不用いら)” の例文
「いよいよかたきに接近出来る。こんな嬉しいことはない。恋も、若衆も何も不用いらぬ。一太刀なりとも怨めたら、この身は八つ裂きにされてもよい」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
最早もう不用いらないよ。だから私も二度とお前達の厄介にはなるまいし。お前達も私のようなものは親と思わないが可い。その方がお前達のお徳じゃアないか」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼は下さる物は、自分のような貧乏人にとって不用いらないはずはないことは知っている。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
(たいして金の不用いらないところなんだな——)
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「お前と、眠剤とこれさえ有ったら、俺は他には何んにも不用いらない」
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)