“苛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いじ30.5%
さいな20.0%
いら16.2%
ひど5.7%
いぢ5.7%
4.3%
さい2.4%
いらだ2.2%
1.9%
あせ1.6%
から1.4%
つら1.1%
いやしく1.1%
イラ0.8%
えら0.5%
いた0.5%
むご0.3%
いか0.3%
いこ0.3%
いじめ0.3%
いぢめ0.3%
いび0.3%
いやし0.3%
えれ0.3%
きび0.3%
くるし0.3%
0.3%
さいなま0.3%
じら0.3%
0.3%
カラ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし一歩門外へ出れば、最う浮世の荒い風が吹く。子供の時分の其は、何処にも有るめッという奴だ。私の近処にも其が居た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
だが人間がある激烈な心の衝動をうけてその心が四分五裂の苦にまれるとき、これを逃れるには自暴自棄の態度が一番宜いのです。
ある日の蓮月尼 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
戸をたたいてした位では、なかなか腹がえなかった。彼はその晩自分の家へ逃げて帰っても、まだいらしてよく眠られなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其年京都は、てずに陰忍のものであつた。安井惡性寒氣てられて、いインフルエンザにつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのお高婆さんが、嫁入当時多くの女が経験するやうに(女としては何といふ有難い経験であらう)められた事があつた。
してゐる。しかし僕はら々々するのだ。それはロツクの目から見れば、或は一歩の差かも知れない。けれども僕には十も違ふのだ。
河童 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
母と姉とを非道に殺された私と父とは、不快なあさましい記憶から絶えず心をなまれながら、怏々としてその日を暮して居りました。
ある抗議書 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
群の燈火に飛び込むように、全主観の一切を投げ出そうとする、不断のたしき心のあこがれ、実在のイデヤを追う熱情だった。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
れったいというか、苛立たしいというか、我々の方でも少しき込んだ傾きはあったが、どうにもがあかないのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ればるほど、藻掻けば藻掻くほどすべてが粗笨に傾き、ますます空虚となってゆくばかりだ。そうではないか。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
子沢山で、不作つづき、税金はい、軍人、掠賊、お役人、旦那衆、皆より集ってあの木偶の棒みたいな男ひとりを苦しませているのである。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
時分夫婦活計しいばかりいてゐた。宗助流産した御米めて、必竟世帶苦勞からるんだとじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れども之れより大いに雄飛発展せんとする日本帝国に、斯かる腰抜主義の実行と流行とは真平御免なり。
警戒すべき日本 (新字旧仮名) / 押川春浪(著)
見るものるもの、彼の心をつかせる種にならぬものはなかつた。淡海公の、小百年前に實行して居る事に、今はじめて自分の心づいたましさが、憤らずに居られなかつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
母「汝口がいから人中へ入って詰らねえ口利いては旦那様の顔に障るから気イ付けて能く柔和しく慎しんでてこうよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかしもだいぶ混っていた。水入には粟の殻が一面に浮いて、く濁っていた。えてやらなければならない。また大きな手を籠の中へ入れた。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
湯河原じゃア知らねい者はいだけんどね、イ一番よく知ってるというのア、その孩児……今じゃア此様なにくなってるが、生れたばかりのおさんをくしたのを
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
の大きさ、風の強さ、草の高さ、いずれも恐ろしいほどにめしくて、人家はどこかすこしも見えず、時々ははるか対方の方をせて行く馬の影がちらつくばかり
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
綾の局 この長の日を立ち暮して、おたがいにうくたびれました。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ざまを見やがれ。おのれが前に人をい事ばかりしやがったから今日のざまを見ろ」というような口調で野次馬連はり貴族達は冷笑って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「みんな言ひ合せたやうに真つ黒な頭をしてやがる。屹度何だらう、ようと思つてでもつてるのだらう。」
あいつはリーザをだしに使って俺を苦しめようというのだ——これは明白だ! だからこそリーザをあんなにるんだ。つまりそれでもって、過去の一切に對して俺に返報しようって魂膽なんだ。
卒業論文には、国史は自分が畢生の事業として研究する積りでいるのだから、くも筆をけたくないと云って、古代印度史の中から、「迦膩色迦王仏典結集
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「やあ、吉岡の小旦那……。どうも騒動が出来ましてね。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「義雄の追求の仕方があまりしかったんだろうッて、俺は台湾の方に居てお秋(の名)と二人でそのをしていたよ——」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
議長浦和はろに其席に起てり「松本君の動議は実に驚くべき問題でありまして、自分にてはに心をめて居りますが、きましては——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
頭の上で鳴るそれを聞いていると、漁夫の心はギリ、ギリと切りいなまれた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
生活の苦悩に日々責めれて、益々と偏執とに傾きかゝつた彼の習性が、一夕の法話に全く矯め直されたのでもあらうか。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
しかも同時にもし許してくれるならばその寝台の前に平伏してどうぞこの上俺をさないでくれと哀願したいほど苛だたしさ可愛さを、心一杯に覚えずにもいられなかったのであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
父はくな/\と膝を折り、幾年の監禁にめつけられた痛々しい頬に、ニヤリと佗しげな微笑をのせて、しよんぼりとみよ子の前に坐つた。
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
都べの月夜の 身に沁みてき 暑さを ことしさへ在り
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)