“痩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
87.0%
やせ11.1%
1.1%
やつ0.4%
やさか0.3%
つか0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
脳が悪いのではないかとも思われ、私はこの子を銭湯に連れて行きはだかにして抱き上げて、あんまり小さく醜くせているので、さびしくなって
ヴィヨンの妻 (新字新仮名) / 太宰治(著)
せてげっそりと落ちた頬辺ほっぺたのあたりを指で軽くさすりながらシゲシゲと彼をながめていたが、急に大きな声を出して笑い出した。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
お歳は五十歳位でしょうか、せた小柄のけて見える方で、五分刈ごぶがりの頭も大分白く、うつ向いた襟元えりもとが痛々しいようです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
その荒れた城跡に草の茫々ぼうぼうと生えた中で、夕暮方の空を眺めて一人のやせた乞食が胡弓こきゅうを鳴らして、悲しい歌を歌っていました。
迷い路 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うちに、あぜかげから、ひよいとつた、藁束わらたばたけあしで、やせさらばへたものがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それでもやせ我慢に、歌ばかりは日本固有の語にて作らんと決心したる人あらば、そは御勝手次第ながら、それを以て他人を律するは無用の事に候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「許して呉れ給え、金は盗られた……」と云いかけると、向うの方から例の頬のけた男が二三人の人に囲まれながら歩いて来て、私に声をかけた。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
そのことあって以来、ヒルミ夫人の頬がにわかにけ、瞼の下にくろずんだ隈が浮びでたのも、まことに無理ならぬことであった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
彼はそう思って姉のくぼみ込んだ眼と、けたほおと、肉のない細い手とを、微笑しながら見ていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見ると、鼻下に立派な髭をたくわえた一見品のある紳士であるが、ひどくやつれて病人のようにしか思われない。昨夜の悲劇もさる事ながら、かねてから神経衰弱にかかつていたという事もよくうなずける。
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
大杉の一生を花やかにした野枝さんとの恋愛の犠牲となった先妻の堀保子も、イヤで別れたのでない大杉に最後の訣別わかれを告げに来て慎ましやかに控えていたが、恋と生活とにやつれた姿は淋しかった。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
板のやうな掛蒲団をあはせの上にかぶつて禿筆ちびふでを噛みつゝ原稿紙にむかふ日に焼けてあかゞね色をしたる頬のやつれて顴骨くわんこつの高く現れた神経質らしいおな年輩としごろの男を冷やかに見て
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
かれ詔らしめ給へらくは、汝とつがずてあれ、今してむとらしめ給ひて、宮に還りましき。かれ其の赤猪子、天皇のみことを仰ぎ待ちて既に八十歳を経たりき。ここに赤猪子おもひけるは、みことをあふぎ待ちつる間にすでにここだくの年を経て姿かたちやさかかじけてあれば更に恃みなし。
枕物狂 (新字旧仮名) / 川田順(著)
ここに赤猪子「みことを仰ぎ待ちつる間に、已にあまたの年を經て、姿體かほかたちやさかかじけてあれば、更に恃むところなし。然れども待ちつる心を顯はしまをさずては、いぶせきにへじ」と思ひて、百取ももとり机代つくゑしろの物を持たしめて、まゐ出で獻りき。
御奉行様はあの一件の為にどれ程おつかれなさった事でございましょう。皆これ天下の御為なのでございます。今思いましても有難い極みでございます。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)