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執拗
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しつこ
ふりがな文庫
“
執拗
(
しつこ
)” の例文
「何とでも考えたらいいじゃないの……イクラ云ったってわからない。どうしてソンナに
執拗
(
しつこ
)
くお聞きになるの。下らない事を……」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「私、今夜はお詫びに来たの。実際、根も葉もない怨みを、
執拗
(
しつこ
)
く思い詰めていて、今まで、私、ほんとうに悪かったと思いますわ」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「あら、御免下さい、私麻雀はあまり好きじゃありませんし、金井さんが
執拗
(
しつこ
)
く仰しゃるから、そっと抜け出してしまったんです」
新奇談クラブ:07 第七夜 歓楽の夢魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
思い込むと蛇のように
執拗
(
しつこ
)
くなる男であります。飛んでもない、人もあろうに宇津木兵馬は、この男の
怨
(
うら
)
みの
的
(
まと
)
となってしまいました。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何を、平馬は、こうまで
執拗
(
しつこ
)
く、自分を恨むのであろう——出逢い次第、果し合わねばならぬほどの事が、どこにあるのだろうか?
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
もう一度呼ぶと、又ブルン! と振る。
執拗
(
しつこ
)
く呼ぶとしまいには答えなくなるが、二三度はこの方法で答えることは確かである。
客ぎらい
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何といふまあ
執拗
(
しつこ
)
い病やなあ、早う何うにかなつて呉れると宜いけれど。」と平七は平三と二人きりの時浮かぬ調子で言つた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
彼はあちこちに激しい視線を投げ返してやった。こちらから他人へ干渉しないのに、他人が
執拗
(
しつこ
)
く自分に干渉してくるのを、憤っていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これは突発的な精神の打撃にはなりませんけれど、その代りに精神を虫食む度合が
執拗
(
しつこ
)
く、だらだらと生活の張合いを失くしてしまいます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は考え考えいるうち、ふとずっと先きから、
執拗
(
しつこ
)
く心にねばりついていることを、そっと落ちついて、女に、そう大事でないように云った。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
男3 とにかく、それは死んだ
行平
(
ゆきひら
)
の
物
(
もの
)
の
怪
(
け
)
ですよ。確かにそうです。……全く
執拗
(
しつこ
)
いったらありゃしない……(左へ退場)
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
しかしそこにも、彼は何か気持にまつはりついて来る
執拗
(
しつこ
)
い悪臭のやうなものを感じて、夢中になることが出来なかつた。
道化芝居
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
浜勇は
執拗
(
しつこ
)
いいやらしい人やと眉をひそめてるのに、花江の話では、そういう事には、さっぱり冷淡やったいうのです。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
が、写真班の連中は、先方が避ければ避けるほど完全にカメラの中に収めようと、
執拗
(
しつこ
)
く後を
追
(
おっ
)
かけて居ました。
たちあな姫
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
執拗
(
しつこ
)
い男だわね、用があるなら台所口へ廻って頂戴、表に立っていられちゃ縁起が悪るくって仕様がない!」
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
その狐に
執拗
(
しつこ
)
く絡み付いて来るので、おまんも内心持て余しているところへ、丁度に石田と水野の虚無僧が来あわせて、元八は忽ちずでんどうという始末。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼女は痩せた男に
執拗
(
しつこ
)
く
覓
(
みつ
)
められたり、体の隅々まで
舐
(
な
)
めるような視線に会ってもべつだん不快な顔をせず
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたしも
執拗
(
しつこ
)
く二度とは聞きもせずに見おろしていると、あたかもその時である。最初は漠然とした大地と空気との動揺が、やがて激しい震動に変わってきた。
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
はげしい情熱も次第に鎮まって、しまいには牡猫等の
執拗
(
しつこ
)
い誘い声に身悶えするようなこともなくなった。
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
巴里
(
パリイ
)
人の事だから無論多少の酒を飲んで居るに
関
(
かゝは
)
らず日本の花見に見受ける様な
乱酔者
(
ゑつぱらひ
)
は
全
(
まつた
)
く無い。従つて
執拗
(
しつこ
)
く
悪巫戯
(
わるふざけ
)
をする者が無く、警察事故も生じない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
云ふのだらう? 何だつてそんなに
執拗
(
しつこ
)
く私の膝に坐つてゐるのです、私が行つて下さいと云つてるのに?
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
気味が悪くてたまらん、どこかええとこへ宿がへして了はう、と云ひ出せばまた
執拗
(
しつこ
)
くなつて困るのだ。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
こほろぎが鳴いてゐる……あれほど
執拗
(
しつこ
)
く人を苦めた白い濃霧の集団までがもう黴の毛ほどの細かい初秋の啜り泣きとなつて消え散つて了ひ、霊岸島の瓦から瓦へ
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
……あんまり
執拗
(
しつこ
)
いから、私も次第に胸に据えかねて、此方が初め悪いことでもしはしまいし、何という無理な厭味を言う、と、今更に呆れたが、長田の面と向った
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
あんなに
執拗
(
しつこ
)
かつた憂鬱が、そんなものの一顆で紛らされる——或ひは
不審
(
ふしん
)
なことが、
逆説的
(
ぎやくせつてき
)
な本當であつた。それにしても心といふ奴は何といふ不可思議な奴だらう。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「本当に
執拗
(
しつこ
)
い空瓶だこと」と、今度は妹娘が拾って投げようとすると、その時
背後
(
うしろ
)
の方より
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
雑誌社の
編輯員
(
へんしゅういん
)
の面前で、泣いてしまった事もある。あまり
執拗
(
しつこ
)
くたのんで編輯員に呶鳴られた事もある。その頃は、私の原稿も、少しは金になる可能性があったのである。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これらの和歌でも想像されるように、主水は
敬虔
(
けいけん
)
の心を持った柔和な人物であったので、恋人を兄に横取りされても
執拗
(
しつこ
)
く怨むような事もなくむしろ諦めていたのであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
従って、
執拗
(
しつこ
)
いほど門田与太郎を呼んだことも、
耳許
(
みみもと
)
で
喚
(
わめ
)
きかえされてようやくそれと感づいた。そう云えば、人々の話しごえを意味のない風の音のようにざわざわと聞いていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「じゃあ、
執拗
(
しつこ
)
くはうかがうまい、そのかわり、あれなる草庵へちょっと案内を頼む」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鷲尾が知ってるだけの材料で話し終る間若者は熱心に破けたズボンの穴を
弄
(
いじ
)
くりまわしながら、
鳩
(
はと
)
のように丸い眼をクルクルさして聴いていたが、
執拗
(
しつこ
)
い程質問を繰りかえした
揚句
(
あげく
)
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
そこへ着くと私の様子を見て「どこへ行かれるのか」といって
執拗
(
しつこ
)
く尋ねましたが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
冗戯
(
じょうだん
)
が
執拗
(
しつこ
)
いと直き腹を立てまして、なんでも、江戸の
鳶
(
とび
)
の衆を、船から二三人
櫂
(
かい
)
で以て叩き落したと云いますからね。あなた方にそんな事も御座いますまいが、どうかそのおツモリで
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「大層嫌うな。……その
執拗
(
しつこ
)
い、
嫉妬
(
しっと
)
深
(
ぶか
)
いのに、
口説
(
くど
)
かれたらお前はどうする。」
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこがこの男の多分に偏執狂的な
所以
(
ゆえん
)
であり、同時にまたいかにその性質がネチクリと蛇のように
執拗
(
しつこ
)
かったかという、証拠にもなると思われるのですが、社会的に転落すればするほど
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あまりに
忌
(
いま
)
いましかったので、おれにかまうな、あっちへ行けと言ってやったが、まだ口明けだからと
執拗
(
しつこ
)
く言うので、早く追い払おうと思ってポケットの金を出しにかかると、彼は言った。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
始めて
本統
(
ほんとう
)
の事情を知った妻から
嫉妬
(
しっと
)
がましい
執拗
(
しつこ
)
い言葉でも聞いたら少しの
道楽気
(
どうらくげ
)
もなく、どれほどな残虐な事でもやり兼ねないのを知ると、彼れは少し自分の心を恐れねばならなかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
執拗
(
しつこ
)
く持ちかけるからで、病気ならともかく、若い娘の身で、むやみに灸の跡をつけられてはたまったものではないと、たいていの娘は「高い山から」をすまさぬうちに、逃げてしまうのだった。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
話はまた前に戻って、かの客はまだ
執拗
(
しつこ
)
く繰り返した。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
平三郎は
執拗
(
しつこ
)
い婢のやりかたに腹を立ててしまった。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
執拗
(
しつこ
)
いのだけは止めんと嫌はれるよ。ハヽヽヽヽヽヽ
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
とか、
執拗
(
しつこ
)
いまでに、訊くのであった。鷺太郎は
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
(
執拗
(
しつこ
)
い野郎だな、こん畜生あ)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それとも後添を探す気でもあるのか、——って、
執拗
(
しつこ
)
く聞いた癖に、そして、万一再縁してもいいようなら、私にも少し考があるって——
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
(私はそんな要求にはめったに応じないことにしているけれども、足だけはあまり
執拗
(
しつこ
)
く云うので、
已
(
や
)
むを得ず見せる)
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
冷やかに眺めて
捌
(
さば
)
き、深く自省に喰い入る
痛痒
(
いたがゆ
)
い
錐揉
(
きりも
)
みのような火の働き、その火の働きの尖は、物恋うるほど内へ内へと
執拗
(
しつこ
)
く焼き入れて行き
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お武家様、お前様は、あの男に見込まれなさいましたね、お気をつけなさらなくちゃあいけませんぜ、あいつは
執拗
(
しつこ
)
い奴でございますからなあ」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今夜の彼女はよほどどうかしています、大胆な態度といい、上ずッた調子といいまるで
自暴
(
やけ
)
なんですからね。それをまた京都が
執拗
(
しつこ
)
く追い廻しているんです。
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それでも元八は
執拗
(
しつこ
)
く絡み付いて行くうちに、やがて田圃路を通りぬけて、二人はやや広い往来へ出た。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
煩く
執拗
(
しつこ
)
い本能が、快活さ(少くとも私の)は、彼にとつて嫌なものだといふことを、私に教へたから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
執
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
拗
漢検1級
部首:⼿
8画
“執拗”で始まる語句
執拗度
執拗無殘