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曇
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くも
ふりがな文庫
“
曇
(
くも
)” の例文
山
(
やま
)
の
上
(
うえ
)
へとつづいている
道
(
みち
)
は、かすかにくさむらの
中
(
なか
)
に
消
(
き
)
えていました。そして、
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
は
灰色
(
はいいろ
)
に
曇
(
くも
)
って、
雲脚
(
くもあし
)
が、
速
(
はや
)
かったのです。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはやはり火のように
燃
(
も
)
えておりました。けれども気のせいか、
一所
(
ひとところ
)
小さな小さな
針
(
はり
)
でついたくらいの白い
曇
(
くも
)
りが見えるのです。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こういう父の顔には深い
掛念
(
けねん
)
の
曇
(
くも
)
りがかかっていた。こういわれる私の胸にはまた父がいつ
斃
(
たお
)
れるか分らないという心配がひらめいた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
霧
(
きり
)
がうっすらとかかって、空はどんよりと
曇
(
くも
)
っていました。みんなが
昼寝
(
ひるね
)
をしているとき、アッカがニールスのそばにやってきて
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
▼ もっと見る
易
(
やす
)
く
消光
(
おくら
)
す可し是にて一件
落着
(
らくちやく
)
したりと述給ふ程に小役人は
落着
(
らくちやく
)
一同立ませいと
諸聲
(
もろごゑ
)
合
(
あは
)
して言にける實に
曇
(
くも
)
りなき
裁判
(
さいばん
)
は人を損せず理を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
途中
(
とちゅう
)
、山の上にさしかかりますと、
今
(
いま
)
までからりと
晴
(
は
)
れ
上
(
あ
)
がって
明
(
あか
)
るかった
青空
(
あおぞら
)
が、ふと
曇
(
くも
)
って、そこらが
薄
(
うす
)
ぼんやりしてきました。
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
此時
(
このとき
)
今迄
(
いまゝで
)
は
晴朗
(
うらゝか
)
であつた
大空
(
おほぞら
)
は、
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に
西
(
にし
)
の
方
(
かた
)
から
曇
(
くも
)
つて
來
(
き
)
て、
熱帶地方
(
ねつたいちほう
)
で
有名
(
いうめい
)
な
驟雨
(
にわかあめ
)
が、
車軸
(
しやぢく
)
を
流
(
なが
)
すやうに
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
つまみ
出
(
だ
)
して
障子
(
せうじ
)
を
締
(
し
)
めた、
殘暑
(
ざんしよ
)
といふものは
惡
(
わ
)
る
惡
(
わる
)
う
暑
(
あつ
)
い、
空氣
(
くうき
)
が
通
(
かよ
)
はないから
尚
(
な
)
ほ
更
(
さ
)
らである、
曇
(
くも
)
つてゐるから
頭痛
(
づつう
)
がする、たまらぬ。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
今夜
(
こよひ
)
は満願とてかの橋にもいたり
殊更
(
ことさら
)
につとめて
回向
(
ゑかう
)
をなし鉦うちならして
念仏
(
ねんぶつ
)
しけるに、
皎々
(
けう/\
)
たる月
遽然
(
にはか
)
に
曇
(
くも
)
りて
朦朧
(
まうろう
)
たり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「それはお前達の眼のせいなのだ。お前達の世界の人達は、あんまり長く神様を見ようとしなかったので、すっかり瞳が
曇
(
くも
)
って
仕舞
(
しま
)
ったのだ」
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
其翌五日
(
そのよくいつか
)
、
奮然
(
ふんぜん
)
として
余
(
よ
)
は
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
で
行
(
ゆ
)
つた。
寒
(
さむい
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
き、
空
(
そら
)
の
曇
(
くも
)
つた、
厭
(
いや
)
な
日
(
ひ
)
であつたが、
一人
(
ひとり
)
で一
生懸命
(
しやうけんめい
)
に
掘
(
ほ
)
つたけれど、
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
ぬ。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
霧雨を含んでしっとり重い
略帽
(
りゃくぼう
)
を手にさげ、
梁
(
はり
)
で頭打たぬよう身体をかがめて入って行った。高温のため、眼鏡がふいてもふいても直ぐ
曇
(
くも
)
った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「皇統の長き御未来のため。大きくは、民ぐさのためにも。……聖慮におん
曇
(
くも
)
りなきよう、正成、伏して、かようにおねがいつかまつりまする」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫婦
(
ふうふ
)
が
毎夜
(
まいよ
)
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
に
続
(
つづ
)
けざまに
見
(
み
)
るあの
神々
(
こうごう
)
しい
娘
(
むすめ
)
の
姿
(
すがた
)
……
私
(
わたくし
)
どもの
曇
(
くも
)
った
心
(
こころ
)
の
鏡
(
かがみ
)
にも、だんだんとまことの
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
が
朧気
(
おぼろげ
)
ながら
映
(
うつ
)
ってまいり
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
朝からどんより
曇
(
くも
)
っていたが、雨にはならず、低い雲が
陰気
(
いんき
)
に垂れた競馬場を黒い秋風が黒く走っていた。午後になると急に暗さが増して行った。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
差
(
さ
)
し
詰
(
づめ
)
志道軒
(
しどうけん
)
なら、一
天
(
てん
)
俄
(
にわか
)
にかき
曇
(
くも
)
り、あれよあれよといいもあらせず、
天女
(
てんにょ
)
の
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ちに、
隠
(
かく
)
れていつか
盥
(
たらい
)
の
中
(
なか
)
。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あなたの顔は往きの船の健康さにひきかえ、
憂
(
うれ
)
いの
影
(
かげ
)
で深く
曇
(
くも
)
っていました。ぼくはそれをぼくへの愛情の
為
(
ため
)
かと手前勝手に解釈していたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
此頃
(
このごろ
)
の
空癖
(
そらくせ
)
で空は低く
鼠色
(
ねずみいろ
)
に
曇
(
くも
)
り、あたりの
樹木
(
じゆもく
)
からは
虫噛
(
むしば
)
んだ青いまゝの
木葉
(
このは
)
が絶え間なく落ちる。
烏
(
からす
)
や
鶏
(
にはとり
)
の
啼声
(
なきごゑ
)
鳩
(
はと
)
の
羽音
(
はおと
)
が
爽
(
さはや
)
かに力強く
聞
(
きこ
)
える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鳩に似た頸の長い小鳥が、そのとき鈍く
曇
(
くも
)
った空のあいだを横切って泳いできた。鳥は彼の目の前に来て、まるでそこに止り木があるみたいに停った。
ジャンの新盆
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
世帶
(
せたい
)
じみた
事
(
こと
)
をと
旦那
(
だんな
)
どのが
恐悦顏
(
きようえつがほ
)
、
見
(
み
)
ぬやうにして
妻
(
つま
)
は
表
(
おもて
)
へ
立出
(
たちい
)
でしが
大空
(
おほぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げてほつと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、
曇
(
くも
)
れるやうの
面
(
おも
)
もちいとゞ
雲深
(
くもふか
)
う
成
(
な
)
りぬ。
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
曇
(
くも
)
ったり
晴
(
は
)
れたりする
空
(
そら
)
、
上
(
のぼ
)
ったり下ったりする
丘
(
おか
)
、緑が茂って、小麦が
熟
(
う
)
れて、余の今の周囲も其時に
似
(
に
)
て居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その後、
白樫
(
しらがし
)
の森はすっかり切り倒されて畑になり、城下には立派な町が出来ました。けれどもどうしたことか、月が毎晩
曇
(
くも
)
って少しも晴れませんでした。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
主人夫婦
(
しゆじんふうふ
)
の
曇
(
くも
)
らぬ
顏
(
かほ
)
が
只管
(
ひたすら
)
恐怖
(
きようふ
)
に
囚
(
とら
)
へられた
勘次
(
かんじ
)
の
首
(
くび
)
を
擡
(
もた
)
げしめた。
殊
(
こと
)
に
内儀
(
かみ
)
さんの
迎
(
むか
)
へて
聞
(
き
)
く
態度
(
たいど
)
が、
彼
(
かれ
)
のいひたかつた
幾部分
(
いくぶぶん
)
を
漸
(
やうや
)
くに
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
けしめた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
空
(
そら
)
は、ドンヨリ
曇
(
くも
)
ツて、
南風
(
みなみかぜ
)
が
灰
(
はひ
)
の
都
(
みやこ
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
り、そしてポカ/\する、
嫌
(
いや
)
に
其所
(
そこ
)
らのざわつく日であツた、此様な日には、頭に
故障
(
こしやう
)
のない者すら氣が重い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この公表に対しては、一同は
俄
(
にわ
)
かに
面
(
おもて
)
を
曇
(
くも
)
らせた。楽しい帰還の旅が、にわかに不安の旅に変ってしまった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
空は暗く
曇
(
くも
)
って、
囂々
(
ごうごう
)
と風が
吹
(
ふ
)
いていた。水の上には
菱波
(
ひしなみ
)
が立っていた。いつもは、
靄
(
もや
)
の立ちこめているような
葦
(
あし
)
の
繁
(
しげ
)
みも、からりと
乾
(
かわ
)
いて風に吹き
荒
(
あ
)
れていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
知性を
曇
(
くも
)
らされ、判断力をにぶらされて、自分ではべつに悪いことをしているつもりでなく、むしろ良心的なつもりで、とんでもない間違った行動をする場合だ。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
寶暦九年
(
ほうれきくねん
)
七月二十八日
(
しちがつにじゆうはちにち
)
弘前
(
ひろさき
)
に
於
(
おい
)
て
西北方
(
せいほくほう
)
遽
(
にはか
)
に
曇
(
くも
)
り
灰
(
はひ
)
を
降
(
ふ
)
らしたが、その
中
(
なか
)
には
獸毛
(
じゆうもう
)
の
如
(
ごと
)
きものも
含
(
ふく
)
まれてゐたといふ。これは
渡島
(
おしま
)
大島
(
おほしま
)
の
噴火
(
ふんか
)
に
因
(
よ
)
つたものである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
二十日、朝、
曇
(
くも
)
り。午前九時知る人をたずねしに、言葉の聞きちがえにて、いと知れにくかりければ
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
春生は、兄の重い返事に、突然、顔を
曇
(
くも
)
らせて、腕を組むように自分の両
袖
(
そで
)
をしっかりおさえながら
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
日曜日は朝から
曇
(
くも
)
っていた。ふりさえしなければ、一本松から一里の道を歩くにはかえって都合がよかった。歓迎会は一時からというので、十二時にはもう家を出た。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
高山
(
こうざん
)
のはひまつ
帶
(
たい
)
にはらいちょう(
雷鳥
(
らいちよう
)
)といふものがゐます。
晴天
(
せいてん
)
には
草
(
くさ
)
むらにかくれて
出
(
で
)
て
來
(
き
)
ませんが、
曇
(
くも
)
つた
日
(
ひ
)
などには、とんで
來
(
き
)
て
驚
(
おどろ
)
かされることがあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
たまに
霽
(
は
)
れたかと思えば
曇
(
くも
)
り、むらにぱらぱらと降って来ては暗くなり、
陰鬱
(
いんうつ
)
なことであった。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
旧暦のお正月の頃で、港町の雪道は、何か浮き浮きした人の往き来で
賑
(
にぎ
)
わっていた。
曇
(
くも
)
っていた日であったが、割にあたたかで、雪道からほやほや湯気が立ち昇っている。
母
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その話を私は
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
で聴きながらも、しかし、妻の顔に、いささかの
曇
(
くも
)
りもなく、眼の底に何か明るい影のゆらぐのを見た。明るいといえば部屋全体が何となくあかるい。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
子路はちょっと顔を
曇
(
くも
)
らせた。夫子のした事は、ただ形を
完
(
まっと
)
うするために過ぎなかったのか。形さえ
履
(
ふ
)
めば、それが実行に移されないでも平気で済ませる程度の義憤なのか?
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
どんより
曇
(
くも
)
つて
折
(
を
)
り/\
小雨
(
こさめ
)
さへ
降
(
ふ
)
る
天氣
(
てんき
)
ではあるが、
風
(
かぜ
)
が
全
(
まつた
)
く
無
(
な
)
いので、
相摸灣
(
さがみわん
)
の波
靜
(
しづか
)
に
太平洋
(
たいへいやう
)
の
煙波
(
えんぱ
)
夢
(
ゆめ
)
のやうである。
噴煙
(
ふんえん
)
こそ
見
(
み
)
えないが
大島
(
おほしま
)
の
影
(
かげ
)
も
朦朧
(
もうろう
)
と
浮
(
う
)
かんで
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
翌日から彼と民さんとは、二十何本かの松を植え込み、
曇
(
くも
)
り日にはゆううつな暗緑のかたまりを、庭のまわりに眺めた。落着きはらったものが、どうやら庭をかたちづけて来た。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
而
(
しか
)
も、その
暗記
(
あんき
)
の
仕方
(
しかた
)
といふのが、
先
(
ま
)
づ
日光
(
につくわう
)
の
中
(
なか
)
で、
次
(
つぎ
)
は
曇
(
くも
)
り
日
(
び
)
、
次
(
つぎ
)
は
夕方
(
ゆふがた
)
、
次
(
つぎ
)
は
電燈
(
でんとう
)
、
結局
(
けつきよく
)
最後
(
さいご
)
に
蝋燭
(
らふそく
)
の
光
(
ひかり
)
の
中
(
なか
)
でといふ
風
(
ふう
)
に
明暗
(
めいあん
)
の
順序
(
じゆんじよ
)
を
追
(
お
)
つて
眼
(
め
)
を
慣
(
な
)
らしながら
研究
(
けんきう
)
暗記
(
あんき
)
し
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
花の姿に
引
(
ひ
)
き
替
(
か
)
えて
合
しおるる
露
(
つゆ
)
の床の内
合
智慧
(
ちえ
)
の鏡も
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
る、法師にまみえ給いつつ
合
母も招けばうしろみ返りて
合
さらばと云わぬ
合
ばかりにて、泣くより外の
合
事ぞなき
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ヂュリ
驅
(
か
)
けよ
速
(
はや
)
う、
火
(
ひ
)
の
脚
(
あし
)
の
若駒
(
わかごま
)
よ、
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
の
宿
(
やど
)
ります
今宵
(
こよひ
)
の
宿
(
やど
)
へ。フェートンのやうな
御者
(
ぎょしゃ
)
がゐたなら、
西
(
にし
)
へ/\と
鞭
(
むち
)
をあてゝ、すぐにも
夜
(
よる
)
を
將
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
うもの、
曇
(
くも
)
った
夜
(
よる
)
を。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
天気が
曇
(
くも
)
れば曇ったというだけで事実を述ぶるに足るに、曇ってきやがったというような言葉を用うるために、曇るのを望ましく思う人でも、これを聞いて不愉快の感を起こす。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
どんよりと
曇
(
くも
)
った、今にも何か降り出しそうな空模様のした夕方だった。私は四時に店を出たが、学校の始業までにはまだ二時間もあるので、学校の近くの
玄
(
げん
)
の友人の下宿を訪ねた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
或
(
ある
)
曇
(
くも
)
つた
冬
(
ふゆ
)
の
日暮
(
ひぐれ
)
である。
私
(
わたくし
)
は
横須賀發
(
よこすかはつ
)
上
(
のぼ
)
り二
等
(
とう
)
客車
(
きやくしや
)
の
隅
(
すみ
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
して、ぼんやり
發車
(
はつしや
)
の
笛
(
ふえ
)
を
待
(
ま
)
つてゐた。とうに
電燈
(
でんとう
)
のついた
客車
(
きやくしや
)
の
中
(
なか
)
には、
珍
(
めづ
)
らしく
私
(
わたくし
)
の
外
(
ほか
)
に
一人
(
ひとり
)
も
乘客
(
じようきやく
)
はゐなかつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いよいよ綱が残り少なくなりますと、不思議や今まで雲一ツ見えなかった空が、
俄
(
にわか
)
に墨を流したように
掻
(
か
)
き
曇
(
くも
)
って来まして、
忽
(
たちま
)
ち
轟々
(
ごうごう
)
と
雷鳴
(
かみなり
)
が鳴り初め、風が吹き、雨が降りしきりまして
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
雨あがりの空はやや
曇
(
くも
)
って、時々思い出したように薄い日影がさした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
何
(
なに
)
かの
拍子
(
ひやうし
)
に、
妻
(
つま
)
は
其
(
そ
)
の
無邪気
(
むじやき
)
な
顔
(
かほ
)
を、
少
(
すこ
)
し
曇
(
くも
)
らして
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
空はドンヨリと
曇
(
くも
)
って、遠いスリガラスの様に見えた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
薄
(
うす
)
く
曇
(
くも
)
れる
硝子
(
がらす
)
のなかにとりあつめたる
薬剤
(
やくざい
)
の
罎
(
びん
)
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“曇(曇り)”の解説
曇り(くもり)とは空が雲で覆われていること。曇天(どんてん)とも呼ばれる。また、しばしば送り仮名が省かれる。
(出典:Wikipedia)
曇
常用漢字
中学
部首:⽇
16画
“曇”を含む語句
瞿曇
安曇
薄曇
微曇
阿曇
曇硝子
北安曇
日曇
曇天
優曇華
掻曇
南安曇
曇日
晴曇
悉曇
焼曇
烏曇鉢
梅雨曇
曇鸞
曇鸞大師
...