“緊”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
42.7%
しま29.2%
きび4.5%
かた3.4%
しか3.4%
きつ2.2%
2.2%
しっか1.9%
しつ1.5%
1.5%
(他:20)7.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“緊”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語5.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
その中で特に際立って丈の高い孔子の姿を認め得た時、子路は突然とつぜん、何か胸をめ付けられるような苦しさを感じた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
鉄の桶みたいに、彼を囲んでいる殺気は、彼の白い歯から洩れた冷笑に、ふと毛穴のまるようなものにおもてを吹かれた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その皮膚も筋肉もことごとくしまって、どこにもおこたりのないところが、銅像のもたらす印象を、宗助の胸に彫りつけた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あまりに屡々しばしば、権門富家の厳重なしまりを、自由に破られるので、今や、警吏の威信が疑われて来ているのであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
舟人はを棄てゝ、手もて水をかき、われ等は身を舟中に横へしに、ララは屏息へいそくしてきびしく我手を握りつ。
しかし革紐がきびしく張っているのと、痙攣のように体が顫うのとを見れば、非常な努力をしているのが知れる。
いや、それと同時に長い睫毛まつげの先へ、涙を一ぱいためながら、前よりもかたく唇を噛みしめてゐるのでございます。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
が、大殿様はかたく唇を御噛みになりながら、時々気味悪く御笑ひになつて、眼も放さずぢつと車の方を御見つめになつていらつしやいます。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これを目當に走り寄りて、しかと抱きつくほどに、石落ち柱倒れ、人も獸もあらずなりて、我はた人事をしらず。
庄吉はその時まで片手にしかと下駄を握っていた。家を出る時、自分でも知らないで下駄を持って来たものと見える。
少年の死 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
斯うしている間に竜次郎は、始終無形の縄に縛られて、きつく繋がれたような気持がして、一歩も外へ踏み出せぬので有った。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
人間がきつく意識して掴もうとすればそこには掴まえられず、掴まえる意識を解き放つとき、ふと在所だけは見せて来る。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼らの顔は、一様に、彼らの美しき不弥の女を守り得る力を、彼女に示さんとする努力のためにしまっていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その美しい眉宇びうは、きっと、きしまって、許すまじき色が、アリ/\と動いた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ワイヤとチエンで、どんなにしっかり縛り付けといたって、一旦辷り出したとなれあ、人間の力で止める事が出来ない。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この時までもしっかりと、しないを握っていた十本の指を、まず順々に解いて行き、やがてすっかり解いてしまうと、上半身を抱き起こした。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もしさう云つて身を投げ伏せて來たら、兩手でしつかり女を抱いてやらうとも思つた。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
もしさう云つて身を投げ伏せて来たら、両手でしつかり女を抱いてやらうとも思つた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
例えていうならば、今日までの自分の心神や肉体という物は、ちょうど、りつめている厚氷のようなものであったと思う。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——一個の死者と三名の傷負ておいは、息一つする間にこのりつめた圏内けんないから無視されてしまったのだ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梶原が実検する中、その方を上目うわめに見、顔をしかめつつ両手を膝につき、膝頭を揃へ、段々と背延して、中腰になりてきっと見て居る。
その上に重厚沈毅な風丰に加えて、双眉の間に深い縦のしわを刻みつつきっと結んだ口から考え考えポツリポツリと重苦しく語る応対ぶりは一見信頼するに足る人物と思わせずには置かなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
と津田氏はいつだつたか、相馬氏が歩と桂馬とを人生の秘密か何ぞのやうに、しつか掌面てのひらに握つてゐた事を思ひ出した。
「うむ、さうだぢやありません、しつかりなさいましよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女子 (ヨハナーンを数々しばしば接吻し)昔のように、さあしっかりとだかっておいで、もっとしっかりと緊かりと。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
女子 風の音です、何んでもない風の音です。……ヨハナーンや! さあ姉様の所へおいで、さあ昔のようにしっかりと抱っこしてあげましょう。……さあおいで。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
奉公人ばかりじゃ、しまりが出来ない、病気がくなったら直ぐ来てくれ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とも云わるる、青ぺらのつばむしり上げて、引傾ひきかたげていで見せたは、酒気さかけも有るか、赤ら顔のずんぐりした、目の細い、しかし眉の迫った、その癖、小児こどものようなしまりの無い口をした血気ざかりおのこである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、次の情景が私達を更におどろかした。不意の闖入者と花子とがひしと抱き締めて、ものも云わずに黒い地面にうずくまったからである。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
彼女は考えていた、「この人は幸福なのだ、それがいちばん肝心なことだ。」——彼は自分の話にみずから酔いながら、母のなつかしい顔を、くびには黒い襟巻えりまきひしとまとい、白い髪をし、若々しい眼で自分をやさしく見守みまもり、寛容にゆったりと落ち着いてる母の、その顔をながめていた。
その眼色まなざしうらみきつさきあらはして、男の面上を貫かんとやうにきびしく見据ゑたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今はへ難くて声も立ちぬべきに、始めて人目あるをさとりてしなしたりと思ひたれど、所為無せんなくハンカチイフをきびしく目にてたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二人ふたりは斯うじつとしてゐるうちに、五十年をのあたりにちゞめた程の精神のきん張を感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうしてそのきん張と共に、二人ふたりが相並んで存在してると云ふ自覚を失はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは彼らの間を妙に強くくくりつけ、親密にしたようだった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
俺あどこまでも好自由な独者で渡りてえんだから、それをこだわることだけは、どうか勘弁してくんねえ、お願いだ。お前にしてからが、俺のような一生世間師で果てようてえ者にくっついてくより、元の亭主の——ああいう辛抱人へけえった方が末始終すえしじゅうのためだぜ。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
と怨念に向いまして、お神さんがそう云いますと、あの、その怨霊おんりょうがね、貴方、上下うえしたの歯を食いしばって、
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
兄弟よ。沢庵漬は上に加はる圧迫が大きければ大きいだけ、お互に密着くつつき合ひちゞめつけ合ふのである。が、労働者は沢庵であるか。
工場の窓より (新字旧仮名) / 葉山嘉樹(著)
「お訊ねしたのが愚かでした。終始何ものかへ、めていたあなたのお耳には、あの一曲のうちにかなでられた複雑こまやかな音の種々いろいろも、恐らくお聴き分けはなかったかも知れませぬ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊更、その風貌ふうぼうは、眉が美しく、鼻梁はなすじが通り、口元が優しくひきしまっているので、どちらかというと、業態ぎょうていにはふさわしからぬ位、みやびてさえ見える。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)