“萎”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しお26.7%
な21.9%
しな17.5%
しを14.7%
しぼ10.6%
しほ1.8%
なや0.9%
しょ0.7%
すぼ0.7%
いじ0.6%
いぢ0.6%
すく0.4%
かじ0.4%
シボ0.4%
し0.3%
なえ0.3%
ひる0.3%
しぬ0.1%
くたびれ0.1%
しび0.1%
す0.1%
すが0.1%
ぬ0.1%
やつ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
散って萎(しお)れる末の世のかなしみの気配をば、まだこればかりも見せぬ元禄時代の、さる年の晩春初夏に、この長物語ははじまります。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
それをいぶかる君自身すら、心がただわくわくと感傷的になりまさるばかりで、急いで働かすべき手はかえって萎(な)えてしまっていた。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
私は音のしないようにソーッと歩いて、扉の所に立っていた蛞蝓(なめくじ)へ、一円渡した。渡す時に私は蛞蝓の萎(しな)びた手を力一杯握りしめた。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
朴訥(ぼくとつ)な調子で話り了ると、石津右門はホツと溜息を吐きます。鬼の霍亂(くわくらん)が萎(しを)れ返つた樣子は、物の哀れを通り越して可笑しくなる位。
見巧者(みごうしゃ)をはじめ、芸人の仲間にも、あわれ梨園の眺め唯一の、白百合一つ萎(しぼ)んだりと、声を上げて惜しみ悼まれたほどのことである。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まして、畑と云ふ畑は、麻でも黍でも、皆、土いきれにぐつたりと頭をさげて、何一つ、青いなりに、萎(しほ)れてゐないものはない。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
水々しい魚(うお)は、真綿、羽二重の俎(まないた)に寝て、術者はまな箸(ばし)を持たない料理人である。衣(きぬ)を透(とお)して、肉を揉み、筋を萎(なや)すのであるから恍惚(うっとり)と身うちが溶ける。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お国は萎(しょ)げたような顔をして黙ってしまった。そうして猪口を下において何やら考え込んだ。その顔を見ると、「新さんの心は私にはちゃんと見え透いている。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
プラタナスの街路樹が、その広い掌のような葉身をぐったり萎(すぼ)めて、土埃りと、太陽の強い照りに弱り抜いて見えた。
放浪の宿 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
気抜した萎(いじ)けた被虐待者から、疑惑に満ちた冷眼で視られた丈で、一言の不平も、一片の希望も聴き取れずに引き上げた、而(そ)して本省への報告に
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
身装(みなり)や何かに裏町の貧民窟らしい匂ひはしてゐても、悪怯(わるび)れたところや、萎(いぢ)けたところは少しもなかつた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
萎(すく)む氣の習等を癒さんとする等の時にも、年の老若に依らず、若し氣を過泄する癖があつたらば、先づ其を改めねばならぬ。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ここに赤猪子おもひけるは、みことをあふぎ待ちつる間にすでにここだくの年を経て姿かたち痩(やさか)み萎(かじ)けてあれば更に恃みなし。
枕物狂 (新字旧仮名) / 川田順(著)
山の躑躅(ツツジ)の色は、様々ある。一つ色のものだけが、一時に咲き出して、一時に萎(シボ)む。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし斯様(こう)いう大将で有って見れば、士卒も萎(し)けかえって顫(ふる)えて居るわけには行かぬ、力肱(ちからひじ)を張り力足を踏んだことだろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山王さまの氏子が、このくらいの暑さに萎(なえ)たとあっちゃ、江戸ッ子の顔にかかわる、なんて元気な返事をしたそうです
苦しめて興の多いことにも変りはないのだから、神尾は一層の惨忍なる好奇を振い起して、お銀様に槍を突掛け突掛けて、更に萎(ひる)む色がありません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「心も萎(しぬ)に」は、直ぐ、「白露の置く」に続くのではなく、寧ろ、「蟋蟀鳴く」に関聯しているのだが、そこが微妙な手法になっている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
『摩訶僧祇律』七に雪山水中の竜が仙人の行儀よく座禅するを愛し七巾(まき)巻きて自分の額で仙人の項(うなじ)を覆い、食事のほか日常かくするので仙人休み得ず身体萎(くたびれ)羸(や)せて瘡疥を生ず
道路に雪のある間は足も暖かであったが、そのうちに黄ばんだ泥をこねて行くような道に成って、冷く、足の指も萎(しび)れた。親切な飯山の宿で、爪掛(つまかけ)を貰って、それを私は草鞋(わらじ)の先に掛けて穿(はい)て来た。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此の姿も年経(ふ)るに従って老い衰えてしまう事のあまり口惜(くや)しさに、あの時悪魔魔神に祈って、どうぞこの絵姿をおのが身の代りに老い萎(す)たれさせ、変化させ
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
奥坐舗の長手の火鉢(ひばち)の傍(かたわら)に年配四十恰好(がっこう)の年増(としま)、些し痩肉(やせぎす)で色が浅黒いが、小股(こまた)の切上(きりあが)ッた、垢抜(あかぬ)けのした、何処ともでんぼう肌(はだ)の、萎(すが)れてもまだ見所のある花。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
阿芙蓉(あふよう)の萎(ぬ)え嬌(なま)めけるその匂ひ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あなたの萎(やつ)れを気づかっていたつい最前の自分も忘れ、お座なり文句もそこそこに、立ちあがると逃げだしてしまいました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)