晩秋の晴れた一日が、いつか黄昏れて、ほんのりと空を染めていた夕映も、だんだんに淡れて行く頃だ。 浅草今戸の方から、駒形の、静かな町を、小刻みな足どりで、御蔵前の方へといそぐ、女形風俗の美しい青年——鬘下地に、紫の野郎帽子、襟や袖口に、赤いも …
著者 | 三上於菟吉 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「朝日新聞」1934(昭和9)年11月~1935(昭和10)年8月 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約11時間31分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約19時間12分(300文字/分) |