“いら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イラ
語句割合
21.3%
18.1%
12.4%
9.9%
被入4.6%
4.3%
3.9%
2.5%
2.1%
焦心2.1%
1.8%
不用1.8%
1.4%
1.4%
返辞1.1%
1.1%
焦燥1.1%
被居1.1%
入来0.7%
入用0.7%
0.7%
0.7%
0.7%
0.4%
不要0.4%
光来0.4%
0.4%
必要0.4%
0.4%
0.4%
焦慮0.4%
焦躁0.4%
0.4%
被来0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三太夫は胸へ込上げ、老人としよりのあせるほど、気ばかりいらちてものもいわれず、眼玉を据えて口をぱくぱく、あくたに酔うたるふなのごとし。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
尺八の穴みなビューッと鳴って、一角の大刀を大輪おおわに払うと、払われたほうは気をいらって、さっとそのさき足下あしもとからずり上げる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金煙管きんぎせるたばこひと杳眇ほのぼのくゆるを手にせるまま、満枝ははかなさの遣方無やるかたなげにしをれゐたり。さるをも見向かず、いらへず、がんとして石の如くよこたはれる貫一。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
きん「あのそれは先刻さっきあのいらっしゃいまして、それはあの、雨が降って駒下駄ではけないから草履ぞうりを貸してと仰しゃいまして」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はい、みづみなもとたきでございます、此山このやまたびするおかたみな大風おほかぜのやうなおと何処どこかできます。貴僧あなた此方こちら被入いらつしやるみちでお心着こゝろづきはなさいませんかい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
グッと、身を斜めに、かごに、重みをかけて、今にも、やわ作りの乗物を、踏み抜こうやに見せかけたが、相手は、なおも、いらわなかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
筆「其のは頭巾を被っていらっしゃいましたからお顔は覚えませんがお声で存じて居ります、頂いたに相違ございません」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつか僕のいる方を向て、「ナニ、おくさまがナ、えらい遠方へ旅にいらしッて、いつまでも帰らっしゃらないんだから、あいいッてよびによこしなすったよ」
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
停車場ステーションで車をやとってうちへ急ぐ途中も、何だか気がいらって、何事も落着いて考えられなかったが、片々きれぎれの思想が頭の中で狂いまわる中でも
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おのれ憎いは紋十郎、躍り出でただ一打ちとしきりに心は焦心いらちましたなれど、向こうは大勢私は一人、迂濶うかつに出ては危いと存じしばらく様子を窺いおりましたところ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たちまち一歩引下り「おゝ御一緒に、今まで珈琲館にいらしッたのですか、私しは又用事で外へお廻りに成たかと思いました、あそんでお帰りなさるには余り遅過るじゃ有ませんか」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
最早もう不用いらないよ。だから私も二度とお前達の厄介にはなるまいし。お前達も私のようなものは親と思わないが可い。その方がお前達のお徳じゃアないか」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ガラリ、格子戸かうしど鳴りて、大和は帰り来れり「やア、花ちやん、いらつしやい、待つてたんだ、二三日、先生が御不在ので、寂しくて居た所なんだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
賢夫人は、いいたいことがあって来たふうで、棘のある言葉で、チクチクといらいだした。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「心得申した」——と返辞いらえながら、土器や三方さんぼうを手に取ると、焚き連らねられた篝火を目掛けパッパッパッと投げつけた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
横笛愈〻こゝろまどひて、人の哀れを二重ふたへに包みながら、浮世の義理のしがらみ何方いづかたへも一言のいらへだにせず、無情と見ん人の恨みを思ひやれば、身の心苦こゝろぐるしきも數ならず、夜半の夢屡〻しば/\駭きて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「さは文角ぬしにまで、かかる悪戯いたずらしけるよな。返す返すも憎き聴水、いで思ひ知らせんず」ト、みかかるをば文角は、再び霎時しばしと押し隔て、「さな焦燥いらちそ黄金丸。 ...
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
御夫婦とも左様そう申しちゃ何ですけれど一寸変って被居いらっしゃいますから無理もありませんでしょうが。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「一寸御使にやって来たんです。明日は私の家で御待申していますから、何卒どうか御話に入来いらしって下さい」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さっき八っちゃんがにこにこ笑いながら小さな手に碁石を一杯いっぱい握って、僕が入用いらないといったのも僕は思い出した。その小さな握拳にぎりこぶしが僕の眼の前でひょこりひょこりと動いた。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
善良らしい男の所へいらっしゃるんですね。
ましてや往来ゆきゝの人は通身みうち雪にいられて少時すこしのま半身はんしんゆきうづめられて凍死こゞえしする㕝、まへにもいへるがごとし。
手桶てをけすだけのことだから資本もとでいらないかはりにはまうけうすいのであるが、それでも百姓ひやくしやうばかりしてるよりも日毎ひごとえた小遣錢こづかひせんれるのでもうしばらくさうしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いらだかの老木おいきにそひて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
野茨のいばらいらにしまじる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
不要いらないわ。」と、後向きのまんま、格子戸を締めて、駈け出してしまった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「長谷川牧師が光来いらしつてよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
重助「あなたが権幕を変えて出ていらっしゃいましたから、私は跡で何んなにヒヤ/\して居たか知れません」
観音の地内じないとすれば、こんなものは必要いらないはずであります。もう一つ可笑おかしいことには、観音様に神馬があります。
「そうか」といらだった目でぎろっと折竹を見て、「君もか⁈ このダネック探検隊エキスペジションの……隊長だけが帰って何になる。それとも、君らが死にたいというなら、別だがね」
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
カンテラは一つになった。気はますます焦慮いらって来た。けれどもなかなか出ない。ただ道はどこまでもある。右にも左にもある。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は東京へ帰ってからの気分を想像して、あるいは刺戟しげきを眼の前に控えた鎌倉にいるよりもかえって焦躁いらつきはしまいかと心配した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
し彼のまなこにらまれんとも、互のおもてを合せて、ことばかはさずともせめては相見て相知らばやと、四年よとせを恋にゑたる彼の心はいらるる如く動きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母上があまり痛わっても居られまいから、淋しく侘しいのを、被来いらっしゃいと云ったので、大悦び。私が帰って来たら、新しく組立てたダブルベッドにうずまるようにして休んで居られた。
否ももわれはいらへじかにかくに人の心は人に任せめ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
即ち小人卑怯の名、我またいらふことを得ず
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)