斎藤茂吉
1882.05.14 〜 1953.02.25
“斎藤茂吉”に特徴的な語句
息
寂
山
水
吾
何時
日
来
命
麦酒
稍
出
谿
空
大
萌
其
旅
麓
二人
今日
貰
好
湧
午
儘
亦
稀
沁
溯
併
殆
紅
一人
寝
本
己
煙草
後
漕
所詮
捉
癒
拵
湛
痩
恰好
眼
汝
撫
著者としての作品一覧
愛国歌小観(旧字旧仮名)
読書目安時間:約11分
今日は愛國歌について一言を徴せられたが、大東亞戰爭の勃發して以來、國民が奮つて愛國歌を讀み、朗誦し、萬葉集に載つた、『海ゆかば水漬く屍山ゆかば草むす屍大皇の邊にこそ死なめ顧みは爲じ …
読書目安時間:約11分
今日は愛國歌について一言を徴せられたが、大東亞戰爭の勃發して以來、國民が奮つて愛國歌を讀み、朗誦し、萬葉集に載つた、『海ゆかば水漬く屍山ゆかば草むす屍大皇の邊にこそ死なめ顧みは爲じ …
愛国百人一首に関連して(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
○ 選定の結果、數萬といふ資料の歌がただ百首になるのであるから、實に澤山の推薦歌が選に漏れたことになり、殘念至極であるけれども、これは大方君子の海容をねがはねばならない。 選につい …
読書目安時間:約4分
○ 選定の結果、數萬といふ資料の歌がただ百首になるのであるから、實に澤山の推薦歌が選に漏れたことになり、殘念至極であるけれども、これは大方君子の海容をねがはねばならない。 選につい …
愛国百人一首評釈(旧字旧仮名)
読書目安時間:約8分
大宮の内まで聞ゆ網引すと網子ととのふる海人の呼び聲長奧麻呂 この歌は長忌寸奧麻呂(傳記未詳)が文武天皇三年正月、難波宮に行幸あそばした時に供奉して、詔を奉じて詠んだものである。(大 …
読書目安時間:約8分
大宮の内まで聞ゆ網引すと網子ととのふる海人の呼び聲長奧麻呂 この歌は長忌寸奧麻呂(傳記未詳)が文武天皇三年正月、難波宮に行幸あそばした時に供奉して、詔を奉じて詠んだものである。(大 …
雷談義(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
雷のことをイカヅチと云つて、古事記にも大雷、黒雷等とあるが私は嘗てイカヅチは厳槌で、巨大な槌といふ語原だらうと思ひ、上代人が、彼の響きを巨大な槌を以て続けさまに物を打つと考へたその …
読書目安時間:約7分
雷のことをイカヅチと云つて、古事記にも大雷、黒雷等とあるが私は嘗てイカヅチは厳槌で、巨大な槌といふ語原だらうと思ひ、上代人が、彼の響きを巨大な槌を以て続けさまに物を打つと考へたその …
イーサル川(新字旧仮名)
読書目安時間:約10分
イーサル川は南の方のアルプス山中から出て、北へ向つて流れてゐる。分水嶺は既に独逸の国境を越して墺太利の領分になつてゐるので、さう手易く其処を極めることは出来ないやうである。 川の沿 …
読書目安時間:約10分
イーサル川は南の方のアルプス山中から出て、北へ向つて流れてゐる。分水嶺は既に独逸の国境を越して墺太利の領分になつてゐるので、さう手易く其処を極めることは出来ないやうである。 川の沿 …
ヴエスヴイオ山(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
ポンペイの街をやうやく見物してしまつて、午過ぎて入口のところの食店で赤葡萄酒を飲み、南伊太利むきの料理を食べて疲れた身心を休めてゐる。それから、此処で発掘した小さい瓶子などを並べて …
読書目安時間:約8分
ポンペイの街をやうやく見物してしまつて、午過ぎて入口のところの食店で赤葡萄酒を飲み、南伊太利むきの料理を食べて疲れた身心を休めてゐる。それから、此処で発掘した小さい瓶子などを並べて …
カフエ・ミネルワ(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
森鴎外の作、「うたかたの記」といふ短篇は、ミユンヘンを場面として、巨勢といふ若い日本洋画家と、マリイといふ独逸少女との恋愛を物語り、少女は湖水に溺れて、『少女は蘇らず。巨勢は老女と …
読書目安時間:約6分
森鴎外の作、「うたかたの記」といふ短篇は、ミユンヘンを場面として、巨勢といふ若い日本洋画家と、マリイといふ独逸少女との恋愛を物語り、少女は湖水に溺れて、『少女は蘇らず。巨勢は老女と …
北原白秋君を弔ふ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約7分
北原白秋君は昭和十七年十一月二日年五十八を以て逝かれた。私等は哀惜の念に堪へず、涙をふるつて君を弔つた。五十八歳といへば私よりも三つ年若であるが、君の天才の華がもう二十歳でひらいて …
読書目安時間:約7分
北原白秋君は昭和十七年十一月二日年五十八を以て逝かれた。私等は哀惜の念に堪へず、涙をふるつて君を弔つた。五十八歳といへば私よりも三つ年若であるが、君の天才の華がもう二十歳でひらいて …
呉秀三先生(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
故正岡子規先生の『仰臥漫録』は、私の精神生活にはなくてかなわぬ書物の一つであった。 『仰臥漫録』の日々の筆録が明治三十四年九月に入って、「病人の息たえだえに秋の蚊帳」とか「病室に蚊 …
読書目安時間:約9分
故正岡子規先生の『仰臥漫録』は、私の精神生活にはなくてかなわぬ書物の一つであった。 『仰臥漫録』の日々の筆録が明治三十四年九月に入って、「病人の息たえだえに秋の蚊帳」とか「病室に蚊 …
結核症(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
おなじ結核性の病で歿した近ごろの文学者でも、やはり行き方に違ふところがあるやうに思ふ。正岡子規とか国木田独歩とかを一つの型と看做せば、高山樗牛とか綱島梁川とかは又一つの型のやうに思 …
読書目安時間:約3分
おなじ結核性の病で歿した近ごろの文学者でも、やはり行き方に違ふところがあるやうに思ふ。正岡子規とか国木田独歩とかを一つの型と看做せば、高山樗牛とか綱島梁川とかは又一つの型のやうに思 …
鯉(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
大石田に来てから、最上川に大きな鯉が居るといふ話を一再ならず聞いた。今は大石田町に編入されたが、今宿(いましゆく)といふ部落の出はづれで、トンネルのあるところの山を切開いた新道、つ …
読書目安時間:約4分
大石田に来てから、最上川に大きな鯉が居るといふ話を一再ならず聞いた。今は大石田町に編入されたが、今宿(いましゆく)といふ部落の出はづれで、トンネルのあるところの山を切開いた新道、つ …
『さびし』の伝統(新字旧仮名)
読書目安時間:約18分
短歌には形式上の約束があるために、新らしい言葉がなかなか入り難い。入れようとすると無理が出来て、その企の放棄せられることは、常に実作者のあひだに行はれてゐる事柄である。若しこれが約 …
読書目安時間:約18分
短歌には形式上の約束があるために、新らしい言葉がなかなか入り難い。入れようとすると無理が出来て、その企の放棄せられることは、常に実作者のあひだに行はれてゐる事柄である。若しこれが約 …
三年(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
三年と云つても、この三年といふものは、三十年ぐらゐの気持であつた。荷作したまま荷が動かず、紹介してもらつた丸通の課長でさへ、『斎藤さん、もう手おくれですよ』などと云つたほどであつた …
読書目安時間:約8分
三年と云つても、この三年といふものは、三十年ぐらゐの気持であつた。荷作したまま荷が動かず、紹介してもらつた丸通の課長でさへ、『斎藤さん、もう手おくれですよ』などと云つたほどであつた …
子規と野球(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
私は七つのとき村の小学校に入つたが、それは明治廿一年であつた。丁度そのころ、私の兄が町の小学校からベースボールといふものを農村に伝へ、童幼の仲間に一時小流行をしたことがあつた。東北 …
読書目安時間:約3分
私は七つのとき村の小学校に入つたが、それは明治廿一年であつた。丁度そのころ、私の兄が町の小学校からベースボールといふものを農村に伝へ、童幼の仲間に一時小流行をしたことがあつた。東北 …
紙幣鶴(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
ある晩カフェに行くと、一隅の卓に倚ったひとりの娘が、墺太利の千円紙幣でしきりに鶴を折っている。ひとりの娘というても、僕は二度三度その娘と話したことがあった。僕の友と一しょに夕餐をし …
読書目安時間:約2分
ある晩カフェに行くと、一隅の卓に倚ったひとりの娘が、墺太利の千円紙幣でしきりに鶴を折っている。ひとりの娘というても、僕は二度三度その娘と話したことがあった。僕の友と一しょに夕餐をし …
島木赤彦臨終記(新字旧仮名)
読書目安時間:約22分
大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢古実君が、柹蔭山房に赤彦君を見舞つた筈である。ついで摂津西宮を立つた中村憲吉君が、翌十九日の午ちかくに到著した筈である。廿日夜、土屋文明 …
読書目安時間:約22分
大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢古実君が、柹蔭山房に赤彦君を見舞つた筈である。ついで摂津西宮を立つた中村憲吉君が、翌十九日の午ちかくに到著した筈である。廿日夜、土屋文明 …
釈迢空(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
歌人【本名】折口信夫【閲歴】明治二十年二月十一日、大阪市浪速區鴎町一丁目に生れた。三十八年、天王寺中學卒業。少年の頃より讀書癖があり、三十四年以來「文庫」(別項)の短歌欄に投稿し、 …
読書目安時間:約2分
歌人【本名】折口信夫【閲歴】明治二十年二月十一日、大阪市浪速區鴎町一丁目に生れた。三十八年、天王寺中學卒業。少年の頃より讀書癖があり、三十四年以來「文庫」(別項)の短歌欄に投稿し、 …
釈迢空に与ふ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約6分
君が歌百首を發表すると聞いたとき僕は嬉しいと思つた。いよいよ「アララギ」三月號が到來して君の歌を讀んでみて僕は少し殘念である。遠く離れて、君に面と向つて言へないから今夜この手紙を書 …
読書目安時間:約6分
君が歌百首を發表すると聞いたとき僕は嬉しいと思つた。いよいよ「アララギ」三月號が到來して君の歌を讀んでみて僕は少し殘念である。遠く離れて、君に面と向つて言へないから今夜この手紙を書 …
支流(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
此方から見ると対岸の一ところに支流の水のそそいでゐるのが分かる。其処迄は相当の距離があるので、細部は見えないがやはり一つの趣があるやうに見える。即ち、直線的な一様な対岸が其処で割れ …
読書目安時間:約12分
此方から見ると対岸の一ところに支流の水のそそいでゐるのが分かる。其処迄は相当の距離があるので、細部は見えないがやはり一つの趣があるやうに見える。即ち、直線的な一様な対岸が其処で割れ …
接吻(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
維也納の Gürtel 街は、ドナウ運河の近くの、フランツ・ヨゼフ停車場の傍から起つて、南方に向つて帯のやうに通つてゐる大街である。そこには、質素な装をした寂しい女が男を待つてゐた …
読書目安時間:約15分
維也納の Gürtel 街は、ドナウ運河の近くの、フランツ・ヨゼフ停車場の傍から起つて、南方に向つて帯のやうに通つてゐる大街である。そこには、質素な装をした寂しい女が男を待つてゐた …
脱帽(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
もうそろそろ体に汗のにじみ出るころであつたから、五月を過ぎてゐたとおもふ。途中で買つた医学の古書をば重々と両脇にかかへて、維也納のシユテフアン寺のなかに入つて行つた。それは疲れた体 …
読書目安時間:約4分
もうそろそろ体に汗のにじみ出るころであつたから、五月を過ぎてゐたとおもふ。途中で買つた医学の古書をば重々と両脇にかかへて、維也納のシユテフアン寺のなかに入つて行つた。それは疲れた体 …
玉菜ぐるま(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
欧羅巴には、骨骼の逞しい、実に大きな馬がいる。僕は仏蘭西に上陸するや、直ぐその大きな馬に気づいた。この馬は、欧羅巴の至るところで働いている。その骨組が巌丈で、大きな図体は、駈競をす …
読書目安時間:約3分
欧羅巴には、骨骼の逞しい、実に大きな馬がいる。僕は仏蘭西に上陸するや、直ぐその大きな馬に気づいた。この馬は、欧羅巴の至るところで働いている。その骨組が巌丈で、大きな図体は、駈競をす …
妻(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
妻はやはり Sexus Sequior と見立てなければつまりは満足は出来まい。そういうことを考えずに済む亭主は、温良で小さく美しくて京人形のような妻を有っているものに相違ないとお …
読書目安時間:約3分
妻はやはり Sexus Sequior と見立てなければつまりは満足は出来まい。そういうことを考えずに済む亭主は、温良で小さく美しくて京人形のような妻を有っているものに相違ないとお …
つゆじも(新字旧仮名)
読書目安時間:約54分
大正六年十二月二十五日東京青山茂吉宅に於て わが住める家のいらかの白霜を見ずて行かむ日近づきにけり うつり来しいへの畳のにほひさへ心がなしく起臥しにけり 据風呂を買ひに行きつつこよ …
読書目安時間:約54分
大正六年十二月二十五日東京青山茂吉宅に於て わが住める家のいらかの白霜を見ずて行かむ日近づきにけり うつり来しいへの畳のにほひさへ心がなしく起臥しにけり 据風呂を買ひに行きつつこよ …
ドナウ源流行(新字新仮名)
読書目安時間:約43分
この息もつかず流れている大河は、どのへんから出て来ているだろうかと思ったことがある。維也納生れの碧眼の処女とふたりで旅をして、ふたりして此の大河の流を見ていた時である。それは晩春の …
読書目安時間:約43分
この息もつかず流れている大河は、どのへんから出て来ているだろうかと思ったことがある。維也納生れの碧眼の処女とふたりで旅をして、ふたりして此の大河の流を見ていた時である。それは晩春の …
南京虫日記(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
西暦一九二三年八月十三日、Rothmund 街八番地に貸間があるといふので日本媼の息子が案内してくれた。そこの女主は Prörtzl といつて、切りに訛のある言葉を使つた。左の方の …
読書目安時間:約14分
西暦一九二三年八月十三日、Rothmund 街八番地に貸間があるといふので日本媼の息子が案内してくれた。そこの女主は Prörtzl といつて、切りに訛のある言葉を使つた。左の方の …
日本媼(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
媼の名は、Marie Hillenbrand といふ。媼がまだ若くて体に弾力のあつた頃から、その母親と共に多勢の日本留学生の世話をした。当時の日本留学生は概ね三年ぐらゐ居たのであり …
読書目安時間:約7分
媼の名は、Marie Hillenbrand といふ。媼がまだ若くて体に弾力のあつた頃から、その母親と共に多勢の日本留学生の世話をした。当時の日本留学生は概ね三年ぐらゐ居たのであり …
日本大地震(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
西暦一九二三年九月三日。うすら寒く、朝から細かい雨が降つた。日の暮に Spatenbräu 食堂の隅の方に行つてひとり寂しく夕餐をした。七月十九日にミユンヘンに著いて以来、教室では …
読書目安時間:約14分
西暦一九二三年九月三日。うすら寒く、朝から細かい雨が降つた。日の暮に Spatenbräu 食堂の隅の方に行つてひとり寂しく夕餐をした。七月十九日にミユンヘンに著いて以来、教室では …
猫(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
私の家の𢌞りにはいつも猫が五つも六つも集つて來てゐる。中には隣地に棄てられた小さいのが、その儘育つたのも居る。 ある時、野良か餘所の飼かどちらか知れぬが、牝猫が座敷に上つて來て、し …
読書目安時間:約3分
私の家の𢌞りにはいつも猫が五つも六つも集つて來てゐる。中には隣地に棄てられた小さいのが、その儘育つたのも居る。 ある時、野良か餘所の飼かどちらか知れぬが、牝猫が座敷に上つて來て、し …
念珠集(新字旧仮名)
読書目安時間:約44分
1八十吉 僕は維也納の教室を引上げ、笈を負うて二たび目差すバヴアリアの首府民顕に行つた。そこで何や彼や未だ苦労の多かつたときに、故郷の山形県金瓶村で僕の父が歿した。真夏の暑い日ざか …
読書目安時間:約44分
1八十吉 僕は維也納の教室を引上げ、笈を負うて二たび目差すバヴアリアの首府民顕に行つた。そこで何や彼や未だ苦労の多かつたときに、故郷の山形県金瓶村で僕の父が歿した。真夏の暑い日ざか …
蚤(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
蚤という昆虫は夏分になると至るところに居るが、安眠を妨害して、困りものである。 生れ故郷の村にも蚤は沢山いたが、東京という大都会には蚤なんか居ないだろうと想像して、さて東京に来てみ …
読書目安時間:約6分
蚤という昆虫は夏分になると至るところに居るが、安眠を妨害して、困りものである。 生れ故郷の村にも蚤は沢山いたが、東京という大都会には蚤なんか居ないだろうと想像して、さて東京に来てみ …
人麿の妻(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
人麿の妻は、万葉の歌から推しても、二人だといふ説があり、三人だといふ説があり、四人だといふ説があり、五人だといふ説がある。今次に可能の場合を記載しながら、決定して行き、先進の説を附 …
読書目安時間:約13分
人麿の妻は、万葉の歌から推しても、二人だといふ説があり、三人だといふ説があり、四人だといふ説があり、五人だといふ説がある。今次に可能の場合を記載しながら、決定して行き、先進の説を附 …
双葉山(新字旧仮名)
読書目安時間:約9分
強い双葉山が、四日目に安芸ノ海に負け、五日目に両国に負け、六日目に鹿島洋に負けたので、贔屓客が贔屓するあまり、実にいろいろの事をし、医者の診察をすすめたり、心理学の大家の説を訊いた …
読書目安時間:約9分
強い双葉山が、四日目に安芸ノ海に負け、五日目に両国に負け、六日目に鹿島洋に負けたので、贔屓客が贔屓するあまり、実にいろいろの事をし、医者の診察をすすめたり、心理学の大家の説を訊いた …
仏法僧鳥(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
大正十四年八月四日の朝奈良の宿を立つて紀伊の国高野山に向つた。吉野川を渡り、それから乗合自動車に乗つたころは、これまでの疲れが幾らか休まるやうな気持でもあつた。これまでの疲れといふ …
読書目安時間:約11分
大正十四年八月四日の朝奈良の宿を立つて紀伊の国高野山に向つた。吉野川を渡り、それから乗合自動車に乗つたころは、これまでの疲れが幾らか休まるやうな気持でもあつた。これまでの疲れといふ …
仏法僧鳥(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
大正十四年八月四日の朝奈良の宿を立って紀伊の国高野山に向った。吉野川を渡り、それから乗合自動車に乗ったころは、これまでの疲れが幾らか休まるような気持でもあった。これまでの疲れという …
読書目安時間:約11分
大正十四年八月四日の朝奈良の宿を立って紀伊の国高野山に向った。吉野川を渡り、それから乗合自動車に乗ったころは、これまでの疲れが幾らか休まるような気持でもあった。これまでの疲れという …
筆(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
『書』のことになると、中華の人々は昔から偉い。シンの王右軍一人の存在だって、もはや沢山だといふ気持がするのに、ぞくぞくとその後に偉い人が出て居る。しかし私は書のことは分からずにしま …
読書目安時間:約3分
『書』のことになると、中華の人々は昔から偉い。シンの王右軍一人の存在だって、もはや沢山だといふ気持がするのに、ぞくぞくとその後に偉い人が出て居る。しかし私は書のことは分からずにしま …
遍路(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
那智には勝浦から馬車に乗って行った。昇り口のところに著いたときに豪雨が降って来たので、そこでしばらく休み、すっかり雨装束に準備して滝の方へ上って行った。滝は華厳よりも規模は小さいが …
読書目安時間:約6分
那智には勝浦から馬車に乗って行った。昇り口のところに著いたときに豪雨が降って来たので、そこでしばらく休み、すっかり雨装束に準備して滝の方へ上って行った。滝は華厳よりも規模は小さいが …
遍路(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
那智には勝浦から馬車に乗つて行つた。昇り口のところに著いたときに豪雨が降つて来たので、そこでしばらく休み、すつかり雨装束に準備して滝の方へ上つて行つた。滝は華厳よりも規模は小さいが …
読書目安時間:約6分
那智には勝浦から馬車に乗つて行つた。昇り口のところに著いたときに豪雨が降つて来たので、そこでしばらく休み、すつかり雨装束に準備して滝の方へ上つて行つた。滝は華厳よりも規模は小さいが …
孫(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
私のところに只今孫が二人居る。一人は昭和二十一年四月生れ、次ぎは昭和二十三年二月生れである。それゆゑ大きい方は今年数へ年五つになるわけだが、満で算へると年が減つて三つになり、小さい …
読書目安時間:約7分
私のところに只今孫が二人居る。一人は昭和二十一年四月生れ、次ぎは昭和二十三年二月生れである。それゆゑ大きい方は今年数へ年五つになるわけだが、満で算へると年が減つて三つになり、小さい …
曼珠沙華(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
曼珠沙華は、紅い花が群生して、列をなして咲くことが多いので特に具合の好いものである。一体この花は、青い葉が無くて、茎のうえにずぼりと紅い特有の花を付けているので、渋味とか寂びとか幽 …
読書目安時間:約2分
曼珠沙華は、紅い花が群生して、列をなして咲くことが多いので特に具合の好いものである。一体この花は、青い葉が無くて、茎のうえにずぼりと紅い特有の花を付けているので、渋味とか寂びとか幽 …
万葉秀歌(新字新仮名)
読書目安時間:約6時間58分
万葉集は我国の大切な歌集で、誰でも読んで好いものとおもうが、何せよ歌の数が四千五百有余もあり、一々注釈書に当ってそれを読破しようというのは並大抵のことではない。そこで選集を作って歌 …
読書目安時間:約6時間58分
万葉集は我国の大切な歌集で、誰でも読んで好いものとおもうが、何せよ歌の数が四千五百有余もあり、一々注釈書に当ってそれを読破しようというのは並大抵のことではない。そこで選集を作って歌 …
三筋町界隈(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
この追憶随筆は明治二十九年を起点とする四、五年に当るから、日清戦役が済んで遼東還附に関する問題が囂しく、また、東北三陸の大海嘯があり、足尾銅山鉱毒事件があり、文壇では、森鴎外の『め …
読書目安時間:約30分
この追憶随筆は明治二十九年を起点とする四、五年に当るから、日清戦役が済んで遼東還附に関する問題が囂しく、また、東北三陸の大海嘯があり、足尾銅山鉱毒事件があり、文壇では、森鴎外の『め …
最上川(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
最上川は私の郷里の川だから、世の人のいふ『お国自慢』の一つとして記述することが山ほどあるやうに思ふのであるが、私は少年の頃東京に来てしまつて、物おぼえのついた以後特に文筆を弄しはじ …
読書目安時間:約3分
最上川は私の郷里の川だから、世の人のいふ『お国自慢』の一つとして記述することが山ほどあるやうに思ふのであるが、私は少年の頃東京に来てしまつて、物おぼえのついた以後特に文筆を弄しはじ …
焼跡(旧字旧仮名)
読書目安時間:約6分
昭和二十年の五月に燒けた青山の家には、澤山の書物などがあつて、いまだに目のまへにちらついてかなはない。書棚も、それから、萬葉關係の古書なんかも、燒ける前その儘の姿であらはれて來る。 …
読書目安時間:約6分
昭和二十年の五月に燒けた青山の家には、澤山の書物などがあつて、いまだに目のまへにちらついてかなはない。書棚も、それから、萬葉關係の古書なんかも、燒ける前その儘の姿であらはれて來る。 …
リギ山上の一夜(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
瑞西の首都 Zürich をば午後二時十分発の急行列車で立った。そして、方嚮を東南に取り、いわば四方から湖に囲まれたという姿の、Rigi の山上に一夜泊ろうとしたのであった。 汽車 …
読書目安時間:約14分
瑞西の首都 Zürich をば午後二時十分発の急行列車で立った。そして、方嚮を東南に取り、いわば四方から湖に囲まれたという姿の、Rigi の山上に一夜泊ろうとしたのであった。 汽車 …
露伴先生(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
昭和九年の冬に、岩波茂雄さんの厚意によつてはじめて露伴先生にお目にかかり、その時は熱海ホテルで数日を楽しく過ごした。 それ以来、月に数回、或は一二回ぐらゐづつお邪魔に参上して先生か …
読書目安時間:約2分
昭和九年の冬に、岩波茂雄さんの厚意によつてはじめて露伴先生にお目にかかり、その時は熱海ホテルで数日を楽しく過ごした。 それ以来、月に数回、或は一二回ぐらゐづつお邪魔に参上して先生か …
“斎藤茂吉”について
斎藤 茂吉(さいとう もきち、1882年〈明治15年〉5月14日 - 1953年〈昭和28年〉2月25日)は、日本の歌人・精神科医。伊藤左千夫門下。大正から昭和前期にかけて活躍したアララギの中心人物。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。
精神科医として、青山脳病院(現在の東京都立梅ヶ丘病院や斎藤病院)の院長を務めた。長男は精神科医で随筆家の斎藤茂太、次男は精神科医・随筆家・小説家の北杜夫、孫は随筆家の斎藤由香。
(出典:Wikipedia)
精神科医として、青山脳病院(現在の東京都立梅ヶ丘病院や斎藤病院)の院長を務めた。長男は精神科医で随筆家の斎藤茂太、次男は精神科医・随筆家・小説家の北杜夫、孫は随筆家の斎藤由香。
(出典:Wikipedia)
“斎藤茂吉”と年代が近い著者
きょうが誕生日(4月24日)
浜尾四郎(1896年)
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)