“緊”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
43.6%
しま29.1%
きび4.4%
かた3.4%
しか3.0%
しっか2.0%
2.0%
きつ2.0%
1.7%
しつ1.4%
しつか1.0%
しまり1.0%
きっ1.0%
しっ0.7%
ひし0.7%
きびし0.3%
きん0.3%
くく0.3%
くっ0.3%
しば0.3%
ちゞ0.3%
0.3%
ひき0.3%
ひきしま0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「聞きゃ、道成寺を舞った時、腹巻の下へ蛇をめた姉さんだと云うじゃないか。……その扱帯しごきが鎌首をもたげりゃかったのにさ。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「でも、親分が居なさると若い者も何となく気がしまっていい。迷惑でしょうが、町内付合だと思って涼み船の人数に入って下さい」
彼少女は粗暴なる少年に車をかれて、かつおそれ且は喜びたりき。彼少女は面紗めんさきびしく引締めて、身をば車の片隅に寄せ居たり。
寛文かんぶん十一年の正月、雲州うんしゅう松江まつえ祥光院しょうこういん墓所はかしょには、四基しきの石塔が建てられた。施主はかたく秘したと見えて、誰も知っているものはなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何卒どうぞ、先生、主義の為めに御奮闘を願ひます」慇懃いんぎんに腰をかがめたる少年村井は、小脇の革嚢かばんしかと抱へて、又た新雪あらゆき踏んで駆け行けり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
なんにしても夜が更けているんだから閉めてる家ばかり、仕方がないと駈け出しますると、勘太はたちまち追いすがり、しっかたもとを押えて
外面うはべだけは可なり鄭重に、直也を引いた。直也は、その口を一文字にきしめたまゝ、黙々として一言も発しなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
だが、この場合は窪んだ腹にきつく締めつけてある帯の間に両手を無理にさし込み、体は前のめりのまま首だけ仰のいて
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
余りにりきっている生命へ、暢々のびのびと、天然放縦のわがままを与えて、酒ものみ、転寝うたたねもし、書も読み、画筆ももてあそび、欠伸あくびもしたりして
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其支柱にしつかりトマトの茎を結び付けても、まだ其果実の重量で枝が折れる。従て枝も亦支へてやらねばならぬ事もある。
百姓日記 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
と津田氏はいつだつたか、相馬氏が歩と桂馬とを人生の秘密か何ぞのやうに、しつか掌面てのひらに握つてゐた事を思ひ出した。
まなこは火のごとく血走りながら、厚い唇は泥のごとくしまりなくゆるんで、ニタニタと笑いながら、足許ふらふらと虚空をにらんで、夜具包み背負しょって、ト転倒ころがる女を踏跨ふんまた
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梶原が実検する中、その方を上目うわめに見、顔をしかめつつ両手を膝につき、膝頭を揃へ、段々と背延して、中腰になりてきっと見て居る。
……ヨハナーンや! さあ姉様の所へおいで、さあ昔のようにしっかりと抱っこしてあげましょう。……さあおいで。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし、次の情景が私達を更におどろかした。不意の闖入者と花子とがひしと抱き締めて、ものも云わずに黒い地面にうずくまったからである。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
今はへ難くて声も立ちぬべきに、始めて人目あるをさとりてしなしたりと思ひたれど、所為無せんなくハンカチイフをきびしく目にてたり。静緒の驚駭おどろきは謂ふばかり無く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二人ふたりは斯うじつとしてゐるうちに、五十年をのあたりにちゞめた程の精神のきん張を感じた。さうしてそのきん張と共に、二人ふたりが相並んで存在してると云ふ自覚を失はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは彼らの間を妙に強くくくりつけ、親密にしたようだった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
お前にしてからが、俺のような一生世間師で果てようてえ者にくっついてくより、元の亭主の——ああいう辛抱人へけえった方が末始終すえしじゅうのためだぜ。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
(どうだ、手前てめえが嫉妬で死んだ時の苦しみは、何とこのくらいのものだったかい。)と怨念に向いまして、お神さんがそう云いますと、あの、その怨霊おんりょうがね、貴方、上下うえしたの歯を食いしばって
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沢庵漬は上に加はる圧迫が大きければ大きいだけ、お互に密着くつつき合ひちゞめつけ合ふのである。が、労働者は沢庵であるか。
工場の窓より (新字旧仮名) / 葉山嘉樹(著)
「お訊ねしたのが愚かでした。終始何ものかへ、めていたあなたのお耳には、あの一曲のうちにかなでられた複雑こまやかな音の種々いろいろも、恐らくお聴き分けはなかったかも知れませぬ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかめしい、戒律そのもののようなむずかしい顔をした長老は、噠𡃤喇嘛紛失ふんじゅつの一部始終を詳細に渡って語るのであったが、その長い話もひき縮めると、次のような要点になるのであった。
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊更、その風貌ふうぼうは、眉が美しく、鼻梁はなすじが通り、口元が優しくひきしまっているので、どちらかというと、業態ぎょうていにはふさわしからぬ位、みやびてさえ見える。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)