“いじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
30.9%
21.3%
18.3%
6.8%
意地6.8%
維持2.5%
可憐2.5%
2.2%
1.1%
1.1%
0.5%
0.5%
苛責0.5%
萎縮0.5%
0.3%
叱責0.3%
夷事0.3%
0.3%
0.3%
易事0.3%
為事0.3%
畏縮0.3%
異事0.3%
0.3%
苛虐0.3%
萎爾0.3%
遺児0.3%
遺子0.3%
酷待0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「芹沢様とやら、お前は、新撰組の隊長でありながら、わたしのような弱いものをいじめてどうなさいます、どうぞお許し下さいませ」
彼は非度く神経的な手附で屍体をいじり始めた。屍体は既に冷却し完全に強直してはいるが、その形状は宛ら怪奇派の空想画である。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
弱い者いじめや、清い人を、難儀させるようなことだけは、命を取られても、出来ねえ闇太郎、——それだけは、御承知下せえまし
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
一知夫婦をいじめたかにいてですね……出来るだけ秘密に……そうしてモット具体的に確かめられるだけ確かめておいて下さい。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを人間にんげんどうしが、たがいに意地いじわるをして、つよいものが、よわいものをいじめて、かってにらくをしようとしたのだよ。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
して、官吏くわんりまたは軍人ぐんじんにして、身分の體面を維持いじし、家の基礎きそを動かさぬだけの人間に仕上げやうと期してゐたのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
可憐いじらしい遊びようをしている。が、わたしは何時の間にか、尾のないとかげが非常にからだの調子が取れなくて、歩きにくそうによちよち歩いているのを見た。
とかげ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
そして、いじらしくも指までしゃげてしまった、あの四肢てあしの姿が、私の心にこうも正確な、まるで焼印のようなものを刻みつけてしまったのです
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
たぶん姉妹二人、よくよくの事情で女衒ぜげんの手に渡り、年上の姉は佐野喜の店で勤め、年弱で身体もいじけきっている妹のお鶴は、寮の下女代りにこき使われていたのでしょう。
卑怯な、卑劣な弱い者いじめが、公然と行われているのに、自分はどうして、平気でその仲間入りをしていたのだろう。
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そのうえ、上の入歯をくしたせいもあったでしょうか、いやに下唇ばかり突き出てしまって、それを見るとほんとうに、ひとしお家畜けものめいていじらしく思われました
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは千金の価があった。王はそれを出して当路とうろの者に賄賂に贈ろうとしていた。小翠はそれが好きで平生いじっていたが、ある日それを取りおとして砕いてしまった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それは私以外の人達が一人も気付いてお出でにならない……そうして同時にタッタ一人私だけを苛責いじめ、威かすために執行とりおこなわれた、世にも恐ろしい、長たらしい拷問ごうもんだったのですから……。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いかにも永い冬と戦ってきたというような萎縮いじけた、粗硬な表情をしていた。「ただに冬とのみ戦ってきたのだとは言えまい」と、彼も子供の顔を見た刹那せつなに、自分の良心がとがめられる気がした。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
アハハハと笑えばお吉も笑いながら、そうしたらまた不潔不潔と厳しくおいじめなさるか知れぬ、と互いに二ツ三ツ冗話むだばなしして後、お吉少しく改まり、清吉はておりまするか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それもまあ好いとしても、修業盛りの弟子たちを何にも圧迫して叱責いじめることはない。かれこれ、この組合規則なるものは甚だ不都合千万なのである。
永楽帝の燕王たるや、塞北さいほくに出征して、よく胡情こじょうを知る。部下の諸将もまた夷事いじに通ずる者多し。王のみなみする、幕中ばくちゅう番騎ばんきを蔵す。およこれの事に徴して、永楽帝の塞外さくがいの状勢をさとれるを知るべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
鱶はちょっと屍をいじってみて、さも厭そうに、下から口を当てて用心深く歯を加えると、帆布は頭から足の先まで真縦に裂ける。錘の鉄棒が一本抜け出て「水先案内」達を脅かし、鱶の横腹に当る。
グーセフ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
情ない心持がした。が、或る尊さも感じていた。体の隅から隅まで、いじらしさで一杯になっているように見える彼女の、たださえよくはなかった健康状態が、このごろはかなり悪い。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
南洲曰ふ、夫れ復古は易事いじに非ず、且つ九重阻絶そぜつし、みだりに藩人を通ずるを得ず、必ずや縉紳しんしん死を致す有らば、則ち事或は成らんと。又後藤象ごとうしやう次郎にいて之を説く。
おのずから活発為事いじの楽地を得て、しだいに事業の進歩をなし、ついには心事と働きと相平均するの場合にも至るべきはずなるに、かつてここに心づかず、働きの位は一におり
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
こうと思い定めぬうちに、まず気が畏縮いじけて、どうもその気にもなれん。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
異事いじともけいおなじうするをはかり、異人いじんともおこなひおなじうするをめば、すなはもつこれかざつて・そこなかれ。ともしつおなじうするらば、すなはあきらかにしつきをかざれ。
徒らに余をいじめたり威したりする訳ではなく真に余の一命を取る積りで掛って居るのだ、何も爾としか思われぬ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
いつまで小姑こじゅうとの地位を利用して人を苛虐いじめるんだという諷刺ふうしとも解釈された。最後に佐野さんのような人の所へ嫁に行けと云われたのがもっとも神経にさわった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
峭深しょうしんの文をもって事情を穿うがち是非を明らかにするは韓非に似て、しかしてしかく惨※さんかくならず。もし不幸にして萎爾いじするなくば、必ず東洋の巨人たらん。
近時政論考 (新字新仮名) / 陸羯南(著)
年寄りはそれは御苦労なこったという顔をしてうなずいて、その節榑立ふしくれだった指さきで、もとの同僚の遺児いじの頬を不憫そうに撫でた。トシは人見知りをしない子で、すぐあいそ笑いをした。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
日吉の実父の弥右衛門やえもんとは、生前、仲のよかった間だし、その後、養父の筑阿弥ちくあみが、弥右衛門のあとに入夫して、哀れな遺子いじたちに、つらく振舞っていることはよく知っていたので
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酷待いじめて酷待めて酷待めぬいた結局あげく、ちょっとした品物が無くなると、これもその所業しわざだと云って、泣き叫ぶ小女を裏の栗の木に縛りつけて飯も与えず、夜になってもかまわずに打ちゃってあった。
一緒に歩く亡霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どうしたんです、いじり合いでもしたのかネ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)