メリイ・クリスマス
ある秋の夜。むし暑く、寝苦しいまま、彼はアパートの手すりにもたれて、目の下にひろがる都会の夜を、ぼんやりと眺めていた。彼の部屋は、都心に近い高層アパートの、それも最上階にあった。 月の美しい夜ふけで、空は月のまわりだけ穴をあけたように明るく …