“恐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おそ36.3%
こわ29.3%
こは7.7%
おそれ7.0%
おそろ6.9%
おそら3.0%
こ1.8%
おそろし1.3%
お1.3%
かしこ1.1%
こお0.6%
おっ0.4%
ご0.3%
おっか0.3%
おつ0.3%
おッそ0.3%
コハ0.3%
おと0.1%
いか0.1%
おじ0.1%
おぢ0.1%
おとろ0.1%
おど0.1%
おどろ0.1%
おツ0.1%
かし0.1%
かしこま0.1%
こわが0.1%
オソ0.1%
ヲゾ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがて大きなつめでひっかくような音(おと)がすると思(おも)うと、はじめ真(ま)っ黒(くろ)な雲(くも)と思(おも)われていたものが急(きゅう)に恐(おそ)ろしい化(ば)けものの形(かたち)になって
鵺 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一週間の間、ルイザは風邪(かぜ)をひいて室にこもった。クリストフとザビーネとは二人きりだった。最初の晩は、二人とも恐(こわ)がっていた。
「あの人は真面目(むき)だから怒ると恐(こは)いぜ。それに、今度のことぢや、若旦那、篦棒(べらぼう)なのぼせやうをして居なさるんだつて言ふからな。」
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
人形の手足を掙(も)いでおいたのに極(きわま)って、蝶吉の血相の容易でなく、尋常(ただ)では納(おさま)りそうもない光景を見て、居合すは恐(おそれ)と、立際(たちぎわ)の悪体口(にくていぐち)
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あなたは母様の膝(ひざ)に抱っこされて居た。そとでは凩(こがらし)が恐(おそろ)しく吼(ほ)え狂うので、地上のありとあらゆる草も木も悲しげに泣き叫んでいる。
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
恐(おそら)く満場の諸君よりも同君の内状に詳(くはし)いであらうと思ふ、我輩は最も親交ある篠田君の一友人として、松本君の指摘されたる事実は
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
女子 そのような恐(こ)わらしいことを申すものではござりませぬ。人を殺すのは、自分を殺すと同じではござりませぬか……。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とお前様(まへさま)お聞(き)かせ申(まを)す話(はなし)は、これからぢやが、最初(さいしよ)に申(まを)す通(とほ)り路(みち)がいかにも悪(わる)い、宛然(まるで)人(ひと)が通(かよ)ひさうでない上(うへ)に、恐(おそろし)いのは、蛇(へび)で。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
仁王立(におうだ)ちになって睨(にら)みすえながら彼れは怒鳴(どな)った。子供たちはもうおびえるように泣き出しながら恐(お)ず恐(お)ず仁右衛門の所に歩いて来た。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
現(げ)にまのあたりに見奉りしは、二四紫宸(ししん)清涼(せいりやう)の御座(みくら)に朝政(おほまつりごと)きこしめさせ給ふを、百(もも)の官人(つかさ)は、かく賢(さか)しき君ぞとて、詔(みこと)恐(かしこ)みてつかへまつりし。
「なあ奥様、こんな闇夜(やみよ)に男の人いててくれはれしまへなんだら、恐(こお)うて歩かれしまへんなあ」と、用もないのんに私掴(つか)まえて
卍 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
海の方が恐(おっ)かねえことも多いけど、陽気で好いぞ、ボートの中に寝そべって、大きな浪にこうユタリーユタリとゆられてよ、空を眺めてると下らないことは忘れてしまわあ。
恨なき殺人 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
恐(こ)わ恐(ご)わその方に近よってみると、これはたいへん、倒れているのは所長の芳川博士であったではないか。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もっとも、まあこうやって女の手一つで立過(たてすご)して、そんな恐(おっか)ねえ処へ貴方のために参ったんだ、憎くはありません、心中者だ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「その当時、その話もあつたんだが、維持が困難だらうといふんで、僕に入れといふんだけれど、何うして先生の書斎なんかにゐられるもんですか恐(おつ)かなくて……。」
和解 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
眼が眩(ま)う。隣歩きで全然(すっかり)力が脱けた。それにこの恐(おッそ)ろしい臭気は! 随分と土気色になったなア! ……これで明日(あす)明後日(あさって)となったら——ええ思遣られる。
義経なんかも、ごらう(ごりやう)に何の縁もない名だが、やつぱり死後の亡魂の恐(コハ)がられる理由はあつたのである。
芸能民習 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ほんまに恐(おと)ろしやの、目の子の玉に針さしたりして、えい目もつぶれろぞ思いますけんど、何せ日本でも名高い医者のいうことじゃというし。
大根の葉 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
恐(いか)りにもえた声がして、警官(けいかん)はものの見事(みごと)に、その場になぐりたおされた。
木蔭に草を刈集めていた農夫は物音を聞きつけて、東からも西からも出合いましたが、いずれも叫んで逃廻るばかり。馬の勢に恐(おじ)て寄りつく者も有ません。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
前(まへ)の世(よ)の蝦蟆(がま)にてや有(あり)けむ、蛇(くちなは)なん極(いみじ)く恐(おぢ)ける。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
しとる間に、もう、これじゃ。女子の心ちゅうもんは、恐(おとろ)しいのう。女子は魔物じゃ
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
『今昔物語集』巻五第二十一語に天竺(てんじく)の山に狐と虎住み、その狐虎の威を仮りて諸獣を恐(おど)す、虎行きて狐を責め狐恐れて逃ぐるほどに井に落ちたとありて
坊さんの計算の時には二を掛けて行つて恐(おどろ)く程の速さで大きな数字になつて行つた。が、木虱の家族の増えるのは、十を掛けて行くのだから、其の増えるのはもつと/\早い。
『いやにじれつたいな、何うにも、恁うにも、恐(おツ)かないなら、手を地べたに着いて謝罪んねえ、そこへ坐つて、チエツ、意氣地のない青二才だ』
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
無限てふことの恐(かし)こさ夢さめてなほ暫(しま)らくを心慄へゐる
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
はやく酒殽(さかな)をつらねてすすめまゐらすれば、八四万作酌(しやく)まゐれとぞ課(おほ)せらる。恐(かしこま)りて、美相(びさう)の若士(わかさぶらひ)膝行(ゐざ)りよりて八五瓶子(へいじ)を捧(ささ)ぐ。かなたこなたに杯(さかづき)をめぐらしていと興ありげなり。
どうかすると、その手紙の中には、「織女を恐(こわが)っている牽牛なんて有りませんね」などとした初心(うぶ)な調子で書いたところも有った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
乙吉(オトキチ)ト新美(シンミ)ノ二人ガ、子供ヲ大事ニ気ヲ附(ツ)ケマス。一雄(カズオ)ハ深イ所デ泳イデモ危(アブナ)イコトハアリマセン。コノ夏ハクラゲヲ大変恐(オソ)レマス。シカシヨク泳ギ、ソシテヨク遊ビマス。
恐(ヲゾ)しの「をぞ」と言ふが、やはり仮名の変化でうつめ・をつめだと思ふ。魂を「をちふらせる」役であらう。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)