“執拗”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しつよう54.2%
しつこ23.4%
しつあう8.7%
しつえう2.5%
しゅうね2.2%
しつ1.6%
しつおう0.6%
しつこい0.6%
しつこく0.6%
しつっこ0.6%
(他:16)5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“執拗”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語55.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語6.7%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
その間にも、しきりと鼻を襲ってくるのは、まだかつて日本の上ではいだことのない執拗しつような香料のにおいであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は彼女の執拗しつようにくむよりは、その根気の好過よすぎるところにかえって妙なあわれみをもよおした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あんなに執拗しつこかった憂鬱が、そんなものの一顆いっかで紛らされる——あるいは不審なことが、逆説的なほんとうであった。
檸檬 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
しかしそこにも、彼は何か気持にまつはりついて来る執拗しつこい悪臭のやうなものを感じて、夢中になることが出来なかつた。
道化芝居 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
三千石の裕福な殿樣が、吹けば飛ぶやうな裏町の小間物屋に加へた壓迫の手は、殘酷で執拗しつあうで惡辣を極めたのでした。
それは、若松屋の妾お扇は、名題の『小便組』だといふ噂を、執拗しつあうに小意地惡く言ひふらした上、町の惡童共に菓子などをやつて、
私はあとでそつと禿を捉へ、なだすかし、誰にも言はないから打明けろと迫つて見たが、禿は執拗しつえうにかぶりをつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
(前略)不運は何故なぜかくまで執拗しつえうに余に附纏つきまとふことに候や。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
支那人が執拗しゅうねざりにして行った臭だから、いくら綺麗好きの日本人が掃除をしたって、依然として臭い。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ともしは、その炎のまわりに無数の輪をかけながら、執拗しゅうねい夜に攻められて、心細い光を放っている。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「うむ、執拗しつっこい奴等だな、御蔵前で見ん事、いてやったと思ったに、しぶとけて来やあがったのか」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「私は勝ちました。土壇場どたんばですつぽかして、駒次郎に首でもくゝらせようと思つたのが、あんまり執拗しつこくからみ付かれて、ツイ庖丁を振り上げて了ひました。私は娘を騙した男に、どんな事があつても身は任されません」
が、執拗しつおうな第二の私は、三度さんど私の前にその姿を現しました。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御常を知らない細君はかえって夫の執拗しつおうを笑った。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(また——病人って、どうしてこんなに、執拗しつこいものなのかしら)
ロボットとベッドの重量 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
執拗しつこいようでは御座いましたが今一度念のために「ヘエー。そのようなものを誰が差し上げました」と尋ねますと、又も穴のあく程、私の顔を凝視みつめておられました若旦那様は、やがて又、ハッと正気づかれたように眼を丸くして
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なに? すがすがしくも散る? 僕——わしはそう思うがね、花でも何でも日本人はあまり散るのを賞翫しょうがんするが、それも潔白でいいが、過ぎるとよくないね。戦争いくさでも早く討死うちじにする方が負けだよ。も少し剛情にさ、執拗しつこくさ、気ながな方を奨励したいと思うね。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
……いえいえかえって悪くなりました。……『出て行け!』などと申しますし『見るもいやだ』などと申しますし『敵同士だ』などと申しますし『渡せ渡せ文書を渡せ!』と、以前まえよりも執拗しつこく申しますし、それにちっとも寄り付きませぬ。家へ帰ってまいりませぬ……お爺様なぜでございましょう。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「義公? ああ、あいつ仕様がない奴さ、あんまり執拗しつっこいから東京でまいちゃったんさ——よく知ってんね、黒ちゃん」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
葉子は執拗しつっこく通う黒吉の前で、わざと他の男の膝に乗ってみせびらかしたりなどした。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「………そやけど、あまり執拗ひつこうちやほやされたらかなわんやろうし、………」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それが、始めて会うた時から女みたいな男やと思てましてんけど、そないいうて話してみますと、表情や物のいいようまで女の腐ったんみたいにねちねちしてて、何やうるさいほど執拗ひつこうて、横眼でジロジロ邪推深そうに人の顔色うかごうたりして、なるほどこれやったら、光子さんかてそない好きと違うんかなあいう気イしますねん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼家あそこじゃ奥様おくさんも好いかただし御隠居様も小まめにちょこまかなさるが人柄ひとは極く好い方だし、お清さんは出戻りだけに何処どこ執拗ひねくれてるが
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そして富岡先生は常に猛烈に常に富岡氏を圧服するに慣れている、その結果として富岡氏が希望し承認し或は飛びつきたい程に望んでいることでも、あの執拗ひねくれた焦熬いらいらしている富岡先生の御機嫌ごきげんに少しでもさわろうものなら直ぐ一撃のもとに破壊されてしまう。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かれ物言はで逃去りぬ、此時我は怒り滿々みち/\し一のチェンタウロ、何處いづこにあるぞ、執拗かたくななる者何處にあるぞとよばはりつゝ來るを見たり 一六—一八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
けれども、性来執拗ごうじような銀は、折角の好意こころも水の泡にしてしまつて、きつぱりその親切を、はねつけた。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
兩手りやうてをわなわなふるはせて、肩でいきを切りながら、眼を、眼球がんきうまぶたの外へ出さうになる程、見開いて、唖のやうに執拗しうねく默つてゐる。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
Mr. O'Grieミスター・オーグリー あなたは、紳士にも似ず執拗しっつこいですね。さっきは、僕の生家もなにもかないと、約束したくせに……。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
西洋の子供も、自分達が何處から生れて來たかを訝かしがつて、執拗しつつこく問ひただしては母親を困らせるさうである。
貝殻追放:016 女人崇拝 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
それから暫く織部正はいつものように夫人を愛撫したことであったが、和歌をさかなに飲んだのが思いの外いて来て、可なり正体がなくなっていたから、ひとしお執拗しつッこく掻き口説くどいたり、甘っ垂れたり、有頂天うちょうてんになったりした。
ええ、執拗しつッこいな。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されどお糸は執拗しふねき夫のとても一応二応にて離縁など肯はむ筈はなし。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
やがて東上の途中大阪の親戚に立ち寄らんとの意をらしけるに、さらばその親戚はれ町名番地は如何いかになど、執拗しゅうねく問わるることの蒼蝿うるさくて、口に出づるまま、あらぬことをも答えけるに
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
かくしだてをあそばすといふをたてつて、ちつとやそつとのやさしい言葉ことばぐらゐではうごきさうにもなく執拗すねぬきしほどに
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ってゐやるとほりの、執拗ねぢくれた、この罪深つみふかこゝろを、神樣かみさまゆるしてもらふため、いろ/\とおいのりをせねばならぬ。
その上、何となく不吉な予感が、彼の心を執拗むやみに蝕ばむのである。
犠牲者 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)