“膝行”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いざ37.0%
ゐざ23.6%
しっこう11.8%
ゐざり7.9%
にじ6.3%
いざり6.3%
ヰザ2.4%
にじり2.4%
いざっ1.6%
すさ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
などと注意をすると、この極端に内気な人にも、人の言うことは何でもそむけないところがあって、姿を繕いながら膝行いざって出た。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
平次に迎へ入れられると、二つ三つ立て續けにお辭儀をして、後ずさりに膝行ゐざりよるといつた、何んとなくたしなみの良い男でした。
犬殺しは遠くの方から、怖る怖る地上へ膝行しっこうして集まった人たちを仰ぎ見ることをしないで、犬の方へばかり近寄って行きました。
そしてお玉の死骸の側に膝行ゐざり寄ると、そのこめかみのあたりへ左手を掛け、右手の生濕なまじめりの小菊を、死體の耳の穴へ、そつと差込むのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「おちやん、お召しや。」と、千代松は目顏で知らして、病人にさからふなと注意したので、お駒は澁々病床近く膝行にじり寄つて、お辭儀をした。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
先方は意外に思ったらしいが、無視しているように思わせたくないと思って、一人の女が膝行いざり寄って来た。襖子からかみから少し遠いところで
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
屋敷から、一歩はおろか、女部屋を膝行ヰザり出ることすら、たまさかにもせぬ、郎女イラツメのことである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
と馬鹿なことを訊ねながら、這うようにして膝行にじりだしてきた。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
どこまでも冷淡にはできない感情に負けて、歎息たんそくらしながら座敷の端のほうへ膝行いざってくる御息所の様子にはえんな品のよさがあった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
と長助が小刀ちいさがたなをすらりと引抜いた時に、驚いて丹治が前へ膝行すさり出まして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)