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にらめ
殺し
盜み取たるに相違は有まじ夫にても
猶知らぬと申すかと
白眼らるれども富右衞門は實に
覺えなきことなるにぞ此百兩の金子は
古河の穀屋儀左衞門方より
請取候に相違は御座りませんと少しも
臆せず申立るを
恐ろしく
叱り
付たり
怕眼で
白眼ますから久兵衞ほど
怕者は御座りません夫れに
引替若い者重助は誠に
好者にて若旦那々々々と云て大事にして
呉ますと申すに越前守殿夫れにて分つたり
下れ/\と申されしかば私しの
御内儀さんは
呉々も
御歸し
下さいましと言つゝ白洲を
芋蟲と
愛ちやんとは
互に
暫く
默つて
睨ツ
競をして
居ましたが、
終に
芋蟲が
其口から
煙管を
離して、
舌ッたるいやうな
眠さうな
聲で