“溢”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あふ80.7%
こぼ15.2%
あぶ1.7%
みなぎ0.8%
あふれ0.3%
あぶれ0.2%
はふ0.2%
0.2%
あが0.2%
かか0.2%
くび0.2%
0.2%
コボ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
力松はさう言つて口惜くやしがるのです。一國らしい中年者で、田園の匂ひが全身にあふれるだけに、此男にうそがあらうとは思はれません。
露垂るばかりの黒髪は、ふさふさと肩にこぼれて、柳の腰に纏いたり。はだえの色真白く、透通るほど清らかにて、顔はいたく蒼みて見ゆ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まるっきり今日はあぶれちまって、からいて帰るかと思っていた処で、何うか幾許いくら待っても宜しゅうございます、閑でげすから、お合乗あいのりでへい
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処では各の人々がお互にアンディフェランでノンシャランで、各の中に静かな泉をみなぎらせ乍ら、絶えざる細い噴水を各の道に流し流し行き交うてゐる。
群集の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
あわれこのあふれ出ずる涙を思うままに溢出さしめ、思うままに声を挙げて泣き叫ばしめたらんには、幾何いくばくかわがこの悲しみを洗い去ることを得しなるべけれど、人に聞かるるの恐れあれば
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
されども人毎ひとごと業用げふようにさゝへて時をうしなふか、又は一夜の大雪にかの水源すゐげんふさぐ時は、水あぶれひくき所をたづねながる。
おもわすれむしだくにはふくもつつしぬばせ 〔巻十四・三五一五〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
つひふれてみなぎりて
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平野は未だ海のやうに煙つてゐたが、一休みしてゐる間に忽ち輝かしい朝陽があがつて、樹々の姿が藻のやうに浮び、村の家々から立ち昇る煙りがくつきりと判別された。
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
しおあがったら、まっとかかるべい。)
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と膝に手を突いて起上りますると、鼠小紋ねずみこもん常着ふだんぎ寝着ねまきにおろして居るのが、汚れッが来ており、お納戸色なんどいろ下〆したじめを乳の下に堅くめ、くびれたように痩せて居ります。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
胡座あぐらいた虚脛からすねみ出るのを気にしては、着物のすそでくるみくるみしゃべっている。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
黒インクのコボれた角砂糖が三輪車に積荷ツマれる。
AU MAGASIN DE NOUVEAUTES (新字旧仮名) / 李箱(著)