“睨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にら81.2%
16.1%
にらみ1.0%
げい0.6%
ねめ0.3%
ねら0.2%
こら0.1%
うかが0.1%
なが0.1%
にらめ0.1%
にらん0.1%
0.1%
ニラ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母親はきつい眼でにらんだが、唇には微笑がうかんでいた。黙って居間へゆき、ひき返して来ると、紙に包んだ物を渡しながら云った。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
伊豆屋の若旦那が土左衛門になったと聴いて、橋場まで行って見ましたが、三輪の親分がめ廻しているから、諦めて返りましたよ。
郷にったら郷に従えだと、講釈で聞いたんですが、いかな立女形たておやまでもあの舞台じゃあにらみが利かねえ、それだから飛んだ目に逢うんでさ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「私ことは西川正休、幕府に仕えて天文方、お見知り置かれくださいますよう」グルリと西川正休、太郎丸を一げいしたものである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
出来ないとお言いのか……フン癯我慢やせがまんをお言いでない、そんな了簡方だから課長さんにもねめられたんだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これこそルパンのねらった機会だ。障害物が除去せらるるや否や長靴のさきでドーブレクの向脛むこうずねに得意の一撃を与えた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
一日中、こらみあっていた両軍が何のきっかけで、どっちからいどみかけて、接戦の口火が切られたか、分らなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うかがっているように見えるもんだから、それで不満なんでしょう
千早館の迷路 (新字新仮名) / 海野十三(著)
動物的の愛なんぞは何処かの隅にそっしまって置き、例の霊性の愛とかいうものをかつだして来て、薄気味悪い上眼を遣って、天から振垂ぶらさがった曖昧あやふやな理想の玉をながめながら
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
芋蟲いもむしあいちやんとはたがひしばらだまつてにらめをしてましたが、つひ芋蟲いもむし其口そのくちから煙管きせるはなして、したッたるいやうなねむさうなこゑ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
へいを高くし門を固めて暖き夢にふけつて居るのを見ては、暗黒の空をにらんで皇天の不公平——ぢやない其の卑劣を痛罵つうばしたくなるンだ、ことに近来仙台阪の中腹に三菱の奴が
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と、これも気色けしきばんだ女房の顔を、兀上はげあがった額越ひたいごしに、トって
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何しろ、此二つの天部テンブが、互に敵視するやうな目つきで、ニラみあつて居る。噂を気にした住侶たちが、色々に置き替へて見たが、どの隅からでも、互に相手の姿を、マナジリを裂いて見つめて居る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)