“背後”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うしろ95.0%
はいご2.5%
あと1.0%
しりへ0.4%
せなか0.3%
そびら0.3%
うしろすがた0.1%
しりえ0.1%
そがひ0.1%
バック0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
広い室内のすみの方へ、背後うしろに三角のくうを残して、ドカリと、傍床わきどこの前に安坐あんざを組んだのは、ことの、京極きょうごく流を創造した鈴木鼓村こそんだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
過渡期かときの時代はあまり長くはなかった。糟谷かすや眼前がんぜん咫尺しせき光景こうけいにうつつをぬかしているまに、背後はいごの時代はようしゃなく推移すいいしておった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
彼はそこまで行くと、園内のにぎやかさを背後あとにして、塗りつぶしたような常緑樹じょうりょくじゅの繁みに対して腰を下した。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ばちはてきめん、我が事も、人の背後しりへに笑ふぞと、知らぬが花の模様もの、着た夫人おくがたの集会も、あながち長屋の女房達に、譲らぬが世の習ひなるべし。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
しずかに言って、例の背後せなかに掛けた竹の子笠を、紐を解いて、取りましたが、吹添って、風はあるのに、気で鎮めたかして、その笠が動きもしません。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
致してりし所ろマア/\此所へコレ娘何を迂濶うつかり致してをるお茶を上ぬか如何ぞやと待遇振もてなしぶりあつき程此方こなたはいよ/\こゝろ言出惡いひいでにく背後そびらにはあせするばかりに在りたるが斯てははてじと口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吾輩は呆気あっけに取られてその背後うしろすがたを見送った。頭のしんがジイーンと鳴り出したような気がした。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山の上にある麗人国も、谷の底にある獣人国も、見る見る彼女の背後うしろになった。水藻みずも水泡みなわの住んでいる双玉の原も背後しりえになった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この地球ほし人類ひとの文化の明るさよ背後そがひの闇に浮出て美し
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
外のドアを開けて入ると、幾つかの椅子が行儀よく並んでいる。その数はおよそ五十ばかりもある。正面に高く壇があって、其処そこに一脚のテーブルが置かれて、背後バックは半円形にたわんで喰い込んでいた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)