山川方夫
1930.02.25 〜 1965.02.20
“山川方夫”に特徴的な語句
誰
坐
頬
駈
何故
逢
膝
外套
躊躇
呟
煙草
靄
疼
真面目
匂
敗
空
呆
廻
赧
訊
蒲団
襟
喧嘩
喘
眩
跫音
嚥
喉
呼吸
皺
眉
湧
氾濫
欠伸
掌
慄
喪
頬笑
洟
睡
歓
据
挨拶
呻
円
著者としての作品一覧
愛の終り(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
ドアが開くと、一人の青年が入ってきた。青年は流行のシルキイな布地の背広をぴったりと身につけ、暗緑色のサン・グラスで顔をかくしていた。そのまま、彼はすばやく室内をながめた。 彼女はゆ …
読書目安時間:約12分
ドアが開くと、一人の青年が入ってきた。青年は流行のシルキイな布地の背広をぴったりと身につけ、暗緑色のサン・グラスで顔をかくしていた。そのまま、彼はすばやく室内をながめた。 彼女はゆ …
愛のごとく(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間4分
私はいつも自分にだけ関心をもって生きてきたのだ。自分にとって、その他に確実なものがなにもなかったので、それを自分なりの正義だと思っていた。私はいつも自分を規定し、説明し、自分の不可 …
読書目安時間:約1時間4分
私はいつも自分にだけ関心をもって生きてきたのだ。自分にとって、その他に確実なものがなにもなかったので、それを自分なりの正義だと思っていた。私はいつも自分を規定し、説明し、自分の不可 …
赤い手帖(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
その夜は、彼はまったくついていなかった。 木曜日で、彼の演出している帯ドラの一週間分の録音をしてしまう夜だった。だいたいがやっつけ仕事めいた番組だが、その夜の出来はことにひどかった …
読書目安時間:約14分
その夜は、彼はまったくついていなかった。 木曜日で、彼の演出している帯ドラの一週間分の録音をしてしまう夜だった。だいたいがやっつけ仕事めいた番組だが、その夜の出来はことにひどかった …
朝のヨット(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
曙の色がほのかに東の空を染めて、間もなくその日の最初の太陽の光が、はるかな海面を錫箔のように輝かせた。洋上はまだ薄暗く、空と海の境もはっきりしなかったが、とにかく、海には朝が来てい …
読書目安時間:約4分
曙の色がほのかに東の空を染めて、間もなくその日の最初の太陽の光が、はるかな海面を錫箔のように輝かせた。洋上はまだ薄暗く、空と海の境もはっきりしなかったが、とにかく、海には朝が来てい …
暑くない夏(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
「……夏が来たのね」 女は、天井を見上げたままでいった。 白い天井。白い壁。白いシーツ。女の顔も白い。 「空を見ていると、わかるの。ついこないだまで、どんよりと空の濁った日ばかりが …
読書目安時間:約4分
「……夏が来たのね」 女は、天井を見上げたままでいった。 白い天井。白い壁。白いシーツ。女の顔も白い。 「空を見ていると、わかるの。ついこないだまで、どんよりと空の濁った日ばかりが …
あるドライブ(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
「……本当に、こうして二人でドライブに出たのなんて、三月ぶりかな」 「そのくらいね」妻はシートに背をもたせて、目をつぶった。窓の近くを流れる濃い緑のせいか、それとも頭痛のためだろう …
読書目安時間:約13分
「……本当に、こうして二人でドライブに出たのなんて、三月ぶりかな」 「そのくらいね」妻はシートに背をもたせて、目をつぶった。窓の近くを流れる濃い緑のせいか、それとも頭痛のためだろう …
演技の果て(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間9分
日ざかりは光が眩しかったが、いつのまにかなまあたたかい初夏の宵にかわっていた。かすかな風も出てきて、街路を歩いて行き、見上げるとまだビルの上にうす青い晴れた空がのこっていた。 「す …
読書目安時間:約1時間9分
日ざかりは光が眩しかったが、いつのまにかなまあたたかい初夏の宵にかわっていた。かすかな風も出てきて、街路を歩いて行き、見上げるとまだビルの上にうす青い晴れた空がのこっていた。 「す …
煙突(新字新仮名)
読書目安時間:約60分
戦災で三田の木造校舎を全焼したぼくらの中学校は、終戦後、同じ私学の組織下の小学校に、一時同居することになった。昭和二十年十月一日から、だからかつて五反田の家から通っていた天現寺の小 …
読書目安時間:約60分
戦災で三田の木造校舎を全焼したぼくらの中学校は、終戦後、同じ私学の組織下の小学校に、一時同居することになった。昭和二十年十月一日から、だからかつて五反田の家から通っていた天現寺の小 …
お守り(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
——君、ダイナマイトは要らないかね? 突然、友人の関口が僕にいった。四、五年ぶりでひょっこり銀座で逢い、小料理屋の二階に上りこんで飲んでいる途中だった。 関口とは、高校までがいっし …
読書目安時間:約14分
——君、ダイナマイトは要らないかね? 突然、友人の関口が僕にいった。四、五年ぶりでひょっこり銀座で逢い、小料理屋の二階に上りこんで飲んでいる途中だった。 関口とは、高校までがいっし …
菊(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
昔、一人の女がいた。 女は御所につとめ、幼いころからその御所の奥ふかくに住み、中宮の御身のまわりのこまごまとした雑用をはたすのが役目だった。 中宮と主上との御仲はたいへん円満で、毎 …
読書目安時間:約10分
昔、一人の女がいた。 女は御所につとめ、幼いころからその御所の奥ふかくに住み、中宮の御身のまわりのこまごまとした雑用をはたすのが役目だった。 中宮と主上との御仲はたいへん円満で、毎 …
恐怖の正体(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
——だから、私は屍体なんかこわくはないっていったんだ。私には、人間の生命ってやつが不気味なんだ。なにをしでかすかわからないし、それはおそろしく、むごたらしく、奇怪で、醜悪なものだ。 …
読書目安時間:約10分
——だから、私は屍体なんかこわくはないっていったんだ。私には、人間の生命ってやつが不気味なんだ。なにをしでかすかわからないし、それはおそろしく、むごたらしく、奇怪で、醜悪なものだ。 …
軍国歌謡集(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間20分
私は人間が進歩したり、性格が一変したり、というようなことはあまり信じてはいない。たしかに人間は変るものだが、それはべつに進歩を意味しないし、他人になるということでもない。彼の中の感 …
読書目安時間:約1時間20分
私は人間が進歩したり、性格が一変したり、というようなことはあまり信じてはいない。たしかに人間は変るものだが、それはべつに進歩を意味しないし、他人になるということでもない。彼の中の感 …
ジャンの新盆(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
雲のなかで、ジャンはいらいらしながら待ちつづけた。なぜぼくの資格審査だけに手間どるのか。さっきまで雲のあいだにウヨウヨと見え隠れしていた黄色い顔の連中は、いまは一人も見えない。ニイ …
読書目安時間:約13分
雲のなかで、ジャンはいらいらしながら待ちつづけた。なぜぼくの資格審査だけに手間どるのか。さっきまで雲のあいだにウヨウヨと見え隠れしていた黄色い顔の連中は、いまは一人も見えない。ニイ …
十三年(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
明るい昼すぎの喫茶店で、彼は友人と待ち合わせた。友人はおくれていた。 客のない白い円テーブルが、いくつかつづいている。夏のその時刻は客の数もまばらで、そのせいか、がらんとした店内が …
読書目安時間:約5分
明るい昼すぎの喫茶店で、彼は友人と待ち合わせた。友人はおくれていた。 客のない白い円テーブルが、いくつかつづいている。夏のその時刻は客の数もまばらで、そのせいか、がらんとした店内が …
蒐集(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
ジョージ・サンバードは、ニューヨークのある大学で美術史の講義をしている。専門はギリシャの瓶絵である。といっても、実のところ、彼の関心はギリシャ文明やその幾何学的な雷文や植物文・動物 …
読書目安時間:約14分
ジョージ・サンバードは、ニューヨークのある大学で美術史の講義をしている。専門はギリシャの瓶絵である。といっても、実のところ、彼の関心はギリシャ文明やその幾何学的な雷文や植物文・動物 …
その一年(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間18分
遠く近く形をかえてつづいて行く両側の丘や森に、残照はもはや跡もなかった。風も冷えてきていた。低い山の裾をまわり、保土ヶ谷をすぎるころから、黄昏れが深くなった。米軍の軍用トラックはい …
読書目安時間:約1時間18分
遠く近く形をかえてつづいて行く両側の丘や森に、残照はもはや跡もなかった。風も冷えてきていた。低い山の裾をまわり、保土ヶ谷をすぎるころから、黄昏れが深くなった。米軍の軍用トラックはい …
他人の夏(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
海岸のその町は、夏になると、急に他人の町になってしまう。——都会から、らくに日帰りができるという距離のせいか、避暑客たちが山のように押し寄せてくるのだ。夏のあいだじゅう、町は人口も …
読書目安時間:約7分
海岸のその町は、夏になると、急に他人の町になってしまう。——都会から、らくに日帰りができるという距離のせいか、避暑客たちが山のように押し寄せてくるのだ。夏のあいだじゅう、町は人口も …
トンボの死(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
二人が知りあったのは、青年の夏休みのアルバイトからだった。彼女はそのビルの一階にある喫茶店のウエイトレスをしていた。そして青年は、同じビルの四階と五階にひろいフロアをもつ電器会社に …
読書目安時間:約4分
二人が知りあったのは、青年の夏休みのアルバイトからだった。彼女はそのビルの一階にある喫茶店のウエイトレスをしていた。そして青年は、同じビルの四階と五階にひろいフロアをもつ電器会社に …
夏の葬列(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
海岸の小さな町の駅に下りて、彼は、しばらくはものめずらしげにあたりを眺めていた。駅前の風景はすっかり変っていた。アーケードのついた明るいマーケットふうの通りができ、その道路も、固く …
読書目安時間:約10分
海岸の小さな町の駅に下りて、彼は、しばらくはものめずらしげにあたりを眺めていた。駅前の風景はすっかり変っていた。アーケードのついた明るいマーケットふうの通りができ、その道路も、固く …
博士の目(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
私がマックス・プランツ研究所にロレンス博士をたずねたのは、数年前の早春のある日である。たまたま、近くの大学で国際動物学会が開催され、わざわざ日本から参加した私は、高名な博士に逢える …
読書目安時間:約12分
私がマックス・プランツ研究所にロレンス博士をたずねたのは、数年前の早春のある日である。たまたま、近くの大学で国際動物学会が開催され、わざわざ日本から参加した私は、高名な博士に逢える …
箱の中のあなた(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
「あの、失礼ですが」 なめらかな都会ふうの男の声がいった。彼女は、臆病と疑惑とがいっしょになったようなぎごちない様子で、立ち止った。 丘の上は、すばらしい夕焼けで赤く染っていた。馬 …
読書目安時間:約7分
「あの、失礼ですが」 なめらかな都会ふうの男の声がいった。彼女は、臆病と疑惑とがいっしょになったようなぎごちない様子で、立ち止った。 丘の上は、すばらしい夕焼けで赤く染っていた。馬 …
はやい秋(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞しくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥けたようだという。 だが、ふしぎにその日、彼には元気が …
読書目安時間:約13分
東京に帰ってきた彼は、見違えるように逞しくなって、ひどく日焼けしていた。ほとんど毎日海で泳ぎ、鼻のあたまの皮も、三、四へんは剥けたようだという。 だが、ふしぎにその日、彼には元気が …
非情な男(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
私は顔をあげた。やはり彼女だった。 窓ごしに彼女の眼が、哀願するように私をみつめている。 開けてくれというのだ。 黒い窓に、彼女は音をたてる。しだいに強く、執拗に、その音がつづいて …
読書目安時間:約6分
私は顔をあげた。やはり彼女だった。 窓ごしに彼女の眼が、哀願するように私をみつめている。 開けてくれというのだ。 黒い窓に、彼女は音をたてる。しだいに強く、執拗に、その音がつづいて …
一人ぼっちのプレゼント(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
ホテルは海に面していた。といっても、ホテルと海との間には、まず幅のある舗装道路があり、それから海岸公園のわずかばかりの緑地帯がある。海はその向うに、白や淡緑色の瀟洒な外国汽船や、無 …
読書目安時間:約19分
ホテルは海に面していた。といっても、ホテルと海との間には、まず幅のある舗装道路があり、それから海岸公園のわずかばかりの緑地帯がある。海はその向うに、白や淡緑色の瀟洒な外国汽船や、無 …
昼の花火(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
野球場の暗い階段を上りきると、別世界のような明るい大きなグラウンドが、目の前にひらけた。 氾濫する白いシャツの群が、目に痛い。すでに観客は、内野スタンドの八分を埋めてしまっている。 …
読書目安時間:約15分
野球場の暗い階段を上りきると、別世界のような明るい大きなグラウンドが、目の前にひらけた。 氾濫する白いシャツの群が、目に痛い。すでに観客は、内野スタンドの八分を埋めてしまっている。 …
待っている女(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
寒い日だった。その朝、彼は妻とちょっとした喧嘩をした。せっかくの日曜日なので、彼がゆっくりと眠りたいのに、妻はガミガミと彼の月給についての文句をいい、枕をほうりなげて、挙句のはて、 …
読書目安時間:約13分
寒い日だった。その朝、彼は妻とちょっとした喧嘩をした。せっかくの日曜日なので、彼がゆっくりと眠りたいのに、妻はガミガミと彼の月給についての文句をいい、枕をほうりなげて、挙句のはて、 …
メリイ・クリスマス(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
ある秋の夜。むし暑く、寝苦しいまま、彼はアパートの手すりにもたれて、目の下にひろがる都会の夜を、ぼんやりと眺めていた。彼の部屋は、都心に近い高層アパートの、それも最上階にあった。 …
読書目安時間:約13分
ある秋の夜。むし暑く、寝苦しいまま、彼はアパートの手すりにもたれて、目の下にひろがる都会の夜を、ぼんやりと眺めていた。彼の部屋は、都心に近い高層アパートの、それも最上階にあった。 …
歪んだ窓(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
朝からの雨が窓を濡らしている。アパートの小暗い部屋の中で、レーン・コートを出し手ばやく外出の仕度にかかる姉を、彼女は隅っこから目を光らせて見ていた。 「いいわね?じゃ、ちゃんとおと …
読書目安時間:約7分
朝からの雨が窓を濡らしている。アパートの小暗い部屋の中で、レーン・コートを出し手ばやく外出の仕度にかかる姉を、彼女は隅っこから目を光らせて見ていた。 「いいわね?じゃ、ちゃんとおと …
予感(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
深い谿をへだてた小さな山の斜面に、ぽつぽつ新緑が目立ちはじめ、その山肌に明暗の模様をつくりながら、いくつかの雲の落す影が動いている。遠く近く、早春の褐色の山の起伏がつらなり、それと …
読書目安時間:約4分
深い谿をへだてた小さな山の斜面に、ぽつぽつ新緑が目立ちはじめ、その山肌に明暗の模様をつくりながら、いくつかの雲の落す影が動いている。遠く近く、早春の褐色の山の起伏がつらなり、それと …
ロンリー・マン(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
私は汗を拭いた。いくら拭いても汗がながれてくる。部屋はひどくむし暑かった。 電灯がぼんやりと意識の隅で光っていた。 私は放心にちかい状態にいたのだったかもしれない。脚だけが小止みな …
読書目安時間:約5分
私は汗を拭いた。いくら拭いても汗がながれてくる。部屋はひどくむし暑かった。 電灯がぼんやりと意識の隅で光っていた。 私は放心にちかい状態にいたのだったかもしれない。脚だけが小止みな …
“山川方夫”について
山川 方夫(やまかわ まさお、本名:山川 嘉巳〈やまかわ よしみ〉、1930年(昭和5年)2月25日 - 1965年(昭和40年)2月20日)は、日本の小説家。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“山川方夫”と年代が近い著者
きょうが誕生日(1月28日)
中山省三郎(1904年)
きょうが命日(1月28日)
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
箕作秋坪(生誕200年)