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膝行
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いざ
ふりがな文庫
“
膝行
(
いざ
)” の例文
などと注意をすると、この極端に内気な人にも、人の言うことは何でもそむけないところがあって、姿を繕いながら
膝行
(
いざ
)
って出た。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と
膝行
(
いざ
)
り寄る。
半
(
なか
)
ば夢心地の屑屋は、前後の事を知らぬのであるから、
武士
(
さむらい
)
を
視
(
み
)
て、其の剣術に
縋
(
すが
)
つても助かりたいと思つたのである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
倅の又次郎が手を出しそうにするのを止めて、自分で
膝行
(
いざ
)
り寄って、壁際に立てかけてあった吹矢筒を取って、平次に渡します。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうすると健斎老が、これは無言で
膝行
(
いざ
)
り寄り、患者の枕許へ手を入れて、しずかに取り上げた小腕を見ると細くて白い。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
主水は朋輩のうしろに
坐
(
すわ
)
って、
膝
(
ひざ
)
に手を置いてうつむいていたが、そう言われると、逃げ隠れもできない。はっといって広間の
閾際
(
しきいぎわ
)
まで
膝行
(
いざ
)
り出て、そこで平伏した。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
屋敷から、一歩はおろか、女部屋を
膝行
(
いざ
)
り出ることすら、たまさかにもせぬ、郎女のことである。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ですから、外に出たと思って中に入ろうとし、紙帳の垂れをまくって一足
膝行
(
いざ
)
ると、今度は反対に外へ出てしまうのですが、その眼の前に、一つの
穽
(
あな
)
が
設
(
しつら
)
えてあるのです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「はい」と云って出て行くお米、主人庄司甚右衛門はスルスルと前へ
膝行
(
いざ
)
ったが
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
医師は、横わっている勝平の傍近く、
膝行
(
いざ
)
り寄りながら、瑠璃子にそう
訊
(
き
)
いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お糸さんは床を
敷
(
と
)
って了うと、火鉢の
側
(
そば
)
へ
膝行
(
いざ
)
り寄って火を直しながら
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
邪慳
(
じゃけん
)
に彼の手を払いのけるとまた一にじり
膝行
(
いざ
)
り出て
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
膝行
(
いざ
)
り寄るようにして義兄玄正が訊ねた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
そこで、戸を
膝行
(
いざ
)
って出た私ですが、ふらふらと外へ出たのは一枚の
開戸口
(
ひらきどぐち
)
で。——これが
開
(
あ
)
いたのを、さきには一本松の幹だと思った。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床の上に寝かして、簡単な供え物をしただけ、
膝行
(
いざ
)
り寄って、それを一と眼見た平次が、ハッと息を呑んだほど、それはよく兄の岩太郎に似て居りました。
銭形平次捕物控:245 春宵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
源氏が弾くのを少し長く聞いていれば得る所があるであろう、少しでも多く弾いてほしいと思う玉鬘であった。いつとなく源氏のほうへ
膝行
(
いざ
)
り寄っていた。
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
郎女の手に、此巻が渡った時、姫は端近く
膝行
(
いざ
)
り出て、元興寺の方を礼拝した。其後で
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「憐れんで貰う必要はない。もっとも……」と云うと
膝行
(
いざ
)
り寄り
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お銀様は、幸内の寝ている枕許へ
膝行
(
いざ
)
り寄って来ました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
形ばかりの台の上に載せた
香炉
(
こうろ
)
に線香を立てて、平次は
膝行
(
いざ
)
り寄るように、死骸の上に掛けた布を取りました。
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
明石
(
あかし
)
はやっと
膝行
(
いざ
)
って出て、そして姿は見せないように
几帳
(
きちょう
)
の
蔭
(
かげ
)
へはいるようにしている様子に気品が見えて
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一さし舞うて見せむとて、
留
(
とど
)
むるを強いて、立たぬ足
膝行
(
いざ
)
り出でつ。小稲が肩貸して立たせたれば、手酌して酒飲むとは人かわりて、おとなしく身繕いして、粛然と向直る。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お耳を」と云いながら
膝行
(
いざ
)
り寄った。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
平次は部屋の四方から、家の構造をひと通り見て、地理的な関係を胸に畳んでから、
膝行
(
いざ
)
るように中に入って、惨憺たる死骸を、恐ろしく丁寧に見ました。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
源氏はこの手習い紙をながめながら
微笑
(
ほほえ
)
んでいた。書いた人はきまりの悪い話である。筆に墨をつけて、源氏もその横へ何かを書きすさんでいる時に明石は
膝行
(
いざ
)
り出た。
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
(
紅
(
あか
)
の
袴
(
はかま
)
にて
膝行
(
いざ
)
り出で、桶を
皺手
(
しわで
)
にひしと
圧
(
おさ
)
え、
白髪
(
しらが
)
を、ざっと
捌
(
さば
)
き、染めたる歯を
角
(
けた
)
に開け、三尺ばかりの長き舌にて生首の顔の血をなめる)汚穢や、(ぺろぺろ)汚穢やの。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「殿」と郷介は
膝行
(
いざ
)
り寄った。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お舟は
膝行
(
いざ
)
り寄って、和助の激情に
顫
(
ふる
)
える手を取るのです。涙はお互の顔も見えないほど降りそそぎました。
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言って、
御簾
(
みす
)
を巻き上げて、縁側に近く
女王
(
にょおう
)
を誘うと、泣き沈んでいた夫人はためらいながら
膝行
(
いざ
)
って出た。月の光のさすところに非常に美しく女王はすわっていた。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と
膝行
(
いざ
)
り
寄
(
よ
)
つて、……
雪枝
(
ゆきえ
)
が
伸上
(
のびあが
)
るやうに
膝
(
ひざ
)
を
支
(
つ
)
いて、
其
(
そ
)
の
袖
(
そで
)
のあたりを
拝
(
をが
)
んだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
膝行
(
いざ
)
り寄って線香をあげて、死骸を
覆
(
おお
)
った
巾
(
きれ
)
を取りのけて、物馴れたガラッ八も思わず声を立てました。
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言いながら部屋の奥のほうへ
膝行
(
いざ
)
って行くのがういういしく見えた。命婦は笑いながら
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
生命
(
いのち
)
がけで、
描
(
か
)
いて文部省の展覧会で、
平
(
へえ
)
つくばって、
可
(
い
)
いか、洋服の膝を膨らまして
膝行
(
いざ
)
ってな、いい図じゃないぜ、審査所のお玄関で
頓首
(
とんしゅ
)
再拝と
仕
(
つかまつ
)
った
奴
(
やつ
)
を、紙鉄砲で、ポンと
撥
(
は
)
ねられて
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お篠はそう言って、自分の両手を後ろに廻し、平次の方へ
膝行
(
いざ
)
り寄るのです。
白粉気
(
おしろいけ
)
のない顔は青ざめ、
瞼
(
まぶた
)
に
溢
(
あふ
)
れる涙が、豊かな頬を濡らして襟に落ちるのでした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
生命
(
いのち
)
がけで、
描
(
か
)
いて文部省の展覧会で、
平
(
へえ
)
つくばつて、
可
(
い
)
いか、洋服の
膝
(
ひざ
)
を膨らまして
膝行
(
いざ
)
つてな、いゝ図ぢやないぜ、審査所のお玄関で
頓首
(
とんしゅ
)
再拝
(
さいはい
)
と
仕
(
つかまつ
)
つた奴を、
紙鉄砲
(
かみでっぽう
)
で、ポンと
撥
(
は
)
ねられて
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
外から
御簾
(
みす
)
を引き上げながらこう言った。玉鬘は
膝行
(
いざ
)
って出て言った。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
案内されて、中へ通った平次、お品の勧める
座蒲団
(
ざぶとん
)
を押やって、利助の枕元に
膝行
(
いざ
)
り寄りました。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
心当りがあるか、ごほりと咳きつつ、甘酒の釜の蔭を
膝行
(
いざ
)
って出る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泣く泣く病床へ衛門督は
膝行
(
いざ
)
り入るのであった。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
奥の間に寝かしたまま、
検屍
(
けんし
)
を待っている娘お吉の死体を、平次は
膝行
(
いざ
)
り寄って一目見せて貰いました。醜かるべき絞殺死体ですが、これはまたなんという美しさでしょう。
銭形平次捕物控:129 お吉お雪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僧は
燈火
(
ともしび
)
の
許
(
もと
)
に
膝行
(
いざ
)
り寄った。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静かに
膝行
(
いざ
)
って出た。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
八五郎は
咄嗟
(
とっさ
)
のあいだに二人の若い女を観察すると、死骸の傍に
膝行
(
いざ
)
り寄って、いつも親分の平次がするように、ていねいに拝んでから、顔を
蔽
(
おお
)
ってある白い布を取りました。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ノソリと帰って来た八五郎は、火鉢の側へ
膝行
(
いざ
)
り寄ると、もうこんなことを言うのです。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お金は驚いて
膝行
(
いざ
)
り下りました。躾みは無くとも、相手の身分は一と目でわかります。
新奇談クラブ:08 第八夜 蛇使いの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
いざ
)
り寄って渋茶の茶碗を引寄せながら、こう振り仰いだ八五郎の鼻は少し
蠢
(
うごめ
)
きます。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
などといいながら、
欄干
(
らんかん
)
の方へよちよち
膝行
(
いざ
)
って、
品
(
しな
)
を作って柱に
絡
(
から
)
むとそのまま『美人欄に寄るの図』になろうといった——少なくとも本人はそう信じて疑わない
性
(
なち
)
の女だったのです。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の寝ている枕許に
膝行
(
いざ
)
り寄りました。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お倉は平次の方に
膝行
(
いざ
)
り寄って、その羽織の裾に
犇
(
ひし
)
とすがり付くのでした。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎はそれでも犬にも噛み付かれず、障子の外から
膝行
(
いざ
)
り込みました。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
笹野新三郎は自分も
膝行
(
いざ
)
り寄って、平次を
小手招
(
こてまね
)
ぎました。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“膝行”の意味
《名詞》
貴人などの前でひざまずき膝で進退すること。
(出典:Wiktionary)
膝
常用漢字
中学
部首:⾁
15画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
“膝行”で始まる語句
膝行袴
膝行寄
膝行出
膝行頓首
膝行軌
膝行込