つて此様を見て居た忠志君の顔には、胸にある不愉快な思が、自づと現れて来るのか、何様渋いくもが漲ツて、眉間みけんの肉が時々ピリ/\と動いた。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
心なしか、こよいは、灯も鮮やかに、くもりなくともって、なんとなく胸も花やぐようなと、灯占ひうらをたてていたが——
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四一三 月のくもり無く、淨く澄み、明なる如く、變化的生存の愛已に盡きたる人を我は婆羅門と謂ふ。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)